まとめwiki ~ 「♀29匹のボックスに♂1匹を入れてみた」

02話 - 7匹のポケモン

最終更新:

f29m1

- view
管理者のみ編集可
 >ボックス:入口側

ゲンガー
「ここは……?」

 ゲンガーが目を覚ましたとき、彼はもう、ジュンのボックスの中にいた。
 知っての通り、ゲンガー以外のボックス内には、29匹もの『♀』のポケモンがいるのだが、今のゲンガーがそんなことを知るよしもない。

ゲンガー
「真っ暗で何も見えねえな。明かりはどこだろう?」

 ゲンガーのいう通り、辺りは夜みたいに真っ暗で、全くといってもいいほど、何も見えない。
 というのは、普段、入口側に来るポケモンは滅多にいないので、電気は消されており、真っ暗な状態なのだ。

ゲンガー
(カンで進んでみるか……)

 とりあえず、ゲンガーは、カン頼みの手探りで、ボックス内を少しずつ、進んでいった。



 >ボックスの奥:リビング

 リビングでは、7匹のポケモンたちが、ちゃぶ台を中心に、円を描くように座っていた。
 手前から時計回りに『パチリス、キレイハナ、ロコン、ガーディ、デリバード、エネコ、コリンク』の順だった。
 もちろん、7匹とも全員『♀』である。
 そして、みんな♀なのだから、会話は楽しく、弾んでいるのではないか。と、思われそうだが、どうやらそうでもなさそうだ。
 7匹ともみんな、シーンと黙って、退屈そうな顔をしている。

 一匹は、ボケーっと天井を見上げたり、
 ある一匹は、ちゃぶ台にあごをのせて、のんきに鼻歌を歌ったり、
 その隣の一匹はコックリ、コックリ、と頭が垂れては上げ、垂れては上げ、と眠たそうにしている。
 といった具合である。

 沈黙を破ったのはパチリスだった。

パチリス
「ハァー、暇だねー」
 しかし、その声は全くもって元気がなく、まさに暇を象徴したものであった。
キレイハナ
「そうねー」
 そういって虚ろな目で、天井を見上げるキレイハナ。
エネコ
「じゃあ、何かゲームでもしない?」
 この暗い雰囲気をなんとかしようと、エネコがそう提案してみるが
コリンク
「みんなやり尽くしちゃってつまんないよ……。ハァー」
 と、コリンクのやる気のない声で返された。

 また長い沈黙が続くなか、突然ガーディがピーンと耳を立てた。何かを察知したようだ。

ロコン
「どうしたんですか? ガーディさん」
 ガーディの変化にいち早く気づいたロコンが問うた。
ガーディ
「今何か、物音がしなかった?」
パチリス
「そうお?」
デリバード
「気のせいじゃない?」
キレイハナ
「デリバードのいう通りよ。リビングには、私たち以外、誰もいないじゃない」

 確かに、キレイハナのいう通り、リビングには7匹以外、誰もいない。
 そうは分かっていても、ガーディは神経を研ぎ澄まして、どこから音がきこえてくるか探ろうと、耳に意識を集中する。
 微かではあるが、確かに物音がする。それも、少しずつ大きくなってくる。
 どうやら、音はボックス入口に繋がるドアの方からきこえてくるようだ。

ガーディ
「誰かこっちに来るわ」
パチリス
「今あたしにもきこえた!」
コリンク
「ホントだ! 音がきこえる!」

 パチリスとコリンクが興奮していった。

デリバード
「でも……、いったい誰かしら?」

 デリバードの疑問に、7匹は頭を悩ませた。
 普段は、入口の方に行くポケモンなんてそう滅多にいない。
 では、いったいこの物音はなんだろう?

 7匹みんなが考えるなか、解決策を出したのはキレイハナだった。

キレイハナ
「ねえ、ロコン。このボックスって、あと何匹入るんだっけ?」
ロコン
「確か……、現在ボックスにいるのは、私たち含めて29匹ですから……。つまり……」
divclass プラグインエラー : class名は半角英数字で入力してください。
divclass プラグインエラー : class名は半角英数字で入力してください。
  &エネコ
「つまり?」

 と、3匹は胸を踊らせて、ロコンの答えを待ち望んだ。

ロコン
「30匹目のポケモンが、ここに来るということです」
みんな
「30匹目のポケモンがここに!?」

 みんなが顔を見合わせたとき、ガチャッ、っと、入口側に繋がるドアのドアノブが回る音がきこえた。
 みんなが、ドア一点に集中するなか、静かにドアは開かれた。
ウィキ募集バナー