まとめwiki ~ 「♀29匹のボックスに♂1匹を入れてみた」

01話 - ゲンガー、ボックスへ行く

最終更新:

f29m1

- view
管理者のみ編集可
 ある家の二階の寝室で、13~14くらいの少年が、ベッドの上で頭を抱えて、ブツブツブツブツ何かひとりごとをいっている。

トレーナー
「まずいな……、まさかの大スランプだ……。一体俺はどうすれば……」

 トレーナーのジュンは、今まさにスランプ状態に陥っていた。
 彼は、相手ポケモンの動き、特性、能力、クセといったステータスを素早く見抜き、それを利用して相手の裏をかいた作戦を考えるのが、彼が最も得意としていた戦法なのだが、最近はこれとして全く見抜けないといったところである。
 時間だけが過ぎる中、何か思いついたのか、ついにジュンは重い腰をあげた。

ジュン
「そうだ! もう一度初心に帰って旅に出よう!」

 彼の目は、強い決意と決心の炎で、メラメラと燃えあがっていた。



 >次の日の朝、ジュンの家玄関

 まだ早朝だというのに、玄関では靴ひもを結びながら、母親と話をしているジュンの姿があった

ジュン
「それじゃあ母さん、行ってきます!」
お母さん
「気をつけていくのよ」
ジュン
「分かってるよ!」

 ジュンは笑顔で母親の言葉に答えると、静かに扉を開いて、外の世界へと吸い込まれていった。
 こうして、二回目ではあるが、ジュンの旅が始まったのであった。



 >ジュンの部屋

 誰かがジュンの部屋に入ってきた。ジュンの母親のようだ。

お母さん
「あの子がまた旅に出るなんて……。寂しくなるわ……。……あら?」

 ジュンの母親は、部屋の隅に、モンスターボールがひとつ落ちていることに気がついた。

お母さん
「あの子ったら、モンスターボールを片付けるのを忘れていくなんて……」

 ジュンの母は、そのモンスターボールをやさしく拾い、そして、すぐ近くにあったジュンのパソコンの電源を入れた。
 ジュンのパソコンのボックスに、モンスターボールを入れておけば、ジュンが後で他のパソコンを使って、彼のパソコンに接続すれば、いつでもボックスのモンスターボールの取り出すことが可能なわけである。

お母さん
「でも、どのボックスに入れておけばいいのかしら? このゲンガー……」

 ジュンの母親は、パソコンの画面の前に置いたモンスターボールを見つめながらいった。
 そのモンスターボールには、『ゲンガー』というシールが貼られており、ジュンが区別しやすいように貼ったものなのであろう。

お母さん
「まあ、分かりやすいように、一番上のボックスに入れておけば良いわよね?」

 そう言ってジュンの母親は、一番上のボックスにゲンガー入りのモンスターボールを転送した。

お母さん
「これで大丈夫ね。ジュンが電話してきたら、このことを教えておかないとね」

 そういうと、ジュンの母親は、パソコンの電源を切り、静かに部屋を出て行った。

 しかし、ジュンの母親は重大なミスを犯してしまった。
 よく見ればよかったのだが、一番上のボックスには、♀が29匹も入っているのだ。
 ゲンガーは、"♀"ではなく"♂"である。つまり、♂1匹のゲンガーは、♀29匹のボックスのなかへ送られてしまったのだ。
ウィキ募集バナー