芸術幻霊。
完成したものを繋ぎ合わせる、滅茶苦茶な合成。文脈を無視するコラージュ。
サモトラケのニケは、クリスタルスカルと一つになり、首を手に入れた。
「とはいっても、残り六騎だろ。見当もつかないね」
「どうせ絵とか彫刻とかでしょ。ミロのヴィーナス様より美しいのがあったら出てきなさい」
ポンペイでは芸術と戦った。あの大美術館の場のおかげで、英霊に満たない存在もサーヴァントになった。そしてそこでの活躍があってこそ、アーチャーとミロビちゃんは僕に召喚されたのだ。
今回はポンペイのような特別な場ではない。故に、無理矢理作品を合体させて補強しているのだろう。
あり得ない手段をもって召喚されるサーヴァントだ。あり得ない再会もある。
「サーヴァント、ランサー。再び相見えることになるとは」
そいつはブルーの鎧がチャームポイントのサーヴァント。手にした槍はおニューの太いランス。まるで塔みたいだ。
真名判明
ランサーの芸術幻霊 真名 塔&青騎士
「同窓会かよ」
「あら、今度は敵なの?」
「然り」
ランサーが槍を振るう。異常なまでの風圧がルーヴルの壁を破壊する。ああ勿体無い! 絵画が滅茶苦茶になった。ポンペイの召喚された代替品とは違うんだぞ。
「新たな槍を手に入れた。俺が、お前たちと戦う理由は、リベンジだ。前負けたから、今度は勝つ」
「そうかい。えらく饒舌になったな、あんた」
アーチャーが弓を振り回し、ミロビちゃんがドロップキックを繰り出す。その両方を槍で受け止めた。青馬が嘶く。
「油断はしない」
ランサーの槍はいつか見たバベルの塔のミニチュアだ。それを彼は床に突き刺す。
軽く突き込んだだけなのに凄まじい衝撃波が発され、床には大きくクレーターができた。アーチャーとミロビちゃんはバランスを崩す。
「やばい。奴は槍を補強している!」
ポンペイではバベルの塔が大美術館を破壊した。その逸話が、槍に纏わりついているのだ。まるでカルデアの銀腕の騎士の仮想聖剣のように。
つまり、美術館特攻攻撃。美術館属性を持つものは、彼に一撃で破壊される。
「俺の鎧は宝具開放と引き換えに失われる。前回はそれで敗北したな。だから、今回は、宝具を使わない」
槍を振り回す。三メートルはあるそれを軽々と振り回し、二人を寄せ付けない。
「この槍の威力があれば、真名を開放せずとも勝てると見込んだ」
「でもね、あなた」
ミロビちゃんの脚が伸びる。蹴りのあまりの早さのせいで、槍よりも股下が長いように見えた。爪先が馬の首を打ちつける。
「二対一よ!」
「何を。違うだろう。二対三だ」
槍を振り回す。アーチャーが弓で受け流したが、それでもなお衝撃を躱しきれず、よろめく。
「俺、馬、槍の三体だ」
「それをいうならこっちだってマスターを入れて三人よ」
ミロビちゃんの蹴りが入った。馬が倒れる。
鎧を引きずり下ろすことに成功した。
しかしなお、槍の猛威は止められない。鎧は地に立ち、間髪入れず槍を振るう。馬から降りたら長い槍は振り回し辛いだろうと一瞬考えたが、彼は地面を抉るのも構っていない。
クレーターの中にクレーターができる。
「何がリベンジだ!」
アーチャーが弓で猛攻を食い止めながら叫ぶ。
「フォルムから開放するんじゃなかったのかよ! 自由をもたらすんじゃないのかよ! お前は宝具がお前なんだろうが! 何が宝具を使わないだ!」
逆上している。彼は、自分自身の役割を否定した青騎士を見ていられないのだ。
「使えよ! お前はそういう在り方をしているんじゃないのかよ!」
ランサーは口を噤んだ。
その隙をミロビちゃんは見逃さない。
彼女に現れた右腕はメイスを持っていた。生える速度を乗せたその突きは、プレートアーマーを叩き割る。
彼はミロビちゃんの腕の宝具の存在を知らなかったのだ。
「残念ね」
一撃与えれば後は簡単だ。ミロビちゃんの連撃とアーチャーの弓が彼を破壊する。
「お前の敗因は、対美術館攻撃を選んだことだ。俺は美術品であり、美術館じゃない」
青い騎士が青い粒子を撒き散らしながら四散する。
「また勝てなかった。やはり戦闘の経験が足りないのは駄目だな。強い武器を持っても、お飾りになってしまう」
「次!」
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現状見取り図 |
マスター |
藤丸立香 |
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芸術のアーチャー |
エロイカ |
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芸術のキャスター |
ミロのヴィーナス |
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セイバーの芸術幻霊 |
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アーチャーの芸術幻霊 |
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ランサーの芸術幻霊 |
塔&青騎士 |
撃破 |
ライダーの芸術幻霊 |
サモトラケのニケ(with水晶髑髏) |
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キャスターの芸術幻霊 |
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アサシンの芸術幻霊 |
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バーサーカーの芸術幻霊 |
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最終更新:2018年03月06日 12:53