地下道の中を
カインはランプをかざして進んでいた。
彼もまた、地面の陥没にあい、この地下道に迷い込んでいたのだ。
空中戦を得意とするカインにとって、このトンネルは戦いにくい事この上ない、早く抜け出したいが、
肝心の出口が見当たらない。
そんな状況で困惑してたところに、だしぬけに響いた
爆発音、もしかすると誰かに出会えるかも。
そう思って先を急ぐカインだった。
「爆発音がしたのはこの当たりだったはず」
わずかだが血の匂いもする…その匂いを辿ってカインはさらに地下道を進む。
やがて彼は、とある部屋の前に辿りつく、血の匂いと火薬の匂いがぷんぷんする。
ここに待ちがいなさそうだ。
扉を開けると、一面瓦礫だらけの中に、1組の男女が倒れ伏していた。
「おい!大丈夫か!?」
闇の中、ランプの光をかざすとわずかに2人のまぶたが動く、意識はほとんど無いが、
まだ死んではいないようだ、早速カインは2人の傷の状態を確認する。
女の方は両手足と肋骨が折れているらしく、出来そこないの人形のような、
奇妙な姿で横たわっている、外傷についてはそれほど多くも無く、出血も少ない。
おそらく爆風を受けて壁にたたきつけられたのだろう。
男の方は女とは逆で、骨折はしていないようだが、その代わり全身にくまなく外傷があり、
おびただしい量の出血が認められる…。
そして2人に共通して言えるのは、このままだと、あと数時間も保たないという事、
傷が傷だけに運び出す事も出来なければ、助けを見つけて戻って来れるかもかなり微妙だ。
彼のバックの中には、この数日間、山野で摘んで歩いた薬草が1通り揃ってはいるのだが
とてもじゃないが今の2人に使ったところで、どうにかなるとは思えなかった。
重苦しい思いでカインは頭を抱える。
だが……カインの脳裏につい数時間前の光景が甦る。
かなわぬであろうと知りながらも、あの銀髪の剣士に立ち向かっていった少年の姿を。
「そうだな…また逃げるわけにはいかないな」
カインはせっせと薬草を煎じ、すりつぶし、口に含ませ、様々な方法で彼らに処方していく
その甲斐があったか、男の方は意識が戻ったようだ。
しかし
クラウドはカインに感謝の言葉を言う前に、床に転がっている槍へと手を伸ばす。
「それを…その槍を貸してくれ」
カインから槍を受け取ると、クラウドはマテリアのはまった槍を自分の身体の前にかざし、
回復呪文の語句をたどたどしくも唱えていく。
「ケアル」
温かい癒しの光が周囲を覆っていく、
だがそれは同時にクラウド自身の命の光を奪う行為でもあった。
「おい!やめておけ!ムチャだ」
だがカインの制止も聞かず、クラウドはさらに2度・3度と魔法を唱える。
しかし…何回目かで、彼はおびただしい量を吐血し、そのまま倒れてしまった。
だが、それでも確かに効果はあったようだ、それからすぐに女の方がゆっくりと目を開いて
きょろきょろと周囲を見渡しはじめている、どうやら彼女も命の危機を脱したようだった
「あなたが助けてくれたの?」
横になったままの姿勢で
アリーナはカインに話しかける。
「感謝なら俺じゃなくて、この男に言うべきだな、見ろよ」
カインはランプの向きを変えて、クラウドの傷だらけの身体をアリーナに見せる
「この傷の状態や爆発の状況からみて、多分…爆発から身を呈して君を守ったんだ、それに
お前がこうしてしゃべれるのも、こいつが回復魔法を唱えたおかげだ」
「そ…そんな…私っ助けを呼び!あああっ」
立ちあがろうとしたアリーナは、その瞬間身体を走った激痛に身悶えする。
「ムチャだ!重傷であることには変わりは無いんだぞ」
「でもでもっ!私っ、ねぇ助けてよ…出来るんでしょう、お願いよ!」
そのアリーナの涙まじりの視線に絶えられず、カインは顔を逸らす。
「俺は白魔法を使えない…薬草でなんとか傷だけは塞げた、だがもうそれだけではどうしようもない…出血が多すぎる
さらに衰えた体力で魔法まで唱えている、もう俺にはどうしようもない」
ランプの光の下、クラウドの顔は青白く、まるで古ぼけたマネキンのような印象を受ける。
あとわずかの時間で、本当にクラウドは2度と物言わぬ無残な姿に成り果ててしまうのか。
そう思うとアリーナはやりきれなかった。
「私…守られてばかりだ…ごめんね…ごめんね」
どれほどの時間が経過しただろうか?
すすり泣くアリーナの声が聞こえる中、意を決したようにカインが呟く。
「1つだけ…方法がある、この男の生命力に賭けてみるか」
と言うなりカインは自分の手首を切り裂くと、そこから滴る血をクラウドの口へと運ぶ。
「俺の身体にはわすかだが龍の血が流れている、その血をもし受け入れる事が出来れば救えるかもしれん」
だが、そういうカイン自身も半信半疑だ、所詮それは伝承の中の話に過ぎなかったし、
そんなことで命を救えるというのなら、誰一人として彼の仲間は命を落とさなかっただろうし、
それに彼の得意技である超人的な跳躍力にしても、それは血の力だけではなく、凄まじいまでの修練の賜物だし、
何より彼自身の力は通常の人間となんら変わらないのだ。
地下道の中をカインはランプをかざして進んでいた。
彼もまた、地面の陥没にあい、この地下道に迷い込んでいたのだ。
空中戦を得意とするカインにとって、このトンネルは戦いにくい事この上ない、早く抜け出したいが、
肝心の出口が見当たらない。
そんな状況で困惑してたところに、だしぬけに響いた爆発音、もしかすると誰かに出会えるかも。
そう思って先を急ぐカインだった。
「爆発音がしたのはこの当たりだったはず」
わずかだが血の匂いもする…その匂いを辿ってカインはさらに地下道を進む。
やがて彼は、とある部屋の前に辿りつく、血の匂いと火薬の匂いがぷんぷんする。
ここに待ちがいなさそうだ。
扉を開けると、一面瓦礫だらけの中に、1組の男女が倒れ伏していた。
「おい!大丈夫か!?」
闇の中、ランプの光をかざすとわずかに2人のまぶたが動く、意識はほとんど無いが、
まだ死んではいないようだ、早速カインは2人の傷の状態を確認する。
女の方は両手足と肋骨が折れているらしく、出来そこないの人形のような、
奇妙な姿で横たわっている、外傷についてはそれほど多くも無く、出血も少ない。
おそらく爆風を受けて壁にたたきつけられたのだろう。
男の方は女とは逆で、骨折はしていないようだが、その代わり全身にくまなく外傷があり、
おびただしい量の出血が認められる…。
そして2人に共通して言えるのは、このままだと、あと数時間も保たないという事、
傷が傷だけに運び出す事も出来なければ、助けを見つけて戻って来れるかもかなり微妙だ。
彼のバックの中には、この数日間、山野で摘んで歩いた薬草が1通り揃ってはいるのだが
とてもじゃないが今の2人に使ったところで、どうにかなるとは思えなかった。
重苦しい思いでカインは頭を抱える。
だが、それでも今はその御伽話にすがってみる以外、方法は無い。
ぽたりぽたりとカインの血が流れる音がだけが聞こえる中、時間だけが過ぎていく。
意識が遠のいていく…これ以上は危険だ、だがそれでもカインはその手をクラウドの口から離そうとしない。
その鬼気迫る表情は、ただの善意だけでは無い事は確かだ。
「どうしてそこまでするの?」
アリーナの言葉にカインは即答する。
「償いだよ」
カインは思い出す…あの時、洞窟の入り口で自分は何も出来ず、逃げ出してしまった、
もしわずかでも勇気を振り絞れていれば……。
だから、今度こそ救う、そのためならば…だが、もはや限界のようだった。
へたりこむカインの手首に、アリーナは素早く薬草をあてがい包帯を巻いてやる。
「まだ…だ、まだ」
「もういいわ!そこまでしなくってもいいわ!やるだけのことはやったじゃない!
後は祈りましょう、出来るのはそれくらいよ」
アリーナは冷え切ったクラウドの手を握り、ひたすら祈りの言葉を口ずさむ。
さらに時間が経過する中。
「見て!」
「おお…」
死人のように青ざめたクラウドの肌に赤みがさしてくる、どうやら奇跡は起こったようだった。
「よかった、本当によかった」
クラウドの胸にすがり付き、嬉し涙を流すアリーナ、その様子をまぶしそうに見つめるカイン、
もしかすると彼は失った恋を思い出しているのかもしれない、事実カインから見た2人の姿は、
仲睦まじい恋人同士のそれに思えた。
だが、果たして2人は気がついていただろうか?
クラウドの全身から、わずかだが妖しげな光が漏れ出していた事を、そしてその口からは、
聞き取れぬほどの小声で謎の言葉が口ずさまれていた事を。
そう、奇跡にはそれに見合った代償が必ず付きまとうものなのだ。
【アリーナ 所持武器:イオの書×3
リフレクトリング ピンクのレオタード
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドを
ティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける】
【クラウド 所持品:
ガンブレード
第一行動方針:
エアリス&ティファを探す
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明】
【現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
(二人とも生命の危機は脱したが重傷、無論戦闘不能)
(魔晄中毒の症状が出てきています)
※クラウドの回復は、龍の血と魔晄エネルギーとの化合ゆえの回復です、
したがって他のキャラには効果ありません
最終更新:2011年07月17日 15:57