「……やっぱりここ、ロンダルキアの洞窟だ」
見覚えのある風景。何度も落ちた落とし穴の痛みが、ここがそうだと確信させる。
おそらく始めに入り口のほうにいたのだろうが、落盤でふさがっていたためわからなかったのだ。
記憶を頼りに稲妻の剣のあった所へ行ってみたのだが、残念ながらナニもなかった。
「…あ~あ、あの剣があったらよかったのに」
アーサーはそう言いながら手に持った
ひのきの棒を振り回す。
「…ここにいれば隠れられるし、
旅の扉もここにでるだろうし……」
この洞窟の中は少し湿ってはいるが、外の寒冷地に比べたらずいぶんましだろう。
それにここの台地は高低差がキツイが、決して広くない。この目立つ服装。
やる気のある奴に見つかったらまず助からないだろう。ならばここにいた方が……
「…ひぃっ!」
アーサーは息を飲んだ。悲鳴をあげそうな口をなんとか両手でふさぐ。
視線の先。無限回廊の手前に男が立っていた。絶対忘れない。
アリアハンで自分を殺そうとした男。青の、赤い刃の男。あの身の毛がよだつ感覚がよみがえる。
(早く!早くそこに入っちゃえ!)
アーサーは身を隠し、その男に向かって電波を飛ばす。
アーサーの祈りがつうじてか、その男は回廊に姿を消した。
アーサーはそれを見届けて、ゆっくり今来た道を引き返す。できるだけ早く遠ざからなければ!
しかしその願いもむなしく、背後から誰かが走ってくる足音がした。
(まずい!気付かれた!!)
アーサーは慌てて走り出す。しかし体がついていかず、足がもつれて転んだ。
(もうダメだ!)
アーサーが死の覚悟をした時、走ってきた男に思いっきり頭を踏まれてアーサーは気絶した。
「…あれ?ここは…」
あれから少ししてアーサーは目を覚ました。
「おう、気がついたか」
アーサーは息を飲んだ。しかし、それが自分の見間違えだったんだとわかった。
目の前の男は、例の男に似ていたが全然違う。なんとなくだけど、雰囲気が。
「ふんずけたりして悪かったな。でもあんなトコで寝てるおまえさんも悪いんだぞ」
…なるほど。さっき回廊の方に走ってったにもこの人だろう。
「ああ、大丈夫です。もう痛くないですし」
まだ痛む後頭部をさすりながらアーサーは言った。
「それにしてもあの回廊にはまいったな。まさかUターンしてるとは思わんかった」
「……そうですか」
重度の方向音痴なのだろう。アーサーはそう確信した。
その時、不意に背後の空間が歪んだ。そこから何者かがこぼれおちてくる。
「…どうしましょう、これ」
「…とりあえず目を覚ますまで待った方がいいんじゃないか?」
アーサーと
ラグナの二人は呆けた顔をして
マリベルを見ていた。
彼女は扉の出口から頭から落ちてきて、そのまま気絶したのだ。
とりあえず回復魔法をかけ、二人はマリベルが目覚めるのをじっと待った。
【マリベル(気絶)
所持品:
エルフィンボウ いかづちの杖
エドガーのメモ
第一行動方針:不明
基本行動方針:非好戦的、自衛はする】
【アーサー 所持品:ひのきの棒
第一行動方針:マリベルが目を覚ますのを待つ】
【ラグナ 所持品:?
第一行動方針:マリベルが目を覚ますのを待つ
第二行動方針:
スコールの捜索】
【現在位置:ロンダルキアへの洞窟6階、無限回廊手前】
最終更新:2011年07月18日 07:44