戦士には覚悟を 少女には黒の―― ◆FbzPVNOXDo
「春香姉さまー! 何処ですかー!! それと夏奈も居たら返事をしろー!!」
殺し合いに巻き込まれた南千秋は、一先ず自分の姉妹を探していた。
この状況で、わざわざ大声を張り上げて探すのは、非常に危険な行為である事は間違いない。
普段の千秋ならこんな軽はずみな行動を取りはしない。しかし、事態が事態だ。
今の千秋は非常に焦っていた。自分はおろか、大切な姉妹を全員殺されるかもしれない恐怖。
それが千秋の冷静な判断能力を奪い、結果として――。
この状況で、わざわざ大声を張り上げて探すのは、非常に危険な行為である事は間違いない。
普段の千秋ならこんな軽はずみな行動を取りはしない。しかし、事態が事態だ。
今の千秋は非常に焦っていた。自分はおろか、大切な姉妹を全員殺されるかもしれない恐怖。
それが千秋の冷静な判断能力を奪い、結果として――。
「――え?」
運悪く、他の参加者に襲われてしまった。
千秋の頭部に軽く手刀を放ち、気絶させたのは、ジャック・ハンマー。
恐らく、この殺し合いの場ではトップクラスに入るであろう実力の持ち主である。
そんなジャックだが、彼も千秋と同じ様に非常に焦っていた。
ここで一つ述べておくが、決してジャックは精神が弱いわけでは無い。寧ろその精神は異常なまでの強靭さを誇ることだろう。
でなければ一日30時間という矛盾であり、拷問にも等しいトレーニングや、様々な薬剤を使用した肉体改造に耐え切ることなど出来なかった。
それほどのジャックが焦っている理由はただ一つ。それは同じくこの場に呼ばれている、範馬勇次郎の存在。
この場で、どの参加者をも上回った圧倒的な強者。まさに地上最強の生物。それを越えるのがジャックの目標。
恐らく、この殺し合いの場ではトップクラスに入るであろう実力の持ち主である。
そんなジャックだが、彼も千秋と同じ様に非常に焦っていた。
ここで一つ述べておくが、決してジャックは精神が弱いわけでは無い。寧ろその精神は異常なまでの強靭さを誇ることだろう。
でなければ一日30時間という矛盾であり、拷問にも等しいトレーニングや、様々な薬剤を使用した肉体改造に耐え切ることなど出来なかった。
それほどのジャックが焦っている理由はただ一つ。それは同じくこの場に呼ばれている、範馬勇次郎の存在。
この場で、どの参加者をも上回った圧倒的な強者。まさに地上最強の生物。それを越えるのがジャックの目標。
だが、如何せん早すぎた。今の実力では勇次郎には到底及ばない。
いずれは戦うべき最大の敵。だが、今はまだ戦うべきではない。
しかし、この殺し合いの中では、どんなに長くとも二日目には勇次郎と対峙し戦わねばならない。
それが出来なければ“死”あるのみ。仮に戦いを挑んだとしても勝てずに死ぬだけだ。
否、それは殺し合いに乗らなければの話。いくらジャックと言えども、戦いを望まぬ者。
ましてや、戦いに身を委ねたことも無い一般人に、手を出すつもりは毛頭無い。
だが、もう時間が無いのだ。決戦の時は刻一刻と迫ってきている。
もしかしたら、明日には勇次郎と対峙しているかもしれない。いや後一分後には、勇次郎が眼前に立っているかも知れない。
最早、手段は選んでいられまい。この、最長でも二日間の中で勇次郎を越えるしか無い。
では、具体的にどうするのか。呑気にトレーニングをしても、二日間という時間の中では、あまりにも無意味に等しい。
いずれは戦うべき最大の敵。だが、今はまだ戦うべきではない。
しかし、この殺し合いの中では、どんなに長くとも二日目には勇次郎と対峙し戦わねばならない。
それが出来なければ“死”あるのみ。仮に戦いを挑んだとしても勝てずに死ぬだけだ。
否、それは殺し合いに乗らなければの話。いくらジャックと言えども、戦いを望まぬ者。
ましてや、戦いに身を委ねたことも無い一般人に、手を出すつもりは毛頭無い。
だが、もう時間が無いのだ。決戦の時は刻一刻と迫ってきている。
もしかしたら、明日には勇次郎と対峙しているかもしれない。いや後一分後には、勇次郎が眼前に立っているかも知れない。
最早、手段は選んでいられまい。この、最長でも二日間の中で勇次郎を越えるしか無い。
では、具体的にどうするのか。呑気にトレーニングをしても、二日間という時間の中では、あまりにも無意味に等しい。
そこで実戦を学ぶには、実戦から学ぶのが一番手っ取り早い。と、ジャックは考えた。
「――起きロ」
意識を失っていた千秋が、何者かの声で徐々に覚醒していく。
眼前には自分の体の何倍ものガタイをした大男が立っていた。
眼前には自分の体の何倍ものガタイをした大男が立っていた。
「あれ、あなたは?」
痛む頭を擦りながら、千秋はジャックにそう尋ねた。
まだ頭がちゃんと回らないのか、どうも何が起こったのか分からない。
対するジャックはというと、支給されていた拡声器を取り出して使い方を確認していた。
まだ頭がちゃんと回らないのか、どうも何が起こったのか分からない。
対するジャックはというと、支給されていた拡声器を取り出して使い方を確認していた。
「名前ハ?」
「私の?」
「そうダ」
「えっと……。み、南千秋……」
「私の?」
「そうダ」
「えっと……。み、南千秋……」
ジャックの気迫に押されてしまったのか、千秋はあっさりと名前を言ってしまった。
そして千秋から名前を聞きだしたジャックは、拡声器のスイッチをONにするとそれを口元にまで近づけ――。
そして千秋から名前を聞きだしたジャックは、拡声器のスイッチをONにするとそれを口元にまで近づけ――。
『聞こえるカッ 殺し合いに呼ばれた参加者達ッッ』
耳が張り裂けるほどの大声で叫んだ。
『俺の名はジャック・ハンマーッ 突然だが今から貴様らに予告ダッ これからッこの島に居る全員を俺は皆殺しにスル!!!』
その言葉を聞き、千秋は我に帰った。
今あの男は、殺し合いに乗るといった。つまりそれは、この場に居れば必ずあの男に殺されるという事。
千秋は何かを考えるよりも、本能に従いその場から逃走を図ろうと走る。
今あの男は、殺し合いに乗るといった。つまりそれは、この場に居れば必ずあの男に殺されるという事。
千秋は何かを考えるよりも、本能に従いその場から逃走を図ろうと走る。
『!!? ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!』
だが一瞬でそれは千秋への絶叫へと変わった。
見れば千秋の前には、一瞬の内に強靭な脚力で先回りしたジャックが立っており、拡声器を持っていないもう片方の手には五つの爪が握られていた。
ほんの数秒の間に、ジャックは千秋の右手の爪を五枚も剥がしたのだ。
そして千秋の悲鳴は拡声器を伝わり更に広範囲へと広がった。
見れば千秋の前には、一瞬の内に強靭な脚力で先回りしたジャックが立っており、拡声器を持っていないもう片方の手には五つの爪が握られていた。
ほんの数秒の間に、ジャックは千秋の右手の爪を五枚も剥がしたのだ。
そして千秋の悲鳴は拡声器を伝わり更に広範囲へと広がった。
『この悲鳴が聞こえたカ? 今ッ南千秋という少女の右手の爪を五枚剥がしタ。 これから約十分後に彼女の右腕を切断スル。
更に二十分後には左腕を。その更に三十分後には右足を。四十分後には左足を。五十分後には首を。
この少女を助けたいと思う者ッ俺を家族から守りたい者ッ殺し合いの優勝を目指す者ッ今すぐにG-5黒神家へと来イ!
俺は、この少女の命のタイムリミット。 五十分が過ぎるまで、ここを離れナイ!
また十分後に誰も現れなかった場合、腕を切断された少女の悲鳴を聞かせル、以上ダッ』
更に二十分後には左腕を。その更に三十分後には右足を。四十分後には左足を。五十分後には首を。
この少女を助けたいと思う者ッ俺を家族から守りたい者ッ殺し合いの優勝を目指す者ッ今すぐにG-5黒神家へと来イ!
俺は、この少女の命のタイムリミット。 五十分が過ぎるまで、ここを離れナイ!
また十分後に誰も現れなかった場合、腕を切断された少女の悲鳴を聞かせル、以上ダッ』
ふぅ、と息を呑みジャックは拡声器のスイッチを切った。
これで自分へ挑みに来る参加者が現れるはずだ。
いわば千秋は参加者を寄せ集める為の、撒き餌さのようなもの。
今の声を聞いた者で、尚且つ正義感が強く実力に自信があるものは、必ずやこの黒神家にやってくる。
それでなくてもあれほどの大声をあげれば、参加者の一人や二人は必ずや現れる。
実戦から学ぶのが一番手っ取り早い。と、考えたジャックは殺し合いに乗る事にした。
その為に拡声器を使用し、他の参加者へと呼びかけた。もう時間は無い。闘争に身を任せ自らの限界を超えるしか他無い。
これで自分へ挑みに来る参加者が現れるはずだ。
いわば千秋は参加者を寄せ集める為の、撒き餌さのようなもの。
今の声を聞いた者で、尚且つ正義感が強く実力に自信があるものは、必ずやこの黒神家にやってくる。
それでなくてもあれほどの大声をあげれば、参加者の一人や二人は必ずや現れる。
実戦から学ぶのが一番手っ取り早い。と、考えたジャックは殺し合いに乗る事にした。
その為に拡声器を使用し、他の参加者へと呼びかけた。もう時間は無い。闘争に身を任せ自らの限界を超えるしか他無い。
(早いナ、もう十分か)
拡声器を使い約数分、基本支給品にあった時計に目をやる。既に十分近くが経過していた。
千秋は逃げ出そうとするも腰を抜かしてしまったのか、まともに立ち上がることも出来ずに失禁までしている。
アンモニア臭が鼻を刺激し千秋の服に染みを作っていく。年頃の少女ならば失禁という羞恥を晒し、屈辱を感じていもおかしくは無い。
だが千秋の顔にはただ恐怖しか無かった。
千秋は逃げ出そうとするも腰を抜かしてしまったのか、まともに立ち上がることも出来ずに失禁までしている。
アンモニア臭が鼻を刺激し千秋の服に染みを作っていく。年頃の少女ならば失禁という羞恥を晒し、屈辱を感じていもおかしくは無い。
だが千秋の顔にはただ恐怖しか無かった。
あまり気分の良い物ではなかった。しかし、もう他に勇次郎に勝つ方法は思い浮かばない。
勇次郎という存在を知っているからこそ、ジャックは情けを――強さに拘る以外の全てを捨てる覚悟を決めた。
そうでなければ、あの最強の生物を越えることなど不可能なのだ。
勇次郎という存在を知っているからこそ、ジャックは情けを――強さに拘る以外の全てを捨てる覚悟を決めた。
そうでなければ、あの最強の生物を越えることなど不可能なのだ。
「あ、あ……い、や……」
ジャックの手が千秋の腕に触れた。これをただ力任せに引っ張れば、千秋の華奢な腕はまるで人形の様に壊れるだろう。
拡声器を千秋に口元に当てジャックは腕を引きちぎった。
拡声器を千秋に口元に当てジャックは腕を引きちぎった。
「――9分59秒、ギリギリセーフだよね?」
筈だった。
ジャックの前方より、黒い人影が見えてくる。
警戒をしつつ、ジャックはバックステップで千秋から離れた。
警戒をしつつ、ジャックはバックステップで千秋から離れた。
(人間……なのか?)
月の光に照らされ徐々に、その黒い人影の姿が見えてきた。
その体には生物の持つ血の通った部位が見えない。何らかの黒いアーマーに包まれている。
同じく顔もアーマーのマスクに遮られ、どんな表情をしているのかも分からない。
ジャックは眼前に居る存在は人間というより、寧ろSF映画等で見かけるロボットの様にも感じた。
その体には生物の持つ血の通った部位が見えない。何らかの黒いアーマーに包まれている。
同じく顔もアーマーのマスクに遮られ、どんな表情をしているのかも分からない。
ジャックは眼前に居る存在は人間というより、寧ろSF映画等で見かけるロボットの様にも感じた。
「大丈夫? 君が南千秋ちゃんだよね?」
ロボットが千秋に声を駆けた瞬間、その人型の黒いロボットの様な存在は千秋の元へ駆けた。
(――速い)
ジャック・ハンマーの動体視力を持ってしても、そう言わしめる程の速さ。
何よりジャックが注目したのは、その動き。気配を完全に断ち、即座に千秋の元へ移動した、その無駄の無く洗練された動き。
まさしく暗殺者というに相応しい美技。それにジャックは感動すら覚えていた。
何よりジャックが注目したのは、その動き。気配を完全に断ち、即座に千秋の元へ移動した、その無駄の無く洗練された動き。
まさしく暗殺者というに相応しい美技。それにジャックは感動すら覚えていた。
「た、助けて……」
「うん、助けに来たよ。立てる?」
「うん、助けに来たよ。立てる?」
あまりの速さに驚いたものの千秋は、そのロボットの差し出した手を取り、何とか立ち上がる。
「――千秋ちゃん、お願いがあるんだ。もしここから逃げて乱崎って苗字の人に会ったら。僕、乱崎雹霞が探してたよって伝えておいて欲しいんだ」
「え?」
「多分、ここから逃げ切れるのは君だけだから。本当は自分で行きたいけど、あの人はそうさせてくれないみたいだし」
「え?」
「多分、ここから逃げ切れるのは君だけだから。本当は自分で行きたいけど、あの人はそうさせてくれないみたいだし」
そう言い雹霞はジャックへと向き直る。
二人に間に漂うのは千秋が今まで感じたことの無い、鋭く突き刺さるような雰囲気。
なんにしろ千秋は、この場にはもう居れないと直感した。
二人に間に漂うのは千秋が今まで感じたことの無い、鋭く突き刺さるような雰囲気。
なんにしろ千秋は、この場にはもう居れないと直感した。
「あ、ありがとう。雹霞……」
一言。礼を言い千秋は痛む指先を押さえ走り出した。
【G-5 黒神家/ 一日目・深夜】
【南千秋@みなみけ】
[状態]:右指の爪を全て欠損、失禁したので服に染み、後頭部にたんこぶ、ジャックに恐怖、若干の混乱
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム品1~3
[思考・状況]基本:家族を探す。
1:ジャックから逃げる。
2:乱崎という苗字の人に会ったら雹霞の事を伝える。
[状態]:右指の爪を全て欠損、失禁したので服に染み、後頭部にたんこぶ、ジャックに恐怖、若干の混乱
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム品1~3
[思考・状況]基本:家族を探す。
1:ジャックから逃げる。
2:乱崎という苗字の人に会ったら雹霞の事を伝える。
【乱崎雹霞@狂乱家族日記】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム品1~3
[思考・状況]基本:殺し合いには乗らない。
1:ジャックを倒す。
2:家族を探す。
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム品1~3
[思考・状況]基本:殺し合いには乗らない。
1:ジャックを倒す。
2:家族を探す。
【ジャック・ハンマー@グラップラー刃牙】
[状態]:健康、殺し合いに乗る覚悟
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、拡声器、ランダム品0~2
[思考・状況]基本:勇次郎を越える為に殺し合いに乗る。
1:雹霞を倒す。
※拡声器の声が何処まで届いたかは、後の書き手さんにお任せします。
[状態]:健康、殺し合いに乗る覚悟
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、拡声器、ランダム品0~2
[思考・状況]基本:勇次郎を越える為に殺し合いに乗る。
1:雹霞を倒す。
※拡声器の声が何処まで届いたかは、後の書き手さんにお任せします。
| 012くじら、タラちゃんに出会う | 投下順 | 014:[[]] |
| 012くじら、タラちゃんに出会う | 時系列順 | 014:[[]] |
| 行動開始 | 南千秋 | [[]] |
| 行動開始 | 乱崎雹霞 | [[]] |
| 行動開始 | ジャック・ハンマー | [[]] |