PixivファンタジアⅤ

 トライガルド帝国の精霊族(と思われる)の弓使い(と思われる)
 名前を呼んではもらえない例のあの人。例の彼。




 ピクペディアの記事名は「例の彼」だが、
 ここでは混乱を避けるため、より特定的な「弓の人」表記を用いる。

 弓の人はトライガルドの勢力紹介時において、
 精霊公エルシリアの隣に描かれた人物。

 ぶっちゃけてしまえばただの名無しのモブ兵である。
 本来であれば、特に何事も思われず話題にもならず、
 公式で描かれた弓兵の単なる一例、デザイン参考用として、参加者に扱われたであろう。

 が、PFⅤでは章が進む毎に公式キャラ紹介が追加されていくシステムであったため、
 彼の悲劇と苦悩と喜劇の日々(約二ヶ月)が幕を開けることとなる。

 企画開催当初より、他の名前が判明していないキャラ(⇒カルメン)と共に
 トライガルドの名のある公式キャラであろう、という予想が立ち、
 参加者の一部には彼のプロフィールが公開されるのを待つ者もいた。
 カルメン、ジゲンシスターセレスといった他の詳細不明キャラと同じく
 情報開示がされる前からファンアート等で描かれることは決して少なくなかった。

 しかし、いくら待てど暮らせど戦えど、彼の名前や経歴が明かされることはなく、
 誰もが嫌な予感を抱きつつも、最後の希望を捨てずに待ち続けた結果、
 とうとう最終章を迎えてもプロフィールが更新されず、
 「実は単なるモブでした」という、残酷かつ「あーやっぱり」な結末を迎えたのである。


 ・・・と、見事に綺麗なオチが付く悲喜劇となったが、
 そもそも彼が何故こんな個別ページまで割くようなネタキャラと化したかと言えば、
 元を辿ればその圧倒的な存在感にあると言わざるをえない。
 モブ兵とは思えないそのデザインは他の公式キャラと並べてもなんら遜色ないものであり、
 開催直後の情報が完全に揃わない状況において、勢力紹介を見た人の多くが
 「こいつは果たして公式キャラなのかモブなのか」と判断に迷ったことは、
 最終章まで名前が公開されることを望んだ人々がいたことから、火を見るより明らかであろう。

 実のところ、表記を「例の彼」でなく「弓の人」にしたのも、
 彼以外にも「例の彼」に該当するモブキャラが幾人かいるためである。
(同じくトライガルドの左端にいるアロンソや、PixivファンタジアNWアムダミナの水妖など)
 しかしそれらの中で群を抜いて一際異彩を放っているのはこの弓の人のみであり、
 他は一目で「こいつモブだな」と判断できなくもない程度の存在感である。

 結局のところ、彼は名無しのモブにしてはあまりにもデザインが良すぎ、
 それがために彼自身の異様な人気と悲喜劇を引き起こしたのである。
 しかし最初からモブだと分かっていればこんな扱いもこの記事ページもなかったのは確かであり、
 本来ただ消え去るはずの彼がピクファンの歴史に(名前が無いのに)名を刻めたことは、
 果たして本人にとって幸だったのか不幸だったのか。
 それは誰にもわかるまい。






 なお、イラストコミュケーションツール「drawar」にて、
 アロンソと共に弓の人のイラストが投稿されたが、
 アロンソのイラストに名前と簡易設定が書かれたのに対し、弓の人のイラストは
 紹介部分が倒れたインク壜から流れたインクによって塗りつぶされている。
 もはや公式においても「一切の詳細が不明なキャラ」扱いであり、
 今後彼の名前がわかる日は恐らく永遠に来ないであろう。




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最終更新:2013年12月12日 15:08