手製のフレイル

ティーダエアリスが小屋に入ろうとしたときだった
「フォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!」
奇声と共に人影が2階から舞い降りる、それは覆面マントにパンツ一丁という奇怪な姿をしている
そいつは2人には気がつかないまま、チョコボに飛び乗るとまっしぐらにいずこかへと消えていった

2人とも余りのことで声が出ない、ようやく搾り出すようにティーダがうめく
「今のは一体・・・・」
「さぁ・・・・・」
ともかくティーダとエアリスは顔を見合わせながらも、小屋の中に入っていった。
「お邪魔しま~す」

小屋は外から見たよりも広く食料や医薬品等、必要なものは全て足りていた
男物の衣服が散乱しているのが気にかかったが・・・・
なによりお風呂があるのがうれしい、2人ともすでにぬれねずみだ
早速2人は風呂を沸かす準備を始めていた。

そのころ・・・・

「はぁ・・はぁ・・何なのかしら?一体」
気絶から覚めたセーラは、ぼやきながら森の中をさまよっていた
もはやマランダの街には戻れない、夜が明けて扉が出現するまでこうやって時間を潰すしかない
前方に灯が見える、どうやら民家のようだ
さらに近づくと民家からすこし離れた場所に、もう一つ小屋がある
湯気が立っているのが見える、あの離れは風呂なのだろう・・・・・
そういえば男が水を汲んで、女が薪をくべているのも見える。

さらに観察を続ける、どうやら風呂が沸いたのだろう
男の方がそのまま離れの中に残り、女は母屋の方へ戻っていく
そこまで見届けたところでセーラの心の中に宿った殺人への渇望が頭をもたげてくる

「どちらを先に殺そうかしら?・・・・男性の方は無防備ですけどなかなか立派な体格ですし
やはり女性の方から殺したほうがいいかしらね、私よりトロそうですし」
セーラは狙いをエアリスに定めると靴下を脱ぎ、それに石を詰めこんで手製のフレイルを作る
銃を使えば確実なのだが、この銃は以外と動作音が大きい・・・
ここは隠密性を重視した方がいいだろう。女を殺し、何食わぬ顔で男に助けを求める
そういう青写真がセーラの中では描かれていた。

ドアの前まで来ると、なるべく哀れっぽい声を出しながらノックする
「助けてくださいまし!先程覆面の男に襲われて酷い事に・・・・・」
ドアの外から気配がするのが分かる、さあ来い、これで頭を砕いてあげる
ドアの側面に移動し、フレイルを構えるセーラ、ドアが開いてエアリスが姿を見せる・・今だ!
セーラは振りかぶるとフレイルをエアリスの頭へと振り下ろす、しかし
「あ・・・金貨みっけ♪」

フレイルはいきなりしゃがみこんだエアリスの頭をかすめるにとどまり、
そして頭の代わりにドアの板をぶち割ったのだった
その音で振り向いたエアリスとセーラの視線が交錯する・・・・その瞬間
セーラは第2撃を振り下ろす、エアリスは転がるように小屋の中へと飛びこむ
こうして戦いが始まった。

そしてそのころティーダ君は・・・・・
「むにゃむにゃ・・ユウナ何っスか、その姿は・・・まるでコスプレっス・・・」
バスタブに肩まで浸かったまま寝ていた。

ティーダが夢の中でユウナと再会していた頃
母屋の中では激戦が繰り広げられていた
体力的にはスラム育ちのエアリスに分があるのだが、何分手負いの身だ
セーラの急襲に今のところ防戦一方だ
一方のセーラも王宮育ちで体力には自信が無い、はぁはぁと早くも呼吸を荒くしながら
フレイルを降りまわしている。

「うっ!」
足をすべらせエアリスが転ぶ、これまでか・・・・・
「あっ!」
しかしセーラも足がもつれ転んでしまう、そして一層ムキになってエアリスに襲いかかる
エアリスは手元にあったイスをかざして、フレイルを防ぐ、フレイルがイスに絡まって取れなくなる
セーラはフレイルを諦めると、今度は食器棚の皿やコップを手当たり次第に投げつける
エアリスはテーブルを倒すと、その陰に隠れて様子を伺う
そろそろネタ切れかな・・・とちょっとだけ顔をテーブルから出すと
ぶおんと唸りを上げて中華包丁が飛んできた。

「このっ!」
今度はエアリスが反撃に出る番だった、あちこちに散乱している皿やコップを拾っては投げる
拾っては投げる!
セーラは流し台の鍋を持つと、器用に自分に飛んでくる皿を弾き落としていく
ちなみに2人とも頭に血が上ってブレイズガンだのリミット技だのはすっかり忘れてしまっていた
ここまでは・・・・・

「痛っ!」
背中を走る痛みにエアリスは顔をしかめる、どうやら傷が少し開いてしまったようだ
だがその痛みはエアリスを我に返したようだった。
業を煮やしたか中華鍋を振りまわしてこちらに突撃するセーラへとエアリスは両手をかざす
「邪気封印!」

光がセーラの身体を包む、それが消えたとき、そこには床に突っ伏して眠るセーラの姿があった
そして離れでは・・・・・
「全然、太股や胸の谷間なんか見ていないッス!本当ッス」
相変わらずティーダが眠っていた。

それから30分後
エアリスは未だに眠り込んだままのセーラの身体を物置の柱へと縛り付けている

あの最初の一撃を振り下ろしたときのセーラの顔・・・あれは明らかに確信犯の表情だった
おそらくエッジを襲ったのも彼女なのだろう、服こそ違うが話してくれた特徴と一致する
本来なら同情の余地などないはず・・・・・

しかしそれでも出来れば誰にも死んでもらいたくないし、出来るなら殺したくない
でも自分を殺そうとした相手を許すほど出来ちゃいない・・・・
その矛盾した思いの末に出た結論がこれだった。
考え様によっては非常に甘く、ズルいやり方かもしれないが
運があれば助かるだろう・・・・・運が無ければここに取り残され、そして・・・・

一瞬芽生えた残酷な思いを打ち消すように頭を振るエアリスの隣では
ティーダがセーラの荷物をチェックしている
「大丈夫、細い杖が1本あるだけで、武器になりそうなものは無いッスよ」
「そう・・・でも一応取り上げておこうか」
エアリスはセーラの荷物の中から癒しの杖を取り出すとそれを自分の荷物袋に放りこむ 
「そろそろ夜明けッス、街に行きましょう」
そして2人は傘を差してチョコボ屋を後にした

しかし2人は重大なミスを犯していた・・・・
埃臭い物置の中で眠りつづけているセーラの懐の奥には
未だにブレイズガンが忍んだままになっていたのだった。

オルテガ 所持品:水鉄砲 グレートソード 覆面
 現行動方針:あらくれる
 正常行動方針:アルスの存在を確認し、合流する】
【現在位置:マランダのチョコボ屋→???】

【セーラ(睡眠) 所持品:ブレイズガン
 最終行動方針:騎士様に会う】
【現在位置:マランダのチョコボ屋物置】

【エアリス(傷は治療済) 所持品:癒しの杖
 第一行動方針:街へ向かい、扉出現に備える
 第二行動方針:クラウドを探す
 基本行動方針:戦いを止める】
【ティーダ 所持品:なし(医薬品、食料等補給済)
 第一行動方針:街へ向かい、扉出現に備える
 基本行動方針:仲間を集める
 最終行動方針:何らかの方法でサバイバルを中止、ゾーマを倒す
【現在位置:マランダの街へ移動中】


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最終更新:2011年07月17日 21:08
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