禁じられた言葉 ◆NIKUcB1AGw
ドラクエV&グルグル2のコンビとパワプロ94との戦いは、膠着状態に陥っていた。
しかし膠着はしていても、戦いの流れは互角というわけではなかった。
しかし膠着はしていても、戦いの流れは互角というわけではなかった。
「ふん……!」
「バギクロス!」
「バギクロス!」
持ち前のトルネード投法で竜巻を起こし、ドラクエVに向かって飛ばすパワプロ94。
ドラクエVはそれを、バギクロスで相殺する。
そしてパワプロ94が体勢を立て直す前に、一気に接近。
ドラクエVはそれを、バギクロスで相殺する。
そしてパワプロ94が体勢を立て直す前に、一気に接近。
「はあっ!」
パパスの剣で、袈裟懸けに一閃。
並の相手ならば、勝負が決まる一撃だ。しかし……。
並の相手ならば、勝負が決まる一撃だ。しかし……。
「野茂だから大丈夫」
「またそれかぁぁぁぁ!!」
「またそれかぁぁぁぁ!!」
そう、膠着状態に陥っている原因はこれである。
純粋な戦闘力で見るならば、あくまでスポーツゲームであるパワプロ94はドラクエVたちに及ばない。
だが彼らがどんな攻撃を放っても、パワプロ94は「野茂だから大丈夫」の一言で無効化してしまうのである。
そのため戦況は膠着していても、心身の消耗はドラクエVたちの方がはるかに大きかった。
純粋な戦闘力で見るならば、あくまでスポーツゲームであるパワプロ94はドラクエVたちに及ばない。
だが彼らがどんな攻撃を放っても、パワプロ94は「野茂だから大丈夫」の一言で無効化してしまうのである。
そのため戦況は膠着していても、心身の消耗はドラクエVたちの方がはるかに大きかった。
「何だ、このインチキ能力! こんなやつ、どうやれば倒せるって言うんだよ!」
思わず頭を抱えるドラクエV。そんな彼に、グルグル2が一歩歩み寄る。
「次は私がやるわ。あなたはいったん下がって」
「しかし、君のグルグルもやつには……」
「こうなったら、出し惜しみしてる場合じゃない。とっておきを使うわ!」
「しかし、君のグルグルもやつには……」
「こうなったら、出し惜しみしてる場合じゃない。とっておきを使うわ!」
闘志に満ちた表情で、グルグル2は杖を構える。
そして、地面に魔法陣を描いた。
そして、地面に魔法陣を描いた。
「ベームベーム召喚!」
グルグル2の宣言と同時に、魔法陣が光り輝く。
続いて地鳴りが響き、グルグル2の足下から巨大な何かがせり上がってくる。
続いて地鳴りが響き、グルグル2の足下から巨大な何かがせり上がってくる。
「これは……!」
パワプロ94は、思わず感嘆の声を漏らしていた。
彼の目の前に出現したものは、あまりに巨大であった。
地面から伸びる柱に半円状のパーツが乗った、生物とも無機物とも判断しがたい物体。
その側面には、無数の目が存在する。
その異形の名は、魔神ベームベーム。
原作においてククリの切り札として使用されていた、強大な力を持つ存在だ。
彼の目の前に出現したものは、あまりに巨大であった。
地面から伸びる柱に半円状のパーツが乗った、生物とも無機物とも判断しがたい物体。
その側面には、無数の目が存在する。
その異形の名は、魔神ベームベーム。
原作においてククリの切り札として使用されていた、強大な力を持つ存在だ。
そして、ベームベームの攻撃が始まる。
各所の目から、大地に向かって光線が放たれる。
その攻撃は個人を狙ったものではなく、周囲の全てを焼き払うような規模のものだった。
数分の間攻撃は続き、やがて爆撃を終えたベームベームは地中へと帰っていく。
その時には周囲に森の面影はなく、ただ焦土が広がっていた。
各所の目から、大地に向かって光線が放たれる。
その攻撃は個人を狙ったものではなく、周囲の全てを焼き払うような規模のものだった。
数分の間攻撃は続き、やがて爆撃を終えたベームベームは地中へと帰っていく。
その時には周囲に森の面影はなく、ただ焦土が広がっていた。
「ここまでやればさすがに……」
ドラクエVと共にベームベームの上から地上に降り立ったグルグル2は、そう呟く。
しかし……。
しかし……。
「野茂だから大丈夫」
「嘘ぉぉぉぉ!?」
「嘘ぉぉぉぉ!?」
パワプロ94は、全くの無傷でそこに立っていた。
「もうやだ……。勝てないよ、こんなの……」
「ちょっ、しっかりしなさいよ!」
「ちょっ、しっかりしなさいよ!」
もはや心が折れたのか、ドラクエVはその場に膝をつく。
グルグル2の叱咤の声も、もはや聞こえていないようだ。
そんな彼に、パワプロ94の竜巻が襲いかかる。
グルグル2の叱咤の声も、もはや聞こえていないようだ。
そんな彼に、パワプロ94の竜巻が襲いかかる。
「のおっ!」
受け身も取れず、吹き飛ばされたドラクエVは頭から地面に落下する。
グルグル2の悲鳴をわずかに聞き取りながら、ドラクエVは意識を手放した。
グルグル2の悲鳴をわずかに聞き取りながら、ドラクエVは意識を手放した。
◇ ◇ ◇
「ドラクエV……ドラクエV……。私の声が聞こえますか……」
(なんだ……このドラクエIIIのOPみたいな声は……)
暗闇の中で、ドラクエVは誰かの声を聞いた。
やがて、闇の中から一つの影が浮かび上がってくる。
それは、青みを帯びた髪を逆立てた青年だった。
ドラクエVは、その人物に心当たりがあった。
やがて、闇の中から一つの影が浮かび上がってくる。
それは、青みを帯びた髪を逆立てた青年だった。
ドラクエVは、その人物に心当たりがあった。
「この外見は、ドラクエVIの主人公……。じゃあ君は、ドラクエVIなのか?」
「ああ、そうだ」
「しかし君は、すでに死んだはずじゃ……」
「ここは夢の中だからな。死人が出てきたとしても問題はない」
「そういうものなのか」
「そういうものなんだ」
「ああ、そうだ」
「しかし君は、すでに死んだはずじゃ……」
「ここは夢の中だからな。死人が出てきたとしても問題はない」
「そういうものなのか」
「そういうものなんだ」
そういうことになった。
「で、なんで君はわざわざ僕の夢に出てきたんだ?」
「そりゃもちろん、お前を助けるためだ。別にお前の目的に賛同したわけじゃないが、血を分けた同族として少しは助けてやろうと思ってな」
「その気持ちはありがたいけど、具体的にどうしようっていうんだ?
やつの能力は反則的だ。それをどうにかする方法なんて……」
「何を言っている。反則技ならお前にもあるだろう」
「え?」
「そりゃもちろん、お前を助けるためだ。別にお前の目的に賛同したわけじゃないが、血を分けた同族として少しは助けてやろうと思ってな」
「その気持ちはありがたいけど、具体的にどうしようっていうんだ?
やつの能力は反則的だ。それをどうにかする方法なんて……」
「何を言っている。反則技ならお前にもあるだろう」
「え?」
ドラクエVIの言葉に、ドラクエVは首をかしげる。
「お前はPS2版でも、DS版でもない。SFC版のお前だからこそ使える切り札があるだろう」
「切り札……。そう言われれば、何かあったような……」
「切り札……。そう言われれば、何かあったような……」
ドラクエVの頭が、ズキリと痛む。封じられていたものが、強引に彼の脳内へ踏み出そうとしていた。
「言葉を口にすれば、その恩恵はお前に宿る。唱えろ、それを。
お前がやつに勝つには、それしかない」
お前がやつに勝つには、それしかない」
ドラクエVIのその言葉を最後に、ドラクエVの意識は再びブラックアウトしていった。
◇ ◇ ◇
「はっ!」
意識が戻った時、ドラクエVは現実世界に帰還していた。
目の前には、まったくもって不得手な肉弾戦でどうにかパワプロ94を押しとどめているグルグル2の姿がある。
目の前には、まったくもって不得手な肉弾戦でどうにかパワプロ94を押しとどめているグルグル2の姿がある。
「ああもう、やっと起きたわけ? 私はこれ以上無理だから、さっさと代わりなさい!」
「ああ、わかった。後は僕に任せてくれ」
「ああ、わかった。後は僕に任せてくれ」
素早く立ち上がったドラクエVは、グルグル2と入れ替わりでパワプロ94の前に立つ。
「何度立ち上がっても同じことだ。お前が俺を倒すことはあり得ない。
なぜなら、俺は野茂だからだ」
「それはどうかな。あまり自分の力を過信すると、足を掬われることになるよ」
なぜなら、俺は野茂だからだ」
「それはどうかな。あまり自分の力を過信すると、足を掬われることになるよ」
ドラクエVの自信がにじむ態度に、パワプロ94は違和感を抱く。
状況は先ほどまでと、ほとんど変わっていない。
自分の有利は、揺らいでいないはずだ。
なのについ数分前まで絶望に喘いでいた男の姿は、もうどこにもない。
状況は先ほどまでと、ほとんど変わっていない。
自分の有利は、揺らいでいないはずだ。
なのについ数分前まで絶望に喘いでいた男の姿は、もうどこにもない。
(一度気絶したことで、何か秘策でもひらめいたか……?)
警戒を強めるパワプロ94。だが、それでも彼は退いたりはしない。
なぜなら、彼は野茂なのだから。
なぜなら、彼は野茂なのだから。
(相手がいかなる策を持っていようと、俺は真っ向から勝負するのみ!)
トルネード投法で竜巻を飛ばすパワプロ94。
それを回避するドラクエV。
そのままパワプロ94に向かって突進しつつ、彼は呟いた。
それを回避するドラクエV。
そのままパワプロ94に向かって突進しつつ、彼は呟いた。
「ひとしこのみ」
直後、パパスの剣が振るわれる。
その刃は、パワプロ94の体を上下に両断した。
その刃は、パワプロ94の体を上下に両断した。
「な……に……?」
おのれの身に起こったことを理解できぬまま、パワプロ94は地に伏した。
「ひとしこのみ」。
それはドラクエVの発売から10年以上経って、データ解析によって初めて存在が明らかになった裏技である。
その内容は主人公に特定の順番でアイテムを持たせておくことにより仲間モンスターを100%仲間にでき、さらに全ての攻撃が会心の一撃になるというものだ。
普通のプレイでは絶対に発見できない条件とその効果から、スタッフがデバッグ用に作ったのがそのまま残されていたという説が有力である。
それはドラクエVの発売から10年以上経って、データ解析によって初めて存在が明らかになった裏技である。
その内容は主人公に特定の順番でアイテムを持たせておくことにより仲間モンスターを100%仲間にでき、さらに全ての攻撃が会心の一撃になるというものだ。
普通のプレイでは絶対に発見できない条件とその効果から、スタッフがデバッグ用に作ったのがそのまま残されていたという説が有力である。
このバトルロワイアルにおいてその言霊はドラクエVに会心の一撃を確実に出せる力を与え、野茂の無敵性を打ち破ったのだ。
「すごいじゃない、あの不死身魔神を倒すなんて! どんな魔法を使ったのよ!」
喜び勇んでドラクエVに駆け寄るグルグル2であったが、その顔からはたちまち血の気が失せる。
彼女の見たドラクエVの顔は病的に青ざめ、口から血が一筋流れ落ちていたのだ。
彼女の見たドラクエVの顔は病的に青ざめ、口から血が一筋流れ落ちていたのだ。
「あなた、それはいったい……」
「強力な力は、それだけの反動を伴うってことだろうね……。気軽に使えるものではなさそうだ」
「強力な力は、それだけの反動を伴うってことだろうね……。気軽に使えるものではなさそうだ」
かろうじて声を絞り出すドラクエVであったが、その声色はあまりに弱々しかった。
「……少し休んだ方が良さそうね」
「そうしたいところだけど、こんな荒れ地のど真ん中じゃ目立ってしょうがない。
せめて身を隠さないと」
「わかった、肩を貸すわ」
「そうしたいところだけど、こんな荒れ地のど真ん中じゃ目立ってしょうがない。
せめて身を隠さないと」
「わかった、肩を貸すわ」
ドラクエVの腕を取り、共に歩き出すグルグル2。
その時、ふと彼女の視界に亡骸となったパワプロ94の姿が映った。
その時、ふと彼女の視界に亡骸となったパワプロ94の姿が映った。
「どうかしたのかい?」
「ちょっと気になってね。あいつ、どう見ても野球ゲームなのにバットもボールも戦いに使わなかった。
どうしてかしら」
「さあ……。僕にもわからないな」
「ちょっと気になってね。あいつ、どう見ても野球ゲームなのにバットもボールも戦いに使わなかった。
どうしてかしら」
「さあ……。僕にもわからないな」
口ではそう言いつつも、ドラクエVにはなんとなく見当がついていた。
(彼は心の底から、野球選手だったんだ。だから神聖な野球道具を、戦いの道具に使わなかったんだろう。
敵ながら尊敬できる男だった……)
敵ながら尊敬できる男だった……)
ドラクエVは、心の中でひっそりと好敵手の冥福を祈った。
【F-5 荒れ地】
【ドラゴンクエストⅤ】
【状態】前歯が折れて出血、MP消費(大)、疲労(大)、ダメージ(中)
【装備】パパスの剣@ドラクエⅤ
【道具】デーモンスピア@ドラクエⅤ、支給品一式
【思考】
1:魔法陣グルグル2を優勝させる
2:身を隠して体力を回復する
※外見はDQ5主人公です
【状態】前歯が折れて出血、MP消費(大)、疲労(大)、ダメージ(中)
【装備】パパスの剣@ドラクエⅤ
【道具】デーモンスピア@ドラクエⅤ、支給品一式
【思考】
1:魔法陣グルグル2を優勝させる
2:身を隠して体力を回復する
※外見はDQ5主人公です
【魔法陣グルグル2】
【状態】身体的には健康、半裸の上に濡れたバスタオルを巻いている、MP消費(大)
【装備】まほうじんのつえ@魔法陣グルグル2
【道具】支給品一式
【思考】
1:念願のタッチペン操作のグルグルの為に優勝する
2:パワプロ94を倒す
3:服を取り戻す
※外見はククリです
※意識がもうろうとしていましたが、いちおう第1回放送は聞いています
【状態】身体的には健康、半裸の上に濡れたバスタオルを巻いている、MP消費(大)
【装備】まほうじんのつえ@魔法陣グルグル2
【道具】支給品一式
【思考】
1:念願のタッチペン操作のグルグルの為に優勝する
2:パワプロ94を倒す
3:服を取り戻す
※外見はククリです
※意識がもうろうとしていましたが、いちおう第1回放送は聞いています
【実況パワフルプロ野球'94 死亡】
※F-5がベームベームに焼き払われ、荒れ地となりました。
また巨大なベームベームの姿は、他のエリアからも目撃された可能性が高いです。
また巨大なベームベームの姿は、他のエリアからも目撃された可能性が高いです。