前文
この条約の締約国は、すべての国民及び政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認する。
締約国は、民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配の上に築かれたその国民の自由、共同の遺産及び文明を擁護する決意を有する。
締約国は、南西アフリカ地域における安定及び福祉の助長に努力する。
締約国は、集団的防衛並びに平和及び安全の維持のためにその努力を結集する決意を有する。
よつて、締約国は、この南西アフリカ条約を協定する。
第一条
締約国はそれぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によって、国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びに、それぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使をいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
第二条
締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによって、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。
締約国は、その国際経済政策における食違いを除くことに努め、また、いずれかの又はすべての締約国の間の経済的協力を促進する。
第三条
締約国は、この条約の目的を一層有効に達成するために、単独に及び共同して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗する個別的の及び集団的の能力を維持し発展させる。
第四条
締約国は、いずれかの締約国の領土保全、政治的独立又は安全が脅かされているといずれかの締約国が認めたときはいつでも、協議する。
第五条
締約国は、南西アフリカにおける一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する。
従って、締約国は、そのような武力攻撃が行われたときは、各締約国が個別的又は集団的自衛権を行使して、南西アフリカ地域の安全を回復し及び維持するためにその必要と認める行動(兵力の使用を含む。)を個別的に及び他の締約国と共同して直ちに執ることにより、その攻撃を受けた締約国を援助することに同意する。
第六条
第五条の規定の適用上、一又は二以上の締約国に対する武力攻撃とは、次のものに対する武力攻撃を含むものとみなす。
(i)南西アフリカ地域におけるいずれかの締約国の領域、又は南西アフリカ地域におけるいずれかの締約国の管轄下にある海外領土
(ii)いずれかの締約国の軍隊、船舶又は航空機で、前記の地域、いずれかの締約国の占領軍が条約の効力発生の日に駐屯していた南西アフリカの他の地域又はそれらの上空にあるもの
第七条
各締約国は、自国と他のいずれかの締約国又はいずれかの第三国との間の現行のいかなる国際約束もこの条約の規定に抵触しないことを宣言し、及びこの条約の規定に抵触するいかなる国際約束をも締結しないことを約束する。
第八条
締約国は、この条約の実施に関する事項を審議するため、各締約国の代表が参加する南西アフリカ理事会を設置する。同理事会は、いつでもすみやかに会合することができるように組織されなければならない。同理事会は、必要な補助機関を設置し、特に、第三条及び第五条の規定の実施に関する措置を勧告する南西アフリカ防衛委員会を直ちに設置する。
第九条
締約国は、この条約の原則を促進し、かつ、南西アフリカ地域の安全に貢献する地位にある他のアフリカの国に対し、この条約に加入するよう全員一致の合意により招請することができる。このようにして招請された国は、その加入書を南西アフリカ理事会に寄託することによってこの条約の締約国となることができる。
第十条
締約国は、各自の憲法上の手続に従って、この条約を批准し、その規定を実施しなければならない。批准書は、できる限りすみやかに南西アフリカ理事会に寄託するものとし、同理事会は、その寄託を他のすべての署名国に通告する。この条約は、イフェ、ンドンゴ及び大ツワナの批准書が寄託された時に、この条約を批准した国の間で効力を生じ、その他の国については、その批准書の寄託の日に効力を生ずる。
第十一条
締約国は、この条約が二ヶ月間効力を存続した後に又はその後いつでも、いずれかの締約国の要請があったときは、その時に南西アフリカ地域の平和及び安全に影響を及ぼしている諸要素とを考慮して、この条約を再検討するために協議するものとする。
第十二条
締約国は、この条約が四ヶ月間効力を存続した後は、南西アフリカ理事会に対し廃棄通告を行ってから二日後に締約国であることを終止することができる。
第十三条
この条約は、
大ツワナ共和国政府の記録に寄託する。この条約の認証謄本は、同政府により他の署名国政府に送付される。
二〇二一年三月二一日にハボローネで作成した。
最終更新:2021年03月21日 17:54