まとめwiki ~ 「♀29匹のボックスに♂1匹を入れてみた」
05話 - それぞれの活躍
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f29m1
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見つかりにくい場所を探し出して、おれはそこで休んでいた。
身体を薄く保っておくのも疲れる。ここなら力を抜いて、いつもの姿でいられるだろう。
しかも時刻は深夜、夜行性のやつら以外は寝ているはずだ。ここには誰も来ない。
と思っていたら足音が近づいてきた。
やばい。あわてて身体を霧状にする。
足音の正体は、リーフィアだった。ジーランスも一緒にいる。
どういうことだ。おれをどうするつもりだ。……いや、このままでいれば見つかりっこない。限界まで身体を薄くしているのだ。伝わらないかもしれないが、人間で言えば、頭とつま先がくっつくほどのエビ反りをしているようなものだ。かなりつらい。
「わぁー」
いきなりリーフィアが飛び込んできた。
「ぐえ」エビ反りの最中にへそをくすぐられたような感じになって、おれは思わず身体を現してしまった。
「おま、なにすんだ。なぜおれの場所がわかった」
「その声、やっぱりけっしさんだぁ」
「は?」
「ナッパのこと覚えてないの?」リーフィアはいたずらっぽい目で訊いてくる。
「いや、おれはドラゴンボールはあまり……」おれは言ってから気づいた。そういえばナッパという名前のリーフィアが、いつかの大爆発のとき横にいた気がする。
「彼女はしんりょくポケモンだからな。空気の汚れてるところはわかるのさ」
そう言ったのはジーランスだった。こいつも確か、大爆発の横にいた。名前はええと、モロハだったか。
「ねぇ、けっしさんに見せたいのがあるの! ほら!」
ナッパが見せてきたのは、彼女の持っているリボンのひとつだった。
「しょんぼリボン?」
「あっ、ちがうちがう、こっちだった」
それは、荘厳なまでに美しいアビリティリボンだった。
「これね、こないだのタワーでもらったの! モロハちゃんもおんなじの持ってるんだよ」
ナッパの笑顔は見ているこっちまで微笑みたくなるものだったが、おれは笑わなかった。
「そうか。よかったな」そんなもんおれに見せてどうするんだ、と言いかける。
意に介さず、ナッパはさらに続けた。
「だからね、けっしさんにお礼が言いたかったんだ!」
「は……?」
「だってね、私ね、はっぱカッターしか使えなかったんだけど、けっしさんたちのおかげでリーフブレード使えるようになったんだよ?
それでね、こないだね、リーフブレードがあいてのドサイドンの急所に当たったの!」
「あのサイ、股間押さえて悶絶してたな」
モロハが言うと、ナッパが彼女の胸ビレを引っ張った。
「モロハちゃんも言わなきゃだめだよ。そのために夜中まで待ったんでしょ」
「ん。うむ」
モロハは岩のような顔をさらに堅くして、おれに言った。
「お前たちには、その、面倒を見てもらったというか、な。もろはのずつきを習得できたのは、私の実力によるところも大きいが、お前たちの功績でないとも言い切れなく。うん。というか、その、別に私は……」
「もう、いじっぱりなんだから。ちゃんと言って」
「う、む。けっしよ。つまり私が言いたいのは、その、……ありがとう、と、言うことだ。うん」
「……」
おれは、
……そうか、おれは、今まで……。
やっと気づいたそのとき、身体全体が引っ張られるような感覚に陥った。
わかる。これは呼び出しだ。主人がおれを手持ちに入れようとしているのだ。
「あっ、けっしさん、いっちゃうの?」
ナッパが寂しそうな顔をする。
心なしかモロハも、残念がっているように見えた。
「すまん。どうやら仕事みたいだ」
全身がデータに変換されてゆく。と思ったときにはすでに身体の一部がケーブルへと向かっていた。
「おれも、あんたたちに礼を言わなきゃな」
その声が届いたかどうかはわからない。言ったときにはもうケーブルの中だった。ただ、おれの耳はしっかりと声を拾った。
「バイバイ! けっしさん、バイバイ! けっしさん! けっしさん!」
「また来な、……けっし!」
あいつらは、おれの名前を叫んでくれたんだ。
身体を薄く保っておくのも疲れる。ここなら力を抜いて、いつもの姿でいられるだろう。
しかも時刻は深夜、夜行性のやつら以外は寝ているはずだ。ここには誰も来ない。
と思っていたら足音が近づいてきた。
やばい。あわてて身体を霧状にする。
足音の正体は、リーフィアだった。ジーランスも一緒にいる。
どういうことだ。おれをどうするつもりだ。……いや、このままでいれば見つかりっこない。限界まで身体を薄くしているのだ。伝わらないかもしれないが、人間で言えば、頭とつま先がくっつくほどのエビ反りをしているようなものだ。かなりつらい。
「わぁー」
いきなりリーフィアが飛び込んできた。
「ぐえ」エビ反りの最中にへそをくすぐられたような感じになって、おれは思わず身体を現してしまった。
「おま、なにすんだ。なぜおれの場所がわかった」
「その声、やっぱりけっしさんだぁ」
「は?」
「ナッパのこと覚えてないの?」リーフィアはいたずらっぽい目で訊いてくる。
「いや、おれはドラゴンボールはあまり……」おれは言ってから気づいた。そういえばナッパという名前のリーフィアが、いつかの大爆発のとき横にいた気がする。
「彼女はしんりょくポケモンだからな。空気の汚れてるところはわかるのさ」
そう言ったのはジーランスだった。こいつも確か、大爆発の横にいた。名前はええと、モロハだったか。
「ねぇ、けっしさんに見せたいのがあるの! ほら!」
ナッパが見せてきたのは、彼女の持っているリボンのひとつだった。
「しょんぼリボン?」
「あっ、ちがうちがう、こっちだった」
それは、荘厳なまでに美しいアビリティリボンだった。
「これね、こないだのタワーでもらったの! モロハちゃんもおんなじの持ってるんだよ」
ナッパの笑顔は見ているこっちまで微笑みたくなるものだったが、おれは笑わなかった。
「そうか。よかったな」そんなもんおれに見せてどうするんだ、と言いかける。
意に介さず、ナッパはさらに続けた。
「だからね、けっしさんにお礼が言いたかったんだ!」
「は……?」
「だってね、私ね、はっぱカッターしか使えなかったんだけど、けっしさんたちのおかげでリーフブレード使えるようになったんだよ?
それでね、こないだね、リーフブレードがあいてのドサイドンの急所に当たったの!」
「あのサイ、股間押さえて悶絶してたな」
モロハが言うと、ナッパが彼女の胸ビレを引っ張った。
「モロハちゃんも言わなきゃだめだよ。そのために夜中まで待ったんでしょ」
「ん。うむ」
モロハは岩のような顔をさらに堅くして、おれに言った。
「お前たちには、その、面倒を見てもらったというか、な。もろはのずつきを習得できたのは、私の実力によるところも大きいが、お前たちの功績でないとも言い切れなく。うん。というか、その、別に私は……」
「もう、いじっぱりなんだから。ちゃんと言って」
「う、む。けっしよ。つまり私が言いたいのは、その、……ありがとう、と、言うことだ。うん」
「……」
おれは、
……そうか、おれは、今まで……。
やっと気づいたそのとき、身体全体が引っ張られるような感覚に陥った。
わかる。これは呼び出しだ。主人がおれを手持ちに入れようとしているのだ。
「あっ、けっしさん、いっちゃうの?」
ナッパが寂しそうな顔をする。
心なしかモロハも、残念がっているように見えた。
「すまん。どうやら仕事みたいだ」
全身がデータに変換されてゆく。と思ったときにはすでに身体の一部がケーブルへと向かっていた。
「おれも、あんたたちに礼を言わなきゃな」
その声が届いたかどうかはわからない。言ったときにはもうケーブルの中だった。ただ、おれの耳はしっかりと声を拾った。
「バイバイ! けっしさん、バイバイ! けっしさん! けっしさん!」
「また来な、……けっし!」
あいつらは、おれの名前を叫んでくれたんだ。