「派手にやってたようだな。こりゃ。」
ザックスは灰になった何かを蹴っ飛ばす。
「さて、どうしようか…」
目標となる
旅の扉は近くにある。目と鼻の先と形容してもいいだろう。
だけど、そこには憮然と立っている影が見える。
後姿ではあるが日に焼けた隆々とした筋肉。
着ている物はこういう表現はおかしいが綺麗に使い古され、いかにも歴戦の勇士といった風貌。
それでいてどことなく気品も感じさせる。そんな男が旅の扉前に立っている。
後姿であれそれほどの「氣」を持つものだ。無駄な争いは嫌うに違いない。
…だが、このゲームに“参加”している
可能性は決して否定できない。
まともにやりあえばやられるやも知れない。
もちろん自分の腕には絶対の自信を持っている。
だが、あの男の腕は自分自身にも測ることができない。技量や経験とは異なる強さを秘めている。
ザックスの額に一筋の汗が伝う。
胸の鼓動が自分の耳に大きく聞こえる。
情けないがここは一気に旅の扉に飛び込むが吉か。
だが、気づかれたらこっちの命はない。
ザックスの全神経をその男に向ける。
地面の感触を確かめる。
…行くぜ!
大地を蹴り、飛翔する───
「ワン!!」
「だおわぁ!!」
まさに不意討ち。思わずザックスは声を上げる。
それでもって派手にすっ転ぶ。あっと思ったがもはや手遅れ。
全神経を集中してため、自分の横のことには神経が回らなかったようだ。
いや、人間の接近なら気づいただろう。だが、そこにいたのは
トーマス。犬である。
その辺のどこにでもいる犬に注意を払うことはまずない。
「はは、いや、参ったな。」
頭をかきながら立ち上がり前へと進む。
パパスは振り返らない。
「…行くがいい。私は…ここで人を待っている。」
パパスは振り返ることなくザックスに言う。意外な反応にザックスは驚きの色を隠せない。
「いいのか?おっさん。」
「ああ。」
ザックスの瞳にパパスの背中はどのように映ったか。それは本人のみぞ知る。
「…恩にきるぜ。じゃあな!」
そういい残してザックスは旅の扉に飛び込んだ。名前くらいは聞いてもよかったか。そう思っていた。それだけの価値がある人物だった。
パパスはまだ、旅の扉の前でトーマスとともに待ち人を待っている。
【トーマス 所持品:
薬草×10 鉄の爪 手紙 トム爺さんの分の食料 碁石(20個くらい)
第一行動方針:パパスについていこうと思ってはいる
基本行動方針:生き残る
最終行動方針:トム爺さんの息子に一言伝える】
【パパス 所持品:
アイスブランド
第一行動方針:跡地の旅の扉にて限界まで待つ
第二行動方針:
バッツと双子を捜す
最終行動方針:ゲームを抜ける】
【現在位置:封魔壁跡地】
【ザックス 所持品:
バスターソード
基本行動方針:非好戦的、女性に優しく。】
【現在位置:新フィールドへ】
最終更新:2011年07月18日 00:37