公式に登場した種族であり、参加者からも多数の森人族が投稿されたが、
公式イベント等において一言も言及されないままに終わった。
(⇒『
空を揺るがす樹海の王』、
モシロ、
クロ)
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公式キャラの記事項目としてあまりにも寂しいことになるので、
ここではモデルとなったであろうエントについて簡単に語る。
樹木の種族としてはギリシア神話のドリュアス(ドライアド、ドリアード)が
その最古とも言えるが、これはどちらかというと木の精であり、
樹木そのものが意思なり動く力なりを持った存在というわけではなかった。
動く樹木の種族として最も有名なのは、
トールキン著『指輪物語』に登場する木の牧人『エント』である。
エントは中つ国の樹木を世話する巨人のような種族であり、
男のエントは樹木を、女のエントは草花を世話することを好んだ。
ただし厳密にはエント自身は樹木ではなく、エルフや人間やドワーフと同じ
マイア(アルダ世界における神々に相当する存在)に作られた種族の一種である。
彼らの見た目が木々そっくりなのは、長い長い年月の果てに
自らが世話する植物に似た、あるいは植物のほうが彼らに似たからであるという。
本来は樹木そのものではないエントが、動く樹木の種族として扱われるのは
Dungeons&Dragons(D&D)に植物クリーチャーとして登場してからであり、
以降のゲームファンタジーを中心に植物モンスターの代表例と見なされていく。
ちなみに前述のドリュアスもD&Dでは樹木の身体を持つ姿で描かれている。
現在ではトリエント、トレントとして単なるモンスターとなってしまったエントだが、
前述のように本来は植物でなく植物を世話する牧人の種族である。
その点を踏まえて森人族の説明文を読むと、彼らも見た目こそ樹木然としているが
それらは外見だけであり、彼ら自身は精霊族であると明記されていることに気がつくだろう。
真意は定かではないが、単なる植物種族ではなく精霊であるところに、
原典であろうエント(および木の精霊としてのドリュアス)に対する
オマージュや敬意を感じてやまず、企画主催者たるarohaJ氏の
ファンタジーへの造詣の深さにただただ感心するばかりである。
これだからpixivファンタジアは面白く奥深く侮れないのだ。
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最終更新:2013年12月12日 10:32