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第9話 夢見た少女
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ストーリー
| ――こうして、光り輝く龍は 人々の祈りを聞き届け 悪を裁き、世を平定へと導きました | |
| ??? | |
| 幾度となく聞いた 救いの手たる龍が現れ、世を正す 我が一族に伝わるお話 | |
| 時には力を授け、導き 悪をくじく力の象徴 | |
| ねぇ、お母様 なぜこの世界にはドラゴンがいないの? | |
| 幼いリュミエ | |
| かつては存在していたのよ | |
| リュミエの母 | |
| 遥か昔……この地が汚染に まみれるよりも遥か以前 | |
| リュミエの母 | |
| 我らが住まうべき土地を守るため その身を犠牲にしたの | |
| リュミエの母 | |
| 大地は、闇に汚染されて しまったけれど……それでも 龍の守った生命達は生き延びた | |
| リュミエの母 | |
| 龍の意思を継ぎ、生命を守る それが我らの務めなの | |
| リュミエの母 | |
| ――母の語る龍は 雄大で、何者にも屈せず 正義を示す象徴だった | |
| そんなものが居れば、 きっとこの世界の苦しみを 終わらせてくれると、幼い私は信じた |
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伝承によれば ドラゴンはかつて存在していたはず |
| リュミエ | |
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地上は汚染されていますし ドラゴンにまつわる何かがあったとしても それは既に別物となり果てているでしょう |
| リュミエ | |
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……本当に存在していたのなら 魂や力の残滓は、長い歳月を経ても 残っている可能性はある |
| リュミエ | |
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いえ、ドラゴンほど 強力な存在の力ならば残ってるはず! |
| リュミエ | |
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それを核とし、器に込めれば ――この世に龍が蘇る! |
| リュミエ | |
| 本棚から分厚い本を取り出す 他の本がつられて床にドサドサと 音を立てて落ちるが、気にしない | |
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私が探求すべきは 「器に定着させる方法」 |
| リュミエ | |
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器を作れる者は他の文明にもいる しかし、器に最適な形で定着させられるのは 精神と法を司る光文明の道 |
| リュミエ | |
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鉱石に神を宿す―― これは我ら光文明にしかできぬ秘術 |
| リュミエ | |
| 幼い自分には、まだゴーレムを作り 意のままに操るなどできないが これが自分のやるべきことだと確信した | |
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魂に見合わぬ器であれば 当然器は壊れてしまう |
| リュミエ | |
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器に見合わぬ魂であれば 動くこともままならないでしょう |
| リュミエ | |
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とはいえ、ドラゴンはこの世には 既に存在しない |
| リュミエ | |
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器足り得るものがない以上は 術者の技量で定着させるしかない そのためには、理解を深めないと |
| リュミエ | |
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……ドラゴンの魂は 一体どんなものなんだろう |
| リュミエ | |
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まずは、魂と器の関係性を もっと学ばなければ話になりませんね |
| リュミエ | |
| リュミエはベッドに転がる 小さな人形を机の上に置く | |
| 小さくて丸い、騎士のような人形 それを前に、精神を集中させる | |
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私の手で作った人形 まずこれに自らの魔力を 定着させることから始めましょう |
| リュミエ | |
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人形から始めて、徐々に大きくしていき 最終的にはドラゴンの器に魂を 定着できるまで、探求を進めます |
| リュミエ | |
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ドラゴンの魂がどんなものであれ 例えこの世界に存在しなくったって 必ず定着させる方法を見つけます |
| リュミエ | |
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これが、私にとって 世界を救う第一歩です―― |
| リュミエ |
| ――――――…… | |
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――……ん、んん |
| リュミエ | |
| リュミエは頭に響く鈍痛で目が覚める |
| リュミエの目の前では 光を溜めた鉱石が 淡く脈打つように輝いている | |
| 神聖さを感じさせるそこは リュミエが何度も来たことのある 光文明の神殿だった | |
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確か、インテリエイルの拠点で…… クリーチャーに襲われて……っ |
| リュミエ | |
| リュミエが身を起こそうとすると 身体がふらりと揺れる 身体はまだ、突進の余韻で震えていた | |
| 辺りを見回すために体に力を込める 最初に目に映ったのは 巨大な騎士の姿 | |
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貴方が……助けてくれたんですね |
| リュミエ | |
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…………………… |
| ??? | |
| 巨大な騎士は微動だにせず 返答も返さない | |
| 周りをよく見回すと 自分以外にも倒れている生徒の姿がある | |
| 皆、意識がない リュミエの見知った顔 ラビリンスの面々だった | |
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何故、この子達がここに…… |
| リュミエ | |
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――目覚めたか 光の御子 |
| ??? | |
| (オヴ・シディア……!) | |
| リュミエ | |
| 光文明の王 隻眼で全てを見通すといわれる存在が リュミエの背後にあった | |
| 隻眼の瞳ははっきりとリュミエを捉えており 王の威圧に喉が鳴る | |
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(なぜ、ここに連れてこられたのか なぜ、ラビリンスの仲間達が ここに倒れているのか……) |
| リュミエ | |
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(あのドラゴンの顕現に 私の研究は利用されたのか……) |
| リュミエ | |
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(疑問は尽きませんが 相手は全てを見通すとされる隻眼の王) |
| リュミエ | |
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(的確な質問をしなければ 会話すら成り立ちません) |
| リュミエ | |
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(私が今、聞くべきことは――) |
| リュミエ | |
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聞かせてください あの光の龍の出現はどういうことですか |
| リュミエ | |
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この地の統制はラビリンスに 任されていたはずです なぜ、このような暴挙に出るのですか |
| リュミエ | |
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いくらインテリエイルが暴走している からといって……いえ、だからこそ 正しい道を示すのが我らの役目 |
| リュミエ | |
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力での統治……恐怖での統治は 正義だとは思えません |
| リュミエ | |
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――裁きが必要となったのだ |
| オヴ・シディア | |
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和平は崩され、盟約は断たれた 策謀の手が――光にも伸びている |
| オヴ・シディア | |
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我らの元に、真の光が現れた ――世界を裁く時が来た |
| オヴ・シディア | |
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――あの龍を頂点とし、光が全てを律する 光の人の子らと共に―― |
| オヴ・シディア | |
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何を……光文明だけで、どうするのです! |
| リュミエ | |
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クリーチャー達は闇文明の呪いにより 地上での活動は命に関わるんです! だから私達は他の文明と共に―― |
| リュミエ | |
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ゆえの煌龍――サッヴァークである |
| オヴ・シディア | |
| 王が名を告げるだけで、神殿の空気が変わる あの龍が放つ光が、ここにも 差し込んだかのように | |
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あの龍の力は、光の子らを守る |
| オヴ・シディア | |
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――他の命を、代価として |
| オヴ・シディア | |
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…………え? |
| リュミエ | |
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一体、何を…… |
| リュミエ | |
| リュミエの視界の端に 倒れたラビリンスの仲間が目に入る | |
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まさか……光文明を除いて このホウエイル中の生命を 身代わりにすると言うんですか……!? |
| リュミエ | |
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――光の御子よ |
| オヴ・シディア | |
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龍の力なき世を嘆き 禁忌すら踏み越えて救済を乞う貴様なら―― |
| オヴ・シディア | |
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救いは、代価なしには得られぬと 知っていよう |
| オヴ・シディア | |
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(必要な痛み? 他の生命を 犠牲にすることが?) |
| リュミエ | |
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(これが、光文明の意思……?) |
| リュミエ | |
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(私の信じる……正義は…………) |
| リュミエ |
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こんなものを 私の正義と一緒にしないでください |
| リュミエ | |
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私の目指した正義は……力は こんな形じゃない! |
| リュミエ | |
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誰かの犠牲の上に成り立つ正義なんて 私はいらない! |
| リュミエ | |
| リュミエは神殿の外へと向かい、走る それを、巨大な影が遮る | |
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…………………… |
| ??? | |
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邪魔する気ですか |
| リュミエ | |
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――ここから出ることは許さぬ |
| オヴ・シディア | |
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まもなく裁きが訪れる―― 光の御子は座して待つべし―― |
| オヴ・シディア | |
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待ちません |
| リュミエ | |
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私は、私の正義をもって 貴方の正義を否定する! |
| リュミエ | |
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では正義を示してみせよ、光の子よ |
| オヴ・シディア | |
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救世の道を開くならば、力を示せ |
| オヴ・シディア | |
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…………………… |
| ??? | |
| 巨体が軋み、石床が低く唸る | |
| 巨大な騎士は大剣を静かに持ち上げ ゆっくりと立ち上がった | |
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マルハヴァン、居るんでしょう 付き合う必要はありませんよ |
| リュミエ | |
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これは――私の正義の問題です |
| リュミエ | |
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俺はお前の正義に従うと決めた |
| マルハヴァン | |
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お前の正義を阻む者がいるなら、 打ち倒すまでだ |
| マルハヴァン | |
| 一瞬だけ、リュミエの顔から硬さが抜ける しかし、すぐに決意に上書きされる | |
| 決意は表情を上書きし リュミエは目の前の巨体の騎士へ 杖を向ける | |
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(誰かを盾にしなければ 得られない救いなど――) |
| リュミエ | |
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(私は、認めない!) |
| リュミエ | |
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やりますよ、マルハヴァン |
| リュミエ | |
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光文明に、私の正義を示します! |
| リュミエ |
勝利時
| 幾度となく母から聞かされた龍の力 | |
| 龍の力さえあれば この世界は救われると思っていた | |
| 無知だった私は、世界を救いたいと願い ドラゴンを再誕させるための研究に 明け暮れた | |
| ドラゴンの魂の組成を逆算し この世界に欠けたものこそがドラゴンを 再誕させるきっかけになると信じた | |
| 無知な私は 純粋に、無邪気に……そう、願っていた |
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(その龍がもたらすものは 私の夢見た救いではなかった) |
| リュミエ | |
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(もう、夢見る少女ではいられない) |
| リュミエ | |
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(私の根本的な願いは――正義は 何一つ変わっていない) |
| リュミエ | |
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(自らが龍のように強くなり、 皆を安心させる存在となればいい) |
| リュミエ | |
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(そして示すんだ) |
| リュミエ | |
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私が、みんなを見守る光になると――! |
| リュミエ |
敗北時
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(硬い……! 攻撃が通らない!) |
| マルハヴァン | |
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(鈍重なだけではない 俺が狙う鎧の隙間を 最小限の動きで防いでいる) |
| マルハヴァン | |
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(俺の動きが奴には見えている!) |
| マルハヴァン | |
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マルハヴァン! |
| リュミエ | |
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構うな! |
| マルハヴァン | |
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お前の正義を示し続けろ……! |
| マルハヴァン |
















