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男女反転8話

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闇ノ中、光ハ射ス


「はぁっ……はぁ……はぁ……っ! もう帰りたい……もう帰りたいよ……母さん……!!」

死の恐怖から逃れるように和装の少年が走る。走る。走る。
今は亡き母の名を呼びながら、行く当てもないまま走る。走る。走る。

ただ独りで夜道を駆ける、この少年の名前は高嶺響(こうみね・きょう)。

響は元々、居合いの心得を持つ少年剣士であった。

女手一つで響を育ててくれた母の死後、独りで旅をしていた時も彼の傍らには必ず愛刀の谺(こだま)があった。
母の亡き今は、ある意味谺だけが響の支えだった。

「くそ……谺を持たない僕なんて、アンコの入っていないあんみつみたいなものじゃないか……」

見知らぬ土地へと召喚され、刀を奪われて、初めて知った己の無力さに響の全身が震える。
響だって剣士だ。刀を用いた命のやりとりを行なったこともある。
間近で人の死を見たのもこれが初めてというわけではない。
その時も恐怖で頭がおかしくなりそうだったが、今程の恐怖は感じていなかったはずだ。

命のやりとりの中で響が正気を保つことが出来たのも愛刀・谺があったからこそ。
今の彼には何もない。そう、何もない。今の彼は高嶺響という名の、何の力も持たないただの少年だ。

「……痛ッ!!」

響の額が木に衝突した。木が眼前にあることにも気付かぬ程、冷静さを欠いていたらしい。
少し赤くなった額を押さえながら、響はその木を見つめた。
響の行く手を阻むようにそびえ立つ巨木に、響の体が大きく震えた。

「僕はこのまま、誰かに殺されるのか……?」

「死にたくないよ……」

「強くなりたいよ……」

「僕にはまだやるべきことがあるんだ……」

「だから……」

響は眼前の巨木を泣きそうな目で睨みつけた。
響のその目には、恐怖や怒りを超越した、抑えきれぬ『何か』が宿っていた。
そしてその『何か』は思わぬ形で発現することになる。

「だから、ここで死ぬわけにはいかないんだ!」

響の目から七色の光線が飛び出した!
それを浴びた木は溶けていく……溶けていく……。


「えっ……?」

溶かされた木と同じ位驚いたのは、七色の光線を目から放った響自身である。
涙の代わりに響の目から飛び出した『それ』の存在を、響自身知らなかったのだから。

「僕には……こんな力もあったのか……」

自らに宿る新たな力を把握した響の口元が次第に三日月の如く歪んでいく。
そこには先程までの脅えた少年の貌はなかった。

「完璧じゃないか」

谺が無くても充分に自分は戦える。自分は非力なんかじゃない。
その事実と強大な力は響の心に必要以上の自信を与え、響を歪ませてしまったのだ。
さっきまで絶望に打ちひしがれていた少年の瞳に宿るのは、生き残るための希望と野望。

そして……。

「男も女も、僕を崇め、僕のために死ぬんだ。僕をここに呼んだあいつらもだ。わかるかい?」

目から放たれる七色の光とは裏腹に、どこまでも暗き漆黒の闇にも似た感情だった。

【G-2/一日目深夜】
【高嶺響(こうみね・きょう)@月華の剣士】
[状態]:健康
[装備]:無し
[所持品]:支給品一式、不明支給品一式1~3
[思考]:
基本方針:絶対に生きて帰る
1:自分以外は皆殺しだ。僕をここに呼んだ奴らもだ。わかるかい?
2:七色光線を利用させてもらう

【備考】
1:七色光線は支給品の一種ではありません。響の能力の一部です
2:読み仮名が「たかね・ひびき」ではなく「こうみね・きょう」なのは誤植ではありません。わざとです

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