それはArcaeaのStoryのACT.Iで起きた。
「Testify」の演奏終了後、彼女は考えた。
再びこの剣を大地に突き立てれば、
周囲の硝壁は砕け散る。と。
グサッ。(無音)
右頬に触れた感覚。彼女の肢体。彼女は剣を上に......
彼女は無意識とは言え硝子の剣を対立に刺した。
対立の命が削れるような絶叫。答えるように壊れていく命。震える叫び。
これが、おわり。そうして、音が止んだ。ひとつの命と一緒に。
その刃は対立の生命を奪った。対立の身体が重力に囚われ落ちる。
残ったのは静寂だけだ。
硝子の剣が砕けて消える。その指にはいつまでもあのぬくもりがあった。
赤い、ぬめったぬくもり。
対立は亡くなった。対立を、彼女は殺したのだ。
彼女は対立だったものの顔に寄せていた。生き返る事を待つかのように。
強く強く、手を握る。だがそれは亡くなった対立の手だ。
彼女は苛立ち、亡くなったその手を投げるように放り出す。
ぬくもりを感じる。だがそれは彼女の腕に零れた涙であった。泣いている。
彼女は泣きじゃぐった。その表情は歪み、唇は震えている。嗚咽する。
脳裏で反響する彼女が吐いた言葉たち。それは冷笑のような罰だ。
「こんなことをする意味なんてないよ......」
現実の全て、実感の全て、もはや全てが無視できない。
――良いじゃないか、ずっと失意に沈んでいれば......
対立は亡くなった。亡くなった。
あいつは亡くなった。終わったの。
そう、彼女。彼女が殺したのだ。
でもあの人の苦しみ、痛みに気づいてたでしょ?
あの辛さは一度分かろうとしてたのか?
「もうどうしたらいいのかわからない」?分からない。
だって、亡くなったんだもん。
また立ち直ってやりなおして、それで元通りに出来ると思った?
こんな不始末をもうArcaeaの世界に刻んでしまったのに?
...なんで勝ったのに喜ばない?対立を潰して消化したのに。
今生きてるだろ?なぜ生きている自分が嫌なんだ?
あの人こそ亡くなるべきなのに。今逃げた?逃げたでしょ。
正当化しただろ。亡くなりたかった人だからってね。
自分が良い子だって言い訳が見つかって良かった......
ねぇ、今どんな気持ち?
だっていつまでもそのまんま。今だってずーっとそう。
自分さえよければいい。お前の心は紙だ。
ただひらひらと引かれて落ちていくばかりである。
彼女から彼女へ。断罪は止まらない。
卑しい彼女、利己的彼女、独善的彼女。それでも引っかかって、自分に囁く。
「今までだって、ずっとそうだったのに?」
触れて、纏わせて、美しさを眺めているだけ。それだけではいけなかったのか?
そうだ。それに知っていたはずだ。真に人間が変わることなど出来やしない。
それも分かっていた。
それでも、幕は引かれない。終わりなど決して訪れない。
ずっとずっと、彼女が求める意味なんてない。
亡くなった世界に、亡きじゃぐる彼女がいる。それだけ。
それでも慰め一つ、否定しようのない事実が一つ。
全てを奪いかけた対立を生贄に、彼女がかの血で深く刻みつけられた事実が一つ。
「こうして楽園は守られた」
確かにArcaeaの光は
無意識とは言え人を殺害していた
補足トリビア① |
その後光はもう一度動き出して『絶え間ない光』で対立は復活した 光と対立は崩れかけた世界を一緒に旅することになる |
補足トリビア② |
Arcaeaを受け入れてしまうとどうしようもなくなる 一言言うなら絶対的な「バッドエンド」 |