まとめwiki ~ 「♀29匹のボックスに♂1匹を入れてみた」
09話 - シャワーズの話
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f29m1
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マリルリ
「そういえばブースターさんの妹さんってどんなポケモンなんですか?
イーブイって色んな姿に進化するポケモンだからちょっと気になって。まだ会ってませんし」
イーブイって色んな姿に進化するポケモンだからちょっと気になって。まだ会ってませんし」
ブースター
「妹はシャワーズよ。水タイプだからマリルリ君と一緒ね。もしここに居たら仲良くなれたかも」
マリルリ
「え?」
ブースター
「リーダーが言ってた欠員って私の妹なの。最初はすぐ戻ってくると思ったんだけど、もう一ヶ月になるかな」
マリルリ
「あ、すいません。変なことを聞いて……。本当に僕デリカシーが無いというか無神経というのか……」
ブースター
「そんなに気にしなくていいってば。マリルリ君みたいに間違って違うボックスにいたりしたら心配だけど」
マリルリ
「ま、まさか。そうだ、兄弟が10匹もいるなんてスゴイですよね。残りの8匹の皆さんは?」
ブースター
「そうね、最近会ってないけどみんな元気にしてるかな? 兄弟みんな揃っていたのはあの時ぐらいで
その後はバラバラ……、というより、こう言っちゃあアレだけど、フルイにかけられちゃったのよね……」
その後はバラバラ……、というより、こう言っちゃあアレだけど、フルイにかけられちゃったのよね……」
マリルリ
「フルイ? ですか? 何ですかそれ?」
ブースター
「んー、要するにトレーナーさんが私達兄弟の中から素質のある子を選んで重点的に育てる、みたいな感じかな?
その結果、私と妹が最初に選ばれた訳だけど、他の兄さんや弟はひょっとしたら、放っておかれてるのかもしれない……。
……って、考えるとちょっと怖いけど、大丈夫よね。だってトレーナーさんがそんなヒドイ事するわけないもの」
その結果、私と妹が最初に選ばれた訳だけど、他の兄さんや弟はひょっとしたら、放っておかれてるのかもしれない……。
……って、考えるとちょっと怖いけど、大丈夫よね。だってトレーナーさんがそんなヒドイ事するわけないもの」
――その時、マリルリの脳裏にトレーナーの思い出がよぎった――
青い空、白い雲、晴れ渡る大地に自転車に乗って風を切りと走り抜ける少年の姿。
【マリルリの回想】
トレーナー
「ズイ~~の道~~をひた走る~~~♪ おれたちチャリンコ暴走族~~~♪
夏でも冬でもチャリンコ小僧♪ 短パン小僧も目じゃないゼ☆ヘイ♪ マグカル先生連れまわし~♪ タ~マゴ~かか~え~♪
喫茶店に正面衝突☆ そんなのへっちゃら♪ あ~あ~いつかほし~いよ~~♪ 最強メ~タ~モ~~~ン♪」
夏でも冬でもチャリンコ小僧♪ 短パン小僧も目じゃないゼ☆ヘイ♪ マグカル先生連れまわし~♪ タ~マゴ~かか~え~♪
喫茶店に正面衝突☆ そんなのへっちゃら♪ あ~あ~いつかほし~いよ~~♪ 最強メ~タ~モ~~~ン♪」
(※モンスターボール内のポケモン達)
トロピウス
(ひ、ひどいオンチ……)
マリルリ
(ていうか……、何この意味不明な歌……)
マグカルゴ
(孵化なら俺一匹にしとけよ……。効率悪いだろ……)
トレーナー
「作詞・作曲 俺!! どうだーお前達? 最高にカッコイイテーマソングだろ? 3V誕生祈願ソングだ!!」
マリルリ
(うわああああああ!! すいませんすいません!! トレーナーはチャリンコ暴走族でした!
厨房です! 個体値厨です!! そのくせ面倒になって平均23くらいで妥協するような人間っです!!)
厨房です! 個体値厨です!! そのくせ面倒になって平均23くらいで妥協するような人間っです!!)
ブースター
「バレーとかサッカーの選抜みたいなものかな。……どうしたのマリルリ君? 顔、青いよ?」
マリルリ
「え? あ、いや……、い、いま白昼夢が……。お、おそらく、ヨノワールが怪電波を発信して僕の脳内を侵食して……。
じゃなくて、またまたご冗談を! 元から青いですよ~。はははは……」
じゃなくて、またまたご冗談を! 元から青いですよ~。はははは……」
ブースター
「ふふ、マリルリ君って面白いね」
マリルリ
(あ、なんかウケている。よかった、絶対引かれると思った……)
過去の思い出によって錯乱していたマリルリは次第に落ち着きを取り戻す。そして、なんとか話題をそらそうと別の話題を考えていた。
マリルリ
(どうしよう……、もう少し面白い話しないと……。このままじゃ電波変態水ウサギポケモンになってしまう……)
ブースター
「ピチューも、あの子がずっとボックスにいるのも、きっとトレーナーさんに考えがあってのことだと思うの」
マリルリ
(えーっと……、もう一回、妹さんの話を振ってみようかな……? でも嫌な思いさせちゃうかな?)
ブースター
「……でも、私がそんな事言っても聞いてくれないけど。前は仲よくできたのに、今はちょっと、ね……」
マリルリ
「ところで妹さん、シャワーズさんについてもう少し詳しく教えてくれませんか?」
ブースター
「え?」
ブースターが目を丸くしてマリルリを見つめる。
マリルリは焦り出した。
マリルリは焦り出した。
マリルリ
(あ、またやっちゃったか?)
マリルリ
「あ、変な意味じゃないですよ。どんな感じだったのかなーって……。嫌なら、いいですけど」
しかしマリルリの不安とは裏腹にブースターは目を輝かせてマリルリに顔を近づける。かなり距離が近いために今度は別の意味で焦る。
ブースター
「全然OKだよ!! マリルリ君にも妹の事知って欲しいもの!
あ、先に言っておくけど、私ちょっぴりシスコン入ってるから、しつこくなってきたらいつでも言ってね!」
あ、先に言っておくけど、私ちょっぴりシスコン入ってるから、しつこくなってきたらいつでも言ってね!」
マリルリ
「あ、は、はい。あの、ちょっと近いんですけど……」
ブースター
「あ、ごめんね。えっと、姉馬鹿、っていうか馬鹿姉って言われるかもしれないけど、本当に妹はすっごくかわいいの!
まず私がブースターで妹はシャワーズなのよね。って、そのまんまなんだけど。
トレーナーさんが言うには『赤と青ってなんかカッコよくね? 炎と水ってカッコよくね?』って、結構単純な理由で進化したんだけど……」
まず私がブースターで妹はシャワーズなのよね。って、そのまんまなんだけど。
トレーナーさんが言うには『赤と青ってなんかカッコよくね? 炎と水ってカッコよくね?』って、結構単純な理由で進化したんだけど……」
こうして、彼女の『妹自慢タイム』が始まった。
ブースター
「それでね、目もパッチリして綺麗で宝石みたいなのよ。ヒレもピンッと張っていてね。体もなめらかでつやつやしてて……」
あれから、数十分くらい彼女の話が続いている。
バトルで活躍した話、使える技の話、ニックネームをもらった時の話、更にその名前の由来や何気ない日常話等、普通ならそろそろウンザリとしてくるのだが、マリルリは彼女の話に聞き入っていた。
バトルで活躍した話、使える技の話、ニックネームをもらった時の話、更にその名前の由来や何気ない日常話等、普通ならそろそろウンザリとしてくるのだが、マリルリは彼女の話に聞き入っていた。
マリルリ
(妹さんの話をしているブースターさんって生き生きしてるなー。てか、笑った顔が可愛いな。
やっぱり普通の女の子ってこうだよ、こう!!)
やっぱり普通の女の子ってこうだよ、こう!!)
どちらかと言えば彼女も多少『普通』の枠からズレてはいるのだが、今までインパクトの強い女性陣が多かったために
ブースターは安心して『普通』の♀ポケモンと思っている。あるいは、マリルリ自身の感覚がズレている可能性もあるが。
ブースターは安心して『普通』の♀ポケモンと思っている。あるいは、マリルリ自身の感覚がズレている可能性もあるが。
ブースター
「あと笑顔も超超!! かわいいのよ!! 『姉さん』って呼ばれるときゃう~んってなっちゃうのよね~。
……ってアハハ……、ごめん。なんだかすっかり話こんじゃったみたい」
……ってアハハ……、ごめん。なんだかすっかり話こんじゃったみたい」
マリルリ
「いいえ、平気ですよ。本当に妹さんの事、大好きなんですね」
ブースター
「うん! 目の中に入れてもいいくらい!! 泳ぐ姿もとってもキレイだし、おまけにおしとやかで、なのにすっごく強いの。
マリルリ君にも100回は見せてあげたいくらい!! 本当にもう自慢の妹よ!!」
マリルリ君にも100回は見せてあげたいくらい!! 本当にもう自慢の妹よ!!」
ブースター
「妹の話になるとつい夢中になっちゃって。でも本当にかわいくて強いくて……、そう、私なんかより、ずっと……」
マリルリは一瞬驚いた。あんなに明るかった彼女の表情にフッっと影が差したように暗くなったから。しかし、すぐに表情は元に戻っていた。
マリルリ
「ブースターさん?」
ブースター
「あ、ごめんマリルリ君! 本当にシスコンも大概にしとかないと!!」
マリルリ
(なんだ、気のせいか)
ブースター
「あ、そういえば朝ごはんまだだったけ……」
マリルリ
「あ、そういえば」
ブースター
「ごめんね長話にすっかりつき合わせちゃって。ね、マリルリ君。朝ご飯一緒に食べに行こうか! 食堂まで案内するね」
マリルリがブースターの案内で食堂へと向かう。軽やかな足取りと元気な笑顔。
やはり先ほどの表情は見間違い、または単なる光の加減で暗く見えたのだと考え深く気には留めなかった。
食堂へと向かう途中、トリトドンに会った。
やはり先ほどの表情は見間違い、または単なる光の加減で暗く見えたのだと考え深く気には留めなかった。
食堂へと向かう途中、トリトドンに会った。
マリルリ
「あ、トリトドンさん」
トリトドン
「ぽにょでいいです~。というかぽにょと呼んで欲しいです~。ぽにょはこの名前が気に入ってます~♪」
マリルリ
「あ、はい……、ぽにょさん……」
トリトドン
「朝ご飯ですか~? ぽにょもご一緒します~」
ブースター
「うん。三人で一緒に行こ!」
――が。
マリルリ
(お、遅い……)
とにかく遅い。なにしろこちらの歩く速度より遅いのだ。それでもトリトドンは二匹に追いつこうと歩く……、いや、這っている。
トリトドン
「うーん、今日はスピードのノリがいまひとつなのです~。二人ともぽにょに構わず先に行くのです~」
ブースター
「う、うん。ごめんねぽにょちゃん」
トリトドン
「後から追い掛けるです~」
手を振って見送るトリトドンを残し二匹は食堂へと向かった。
マリルリ
「あの、ぽにょさんって歩く速度が日によって変わるんですか? ノリって……」
ブースター
「うん。今日は調子悪いみたいね」
マリルリ
「はあ……」
よくわからないが、本人がそういうならそうなのだろう。気にしないことにした。
トリトドン
「よいしょ、よいしょ~」