まとめwiki ~ 「♀29匹のボックスに♂1匹を入れてみた」
11話 - 1号室のポケモンたちとヘラクロスの秘密
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f29m1
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マリルリがチャイムを鳴らすとドアが開きハピナスが出迎えた。
マリルリ
「あ、どうも初めまして」
ハピナス
「まあ新人君。どうしたの? 何かご用かしら?」
マリルリ
「ええまあ。ムクホークさんに勧められて挨拶回りに……」
ハピナス
「まあそうだったの」
ニドクイン
「あらマリルリ君じゃない。そんなとこに立ってないで入って入って!」
マリルリ
「それじゃあ、お邪魔しまーす」
部屋にはハピナス、ニドクイン、ガルーラ、ミルタンク、ミノマダムがいた。マリルリも混ざってぐるっと輪になって座ってる。
ガルーラ
「さ、なんか聞きたいことはあるかい? おばちゃん達が何でも答えてあげるよ!」
子ガルーラ
「るよー!」
ドンと胸を叩いて威勢よく答えるガルーラ。袋に入っている子供のガルーラが真似して自分も胸をはたく。
ミルタンク
「やあねガルーラ、『おばちゃん』じゃなくて『お姉さん』でしょ?」
ニドクイン
「まあミルとハピはまだお姉さんで通じるかもね」
ハピナス
「あら? まだとは失礼ね!」
ミノマダム
「それって私はおばちゃんグループに含まれているってことかしら?」
ガルーラ
「そりゃアンタ旦那も子供もいるのに『お姉さん』はないでしょーよ!」
子ガルーラ
「しょーよ!」
マリルリ
(凄い勢いだなあ。でも何だか楽しそう)
「えーと、皆さんはこのボックスの初期メンバーだと聞いたんですが……」
「えーと、皆さんはこのボックスの初期メンバーだと聞いたんですが……」
ニドクイン
「まあね。そもそもこのボックスの作られた最初の目的は、私達みたいに種族として♀だけのポケモンを集めるためだったのね」
ミルタンク
「ところが問題がありまして」
マリルリ
「問題?」
ハピナス
「進化形態を全部合わせても♀のみのポケモンが30種類に満たない事にご主人様が気付いたのよ」
ガルーラ
「というか、普通最初に気付くわよねー。おかげでこのボックスは企画倒れって事になったわけ」
ミノマダム
「それからは他のボックスから流れて来たポケモン達が来るようになったのよ。空きが無くなったとか、途中で育て方を変えた、あるいは予定が変わったポケモンなんかがね。そんなある時、トレーナーがボックス名にちなんで♀ポケモンだけを一つにボックスにまとめよう、と思って今の形になった。そういう訳よ」
マリルリ
「なるほど」
きっと『♀だけのボックス作ったらおもしろくね?』とか言い出して作ったのだと容易に想像がつく。
ハピナス
「あらやだ! せっかく来てくれてるのに私ったら何も出さずに……。今、お菓子用意するわね。オレンのジュースでいいかしら?」
マリルリ
「はい」
初期メンバーとしての貫禄なのか他の♀ポケモン達に萎縮していたマリルリも彼女達の前ではリラックスしている。
オレンジュースを飲みながら部屋の皆と楽しく談笑した。
オレンジュースを飲みながら部屋の皆と楽しく談笑した。
ミノマダム
「うちの子は最近やっとめざめるパワーを覚えたみたいよ。トレーナーさんの所で元気にしているかしら」
ニドクイン
「あらいいわね。私の所はまだ進化をしてないみたいよ」
ミノマダム
「確かニドちゃんの所は男の子と女の子だったわよね。今頃トレーナーが地下通路で石を掘っているのかも」
マリルリ
「ああ、なんか今はテッカニンを育てるつもりみたいですよ。でも進化の石は結構持ってたようです。
ちなみにヌケニンも欲しいからってことで僕が抜けました。あ、別に関係ない話でしたね」
ちなみにヌケニンも欲しいからってことで僕が抜けました。あ、別に関係ない話でしたね」
ふとハピナスがマリルリの顔を見つめる。
マリルリ
「どうかしましたか? ハ! もしかして朝に食べた海草フーズのカケラが口についているとか……」
慌てて口をぬぐうマリルリにハピナスがクスリと笑う。
ハピナス
「違うわよマリルリ君。ちょっとね、あなた野生じゃなくてタマゴ生まれなんんじゃないかしら? と思ってね」
マリルリ
「え? ええ、そうですよ。どうしてわかったんですか?」
ハピナス
「雰囲気で、ね。私もタマゴ生まれなのよ。ヨスガシティで私のタマゴをもらったそうよ」
ニドクイン
「タマゴから育ったポケモンにとって、トレーナーは三人目の親なのよね」
ハピナス
「私は昔ピンプクだったわ。あなたはルリリ? それともマリルかしら?」
マリルリ
「さあ……? 割とすぐにマリルリに進化したみたいなので多分マリルかと思いますが……」
ニドクイン
「あら、あやふやね?」
マリルリ
「実は進化前の頃ってあんまり覚えてないんですよ。それに、両親もどんなポケモンかも……」
ハピナス
「まあ、そうなの……?」
マリルリは俯きながら答える。
マリルリ
「トレーナーは三人目の親、確かにそうなんですけど時々不安になります。僕は本当に必要とされているのかな、って」
ガルーラ
「……似ているわね、ピチューちゃんと」
マリルリ
「え?」
ミノマダム
「あの子の親は両方ともピカチュウだって話は聞いてはいるんだけどね。ただあの子自身は生まれてすぐここに預けられたから両親の顔を覚えてないみたいなのよ」
ミルタンク
「それにここに来てから一度も外に出たことが無くてね。
だからあの子、外に出入りする他のポケモンやあなたみたいに外から来たポケモンに反発するみたいなのよね」
だからあの子、外に出入りする他のポケモンやあなたみたいに外から来たポケモンに反発するみたいなのよね」
マリルリ
「そうだったんですか……」
――どっかの馬鹿は地雷踏むし。
ふとチャーレムの言葉を思い出した。あの時の話は以前このボックスにいたといいうイルミーゼとバルビートの話。
確かに、地雷かもしれない。
確かに、地雷かもしれない。
ニドクイン
「でも普段はとってもいい子なのよ! お掃除を手伝ってくれたり、ちびガルちゃんと遊んでくれたり」
子ガルーラ
「ぴちゅーねーたん、しゅきー♪」
ミノマダム
「やだ、なんだかしんみりしちゃったわね。ほらほらマリルリ君もそんな深刻な顔しないの。
あの子も案外気にしてないみたいだし。そんな顔してると耳折れるわよ。ぐりんぐりんになってスクリューになるわよ」
あの子も案外気にしてないみたいだし。そんな顔してると耳折れるわよ。ぐりんぐりんになってスクリューになるわよ」
マリルリ
「す、スクリュー? しかも折れるんですか?」
ミルタンク
「やあね、妙なこと言っちゃって」
ミノマダム
「あらやだ。ダンナのが移ったのかしら」
マリルリ
「あははは。面白いことを言う御主人なんですね」
(……あれ? でもこのフレーズどっかで聞いたような)
(……あれ? でもこのフレーズどっかで聞いたような)
ミノマダム
「マリルリ君は外から来たから会った事あるかしら。うちのダンナ、ヘラクロスなんだけどね」
マリルリは口につけていたグラスから盛大にジュースを噴き出してしまった。
ミルタンク
「だ、大丈夫?」
マリルリ
「え、ええ……。ちょっと繊維が喉に張り付いてジュースが……。んで、で、ミノマダムさん、ヘラクロス、ですか?
あの、かわら割りとストーンエッジが特技の、オボンの実50個早食いが自慢のヘラクロスですか!?」
あの、かわら割りとストーンエッジが特技の、オボンの実50個早食いが自慢のヘラクロスですか!?」
ミノマダム
「ええ、そのヘラクロスね。育て屋さんでお見合い結婚って言うのかしら、この場合」
ガルーラ
「またまた~。お互い一目で気に入ってラブラブだったくせに~♪」
ニドクイン
「かわいいミノムッチちゃんが3匹もいるのよね~。この万年新婚バカップル♪」
ミノマダムをからかっているをよそに、マリルリは放心状態になっていた。
――な、なんということだ……! まさかヘラクロスが妻子持ちだったなんて!!
トロピウスと3匹でモテないブラザーズを結成してたのに! あの夕日に誓いをしたのは嘘だったなんて!!
突如、怒りと悲しみに満ち溢れたマリルリが叫ぶ!
トロピウスと3匹でモテないブラザーズを結成してたのに! あの夕日に誓いをしたのは嘘だったなんて!!
突如、怒りと悲しみに満ち溢れたマリルリが叫ぶ!
マリルリ
「謀ったな孔明!!」
ハピナス
「ほ、本当に大丈夫?」
マリルリ
「いえ……、ちょっと以前トレーナーと見た『漫画で読む三国志』がフラッシュバックして……。あの、お邪魔しますた」
ニドクイン
「あら、もう行くの?」
マリルリ
「はい、ええ。そうですね。次の部屋にお歳暮タオルとハムを準備しないと……」
我に返ったマリルリは気を落ち着け、しかし落ち着いてはおらず、適当にごまかして部屋を後にした。
ガルーラ
「もう少しいてもいいのに……。そういえばビークインは?」
ミルタンク
「あら本当。いない事に気づかなかったわ」
ニドクイン
「ちょっと心配ね。あの子マリルリ君みたいな子、好みそうだし。種族も老若男女も問わずにホイホイいっちゃうから」
マリルリが去った後にこんな会話がされていたとも知らず、マリルリは突然の友の裏切り(?)に打ちひしがれていた。
マリルリ
「ブルータス、お前もか……」