テノリライオン

06-07-10

最終更新:

corelli

- view
管理者のみ編集可
#blognavi
職場にちょくちょく無言電話がかかってくる。

課長以下六名ほどの事務員がいる我が事務室、鳴った電話は主に私か、もう一人の同僚のおねーちゃんが取る事になっているのだが(下っ端順。若い順と言うとたいそう響きがよろしい)。
ここ最近、取ると数秒の無言の後にプツっと切れてしまう電話が、数日に一回ほどの割合でかかってくるようになっていた。

どういう仕組みかは判らないのだが、その電話はコール音が他と違う。
普通は「RRRR・RRRR」という感じに始まるのだが、その電話に限っては「RRRRRRR・RRR」と、最初の一音が明らかに長いのである。
何か特殊な電話機を使っているのか、あるいは独特な設定なのか。 とにかく最近では私ももう一人のおねーちゃんも、そのコール音がかかってくれば一発で聞き分けられるようになっていた。

そんな境地に達した今、もう本心ではコールが鳴った瞬間に受話器を上げ下げして即切りしてしまいたいぐらいなのだが、周囲を囲む上司達の手前そうも行かず。
おねーちゃんと向かい合った机で二人「あー、また来たよ」という薄い苦笑いを交わし、手が空いている方が出る。そして適当にあしらう、というか切れるのを待つ。 忙しいとじゃまくさい。 いや忙しくなくてもじゃまくさい。
明るい声で「はい職業安定所です」とか言いたい。
もしくは「はい関ジャニ∞です」とか言いたい。 関ジャニ∞の誰やねんとかツッコまれたい。

それはともかく。
そんなイタ電が今日もかかってきた。
ところが今回はたまたま私が席を離れ、同僚のおねーちゃんは用事で外に出ていて。 あの長いコール音に「あ、」と振り返った時には別の職員の男性が受話器を上げていた。
ちなみに彼は小結体型である。

「はい、○○係です…………もしもし?」

ああ、やっぱり無言だ。 いいから切っちゃえ、それ常連ですよ、と内心で私。

「もしもし……はい? あ、えーと、失礼ですがどちら様でしょうか」

なにぃ喋った!?

「え、いえ…………えーと、ご用件の方は……」

しかし内容はやはりイタ電に変わりないらしい。 明らかに不審がっている。 そのまましばしグダグダな相槌や問いかけが続いた後。

「あの、セールスとかそういったものでしたら、こちらでは必要ないので…………」

と、このあたりで一方的に通話は終了した模様。 職員男性が、なんだかなー、という表情で首をひねりながら受話器を置いた。
私や同僚のおねーちゃんには無言を貫いた電話の主が、はてさて彼には一体何を言ったのか。 私は早速聞いた。

「今の電話、何て言ってました?」
「え? いや何か名字を言って、うーん、セールスみたいな……」
やはり訳が判らなかったのだろうか、彼の説明はもごもごと何か要領を得ない。
まあ、所詮はイタ電か。 電波な発言を垂れ流していたのだろうというあたりで渋々納得し、あの鳴り方は決まって無言電話なんですよー、という事を言って仕事に戻った。

……しかし、セールスって言ったって。
何で私達の時は常に無言で、職員の人が出た時にだけ喋るんだ?
書類と書類、チェックとチェックの合間に、シャーペンをぶらぶらさせながら私は考えた。
電波発言なら私達にもすればいいじゃないか。 せっかく電話用のお上品な女性声で出てるんだし(笑)、ロケーションは不用意な言い返しひとつ出来ない事務室だ。 言いたい放題、「げへげへ今日のパンツ何色?」ぐらい聞けば……あ!

判った!

「ねぇねぇ、わかったわかった!」
「え?」
「電話の主の正体がわかりましたっ!!」

課長や職員の人達が席を離れて居なくなるのをうずうずと待ってから、私は息せき切って同僚のおねーちゃんに言った。 え、何、だれだれ? と、面くらいつつも聞き返す彼女。 私は腰を浮かし、びしっと断言した。

「ホモの人です!」

「…………は?」
「ホモの人だよ! セールスってのはきっと、自分をセールスしてたに違いない! 僕そっち系なんですけどあなた興味ありませんかとか、そう数打ちゃ当たるの飛び込み営業だよ!」

そう思えば全て合点がいく、女性相手の場合は何も言わずに切っちゃう事も、電話に出た彼の終始おぶおぶしていた応対も私が尋ねた時の歯切れの悪さも!

「え……? うん? ほものひと……?」

一人盛り上がる私と対照的に、判ったような判らないような曖昧な返事で首をかしげ、しかし確実にドン引きしている彼女がいる。
ああごめんね、唯一の同世代同僚女性がこんなダメな輩で。

でももう私の中では確定。
あの無言電話はホモさん。
実際は絶対に違うんだろうけど関係ありません。 もはや私の中のパンドラの箱は開いた。 閉めてほしければパンツの色を訊け。


え? 差別発言? 同性愛者蔑視?

『ホモが嫌いな女子なんかいません!』 by 大野さん@げんしけん

……いえ、実際は特に興味はないんですけどねごにょごにょ。 いやマジで。 市民権を認めるので精一杯であります。


カテゴリ: [雑記] - &trackback() - 2006年07月10日 22:08:36
  • いやぁ・・・まぁ、非常にユニークな発想だな、と(棒読み) 女から見たホモって男から見るレズみたいなモンですか? 俺はレズも嫌いだから全く分からんですが・・・・・ところで、ネットシステムに明るくないんでちょっと気になるんですが、web拍手でこちらが送ったコメントって管理人様は見れるんですか? もしそうならちょいとしたっつーかお願いあるんですが・・・・まぁ返しをお願いします -- ウォ~マ~ (2006-07-10 23:00:35)
  • あ、勿論拍手コメント見ておりますよ。 ただ文字制限一回50文字なので、それでまかなえなさそうなら右に追加したメアドまでどうぞ。 まあいいやと思って作ってなかったので、とりあえず連絡用にフリーで作ってみたw 用が済んだ頃にこっそり消すぜw どちらでもお好きな方でー。 -- 管理人 (2006-07-11 00:01:23)
名前: コメント:
#blognavi
記事メニュー
ウィキ募集バナー