迷い森

「…ねえ、ここ、さっきも通らなかった?」
この台地に降り立ってから三時間。ルーキー達は思いっきり道に迷っていた。
「たぶん、そうでござるな。足跡も残っているでござるし」
「う~ん。この森、なにか魔力でもかかってるのかな?」
抜群のサバイバビリティを持つとんぬらでさえ惑わされるほどだ。

密林の枝には重く雪が積もり、木々の隙間から見える青空は小さい。
地形は平坦な部分の方が少なく、崖や壁にいくどとなく出くわす。雪の台地に根付く森は
魔の地に相応しい死の樹海。時々見かける巨大生物の白い骨がこの森の厳しさを垣間見せる。
「…これで雪でも降り出したら抜けられなくなるかもな」
「やめてよ」

さすがに冷えるのでライアンの肩の上に乗っているルーキーはブルッと体を震わせた。
「あ~あ、前の町でぼくも毛皮持ってくるんだった」
ルーキーはうらやましそうにとんぬらのマントを見る。アレを着てても十分寒いだろうが。
「これこれルーキー殿、コレくらいの寒さで音をあげてちゃいけないでござるよ」
神経切れてんじゃないんか?このおっさん。ゾンビ状態のアイラさんはともかく、このおっさんは
雪国では目も疑うような露出度の高い鎧をしているのに、寒そうなそぶりは一切見せない。

「ハハハ…。あれ?森をぬけたようだよ」
薄暗い森の中を照らす、とても強い光が木立の間から漏れる、
一同は森の外に出て、絶句した。
「…ここ、スタート地点、だよね?」
「たぶん、そうでござるな。足跡も残っているでござるし」
森の中の、少し開けた空間。ここには木々の屋根が無い為、光が満ちていた。
ご丁寧に空間の真ん中から森の中に続く足跡も残っている。

「あ~も~!!」
ルーキーは思いっきり雪の中にへたれこんだ。
「なにか対策を練らなきゃなぁ」
「う~む。しかしワシはこういう事には専門外でござるしなぁ」
二人があーでもないこーでもないと話をしている最中に、雪の中で寝ている
ルーキーの真上の空間が歪んだ。

「…ん?」
ルーキーはなんとなく自分の頭上を見上げた。―――デジャ・ビュ
ぽっかり開いた穴の向こうから、物凄い速度で金槌が落ちてきた。
「どひいいいいいいぃ!!!」
ルーキーは叫び声をあげて、身をかわす。森の方に。しかし、それがいけなかった。

金槌はなんの抵抗も受けないまま地面に接触し、激しく地面を揺らした。

「…イタタタ。ライアンさん、大丈夫ですか?」
たまらず転んでしまったとんぬらは身を起こしながら問い掛ける。
「うむ。大丈夫でござるよ」
ライアンも立ち上がる。アイラは無言で立ちあがり、髪についた雪を払う。
「…うーん、なんでハンマーがぼっ」
身を起こしかけたルーキーに、木々に積もった大量の雪がルーキーごと地面を埋め尽くした。

「おーい、ルーキー殿~、生きてたら返事するでござる~」
森の開けた場所にいて雪に埋もれなかった三人は、懸命にルーキーを探していた。
そこら中掘り返したが見つからない。早くしないと死んでしまうだろう。
誰もがあきらめかけたその時、雪の下からのびた炎の息がちょうどそこにいたライアンを包みこんだ。

「ケホケホ。あんな死に方じゃ、死んでも死にきれないよ」
自分で雪を溶かして出てきたルーキーは、となりでとんぬらの回復魔法を受けている
ライアンを見ないように呟いた。
「いやあ、ルーキー殿が無事でよかったでござる」
この人がこういう人で良かった、とルーキーはつけたしておいた。

「ん?アイラさん、どうしたんだい?」
アイラがじっと、積もった雪を見つめていた。よく見ると、そこが微かに揺れている。
「…いったい何でござろうか…ム!?」
ライアンが言い終わる前にソレは姿をあらわした。

しかし、姿をあらわしただけだった。ソレは一抱えくらいの大きさの、
瞳を思わせる紋様を彫りこんである球状の物体。少し浮かんで、そのまま動かない。
「…なんでござろう、あれ」
ライアンが回収しようと近づき、手を伸ばす。ソレはあっさり捕まりライアンの腕の中に浮かんでいる。
「なにか魔法がかけてあるようでござるが」

「……このパターンはたぶん、マヌーサのようだけど」
「うん。ぼくもそんなカンジがする」
二人はライアンから手渡された球体をいろいろ弄くり回す。
「…なかなか高度な魔道技術だね。……設置されてだいぶたってるみたいだ」
「だとすると、コレを壊せばこの森からでられるの?」
「たぶん。やってみよう」

とんぬらは球体の隙間に剣を当て、一瞬で縦に貫く。
爆発するかと思ったが、その球体は魔力を失い小さなノイズをたてて瓦解した。
「強度はそんなでもないみたいだ。地面にぶつけても壊れるんじゃないかな。
 木の上にあればそうそう発見される事はないだろうからね」

「…でも、こんなのが何個もこの森の中にあるの?」
「ずいぶん昔のモノみたいだから壊れてるモノもあるんじゃないかな?」
「なに、迷った時はまた同じ事をすればいいんでござるよ」
ライアンはいつのまにか拾ってきたハンマーを片手で軽々と振りまわしている。
「……やめて。また生き埋めになりたくないよ」

ルーキーは特別暗い声で言った。とんぬらも曖昧な笑みを浮かべている。
「大丈夫でござるよ。操作もそんなに難しくないでござるし」
「…なるべくアレを使ってもらわないようにしないとね」
「…うん」
なんども試し撃ちをしているライアンを横目に、二人はため息をついたのだった。

【ライアン 所持品:大地のハンマー
 第一行動方針:仲間を探す】
 基本行動方針:来る者は拒まず、去るものは追わず。】
【ルーキー 所持品:スナイパーアイブーメラン
 第一行動方針:仲間を探す】
とんぬら 所持品:さざなみの剣
 第一行動方針:パパスと会う
 第二行動方針:クーパーアニーを助ける
 第三行動方針:アイラの呪いを解ける人を探す】
【アイラ(ゾンビ) 所持品:チェス板、駒 死者の指輪 マンイーター
 第一行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらについていく。死者の指輪が外れたら???】
【現在位置:台地の北中央の森】
フライパン×2は放置
※流出アイテム 残り3個
※森の中に妨害装置確認  範囲は一マス  強度 弱  数はそんなに多くないかも


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最終更新:2011年07月18日 01:40
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