霜月かぐらという女 十人十色、ロスサントス(第9回)


霜月かぐらという一人の女がいた。

この街を愛し、この街に愛された女だった。
誰よりも激しく、誰よりも真っ直ぐに街に生きた。
彼女は人との交流を楽しみ、イベントに情熱を注ぎ、街の一部として息づいていた。
日々の生活は決して平坦ではなかっただろう。
悩み、迷い、時には苦しみながら、それでも全力で生き抜いてきた。
それが、霜月かぐらという女だった。

狭間に立つ黒市民でありながら、
抜群のフレンドリーさで、多くの住人を惹きつけ、その名を知らぬものはいなかった。
彼女は「黒」でありながら、街の「光」でもあったのだ。

昨日、その霜月かぐらが新たな地へ旅立った。
多くの住民が見送りに集まり、その場には別れを惜しむ声と新たな門出を祝う言葉が交差していた。
新天地での生活がどのようなものになるか、誰にも分からない。
彼女がどこへ向かおうと、この街で過ごした軌跡は消えることなく、
誰かの心に刻まれていることだろう。

この街で生き抜いた彼女ならきっと大丈夫だろう。
霜月かぐらの新たな日々に、幸多からんことを。
最終更新:2025年01月16日 18:37