ライアンの食料

一体、何時間ほど歩いただろうか。
「ようやく山岳地帯を抜けられるようでござるな」
ライアンは安堵の息をついた。同時に、見失ってしまった仲間達のことを思う。
特にホイミン……あの不吉な夢は、何を暗示していたというのか。
ライアンは空を見上げた。太陽は既に傾いているが、日没にはまだ時間がありそうだ。
(次の放送を聞けば、あの夢が正夢かどうかもわかるでござる……)

雪山で、長い間気絶していたライアンは知らなかった。
放送回数が増えたこと、正午に流れた放送で禁止魔法が追加されたこと、ホイミンの名前が呼ばれたことを。
最も、戦士のライアンにとって、禁止魔法の追加などなんの意味もないのだが。

「……歩きどおしで疲れたでござるな。少し一休みとするか」
ライアンは岩陰に身を隠した。そして昼食を食べていないことに気付き、
バックから食料を取りだして食べ始める。
「腹が減っては戦ができぬと申すからな」
ツェンの街で果物や瓶詰めを見つけていたこともあり、あと二日は食料の心配もない。
そういう事情もあって、彼は盛大に食事にありついた。

そんなライアンを見つめる視線が、二つ。
「(ごくっ)……いいなぁ~、オレなんかちょっとしか食べてないってのに」
「何よ、食料なら私達の分を分けてあげたじゃない」
「あんなちょびっとじゃ、食べた気がしないッスよ」
「だったら、そこらへんの雪でも食べて我慢しなさいよ」
ライアンの隠れている岩とは少し離れた、木の陰で。
ティーダマリベルは、そっと様子を伺っていた。
目的は、もちろんセフィロス打倒のメンバーを勧誘するためだ。
比較的足が早く、戦闘能力もあるティーダ達が仲間探しをする間に、
エアリスギルガメッシュラグナが作戦を立てる……そういう手筈になっている。
「で、どうする?」
ティーダはぱらぱらと、参加者リストのページをめくる。
選ばれし者の一人、バトランドの王宮戦士――この文と本人を見る限り、そう悪い人物とは思えない。
「あのオッサン、見た目も結構強そうだし、オレはいいと思うんだけど」
「見た目だけって可能性もあるけどね」
しかし、ライアンが決して見た目だけの戦士ではないことは、マリベルも察していた。
一見無造作に食事をしているようだが、全く隙がない。
それに脇に置かれたやたらとデカいハンマーからは、並々ならぬ魔力が放たれている。
あの武器だけでも、貴重な戦力となることには間違いない。
とりあえず、どうやって声を掛けるか――二人がそう思った、その時。
「いい加減出てきたらどうでござるか
 人の食事をジロジロ見るなど、あまりいい趣味とは言えないでござるよ」
「!」
予想だにしなかった一言。
驚きのあまり、ティーダ達は反射的に木陰から飛び出していた。

【ライアン 所持品:大地のハンマー
 第一行動方針:食事&休憩
 第二行動方針:はぐれた仲間を探す
 第三行動方針:ホイミンの安否を確かめる
 基本行動方針:来る者は拒まず、去るものは追わず。
 (正午の放送を聞き逃しています。放送回数が増えたことも知りません)】
【現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり】

【マリベル  所持品:エドガーのメモ
 第一行動方針:仲間を集める
 第二行動方針:打倒セフィロス
 最終行動方針:首輪を外してゲームを抜ける】
【ティーダ 所持品:いかづちの杖 参加者リスト
 第一行動方針:仲間を集める
 第二行動方針:打倒セフィロス
 最終行動方針:何らかの方法でサバイバルを中止、ゾーマを倒す
【現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり】

【ラグナ(両足欠損) 所持品:エルフィンボウ
 第一行動方針:作戦会議
 第二行動方針:打倒セフィロス
 第三行動方針:スコールの捜索
 最終行動方針:首輪を外してゲームを抜ける】
【エアリス 所持品:癒しの杖
 第一行動方針:作戦会議
 第二行動方針:打倒セフィロス
 第三行動方針:クラウドを探す
 最終行動方針:このゲームから抜ける】
【ギルガメッシュ 所持武器:なし
 第一行動方針:作戦会議
 第二行動方針:打倒セフィロス
 最終行動方針:このゲームから抜ける】
【現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原】


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最終更新:2011年07月18日 01:41
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