「さして面白い事も起こりませんねぇ」
後ろから見ているだけのアンナが気楽に言う。
実際に大したことは起こっていないが、決して平坦な道と言う訳ではない。
むしろ、ブーツのままで涼しい顔をして歩き回っている彼女の方が異常なのだろう。
よほど取材馴れしているのだろうか――
「おや?」
そのアンナが、ふと足を止める。
彼女の見ている方を向くと、そこには人影があった。
「臭いますね…… 怪しい匂いがしますよ」
事実、周囲には異様な雰囲気が立ち込めていた。
まるで、この場全体の“空気”が自分たちを“歓迎”しているかのような――
「――あら、ごきげんよう。 思ってたより遅かったですね」
その“空気”が、ぴたりと固まる。
そんな錯覚に陥るような、透き通った声が響いた。
「私は“オータム・スカイ”。 お待ちしていましたよ、サバイバーさん?」
腕にバスケットをさげたワンピースの少女が、こちらに歩み寄ってくる。
少女の見た目でありながら異質な空気を放つそれは、あなたとアンナが探していた存在に他ならなかった。
最終更新:2013年08月18日 10:42