テノリライオン
The Way Home 第3話 夢の始まり
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匿名ユーザー
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「ドリー、引き付けて!」
「ごめん!」
「イーゴリさん、ストップ! 緩めてください!」
「フォーレ! 麻痺を!」
「は、はい!」
デルクフの地下から戻って、5日が過ぎた。
あの後帰還魔法でそれぞれジュノに戻った彼らはほとんど言葉を交わす事もなく、まずは休もうと三々五々自分の部屋に引き揚げた。
そしてそれきり数日間は特に集まるでもなく、人が溢れる町の中で息を潜めるような日々を送る。
勿論混乱もしていた。 が、誰も、何をどうしていいのかなど判るはずもなかった。
ドリーはイーゴリの部屋に転がり込んだり、ルカとバルトの部屋を尋ねてルカと雑談をしたり。
ルードとフォーレの二人もほとんど外出せず、ヴォルフも趣味の釣りに出かけるでもなく自室で本を読んだりしていた。
そんな無為な日々が4日ほど続いた夕方。
ジュノ上層の雑貨屋に買い物に来たルードとフォーレ、ウィンドウショッピング中のルカとドリーが鉢合わせた。
「あら」
「お、久しぶりです」
お互いに気付いたルカとルードが声を交わす。
程よい人通りのジュノ上層の町並みをぶらぶらと歩きながら、他愛も無い会話を続ける4人。
しかし4人の誰も、数日前の事件については切り出そうとはしない。
胸の奥につかえた何かが、彼らの笑顔を鈍らせている。 すっきりしない空気に誰もが気付き、でも思い切って触れられずにいる、そんな感じだ。
しかし、ついにその空気を振り払うかのように、ルードが軽快な口調で切り出した。
「どうです、そろそろ体がなまりません? 久々に行きましょうよ、狩り」
いつも元気なナイトのドリーに標的を定めて、水を向ける。
「ん、そうだね・・・ずっとゴロゴロしてるのも何だしね。 行こうか?」
彼女もその空気に辟易していたのだろう、何かを吹っ切るかのように明るい声を出してみせた。
ルカもその横で頷き、フォーレの目にも拒否の色は浮かばない。
「よし、決まり。 じゃ皆にも声かけてみて、よければ明日行きましょうや。 場所はそうだな・・・ダボイの修道窟にでもしますか」
ルードの口からデルクフの名が出なかったのは、至極当然の心理だろう。
そうして翌日、5日ぶりに全員が顔を揃えての狩りとあいなった。
―――が。
* * *
「ごめん、ちょっと休ませて・・・」
「崖際まで引いて回復しましょう。 仕切り直しだ」
目も当てられないありさまだった。
ルカは索敵の最中に感付かれ、複数の敵に追われる。 不意打ちにいつも以上に臆病になり、結果タイミングを外す。
ドリーは挑発の手が鈍る。 イーゴリは逆に加減を忘れる。 フォーレは回復魔法のペースが早く、バルトは精霊魔法を使い過ぎ、それぞれに敵の怒りを買う。
誰も彼もどこか上の空で、それでいて必要以上に何かに「怯え」、それが挙動の端々に現れてはミスを誘っていた。
「・・・・・・・」
さすがに壊滅の憂き目に遭うような事はなかったが。
数刻の後には、全員が認めざるを得なくなる。
この数日でその姿を振り払ったつもりの黒い幻は、その根を心の奥深くまで食い込ませ、彼らの胸を鷲掴みにしていたことを。
そして、その根を取り去る作業が、必要であることを―――
* * *
何とか狩りに区切りをつけて戻り、再度集ったジュノ下層。
冒険者で賑わう食堂の一角に陣取る、町着に着替えた彼ら7人の姿があった。
店員が注文された料理を次々と運ぶが、彼らの箸の進みは遅く、専ら何か深刻な話に没頭している様子だけが伺えた。
あれだけ人数がいて騒がない冒険者というのも珍しいな、という感想を抱きつつ、店員が立ち去る。
「・・・とすると、概ね共通するのは。 黒い翼を持った妖魔と、恐らくそいつらによって壊滅寸前のヴァナ・ディール。 それと最後に見た、大量の白い塊・・・といった所ですか」
各自が自分の見た物を報告し終えると、バルトがそれをまとめた。
「それと、そいつらの餌が、どうやら我々らしいこと」
グラスの水をあおったヴォルフが、抑揚の無い声で付け加えた。
皆の箸がまた鈍くなる。
「どこから手をつけたもんでしょうかねぇ・・・妖魔か、場所か・・・」
それでもルードが目の前の魚料理をフォークでつつきながら唸る。 イーゴリが口を開いた。
「あの妖魔、バルドニア地方にいるデーモン族に似ていないこともないが、サイズが小さいし・・・もっと何と言うか、雰囲気が・・・人間寄り、だな」
ルードの隣で、フォーレがぶるっと身震いする。
「少なくとも見た事のないものでしたから、それについてはこれから文献を漁ってみるとして・・・あと、場所は」
「あのきっかけになった音は、間違いなく頭上、それもかなーり遠くから来たと思うんだよね。そうだとするなら、デルクフの上層から何かが・・・じゃないかなぁ」
バルトのセリフを引き継ぐルカ。
「と、後は、何かいっぱいあった白い塊。 あれも何だか判らないよね・・・調べてもらうしかないか」
「もらう、って。 なぁに、自分はやんないの、自分は?」
好物の料理に手を付けて少しずつ調子を取り戻してきたドリーが、笑いながらルカのセリフに茶々を入れた。
「え、だってほら、そういうのはやっぱり日頃から本と戯れてる方々のほうがさ。 ねぇ?」
それに嬉しそうに応じるルカ。 エルヴァーン二人と茶色い髪のタルタルの少女に目線をやる。
苦笑いしながらそれを受けるバルト。
「まぁ、そうなりますね。各地の図書館や公文書館に散った方が良さそうだし、手分けしましょうか。 えーと、俺がバストゥークに行きますから、ヴォルフはサンドリア。 で、フォーレさんはウィンダスをお願いできますか」
「はいっ」
ヴォルフはいつものように黙って頷いただけだったが、フォーレから思いの他元気な声が上がった。
いつも物静かな彼女の意外な反応に、皆の視線がその控え目な笑顔に集中する。
すると、それが伝染するかの如く、静かな活気がさざ波のようにテーブルの上に広がっていった。
そうか。
気味が悪かった。 怖かった。 正体不明の妖魔、荒れ果てたヴァナ・ディールのビジョン。
だが、一番怖かったのは、それを目の当たりにしながら「何も出来ない」事だったのだ。
だから、ありきたりでもささやかでも、それで結果が出るかどうか判らなくても。
「目標」を作り出せた事が、彼らの行き場のない恐怖に出口を与えた。
そして鬱々ともてあましていた負の感情は、そこを進むエネルギーへと一気に換わる―――
「それじゃ残りの体力バカは、それぞれ町で情報収集でもしましょうかね」
「誰よ、体力バカ」
「これと、これと、これと、これ」
ドリーに問い返されたルードが、自分、イーゴリ、ドリー、ルカを順に楽しげに指差す。
ルカが何をとばかりに彼を睨んだ。
「私体力バカじゃないもん。 シーフはもっとこうテクニカルにだね」
「何を言いますか、ドリーさんの後ろからその両手の短剣が全部敵に当たった日にゃぁ」
「よくその鎌でボコボコにしすぎて敵のお怒りを買いまくりの君に言われるとはまた心外な」
「む、『私は違う』ってことは、他はそうだ、と? 体力バカだ、と?」
「えっ、いやっほらイーゴリさんはあの、えーあーうーー」
「そこで噛んだらおしまいじゃないの?」
頭上の陰鬱な覆いが取り払われたかのような開放感と共に、いつもの明るいじゃれあいが戻ってくる。
そうしてようやくそれぞれの肩の力が抜けると、無事全てのナイフとフォークがテーブルから持ち上げられたのだった―――
* * *
そんなこんなの作戦会議兼夕食が終わろうとする頃。
「あ、ドリー!」
背後から呼ぶ声に、ドリーはジュースを吸うストローをくわえたまま振り帰った。
見ると少し向こうから、チュニックを着たタルタルの少女が彼女に手を振っている。
「あれー久しぶりー、元気だったー?」
グラスを置いて本格的に向き直るドリー。 どうやら町で知り合った冒険者友達のようだ。
テーブルと人混みの間をすり抜けてやって来る彼女が言う。
「やだなー、こないだすれ違ったじゃない、デルクフの塔の前で」
「・・・あ、そう、だっけ?」
デルクフと聞いて、7人にさっと軽い緊張が走る。
「そうそう、あの後すごかったんだよー。 聞いてない? 流れ星」
「流れ星?」
「うん、なんかねー、すっごい量の流れ星が流れたの。 それがね、塔のてっぺんに一斉に集まってぱっと消えちゃったのよ。 びっくりしたよー、すぐ終わっちゃったんだけど・・・」
「それ、私達が塔の前で会ってからどのくらい後!?」
「え? えっと・・・」
突然雑談とは思えない剣幕で詰め寄るドリーに、タルタルの少女は軽くたじろぐ。
見れば同じテーブルに着いている面々も、いつのまにか食い入るように彼女を見ていた。
おどおどと続ける彼女。
「んー、15分ぐらい、だったかなぁ・・・? 何で? 何かあったの?」
「あ、ううん何でもない、ごめんごめん。 あそうだ、こないだ貰ったタルト、おいしかったよぉ」
「でっしょー? あれはねーもう材料から・・・」
ドリーが話題を逸らしたのを見届けた6人が、密かに視線を交わす。
そしてひとしきりの雑談を終え、友達に手を振り見送ったドリーが姿勢を戻すと、バルトが言った。
「追加項目。 デルクフに消えた、流れ星」
to be continued
「ごめん!」
「イーゴリさん、ストップ! 緩めてください!」
「フォーレ! 麻痺を!」
「は、はい!」
デルクフの地下から戻って、5日が過ぎた。
あの後帰還魔法でそれぞれジュノに戻った彼らはほとんど言葉を交わす事もなく、まずは休もうと三々五々自分の部屋に引き揚げた。
そしてそれきり数日間は特に集まるでもなく、人が溢れる町の中で息を潜めるような日々を送る。
勿論混乱もしていた。 が、誰も、何をどうしていいのかなど判るはずもなかった。
ドリーはイーゴリの部屋に転がり込んだり、ルカとバルトの部屋を尋ねてルカと雑談をしたり。
ルードとフォーレの二人もほとんど外出せず、ヴォルフも趣味の釣りに出かけるでもなく自室で本を読んだりしていた。
そんな無為な日々が4日ほど続いた夕方。
ジュノ上層の雑貨屋に買い物に来たルードとフォーレ、ウィンドウショッピング中のルカとドリーが鉢合わせた。
「あら」
「お、久しぶりです」
お互いに気付いたルカとルードが声を交わす。
程よい人通りのジュノ上層の町並みをぶらぶらと歩きながら、他愛も無い会話を続ける4人。
しかし4人の誰も、数日前の事件については切り出そうとはしない。
胸の奥につかえた何かが、彼らの笑顔を鈍らせている。 すっきりしない空気に誰もが気付き、でも思い切って触れられずにいる、そんな感じだ。
しかし、ついにその空気を振り払うかのように、ルードが軽快な口調で切り出した。
「どうです、そろそろ体がなまりません? 久々に行きましょうよ、狩り」
いつも元気なナイトのドリーに標的を定めて、水を向ける。
「ん、そうだね・・・ずっとゴロゴロしてるのも何だしね。 行こうか?」
彼女もその空気に辟易していたのだろう、何かを吹っ切るかのように明るい声を出してみせた。
ルカもその横で頷き、フォーレの目にも拒否の色は浮かばない。
「よし、決まり。 じゃ皆にも声かけてみて、よければ明日行きましょうや。 場所はそうだな・・・ダボイの修道窟にでもしますか」
ルードの口からデルクフの名が出なかったのは、至極当然の心理だろう。
そうして翌日、5日ぶりに全員が顔を揃えての狩りとあいなった。
―――が。
* * *
「ごめん、ちょっと休ませて・・・」
「崖際まで引いて回復しましょう。 仕切り直しだ」
目も当てられないありさまだった。
ルカは索敵の最中に感付かれ、複数の敵に追われる。 不意打ちにいつも以上に臆病になり、結果タイミングを外す。
ドリーは挑発の手が鈍る。 イーゴリは逆に加減を忘れる。 フォーレは回復魔法のペースが早く、バルトは精霊魔法を使い過ぎ、それぞれに敵の怒りを買う。
誰も彼もどこか上の空で、それでいて必要以上に何かに「怯え」、それが挙動の端々に現れてはミスを誘っていた。
「・・・・・・・」
さすがに壊滅の憂き目に遭うような事はなかったが。
数刻の後には、全員が認めざるを得なくなる。
この数日でその姿を振り払ったつもりの黒い幻は、その根を心の奥深くまで食い込ませ、彼らの胸を鷲掴みにしていたことを。
そして、その根を取り去る作業が、必要であることを―――
* * *
何とか狩りに区切りをつけて戻り、再度集ったジュノ下層。
冒険者で賑わう食堂の一角に陣取る、町着に着替えた彼ら7人の姿があった。
店員が注文された料理を次々と運ぶが、彼らの箸の進みは遅く、専ら何か深刻な話に没頭している様子だけが伺えた。
あれだけ人数がいて騒がない冒険者というのも珍しいな、という感想を抱きつつ、店員が立ち去る。
「・・・とすると、概ね共通するのは。 黒い翼を持った妖魔と、恐らくそいつらによって壊滅寸前のヴァナ・ディール。 それと最後に見た、大量の白い塊・・・といった所ですか」
各自が自分の見た物を報告し終えると、バルトがそれをまとめた。
「それと、そいつらの餌が、どうやら我々らしいこと」
グラスの水をあおったヴォルフが、抑揚の無い声で付け加えた。
皆の箸がまた鈍くなる。
「どこから手をつけたもんでしょうかねぇ・・・妖魔か、場所か・・・」
それでもルードが目の前の魚料理をフォークでつつきながら唸る。 イーゴリが口を開いた。
「あの妖魔、バルドニア地方にいるデーモン族に似ていないこともないが、サイズが小さいし・・・もっと何と言うか、雰囲気が・・・人間寄り、だな」
ルードの隣で、フォーレがぶるっと身震いする。
「少なくとも見た事のないものでしたから、それについてはこれから文献を漁ってみるとして・・・あと、場所は」
「あのきっかけになった音は、間違いなく頭上、それもかなーり遠くから来たと思うんだよね。そうだとするなら、デルクフの上層から何かが・・・じゃないかなぁ」
バルトのセリフを引き継ぐルカ。
「と、後は、何かいっぱいあった白い塊。 あれも何だか判らないよね・・・調べてもらうしかないか」
「もらう、って。 なぁに、自分はやんないの、自分は?」
好物の料理に手を付けて少しずつ調子を取り戻してきたドリーが、笑いながらルカのセリフに茶々を入れた。
「え、だってほら、そういうのはやっぱり日頃から本と戯れてる方々のほうがさ。 ねぇ?」
それに嬉しそうに応じるルカ。 エルヴァーン二人と茶色い髪のタルタルの少女に目線をやる。
苦笑いしながらそれを受けるバルト。
「まぁ、そうなりますね。各地の図書館や公文書館に散った方が良さそうだし、手分けしましょうか。 えーと、俺がバストゥークに行きますから、ヴォルフはサンドリア。 で、フォーレさんはウィンダスをお願いできますか」
「はいっ」
ヴォルフはいつものように黙って頷いただけだったが、フォーレから思いの他元気な声が上がった。
いつも物静かな彼女の意外な反応に、皆の視線がその控え目な笑顔に集中する。
すると、それが伝染するかの如く、静かな活気がさざ波のようにテーブルの上に広がっていった。
そうか。
気味が悪かった。 怖かった。 正体不明の妖魔、荒れ果てたヴァナ・ディールのビジョン。
だが、一番怖かったのは、それを目の当たりにしながら「何も出来ない」事だったのだ。
だから、ありきたりでもささやかでも、それで結果が出るかどうか判らなくても。
「目標」を作り出せた事が、彼らの行き場のない恐怖に出口を与えた。
そして鬱々ともてあましていた負の感情は、そこを進むエネルギーへと一気に換わる―――
「それじゃ残りの体力バカは、それぞれ町で情報収集でもしましょうかね」
「誰よ、体力バカ」
「これと、これと、これと、これ」
ドリーに問い返されたルードが、自分、イーゴリ、ドリー、ルカを順に楽しげに指差す。
ルカが何をとばかりに彼を睨んだ。
「私体力バカじゃないもん。 シーフはもっとこうテクニカルにだね」
「何を言いますか、ドリーさんの後ろからその両手の短剣が全部敵に当たった日にゃぁ」
「よくその鎌でボコボコにしすぎて敵のお怒りを買いまくりの君に言われるとはまた心外な」
「む、『私は違う』ってことは、他はそうだ、と? 体力バカだ、と?」
「えっ、いやっほらイーゴリさんはあの、えーあーうーー」
「そこで噛んだらおしまいじゃないの?」
頭上の陰鬱な覆いが取り払われたかのような開放感と共に、いつもの明るいじゃれあいが戻ってくる。
そうしてようやくそれぞれの肩の力が抜けると、無事全てのナイフとフォークがテーブルから持ち上げられたのだった―――
* * *
そんなこんなの作戦会議兼夕食が終わろうとする頃。
「あ、ドリー!」
背後から呼ぶ声に、ドリーはジュースを吸うストローをくわえたまま振り帰った。
見ると少し向こうから、チュニックを着たタルタルの少女が彼女に手を振っている。
「あれー久しぶりー、元気だったー?」
グラスを置いて本格的に向き直るドリー。 どうやら町で知り合った冒険者友達のようだ。
テーブルと人混みの間をすり抜けてやって来る彼女が言う。
「やだなー、こないだすれ違ったじゃない、デルクフの塔の前で」
「・・・あ、そう、だっけ?」
デルクフと聞いて、7人にさっと軽い緊張が走る。
「そうそう、あの後すごかったんだよー。 聞いてない? 流れ星」
「流れ星?」
「うん、なんかねー、すっごい量の流れ星が流れたの。 それがね、塔のてっぺんに一斉に集まってぱっと消えちゃったのよ。 びっくりしたよー、すぐ終わっちゃったんだけど・・・」
「それ、私達が塔の前で会ってからどのくらい後!?」
「え? えっと・・・」
突然雑談とは思えない剣幕で詰め寄るドリーに、タルタルの少女は軽くたじろぐ。
見れば同じテーブルに着いている面々も、いつのまにか食い入るように彼女を見ていた。
おどおどと続ける彼女。
「んー、15分ぐらい、だったかなぁ・・・? 何で? 何かあったの?」
「あ、ううん何でもない、ごめんごめん。 あそうだ、こないだ貰ったタルト、おいしかったよぉ」
「でっしょー? あれはねーもう材料から・・・」
ドリーが話題を逸らしたのを見届けた6人が、密かに視線を交わす。
そしてひとしきりの雑談を終え、友達に手を振り見送ったドリーが姿勢を戻すと、バルトが言った。
「追加項目。 デルクフに消えた、流れ星」
to be continued