赤い絨毯のように

「早く止まないかなぁ」
アリーナは大木の下でアニーと共に雨宿りしながら降り続く雨粒を眺めている
やはり途中の街に立ち寄った方が良かったのか
しかし砂漠の出口にあったアルブルクとかいう街からは火の手が上がっていたし
ベクタもなんとなく嫌な感じがするとアニーが言ったので結局ベクタの南にある森の中で
2人は雨宿りをしていた。

夜が明けるまでまだ多少時間があるが、そんなに長い時間でもない
扉の事も考えるとやはりどこか街の中に移動しておいた方がいいのかもしれない
そう考えながら再び闇の中、目を凝らすとそこに2つの人影が近づいて来た。

「ねぇ、ラムザ?いないね・・・アルス
「で・・・でも確かにこっちに行ったんだよ」
「君、嘘ついていないよね?信じていいよね?裏切らないよね?」
ソロは涙ぐんでラムザの手を握り何度も確認する。
そのたびにラムザはソロに向かって頷かなければならなかった
正直泣きたい気分で一杯だった・・・・いやこの頬に伝う液体は雨粒では無く
実は涙なのかもしれない・・・・・

しかしそろそろ限界だった・・・ごまかしきれるのもあとわずかだろう
そうなる前に誰でもいいから通りがかってくれないだろうか?
祈るような気分で歩くラムザだったが、ふと目にした森の中に人影を見つける
「ソロさん、あれ、もしかして」
「油断しちゃ駄目だ!この島はデスピサロの手先だらけだ」

2人は身を低くして、そっと様子をうかがう
だが向こうの方はすでに気がついていたようだ、やはり警戒しながらもこちらに近づいてくる
どうやら女の子のようだ・・・・とソロに言おうとした瞬間
もうすでにソロは女の子に向かって手を振りながら走り寄っていた。

アリーナはアニーを残して、人影の方へと近づく、と相手はこちらに気がついたようだ
駆け足で近づいてくる、その姿は見覚えがある、いや見覚えどころじゃない
アリーナもまたその人物に手を振りながら、走り寄って行くのだった。
「ソロ!」

アリーナの声に答えるようにソロはアリーナの手を取り堰をきったように話しかける
「アリーナ!アリーナなんだね!!良かった、そうだ!ミネアトルネコ
 デスピサロの仲間に殺されたんだ!それに僕の偽者もいるんだ!大変なんだ!
 ねぇ、アリーナなら分かってくれるだろ!僕、頑張っているんだよ、でも
 皆僕を裏切ってばかりなんだよ!!」

一方的にまくし立てるソロの話を聞きながらも、アリーナはそう喜んでばかりもいられなかった
色々と確認しなければならない話もある
どう話を切り出そうか・・・・そう考えていた時
「あっ!!」
不意にソロが叫んだ。

今だ、ソロがアリーナと話しているわずかな隙を突いて
ラムザは脱兎のごとくその場から逃げ出そうとした
忍者の訓練を受けている今の自分の足なら逃げ切れる、そう判断しての事だったが・・・・

「ぐっ!!」
激痛と血飛沫・・・・見ると自分の腹を剣が深々と貫いている
力なく転倒したラムザの背中越しに声が聞こえる
「ラムザ・・・・やっぱり君もデスピサロの仲間だったんだね・・・ひどいよ信じていたのに」

嘘付け・・・と言いたかったが
悪態をつくには血が流れすぎているようだった
それは赤い絨毯のようにラムザの身体を包み込んでいく
それを見てラムザは綺麗だな、と思った、優柔不断の自分にはもったいない。
遠くで、実際はすぐ近くなのだろうが、ソロとアリーナが争う物音が聞こえる
だが・・・もうどうでもいい・・・・心残りが無いわけでもなかったが

ラファ・・・僕もそっちへ行くよ・・・もう少し要領良くやれれば良かったけど
少し運に見放されたみたいだ・・・・おかげで・・・・・



どうして・・・どうしてなの?、ねぇ・・ソロどうしてなの?
一瞬の出来事だった、逃げようとした男へとソロはためらいもなく剣を投げつけたのだ
腹を貫かれた男はまだぴくぴくと動いてはいたが、それが致命傷であることは明白だ。
そしてソロは何事も無かったかのようにラムザの身体から剣を引きぬく

「ああ、アリーナ、ここはデスピサロの手先だらけなんだ、皆、僕らを狙っている
だからこうするしかないんだ」
「それに偽勇者もいるんだ、名前はアルス、放っておくと大変なことになると思う
 だから早く倒さないと、アリーナも協力してくれるよね」
ソロはアリーナへと手を差し延べる、だがその手は無常にも払い除けられた
「触らないで!!」

アリーナの目から涙がぽろぽろと零れ落ちる
信じていたのに・・・・・・
もはやミネアを殺したのが誰だとか、危険な兵器をもっているだとかそういう話は
どうでもよかった、ただ自分の1番信じていた仲間が、友が変わってしまった驚き
そしてその手を反射的に拒絶してしまった自分・・・・
それを認めることはとても哀しく辛い事だった・・・

それでもアリーナは虫けらのように人を殺し、平然としている目の前のかつての仲間を
どうしても許す事は出来なかった。
涙は止まる事はないだろうが、キッと眦を精一杯つり上げるとアリーナはソロへと言い放つ
「あなたは私の知っているソロでもなければ勇者でもない!!ただの人殺しよ!!」

それを聞いてソロの顔色が見る見るうちに変わっていく、驚愕から怒りへと
「アリーナ・・・君まで僕の邪魔をするの?僕を裏切るんだ・・・・・ひどいよ」
ソロは泣きながらそれでもアリーナへと剣を向ける、それに合わせてアリーナも構えをとる。

そしてにらみ合いが始まる、構えを取りながらアリーナは思案をめぐらせる
ここで戦うのは簡単だ
だが、アニーはどうなる・・もし私が倒れればアニーは1人になってしまう
ここは何としても退かないと

はあっ!と一言気合を入れるとアリーナはソロへと突進する
それに応じてソロもアリーナへと突っ込んでいく
が、アリーナの身体がソロの剣の間合いに入る寸前、アリーナは地面に手をつくと
そのまま前方宙返りの要領で夜空へと舞いあがった、そして
「イオ!」
ソロの頭上に稲妻が走る。

まさかアリーナが呪文を使うとは思っていなかったソロは思わず後退する
その隙を縫ってアリーナは素早く森の中へと逃げ込み、そしてアニーの手を引くと
全速力で森の奥へと走る。
早くこの子をバッツさんか、信用の出来るだれかに託して、ソロを止めないと・・・・
そう思いながら・・・・・・

ソロはしばらく追うそぶりを見せていたが、アリーナのスピードには追いつけない
と判断すると、地団駄を踏みながら夜空に向かって叫び続けていた。
「どうしてなんだ!!、なんでみんな僕を裏切ってばかりなんだっ!!」
「もう・・誰も信じたりなんかするもんかあっ!!」


【アリーナ 所持品:イオの書×3 リフレクトリング
 第一行動方針:アニーを託せる人物を探す
 第二行動方針:ソロを止める(倒してでも)】
【アニー 所持品:マンゴージュ
 第一行動方針:クーパー、父親さがし】
【現在位置:ベクタ南側の森の奥】

【ソロ 所持品:エンハンスソード スーツケース核爆弾
 第一行動方針:???
 最終行動方針:デスピサロを倒す】
【現在位置:ベクタ南側の森の入り口】

【ラムザ 死亡】
【残り 66人】


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最終更新:2011年07月17日 22:28
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