まとめwiki ~ 「♀29匹のボックスに♂1匹を入れてみた」

06話 - ゆけっ! けっし!

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f29m1

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「毎日毎日、ぼくらはつりびとの~。マツオと戦って、や~になっちゃうよ~」
「なんだそれ」
「お前が歌ってたんだろーが。昨日。がんばって覚えたんだよ、おかげでヘドロばくだん忘れちまったよ。まあひとつだけ覚えてりゃいいけどな。マタタタタ!」
「マタタタ、そうだな」
「お? おまえなんか変わった?」
「いいや。今まで勘違いをしていただけさ」
 そう、おれは勘違いをしていた。
 今まで、スターでなければ名前を呼んでなどもらえないと思っていた。だが、そうじゃない。スターでなくとも、……いや、それも違う。
 おれも、あの♀ポケモンたちと同じ、スターだったんだ。
 おれだけじゃない。マタドガスの仲間たちだってスターだし、あのシンクロのラルトスだってそうだ。
 スターじゃないポケモンなんて、いないんだ。
 確かに、スポットライトを浴びるのは試合で活躍したポケモンだけだ。
 特にアタッカーには賛美の光が当たるが、その勝利も、バトンタッチやステルスロック等、サポート役のポケモンがいてこそだろう。
 それと同じことだ。試合の外でも、サポート役のポケモンはたくさんいる。
 シンクロで仲間を集め、マグマのよろいでドラフトを進め、せいでんきを利用してきそポイントを鍛えて……、だいばくはつで経験値を稼ぐ。
 そうしたみんなの協力あってこその、栄光なんだ。
 憧れる必要なんてない。おれはすでに、みんなと同じように活躍していたんだ。ナウかったんだ。
 バトルフロンティアじゃない、この222ばんどうろが、おれの晴れ舞台なんだ。
 今日の手持ちには――ミミロル。昨日の子だ。
 昨日は悪かったな。だが安心しな、すぐにレベルアップさせてやるさ。
 おれは楽しみだった。この子が活躍するのが。タワーを登るのが、ステージに立つのが、ルーレットを制するのが、楽しみだった。
 おまもりこばんを落とさないようにしっかりと抱えた。
 このおまもりこばんの力が、いずれ誰かのとんぼがえりやれいとうビームになるんだ、と思いながら。
 まあ、別荘の家具になるかもしれんけどな。マタタタタ。

 ゆけっ! けっし!

 あいてのギャラドスのこおりのキバ!

 けっしの――だいばくはつ!

(オシマイ)
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