君が願うことなら ◆MUMEIngoJ6
「まいっちゃったなぁ……」
一人歩いていた少女――ルーナの呟きには、応じる声が返ってくることもない。
分かりきっていたことではあるが、その事実に僅かに凹むルーナであった。
分かりきっていたことではあるが、その事実に僅かに凹むルーナであった。
「一人、かあ」
ともに旅をした仲間たちがいない現状に、ムーンブルク国の王女である彼女は身体を硬くする。
人間を喰らう魔物とて、極寒の雪山とて、邪悪な神官とて、破壊神とて、三人でならば立ち向かえる。
しかしながら、この場に仲間はいない。
いや、もしかしたら殺し合いの舞台にはいるかもしれない。
でも、隣にいないのだ。
魔法は使えずとも岩石をも砕く膂力を誇る剣士も、魔法と剣の両方を操る金髪の剣士も。
一人きりの打倒巨悪。
志しは折れずとも、どうにも弱い考えばかりが浮かんでしまうのは止まらない。
だからこそ――
人間を喰らう魔物とて、極寒の雪山とて、邪悪な神官とて、破壊神とて、三人でならば立ち向かえる。
しかしながら、この場に仲間はいない。
いや、もしかしたら殺し合いの舞台にはいるかもしれない。
でも、隣にいないのだ。
魔法は使えずとも岩石をも砕く膂力を誇る剣士も、魔法と剣の両方を操る金髪の剣士も。
一人きりの打倒巨悪。
志しは折れずとも、どうにも弱い考えばかりが浮かんでしまうのは止まらない。
だからこそ――
「ん、んーーー!?」
――――歩いていた物陰に潜んでいた緑の異形に気付くとこができなかった。
◇ ◇ ◇
最初の不意打ちを直接受けてしまったのが、ルーナの最大の失敗であった。
下顎に走った衝撃に意識を手放し、そのまま左胸に爪を突き刺された。
緑の異形の鋭い爪は勢いよくルーナの心臓を貫き、絶命に至らしめたのである。
上半身に空いた風穴を除くと、他にはこれといった外傷のないルーナの亡骸。
安らかな表情でぴくりとも動かずに横たわっているそれを、見下ろす影があった。
下顎に走った衝撃に意識を手放し、そのまま左胸に爪を突き刺された。
緑の異形の鋭い爪は勢いよくルーナの心臓を貫き、絶命に至らしめたのである。
上半身に空いた風穴を除くと、他にはこれといった外傷のないルーナの亡骸。
安らかな表情でぴくりとも動かずに横たわっているそれを、見下ろす影があった。
腰付近にまで伸びた紫色の髪。
同じく紫色のつぶらな瞳。
同年代同姓の者たちと比べれば、殆ど平均と言える身長。
女性らしさを感じさせつつも、決して肉感的すぎない柔らかそうな身体。
同じく紫色のつぶらな瞳。
同年代同姓の者たちと比べれば、殆ど平均と言える身長。
女性らしさを感じさせつつも、決して肉感的すぎない柔らかそうな身体。
服装こそ違えど、そこには――――ルーナと全く同じ容姿の少女が立ち竦んでいた。
「『ルーナ』……『ムーンブルク』……『ロラン』……『ハーゴン』……」
断片的に単語を呟く彼女の正体は、ルーナを殺害した異形。
姿が変わりすぎていると思うだろう。Yes,Yes,Yes,その通り。
彼女――ひとまずこう呼称する――は、ルーナを殺害した頃には緑色の巨体を誇っていた。
だがその後に、ルーナに『擬態』したのである。
ワームと呼ばれる地球外生命体である彼女は、現在の科学では見極められないほど正確に他者に擬態できるのだ。
そして、真似るのは姿だけではない。
彼女が呟いている単語は、ルーナの記憶よりもたらされた情報である。
そう、ワームとは『記憶までも』コピーすることができるのである。
姿が変わりすぎていると思うだろう。Yes,Yes,Yes,その通り。
彼女――ひとまずこう呼称する――は、ルーナを殺害した頃には緑色の巨体を誇っていた。
だがその後に、ルーナに『擬態』したのである。
ワームと呼ばれる地球外生命体である彼女は、現在の科学では見極められないほど正確に他者に擬態できるのだ。
そして、真似るのは姿だけではない。
彼女が呟いている単語は、ルーナの記憶よりもたらされた情報である。
そう、ワームとは『記憶までも』コピーすることができるのである。
「ふう……」
襲い来る記憶の奔流が収まったのか、彼女は呼吸を整える。
浮かべているおだやかそうな表情を見れば、ルーナと旅した二人の王子とて偽者などとは考えもしないだろう。
浮かべているおだやかそうな表情を見れば、ルーナと旅した二人の王子とて偽者などとは考えもしないだろう。
「世界を破壊しようとする相手に反逆、か」
適度に潤んだ魅力的な唇から零れた声もまた、ルーナのものと同一。
「なかなか面白い……」
その言葉は、偽ルーナの心からの本音である。
もたらされた記憶は、それほどまでに刺激的な物だった。
民の期待を背負い、仲間たちとともに強大な敵立ち向かう。
苦悩や挫折がありながらも、同行者と励ましあって掴み取った勝利。
己の意思で動きながらも、語り合える仲間たちとともに行動したからこその喜び。
上に立つウカワームに従うだけの毎日を送る偽ルーナでは、仮に目的を達成しようと味わえぬ甘美。
だからこそ、偽ルーナは強く思うのだ。
もたらされた記憶は、それほどまでに刺激的な物だった。
民の期待を背負い、仲間たちとともに強大な敵立ち向かう。
苦悩や挫折がありながらも、同行者と励ましあって掴み取った勝利。
己の意思で動きながらも、語り合える仲間たちとともに行動したからこその喜び。
上に立つウカワームに従うだけの毎日を送る偽ルーナでは、仮に目的を達成しようと味わえぬ甘美。
だからこそ、偽ルーナは強く思うのだ。
――――自分もあれを味わいたい、と。
元より、この場に何をするかも決めかねていた。
『次元』の異なる場所で幾ら人を殺そうとも、地球におけるワームの繁栄には何ら関係がない。
もしかしたら何かしら意味があるかもしれないが、下級ワームにすぎない彼女にはウカワームが隠している真なる目的も教えられていない。
人同士の殺し合いに呼び出されたのは、恐らく擬態能力による疑心暗鬼を期待してのことだろう。
先刻まではそれに従ってもよかった。
しかしルーナの記憶を見た以上、従うワケにはいかない。
他者の記憶ではなく、自らの感覚であの甘美を味わいたい。
となれば、偽ルーナの当面の目的は決まった。
『次元』の異なる場所で幾ら人を殺そうとも、地球におけるワームの繁栄には何ら関係がない。
もしかしたら何かしら意味があるかもしれないが、下級ワームにすぎない彼女にはウカワームが隠している真なる目的も教えられていない。
人同士の殺し合いに呼び出されたのは、恐らく擬態能力による疑心暗鬼を期待してのことだろう。
先刻まではそれに従ってもよかった。
しかしルーナの記憶を見た以上、従うワケにはいかない。
他者の記憶ではなく、自らの感覚であの甘美を味わいたい。
となれば、偽ルーナの当面の目的は決まった。
「まずは、一緒に行動してくれる人を探さないとね♪」
支給された白色のローブを身に纏い、満面の笑みを浮かべる。
ついにはその口調までもが、ルーナのそれと同じ物となっていた。
ついにはその口調までもが、ルーナのそれと同じ物となっていた。
【ルーナ(ムーンブルクの王女)@ドラゴンクエストⅡ 死亡確認】
【一日目・日中/E-4 山】
【ワーム@仮面ライダーカブト】
[状態]:健康、サナギ体、ルーナの容姿に擬態中
[装備]:白のローブ@FF3
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×1~5
[思考]
基本:仲間を集めてノアを打倒
1:仲間を探す
[備考]
※ルーナ(ムーンブルクの王女)の記憶を手に入れました。
※魔法が使えるかとかその辺は、次に任せます。
[状態]:健康、サナギ体、ルーナの容姿に擬態中
[装備]:白のローブ@FF3
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×1~5
[思考]
基本:仲間を集めてノアを打倒
1:仲間を探す
[備考]
※ルーナ(ムーンブルクの王女)の記憶を手に入れました。
※魔法が使えるかとかその辺は、次に任せます。
【参加可能者 残り6人+α】
024:バカと天才は紙一重 | 投下順 | 026:GO!GO!GO! |
024:バカと天才は紙一重 | 時系列順 | 026:GO!GO!GO! |
初登場! | ワーム | 044:Tarot No.XX |