「神々の箱庭」
この世には七人の神がいた。
知の神ゼイベリウス、命の神アルテナ、戦の神ミノス、大地の神ギアス、理の神ニオライ、時の神エル、邪の神アンガ・マニュ。
彼ら七人の神は、娯楽として箱庭を作りはじめた。
はじめは何も無い空間だった。
ゼイベリウスは世界の土台となる箱を創った。
ギアスはその箱に土を敷き詰めた。
アルテナは水を注ぎ、海が出来た。
ミノスは海の底を持ち上げ大地が出来た。
ニオライは息吹き、その風で空が生まれた。
エルは空に光を灯し、太陽が生まれた。
アンガ・マニュは空に砂混じりの墨を垂らし、夜と星が生まれた。
こうして「世界」は誕生した。
世界を作り出してから、遥かな時がたった。
ゼイベリウスは何も起こらないつまらない世界に不満だった。
そしてゼイベリウスは、自ら考え、自ら学び、自ら行うヒューを生み出した。
彼らは高い適応力と学習能力を持ち、文明を築くに至った。
ヒューが数を増すと、森を愛したアルテナは木を切る彼らに不安を抱いた。
そこで、アルテナは森を維持するためにリンクスを生み出した。
彼らリンクスはアルテナから知恵や知識を得ることで文明を持ち、また森を守ることに従事した。
戦の神ミノスは、ひ弱なリンクスやヒューを見て、自分ならもっと屈強な種族を作れると思った。
そして誕生したのがタウロン族だった。
しかし、ミノスが生み出したタウロンは不器用で、高度な文明を築くに至らなかった。
大地の神ギアスは、ミノスを見かねてマーシーを生み出した。
器用なマーシーは、ギアスの思惑通りに不器用なタウロンに協力を始めた。
こうしてこの二つの種族には深い友好が生まれたのである。
理の神ニオライは、この世界の存在意義を問い始めた。
世界の誕生は神々の暇つぶしに過ぎないが、そんな世界、本当に必要なのだろうか。
この疑問の答えは、自分では導き出せないと思った。
そしてニオライはセクゥトを生み出し、彼らにその答えを探させることにした。
時の神エルは、常に世界を正常に保つべくメレクを生み出した。
多くの種族が文明を築き始め、世界は混沌とし始めた。
メレク達は多くの種を先導し、世界を正しく導くことに努力した。
邪の神アンガ・マニュは、エルのメレクが世界を正そうとすることに疑問を持った。
時が経てば、物事は変わり行くものであり、それこそが自然の定理であると考え、スークァを生み出した。
彼らは自ら考え、行動するヒューに似ているが、異なる存在である。
生きることを望み、快楽を求め、自分に正直で、時代に流される者たちである。
こうして世界には、七の主文明種族が生まれたのである。
その後神々は自らの僕(しもべ)達を、守護者としてそれぞれの地に遣わし、世界の均衡を保たせたのであった。