麗しの剣姫
かさかさ、かさかさと。鳴り響くのは草の音。
虫の音の一つも響くことなき、ただそれだけの木霊する静寂。
ほのかに潮の香りの混ざった夜風が、静かに彼女の鼻をくすぐる。
広大な草原の真ん中に、1人佇む人影があった。
月明に煌めく銀の髪。膝の裏まで届く長髪は、さながら絹糸のごとく妖艶に舞う。
身に纏う着物は純白。艶やかに輝く布地の中、肩口には真紅の花が刻まれていた。
右肩の毛皮をたなびかせながら、黄金の瞳を宵闇の空へと向ける。
見る者全てを圧倒する、絶世の美女の姿がそこにあった。
彼女の名は殺生姫(せっしょうき)。
今からおよそ五百年余り昔の日本に生きていた、強力な力を持つ誇り高き妖怪である。
その妖怪が、突如として訳の分からぬ場所へと連れ込まれ、生意気にも人間ごときに殺し合いをしろと命令された。
しかも奴らは自分の愛刀・爆砕牙と天生牙の二振りまで盗み取っているのだ。
腹が立つのも当然だ。
気に食わないのも無理はない。
さて、どうするか。殺生姫は思考する。
まず大前提は、あの主催者達を自分の手でなぶり殺しにすること。
これだけは譲れない。
奴らは人間の分際で、強者たる妖怪の自分にこのような屈辱を味わわせたのだ。ただで済ませるはずがない。
必ず自分の手で、あのふざけた二人組を血祭りに上げてやる。この世に生まれてきたことさえも悔やむような、苦痛と恐怖の中で抹殺してやる。
問題はそこに至る前の話。この殺し合いでどのようにして立ち回るか、だ。
正直、奴らの元にたどり着くには、この場の人間を皆殺しにするのが一番手っ取り早い。
だが、奴らの思惑通りに殺し合いに乗るのも癪に障る。
このジレンマをどうしたものか。そう悩んでいたその矢先、
虫の音の一つも響くことなき、ただそれだけの木霊する静寂。
ほのかに潮の香りの混ざった夜風が、静かに彼女の鼻をくすぐる。
広大な草原の真ん中に、1人佇む人影があった。
月明に煌めく銀の髪。膝の裏まで届く長髪は、さながら絹糸のごとく妖艶に舞う。
身に纏う着物は純白。艶やかに輝く布地の中、肩口には真紅の花が刻まれていた。
右肩の毛皮をたなびかせながら、黄金の瞳を宵闇の空へと向ける。
見る者全てを圧倒する、絶世の美女の姿がそこにあった。
彼女の名は殺生姫(せっしょうき)。
今からおよそ五百年余り昔の日本に生きていた、強力な力を持つ誇り高き妖怪である。
その妖怪が、突如として訳の分からぬ場所へと連れ込まれ、生意気にも人間ごときに殺し合いをしろと命令された。
しかも奴らは自分の愛刀・爆砕牙と天生牙の二振りまで盗み取っているのだ。
腹が立つのも当然だ。
気に食わないのも無理はない。
さて、どうするか。殺生姫は思考する。
まず大前提は、あの主催者達を自分の手でなぶり殺しにすること。
これだけは譲れない。
奴らは人間の分際で、強者たる妖怪の自分にこのような屈辱を味わわせたのだ。ただで済ませるはずがない。
必ず自分の手で、あのふざけた二人組を血祭りに上げてやる。この世に生まれてきたことさえも悔やむような、苦痛と恐怖の中で抹殺してやる。
問題はそこに至る前の話。この殺し合いでどのようにして立ち回るか、だ。
正直、奴らの元にたどり着くには、この場の人間を皆殺しにするのが一番手っ取り早い。
だが、奴らの思惑通りに殺し合いに乗るのも癪に障る。
このジレンマをどうしたものか。そう悩んでいたその矢先、
「――おい、そこの」
不意に、背後から呼ぶ声があった。
どうやら何者かに近付かれたらしい。
爆砕牙の代わりに腰に差した剣へと手を添えながら、ゆっくりと首だけを傾ける。
果たしてそこにいたのは、小学生ほどの背丈の少年だった。
燃えるような赤髪を、後ろで三つ編にしたヘアスタイル。目付きの悪い青い瞳が特徴的。
どこかの組織の制服のような、茶色い服に身を包んでいる。
その少年が、不機嫌そうな視線でこちらを見上げていた。
どうやら何者かに近付かれたらしい。
爆砕牙の代わりに腰に差した剣へと手を添えながら、ゆっくりと首だけを傾ける。
果たしてそこにいたのは、小学生ほどの背丈の少年だった。
燃えるような赤髪を、後ろで三つ編にしたヘアスタイル。目付きの悪い青い瞳が特徴的。
どこかの組織の制服のような、茶色い服に身を包んでいる。
その少年が、不機嫌そうな視線でこちらを見上げていた。
「……ふん」
途端、興味をなくしたように、殺生姫は歩き出した。
すた、すた、すた、と。
野草を踏みしめ歩みを進める。徐々に離れていく2人の距離。
すた、すた、すた、と。
野草を踏みしめ歩みを進める。徐々に離れていく2人の距離。
「おい、ちょっと待てよっ!」
当然、不機嫌そうな怒鳴り声が返ってきた。
面倒くさげに、足を止めた殺生姫が振り返る。
眩い銀髪が夜風に踊り、一種幻想的な美しさを醸し出す。だがこの怒れる少年は、そんなことを気にする余裕もないらしい。
先ほど以上につり上がった眼光で、こちらを真正面から睨み付けていた。
面倒くさげに、足を止めた殺生姫が振り返る。
眩い銀髪が夜風に踊り、一種幻想的な美しさを醸し出す。だがこの怒れる少年は、そんなことを気にする余裕もないらしい。
先ほど以上につり上がった眼光で、こちらを真正面から睨み付けていた。
「てめぇ……いきなり人様をシカトしやがるとは、いい度胸してんじゃねーか」
「貴様のような小僧に用はない」
「んなっ!?」
「貴様のような小僧に用はない」
「んなっ!?」
一蹴。まさにその一言。
先ほど声をかけられた時には、どんな奴が間合いに入ってきたのかと思ったが、その結果はただの小生意気な餓鬼だ。
これでは拍子抜けするのも仕方がない。
正直、こんな奴などわざわざ相手にしていられない。それが率直な感想。
先ほど声をかけられた時には、どんな奴が間合いに入ってきたのかと思ったが、その結果はただの小生意気な餓鬼だ。
これでは拍子抜けするのも仕方がない。
正直、こんな奴などわざわざ相手にしていられない。それが率直な感想。
「こ、小僧じゃねえっ! こう見えてウン百年は生きてんだ! お前より何十倍も歳上なんだぞっ!」
どうだか。
そんな言葉が聞こえてくるような、興味なさげな表情。
真っ赤になって怒り狂う少年を、殺生姫の冷ややかな視線が見つめていた。
仮にこいつが妖怪のように、見た目以上の高齢だとしても、それくらいなら恐らく自分の方が歳上だ。
何より、こいつの精神年齢が餓鬼であることに変わりはない。
そんな言葉が聞こえてくるような、興味なさげな表情。
真っ赤になって怒り狂う少年を、殺生姫の冷ややかな視線が見つめていた。
仮にこいつが妖怪のように、見た目以上の高齢だとしても、それくらいなら恐らく自分の方が歳上だ。
何より、こいつの精神年齢が餓鬼であることに変わりはない。
「ま……まぁ、それはともかく、だ」
こほん、と咳払いをしながら威を正す少年。
本題に入るつもりらしく、それまでの落ち着きのない態度を切り換える。
そのまま両腕を胸の位置で組むと、再び憮然とした表情で彼女を見上げた。
本題に入るつもりらしく、それまでの落ち着きのない態度を切り換える。
そのまま両腕を胸の位置で組むと、再び憮然とした表情で彼女を見上げた。
「俺は時空管理局のヴィータ。この殺し合いには乗ってねぇ」
時空管理局というのは、組織や組合か何かだろうか。いずれにせよ、聞き覚えのない名称だ。
ともあれ、そんなことには興味はない。ヴィータと名乗った少年が話を進めるので、そのまま聞くだけ聞いておく。
ともあれ、そんなことには興味はない。ヴィータと名乗った少年が話を進めるので、そのまま聞くだけ聞いておく。
「このふざけた殺し合いから無事に脱出するために、参加者の保護と仲間探しをして回ってんだが……お前は殺し合いに乗ってんのか?」
「……私の狙いはあの二人組のみだ。他には興味がない」
「……私の狙いはあの二人組のみだ。他には興味がない」
問いかけに答える。
少なくとも、それだけは事実だ。
殺すことになろうが生かすことになろうが、他の連中の生死には別段興味が湧かない。
忌まわしき悪党・奈落や出来の悪い弟がいれば話は別だろうが、彼女らのいる気配も未だない。
殺すことになろうが生かすことになろうが、他の連中の生死には別段興味が湧かない。
忌まわしき悪党・奈落や出来の悪い弟がいれば話は別だろうが、彼女らのいる気配も未だない。
「なら話は早ぇ。俺と手を組まねぇか?」
どうやらこの少年は、それが狙いだったらしい。
相手が殺し合いに乗っているのなら捕まえる。
殺し合いに乗っていないのなら仲間にする。
大体そういった魂胆だろうか。
相手が殺し合いに乗っているのなら捕まえる。
殺し合いに乗っていないのなら仲間にする。
大体そういった魂胆だろうか。
「どの道主催者の二人組は、最終的にはひっ捕まえなきゃなんねーからな。利害は一致してるだろ?」
「……私の知ったことではない」
「……私の知ったことではない」
論外だ。
何故わざわざこいつと組まなければならない。
こんな戦力にもならなさそうな餓鬼などに、何故付き合わねばならない。
いいや、たとえ戦力になったとしても、他人と群れることなどもっての外だ。
再び踵を返すと、殺生姫はヴィータに背を向け歩き出す。
何故わざわざこいつと組まなければならない。
こんな戦力にもならなさそうな餓鬼などに、何故付き合わねばならない。
いいや、たとえ戦力になったとしても、他人と群れることなどもっての外だ。
再び踵を返すと、殺生姫はヴィータに背を向け歩き出す。
「おい、待てよ! ちくしょー……嫌だっつってもついてくからなっ!」
背後からあの怒鳴り声がついてきた。
どうやらあの餓鬼は、意地でも自分につきまとうつもりらしい。
全く、何故自分がこのような面倒な目にあわねばならないのか。
ふぅ、と小さくため息をついた。
どうやらあの餓鬼は、意地でも自分につきまとうつもりらしい。
全く、何故自分がこのような面倒な目にあわねばならないのか。
ふぅ、と小さくため息をついた。
戦国の世を駆け抜けた、最強の妖怪・殺生姫。
幾多の戦場を潜り抜けた、かつての闇の書の守護者・ヴィータ。
幾多の戦場を潜り抜けた、かつての闇の書の守護者・ヴィータ。
2人の出会いがここから先、一体何をもたらすのか。
今はまだ、誰一人として知る由もなかった。
今はまだ、誰一人として知る由もなかった。
……だって、原作の殺生丸が本当にロリコンだって証拠、未だに取れてないんだもん。
【一日目 深夜/H‐3】
【殺生姫(女体化殺生丸)@犬夜叉】
[状態]:健康
[装備]:小夜の刀(前期型)@BLOOD+
[持物]:基本支給品一式、不明支給品0~2
[方針/目的]
基本方針:主催者をなぶり殺しにする
1:あまり積極的に殺しに回るつもりはない
2:ヴィータは邪魔をしない限り無視
3:できれば爆砕牙が欲しい
※爆砕牙を入手した頃からの参戦です。左腕はついています。
[状態]:健康
[装備]:小夜の刀(前期型)@BLOOD+
[持物]:基本支給品一式、不明支給品0~2
[方針/目的]
基本方針:主催者をなぶり殺しにする
1:あまり積極的に殺しに回るつもりはない
2:ヴィータは邪魔をしない限り無視
3:できれば爆砕牙が欲しい
※爆砕牙を入手した頃からの参戦です。左腕はついています。
【ヴィータ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康
[装備]:
[持物]:基本支給品一式、不明支給品1~3
[方針/目的]
基本方針:この殺し合いから脱出し、主催者を逮捕する
1:主催を打倒するための仲間を探す
2:戦えない人間を保護して回る
[状態]:健康
[装備]:
[持物]:基本支給品一式、不明支給品1~3
[方針/目的]
基本方針:この殺し合いから脱出し、主催者を逮捕する
1:主催を打倒するための仲間を探す
2:戦えない人間を保護して回る