「撃つのを躊躇したのか、暁美ほむら

時が静止している筈の世界で、男の声が響き渡った。
まさか、ほむらが咄嗟に声の方角へ銃口を向けた先に、神父の恰好をしたサーヴァント・ライダーが物影より現れる。
『入門』をしている。
二度あることは三度ある……否。
ウワサ通りならば『入門』なんてのは一つのアドバンテージでしかないのだろう。

魔法少女程度の時間停止が恰好な餌であって。
『入門』可能なサーヴァントは、ほむらの魔法を逆手に暴れ回ってる筈だ。
神父のライダーも、その一人。

………なのだが、彼からは敵意を感じられなかった。何故?
ほむらが以前、鉢合わせした怪盗・シャノワールとは別の雰囲気をどことなく漂わせている。
敵ではない?
もしかしたら―――

「私の事は『DIO』から聞かされている筈だ」

「………」

コツコツと接近する神父のライダー。
彼の歩みからは例え、銃弾を放たれても急所が絶対に逸らされる運命にある確信がある『凄み』がある。
DIO。セイヴァーの真名。
しかし、ほむらは銃を構え続け、降ろす素振りをしなかった。
神父のライダーが一旦歩みを止め、彼女と対話するに必要な距離感を保った。

ほむらの眼光。姿勢。
直接対面した事で神父のライダー・プッチは理解した。
不思議だが……レイチェル・ガードナーとよく似ている――
レイチェルは『ディエゴ』を信頼し、彼の為に何か為そうとする信念があったように。
暁美ほむらにも、黄金の精神とは対なす信念を感じられる。

ほむらは銃口を向けたまま、濁りある瞳で問う。

「一つ確認します。貴方はセイヴァーに何を齎すつもりですか」

「必要なことかね」

「確認だと、私は言いました。答えられませんか」

「……」

確認も何も無いに等しいが……暁美ほむらにとっては重要なのだろう。
彼女からして、プッチの存在を把握していても『初対面』も同然。信用足り得るかは怪しい。
プッチは迷いない瞳で答える。

「私は友として――『DIO』の天国への到達を実現させる」

ただそれだけを。
暁美ほむらは、静かに銃を降ろした。

「ありがとうございます。……『時の入門』を行うサーヴァントの警戒として、貴方の事はライダーと呼ばせて貰います」

「君が時を静止させるのにも運命を感じるが、他にも『入門』する敵がいると」

「怪盗シャノワール……ウワサでも聞いていると思われますが、彼もその一人です」

予想外な『入門者』にプッチも目を見開いた。
如何なる場所への侵入を可能にする怪盗。逸話ではそう語られている存在。
重要なのは――場所と侵入の範囲。
静止した時間。即ちそれは『支配された空間』……擬似的な固有結界という意味である。
ほむらは静かに話を続ける。

「私が言うのも、ですが……やはり英霊です。彼も相当な実力者。出会った際は気をつけて下さい」

「……ああ、そうしよう」

「そして、セイヴァーから貴方に対する伝言などは……私には託されていません。
 恐らく―――私はまだ、彼から信用されていないのだと思います」

信用がない。
少女は俯き気味に呟いた。皮肉にもプッチも理解ができる。
彼も『DIO』……ディエゴから完全な信用をされていない。
実際、マスターであるほむらの傍らに『DIO』は居ないようだ。
この状況、霊体化してたとしても、直ぐに解き、プッチと対面してくれる筈。

「暁美ほむら。君はDIOの天国への到達をどう思っている?」

プッチの尋ねに、ほむらは顔をあげた。
眼差しには芯があり、ハッキリと濁りなく言葉が紡がれる。

「信じています。セイヴァーは……天国への到達で私を、私達を救うと約束してくれました」

救う。
邪悪でありながらも、救世主たる英霊を信じた言葉。
ほむらが果たしてDIOの洗脳下に置かれているかは不明だが、彼女の信念を貫くのに『救済』が不可欠なのだろう。
全てに納得した事でプッチは告げる。

「良いだろう。ならば、暁美ほむら―――君は時の静止を利用し、この場から離れるのだ」

「…………!」






あっけなく情報を自ら明かした美樹さやかに、ライダー・ディエゴも納得した。
所謂、ソウルジェムの秘密だ。
偽善的な正義感を抱えるさやか故に、あえて情報を明かしたのだ、と。

魔法少女は魔法を使用すればソウルジェムが濁り。
さやか自身、負の感情でソウルジェムは濁ったと述べていた。
これはプッチが巴マミを観察した際、見られた現象と同じ。

そして……ソウルジェムが穢れ切った時。
殻を破って誕生するのは、世界に呪いを振りまく化物・魔女。
いづれ魔女に成り果てるからこそ、魔法少女……とは皮肉な呼び名である。夢も希望も無い。

『待て貴様!? そんな話、俺は知らんぞ!!?』

――と。
これまた騒がしい武器のセイバー・アヌビス神が突っ込む。
ソウルジェムの仕組みを把握していたが、穢れの情報や末路を知らなかったから……むしろ。
一番重要な問題を、あえて伏せたマスターに怒りを覚えるのは当たり前であった。
だが、さやかも感情的に反論した。

「デリカシーってのがあるだろ! 刀のあんたには共感できない心身の問題!!」

『馬鹿か! 穢れで死ぬ可能性もあるのは重要事項の一つだ! どうしてこう、貴様は肝心な部分を伏せるのだ――』

漫才じみた喧嘩が繰り広げられそうな場面で。
一滴、水を差してきた存在がいた。

「ねぇ……」

幽霊にでも呼びかけられたかと思うような小さな、無気力な少女の声に、さやかはドキリと身を跳ねる。
いつの間に、金髪の少女がさやかに近付いていた。
サーヴァント……じゃあない。状況的に、ディエゴのマスターだと察せる。
先ほどまでは、身を隠していたのだろう。

にしたって。
気配無く、初対面ながら不気味さを感じる少女は、多分さやかと年が近いと分かるものの。
嫌な印象を覚えてしまうほどだった。
少女が気迫に満ちた表情で、さやかに問い詰める。

「聖杯……聖杯、作れないの?」

「え」

「私、どうしても聖杯で叶えたい願いがあるの。聖杯『でしか』叶わないから」

「ちょ………ちょっと……」

「どうしたらいいの。聖杯がないと、私」

危機迫るものを与えられ、困惑するさやか。
夢を叶えたいレベルじゃあない。奇跡か魔法がなければ成し遂げられない願いを、さやかも抱いた事はある。
だけど。
『こんな感じ』だっただろうか? 必死になって、恐怖すら抱かせるほどの。
人によって違う筈だが。金髪の少女は、何となく――他とは違うものを感じた。

「あ……あたしも分からないよ!」

押されてさやかは咄嗟にこう返事をしてしまう。少女の気迫が、どこか静まった様に感じた。
便乗気味に、立て続けてさやかは言う。

「主催者の連中がなに考えているかも、本当に魔女的な化物が産まれるかも! だ、だからさ……」

「……………」

濁った瞳で睨まれたさやかは思わず。

―――う……なんなのコイツ……

嫌悪を内心で漏らしていた。少女の方には、それほど『凄み』がある。
困惑するさやかに助け船を出したのは、意外にもディエゴだった。
彼が「レイチェル」と呼びかけ、少女――レイチェルは落ち着いた風にさやかへの問いただしは止めた。
ディエゴは助けた訳じゃなく、レイチェルの行動に不満があったからだろう。
ぎこちない態度でさやかがディエゴに尋ねた。

「ねぇ。あんた、これからどうするつもり?」

「聖杯を手に入れる以外、何がある?」

裏切られた、という衝撃は微妙にあったものの。
それ以上にソウルジェムの秘密を承知で、方針を揺るがない姿勢に驚愕した形に近い。
目を丸くさせる魔法少女に、ディエゴは冷静に反論した。

「正しくは『サーヴァントの魂』を確保するのは止めない」

「あ、集めてどうすんのさ。使い道なんてないじゃない」

「そこの刀は説明しなかったか? サーヴァントは濃度の高い魔力で構成されている……魂だけの状態は膨大な魔力源でしかない」

主催者の説明。
もしくは、マスターたちの認知で語るならディエゴの説明通り。
膨大な魔力で『聖杯』という形にし、願いを叶える。

「つまり、相応の魔力があれば『願い』の実現は可能だ。あるいは魔力じゃあない『魂のエネルギー』でもな」

「意味わかんない……魔力とかエネルギーがあれば『奇跡』が起こせるの……?」

「お前も体験した筈だが? 胡散臭い小動物に願いを叶えて貰った原理と同じだ。
 そいつらが『どうやって』願いを実現化させている? 願いを叶える為の『エネルギー』はどこから来る?」

さやか――魔法少女の場合。
少なくとも、魂がソウルジェムに入れられた時点で、魂のエネルギーとは無縁。
白い獣達は『どのような手段で』願いを叶えさせているかは、さやかも分からない。
エネルギー……本当に、そんな事が可能なのだろうか? 俄かに不明な話題で半信半疑になるさやか。

しかし、意外にも。
ディエゴの考察へ口を出したのは、アヌビス神だった。

「……お、お前は本気なのだな。何故なら、既に手段を確保しなければ、断言できる根拠もあるまい」

「察しが良くて助かるな。俺が信用している情報は『魂のエネルギーで願いが叶う』点だ。
 残念ながら『手段』の方は確立しちゃいないが、これだけは紛れも無く真実だぜ」

「…………」

どういう事なのだろう。
アヌビス神は、話題とは異なる点で疑問が絶えなかった。
眼前の男。救世主と似ているだけの青年、と割り切るには難しいにもほどがある。
だが、アヌビス神も救世主に子息がいたか。兄弟が居たかも知らない。
ウワサでも聞かないから、憶測は憶測に過ぎず。普通なら、ライダーをDIOではないと判断するべきだ。

にも関わらず。
先ほどの説明や語りや雰囲気の節々からDIOを彷彿させる片鱗が垣間見える。
けれども、ライダーはDIOのような威厳と恐怖、所謂『カリスマ』は感じられない……
……否。答えは前述の通りだ。

ライダーは『カリスマを失ったDIO』の一言に限る。

「待って。ライダー」

すると突然、レイチェルが割り込んでくる。

「あの神父様を信じちゃ駄目だと思う。あの人はライダーじゃなくて、セイヴァーの事しか見てない」

神父?
この場に居ない存在の話題に、さやかも入りこむ余地が無いが、聖杯戦争に関係する仲間だと察せる。
そして、セイヴァーと関係がある……?
途端、ディエゴの口調は苛立ったものとなった。

「何度も言った。アイツは信用してない。採用した情報は『魂のエネルギー』だけだ。
 奴はそういう自覚を持っちゃいないが……回収した『魂のエネルギー』とその他の媒体を用いて
 天国の到達とやらを『実現』させた。言葉を変えれば、願いを叶えた。……いいか『材料』は正しい」

険しい表情のまま沈黙したレイチェルに、ディエゴは舌打つ。
面倒だが、レイチェルは邪魔をするつもりはなく。プッチを警戒・信用をしてないが故の行動を取っている。
利用するまで。期限は決まっている。
全てを聞いた美樹さやかは、改めて刃を、セイバーを握りしめ、ディエゴを睨む。

「悪いけど、あたしは馬鹿だから。あんたみたいに割り切る事が出来ないんだよね」

「………」

「利益の為に他人を犠牲にして……開き直って好き勝手に生きたりなんかしたら……
 そんな事をしたら――あたしはもう一度『魔女』になる。やっぱり無理だよ」

「そうか、残念だな」


――――さやかッ!!!


幻聴なのか。どこからか赤髪の魔法少女の声が聞こえたような。
さやかが周囲を見回すまでもなく。戦闘が始まる必要すら皆無だった。
コレに関して、アヌビス神ですら予想外だったのだ。

痛みなんて慣れちゃうよ。

魔法少女に体験した死闘に比べれば、大したこと無い鈍い痛みが、さやかの肉体に刺さる。
一瞬、理解が追いつかず。
誰がさやかを刺したのか――想像すれば犯人は一人しか居ない。
ディエゴは一歩も動いていない。
包丁を手に、その刃を突き立てたのは……レイチェル・ガードナー。

「う……そ……でしょ」

『何をしている!? マスターの方を攻撃しろッ!!』

さやかはソウルジェムが砕かれなければ問題ない。刺された所で問題はなかった。
問題なのは――レイチェルが、さやかを刺した事実である。
自分と同い年で、雰囲気が悪いとは言え、ちっぽけな少女が殺人に手をかける。
ましてや、魔法少女でもない一般人の行動に、動揺してしまうさやか。

ディエゴが能力で操っているなら分かるが、レイチェルの場合は正気で、自らの意志でさやかを殺しにかかった。
弱々しくさやかが、アヌビス神でない剣の方を振るう。
威嚇程度のもの。
レイチェルは、包丁を刺した際。さやかからの反撃を見越し、距離を取っていた為、刃は届かない。

しかし、戦闘を火ぶたは切られた。ディエゴの傍らに居た小型の恐竜たちが攻撃を仕掛ける。
統率のとれた動き。
俊敏な恐竜。驚く事に、さやかは見切った。
魔女や使い魔との戦闘経験以上にアヌビス神の宝具によって、彼女自身が強化され、擬似サーヴァント状態と化している。

地面から跳躍した使い魔たち。
宙で即座に回避行動を取るのは難しい。判断した後に、さやかは二刀流で連続に切り裂く。
身を捩り、避けた恐竜もいるが、幾つかを刃で斬り伏せる事に成功。

『安心しろ、マスター。二度目はない。先ほどの回避行動は既に見切った!』

恐竜の動き。理性なき生命の行動パターンなど人間以上に単純であった。
アヌビス神の能力の一つだ。戦えば戦うだけ強くなれる。一種の経験値システムだ。
さやかも、こうして彼を使用した事で実感できる。
魔法少女として、闇雲な戦闘をしたのとは違う。相手の動きが読めるだけで、巴マミのような鮮やかな戦闘をしている気がした。
さやかは剣を量産できる為、投擲武器に利用したり……

今更、魔法少女なんて。
暗い感情を抱いたが、気を取り直して振り払い。さやかは、ディエゴの方へ駆けた。

「後は――あんただけだ!」


―――くそっ……こんな時に何もできねぇのかよ!


「っ!?」

攻撃が緩んださやかの振りを、ディエゴは動きを見切った風に軽々と最小限の身捩りで回避してしまう。
やはり、気のせいではない。
先ほどから『声』が聞こえる……!
魔法少女同士で念話に近いテレパシーで会話が可能なのだが。例の声は、それと同じ感覚だ。
遮るかの如く、アヌビス神が吠えた。

『余所見をするな! 戦闘に集中しろ! 接近戦である以上、絶対に負ける事はなぁいッ!!』

さやかは眼前のディエゴが攻撃をしかけると理解した。
僅かな筋力の動きが読める。奴が距離を縮める為に足を動かし腕を上げ、手を構え――恐竜特有の鋭利な爪に変化している。
なら、手首ごと切り落としてやろう。
アヌビス神でサーヴァント並の敏捷で斬撃を繰り出す構えだったが。

(え―――なに)

刃を振り落とす一瞬で、さやかは状況を飲み込めずにいる。
ディエゴは手を上げ、停止した状態のまま攻撃を受け止めようとしているのだ。
手で押さえる? 抑える前に切り落とされるだろう。否、本当に?
アヌビス神がハッと本能で感じる。


『勝てない』と


手首を攻撃されたのは、さやかだった。
アヌビス神を握っていた手首を下方より打撃が加えられ、反動でさやかは刀を手離してしまう。
下から? 足は動いていない筈―――

視線を落とした先にあったのは、恐竜の尾。
手足に動きがないのは当然。人型には通常存在しない、宝具による恐竜状態で生える器官の動きを見切れなかった。
いや、部分的に発生するとは想定外だっただけ。

これがアヌビス神を手にした状態であれば『攻撃を記憶できる』ものの。
最早、擬似サーヴァントの補正を失ったさやかには『次のチャンス』は二度と無い。
ゾッとさせる速度で、ディエゴの手刀が襲う。
相手の速度が加速した訳じゃあない。さやかの方が遅くなったのだ。


これで終わる。
さやかは悟ってしまった。だけど……魔女になって死ぬよりも、マシなのかもしれない。
瞬間。誰かの大声と共に、恐ろしい爆音が響き渡った。






幾つか、ほむらはプッチに虚偽を述べていた。
セイヴァーからプッチへの伝言や、エンリコ・プッチの存在そのものを。
一種のカマかけに乗った彼が己を『友』と称した事から、以前にセイヴァーが口にしていた。
救世主じゃあない。
彼曰く『私』ではなく『俺』。
本来のDIOが知る『信頼できる友』がプッチなのだと推測出来た。しかし……まさか召喚されているとは思わず。

ほむらはプッチの真名を知らない。否、セイヴァーがプッチを知らないのだ。仕方ない事である。
正直に話すべきか……いいや。
上手く誤魔化せる。ほむらは言葉を慎重に選んだ。

結果。
プッチからの提案に、彼女が一瞬の動揺を現にしたからだろう。
彼は落ち着いた口調ながらも、問いかける。

「君が恐竜から逃れる方法を教えたのだ。このランサーでは恐竜をどうする事も出来ない」

「それは……無理です。私は鹿目さん……彼女とランサーをセイヴァーの元へ届ける必要があるんです」

普通なら当然の対応を行うほむら。

「ライダーさん。貴方は恐竜を食い止める事は可能ですか」

「私が可能な手段は、恐竜を始末する事だけだ。しかし、先ほど君は恐竜の始末を拒んだ。私の提案には賛同しないだろう」

「……いえ。むしろそれをお願いしたいんです」

重要なのは――『鹿目詢子』が恐竜になったのを、ランサー・篤が把握しないこと。
ほむらの手元が震える。
自分が提案する内容が全うじゃあないのを承知して。神父のライダーが、承諾するかを試すかのように。

「その恐竜は……彼女の、鹿目さんの母親です。例え、私がここで彼女を撃ち殺したとしても。
 ランサーさんが気付かずに殺してしまっても。どちらも駄目です。事実が重要なんです。
 恐竜のウワサのサーヴァントが、鹿目さんの母親を恐竜にしてしまった……その事実が」

事実が判明した時、彼らはどうなるのか。プッチは理解に至る。

「成程。本来、君達はDIOに接触するべく行動を共にしていた。
 そして、その少女の母親が擬似的な『人質』に捕らわれた事実を知れば、彼らは母親の開放を優先してしまう」

「はい。事実を隠蔽するのは難しいです。可能な限り、私達がセイヴァーに接触するまで、時間稼ぎをしていただきたいんです」

「事実を隠せるのなら、この恐竜を始末して構わない――と」

「……ごめんなさい。出会って早々に、こんな事をお願いしてしまって」

遠回りに濡れ衣を被って欲しいと頼んでいるも同じだ。
ほむらも、半ば申し訳なさを抱くが。一方で、本当にプッチがセイヴァーの『友』ならば。
彼だってドス黒い悪に等しい存在。
神父の風貌とは別で、吐き気を催す邪悪を腹の底で蠢かせている。であれば、ほむらの些細な要望に抵抗は皆無だろう。
彼女が懐疑した通りに、プッチは見据えた表情で答えた。

「いいだろう。DIOが彼らを必要とし、君に『覚悟』があると分かった以上。私が責任を以て、恐竜を始末する」

「……」

まるで少年少女の無知なる純粋さで彼が答えるのに、流石のほむらはギョッとした。
彼は、ほむらの為を思って、ほむらを信用したから――ではない。
DIOを、セイヴァーを信じ、セイヴァーの為だけに行動をしているのだ。
ほむらが鹿目まどかを基準に行動するなら、プッチはセイヴァー……DIOを基準に行動している。


(わたしは……)


自分は違う筈だ。仕方なくやっているだけで……悪い事だと分かっていても。






「なにが起こった……?」

ありのまま起こった事を説明すると『眼前に居た筈の肉食恐竜が一瞬にして姿を消してしまった』。
武器を抱えたままの篤も、訳がわからないのだが。
実際にそうなのだから仕方なかった。
恐竜の姿はなく。だが恐竜の居た痕跡として、地面に突っ伏した状態のたまが転がっている。

「ランサーさん……」

篤の背後でほむらが呼びかける。彼女も状況に混乱しているのだろう。

「サーヴァントの宝具……だと思います。とにかく、ここから離れませんか? 敵に捕捉されたのかもしれません……」

「あ、ああ」

幻覚だったのか?
まだ敵の宝具を適当に判断するべき状況じゃあない。篤も慎重になる。再び恐竜の襲撃がある可能性。
もしくは、既に敵の術中に嵌っている恐れを。敵が捕捉するのに使った手段もありえた。

まどかを抱えるほむらは、気絶している少女・たまへと近づこうとする。
だが、篤は悪寒を覚えた。
本能的な、化物共も戦い続けた経験で得た察知で、ほむらを食い止めたのだ。

「近づくな! ほむらちゃん!!」

「えっ………!?」

唐突にムクリと起き上がるたま。
犬の少女――彼女の肉体の節々にヒビが入っており、肌荒れの類とは異なる現象で発生したものだ。
正体は直ぐに分かる。
彼らに振り向いた少女の顔は、人でも、ましてや犬でもない。
先ほど彼らが遭遇した、恐竜めいた瞳に変化し、口元がボロボロと裂け始める。

「くっ―――!」

篤は、たまを警戒していたが。これとそれは別だ。
彼女の異常は、篤が相手した怪物達の仕業じゃあなく『恐竜のウワサ』。
まるで感染だ。例えは存外しっくり来る。
吸血鬼が吸血鬼を増やすように、恐竜も攻撃した相手を恐竜にする……そういう仕組みだ!
恐竜化の進行も遅いたまは、咄嗟に繰り出された篤の丸太を回避できずに、遠くへ薙ぎ払われる。

「ランサーさん!」

「ほむらちゃん! 一旦ここから離れるんだ! ほむらちゃんの言う通り、敵に捕捉されているかもしれない。
 それと攻撃を受けないよう、まどかの方も気をつけてくれ!!」

「攻撃……!? は、はい! わかりました!!」

これには、ほむらも予想外の展開だった。
篤自身たまへの思い入れが少ない分。撤退を優先してくれたのはありがたい。
しかし―――問題は、たま。
彼女が恐竜化したのは、神父のライダーも恐竜化の条件を理解していなかったからだろう。
走りつつ、ほむらが篤に確認した。

「攻撃を受けたら恐竜化する、ということですかっ!?」

「まだ断言はできないが、あいつは恐竜の攻撃を唯一受けている。そして、恐竜になった……感染したと考えれば辻褄は合う!」

「感染―――」

「だとすれば、親玉を叩かないと奴の恐竜化の解除も難しい」

念の為、振り返るが再びたまがこちらへ来る気配や姿は『まだ』無い。
それも時間の問題。ほむらは空模様に朝の陽ざしが感じられるのを目にした。微かだが、空の色に変化がある。
これでは、セイヴァーとの接触が更に難しくなった。
今は……恐竜化状態のたま。ウワサの元凶たるサーヴァントからの逃走。

「ランサーさん! ここに行きましょう!!」

ほむらが差したのは――マンホール。つまり下水道。
朝になれば、人々の目から逃れて、まどかを運ばなければならない。
魔法少女の姿も、非常に目立つ。それを考慮した提案だったが、篤は別の視点で捉えていた。

「そうか。恐竜がマンホールを開けるのも、ここに入るのも簡単に出来ないな」

完全に恐竜と化せば、人には簡単な動作は困難となる。
町をアテなく彷徨うよりも安全に逃走可能と篤は判断した。






あれ。どうなったの、あたし………。
さやかの意識が朦朧とする最中、目を醒ますような絶叫が響き渡る。

『みみみみ、水に浸かってしまったぁあぁぁあ――――!! ははは早く! 早く俺を拭け―――!!!』

「み……ず……?」

バッと起き上がったさやかの体も、確かに濡れていた。
周囲は薄暗い。明かりも乏しい、臭いも酷い、独特の地下道……所謂、下水道に転がっていたとさやかは理解する。
ただ、彼女は下水に浸かってはおらず。
歩行用に整備されたコンクリートの脇道におり。泣き喚くアヌビス神も、傍らに転がっていた。

漸く思い出す。
あの時―――突然、さやか達の足場が崩落したのだ。間違いなくサーヴァントの攻撃で。
彼女はアヌビス神と共に下水道へ落下。
攻撃してきたサーヴァントは……分からない。

意識を取り戻し、周囲の暗さに慣れたさやかは驚く。
自分の傍らにはアヌビス神とは別に少女が一人横たわっていた。
しかも、少女の正体は知り合いの――佐倉杏子である。

「杏子!? さっきの攻撃、まさかアンタが………っ……!」

杏子の体に触れた事で、さやかは即座に分かった。彼女にまるで反応がない。人形、いや……死体。

「意識が戻ったのね」

「!」

闇の向こう側より清楚な修道服を纏った女性が現れる。
ライダー。
クラスは先ほど出会ったセイヴァーと似た青年と同じだが、彼女は彼とまるで雰囲気が違う。いや、対極的だった。
だが、さやかも警戒心を以て身構えた。

「あんたは……何」

「……順を追って説明させて貰います。私はライダーのサーヴァント。彼女が私のマスターです」

彼女とは当然、佐倉杏子以外ない。
突拍子もない。杏子は死んでいるというのに、契約しているサーヴァントは生きている。
死体……魂がない? さやかは混乱しかけたが、戦闘中。杏子を声が聞こえたのを思い出す。
まさか。さやかは思った事を尋ねた。

「杏子は、もしかしてソウルジェムが」

かつて、さやか自身に起きた現象を思い出す。
ソウルジェムを手離し、肉体から一定の距離を取ってしまうと肉体と魂のリンクが切断される。
修道女のライダーは少々驚いた表情で、されど真剣に頷いた。

「貴方はソウルジェムの秘密を御存じなのですね」

「……まぁね。あんたも、杏子から話を聞いたと思うけど」

「いいえ。彼女は知りません」

(え?)

そんな筈はない。さやかが魔女に至るまで、杏子と縄張り争いのトラブルを起こした際。
ソウルジェムの秘密を同じく知った筈なのに。
ライダーは嘘を言っている? さやかを助けたのも、利用する為……?
念の為、さやかは水に恐怖しカタカタと震えるアヌビス神を掴む。

「じゃあ……ソウルジェムが最期どうなるのかも、知らないんだ」

「……その点は追々聞くとします。まず、先ほど貴方が相手した恐竜使いのサーヴァント。
 彼がマスターのソウルジェムを所持していると思われます」

アイツが杏子のソウルジェムを。
ひょっとして、近くに居たからこそテレパシーの声がさやかに届いていた可能性が。
慌てて首を振るさやか。
自分は違う。ソウルジェムが体から離れた際、意識を完全に失い。テレパシーを出来る状況じゃなかった。

(あたしを騙そうとしている……?)

魔法少女の事情や、さやかを含めた魔法少女たちの情報を逆手に取ろうとしている。
さやか自身の記憶との誤差。
巴マミや暁美ほむらも、何かが異なる。
佐倉杏子がそれらの情報を得ていない場合も、ありえなくはないが。
全ては修道女のライダーが、さやかを騙す為の偽装工作で杏子の声を真似たテレパシーを行った可能性も。

とは言え。今は話を合わせる事にした。

「あいつ……確かに魔法少女の誰かと会ったようなこと言ってたけど、杏子のソウルジェムを持ってたかは分からない」

「そうですか……教えていただきありがとうございます」

「あいつは逃げたの」

「ええ、マスターらしき少女をつれて」

ライダーの話に合わせれば、多分に恐竜使いのライダーを追跡する予定なのだろう。
当然、さやかも放っておく訳にはいかない。
不意打ちの攻撃に、あの時は対処出来ずに九死に一生を得た身だ。二度目はない。今度は尾の攻撃も対処できる。

『おい待て、やめろ! DIO様には勝てないのだ!!』

が。気力を維持しているのは、さやかだけだった。
肝心のアヌビス神は、水に浸かったせいとは思えぬほど震えあがっている。
むっと苛立ちを覚えつつ、逆にさやかが刀相手に罵声を浴びせた。

「まだ言っているの!? アイツはあんたの知ってるDIOじゃないの!! 次こそ勝てるんだ。あんたが一番分かってるでしょ!?」

『かっ勝てない』

「あの攻撃だって覚えたんだし――」

『勝てん! 勝てない! 俺が絶ッッッッッッッッッッッッッ対に勝てないと確信した者は、DIO様だけなのだ!!』

戦意喪失。この場合は精神的に屈しただけで、セイヴァーに似た青年相手だけの事。
そう願いたいほど、アヌビス神は態度が急変している。
さやかは呆れてしまうが、むしろ都合の良い展開かもしれない。
疑心を覚えるライダーに対し、さやかは溜息ついて話す。

「あいつが杏子のソウルジェムを持ってるなら、あたしも追いたいけど……無理そうだよね」

嘘だ。
実際は恐竜使いのライダーを放っておけない。
ソウルジェムの秘密を知っても尚、聖杯を完成させる方針を揺るがない危険因子だ。
しかし、修道女のライダー……彼女と共に行動したくはなかった。
ライダーは少々険しい表情で言った。

「ですが、貴方のサーヴァントの状態を含めて、一人にさせる訳にはいきません」

「あたしの事はいいから、杏子のソウルジェムを取り戻して。あいつは間抜けじゃないよ。早くしないと逃げられる」

「ちょっと待ちなさい」

先ほど遭遇した少女――島村卯月とは異なり、ライダー・マルタは食い下がった。
卯月は、自らの弱さをさらけ出し。申し訳なく、正直に『戦えない』とマルタに話したのと。
投げやり気味な態度の美樹さやかでは、立場も状況も違う。
マルタの様子に、仕方なくさやかは反論した。

「悪いけど――あたし、あんたの事を信用できない」

「なんですって?」

「あんた、本当に杏子のサーヴァントなの? 本当にソウルジェムが奪われたから、杏子は死体になってるの?
 ……あたし達を助けてくれたのかもしれないけど………ごめんなさい」

「―――」

意外な予想外の返事に、マルタも困惑を浮かべていたのに。
さやかは、ひょっとしたら本当にマルタが杏子のサーヴァントで、信頼しても良かったのでは。
と、迷いが生じる。けれども、マルタの証言全てに根拠も証拠もないのだ。






少々時を遡るが、恐竜から得た情報から修道女のライダー・マルタの存在を把握していたディエゴ。
暴力的にマルタは辿って来た下水道で魔力を感知し、そこから襲撃を繰り出した。
杖に長く祈りを込め、最大出力のエネルギーを放出。
さやかが立っていた場所ごと破壊した事で、彼女を救った形になる。

あわよくば追跡される可能性も考慮していたが、ここに到着するまで想定よりも早いと感じた。
無論、住宅街で。
マルタの宝具も不明だが、直感を頼りに危険を察知し。
レイチェルを無理に引っ張り、馬に騎乗。現場から距離を取るのに、余計な時間は必要じゃなかった。

ディエゴの余計は『別に』ある。

『さやか!』

一人の少女・佐倉杏子の叫びはディエゴの中だけに響き渡っている。
再びソウルジェムを飲み込んでから、自棄に鮮明となりつつある杏子の存在。
戦闘中も、散々うるさかったが。酷ければソウルジェムは体内から取り出すべきかもしれない。
しかし、マルタの追跡は近い。飲み込んでいる以上、杏子の魔力は誤魔化せる筈だ。

「ごちゃごちゃ余計な事を………有益な情報を吐いただけ良しとするか」

ソウルジェムから誕生する魔女。
魔法少女が産み出すものに飽き足らず、サーヴァントから発生する魔女を望んだ。
それが、主催者の目的……仮説であるが。美樹さやかの話から憶測すれば、そういう話になる。
残念な事に、さやか自体が情報網に乏しかった。

「ライダー……」

消えそうな声でレイチェルが呼ぶ。
相手する事に嫌気が差すディエゴだったが、視線を落とした先のレイチェルの表情は悲惨なものだ。
聖杯を手に入れるのに必死な有様と同じように。ディエゴからの返事に縋っている姿。

全く以て腹立たしい。
レイチェルの依存行動が、ディエゴを苛立たせる要因だった。

「あの子を刺したのは……良くなかった?」

「………」


―――嗚呼、そんな事あったな。


ディエゴにとってレイチェルの起こした行動は些細なものでしかない。
本来ならマスターの彼女が、刃を持って殺しにかかろうなど。余計で邪魔で……危険だ。
サーヴァント側が指摘するのは当然。
ディエゴがレイチェルに指摘も非難もしなかったのは――彼女の行動こそ『適切』だと思ったから。

実際、美樹さやかは隙だらけだった。
ディエゴがレイチェルの立場でも、背後から忍び寄ってさやかを刺していた。
それほど自然で、疑念にも感じない行為。

「いいや。アイツを刺したのは正解だ」

ディエゴの他愛ない返答を聞き、レイチェルの顔色は明るくなる。
心のどこかで不安を感じているのだろう。「本当?」と尋ねてきた。

「お前も『正解』だと思ったから、刺したんじゃあないのか? レイチェル」

「……うん」

自分勝手に納得すればいいものを。
レイチェルは、納得や安心や、物事の全てを勝手に決められないほど人間が作られていない。
現在、彼女が従い。中心としているのはディエゴだけだ。

ふと馬の走行をディエゴが停止させた。
匂いだ。恐竜の嗅覚が優れている特性は、ディエゴ自身にもある。
辿った匂いは、鹿目家に残されていた女性――鹿目詢子と救急隊員を恐竜化させたもの。
そして、彼らと同行させたエンリコ・プッチ。

最初に、恐竜達へ鹿目家から離れたと思しき匂いを辿るよう、ディエゴは命令を下していた。
宝具の効果範囲を踏まえた捜索した行わないだろうが。
運が良ければ他の主従を捕捉できる。

しかし、恐竜の匂いは途絶え。
代わりに見知らぬ犬の恰好を纏った少女が、涙を流し、蹲っていた。
ディエゴがレイチェルと共に馬から降り、近づいて見れば。少女の肉体は、所々恐竜化の進行が視認できた。
恐竜に成りかけてるだけで、まだ自我は保っている。少女は、ディエゴ達に驚きながらも必死に訴えた。

「あ、ああ。わ、わたし。こ、このままだと――わたし、恐竜になるんじゃ」

涙目の少女に対して、ディエゴは不敵に笑いを零す。
笑った。傍らに居たレイチェルは、彼の愉快な様子に再び注目していた。
ディエゴは他人事のように少女を見下す。

「みたいだな。こりゃ大変だ。助けてやろうか」

「た、たす、助け……あ、あの私、穴を掘るぐらいしか出来ませんけどっ、なにか役に立てれば――」

役に立つ。
少女が無意識に発した部分に、レイチェルの中がザワリと揺らぐ。
ディエゴにとって、この少女が『役立つ』と評するものは一体。
懸命な命乞いを眺めるディエゴは、震える少女をジッと観察。少女もビクビク恐怖を覚え、彼の返答を期待していた。

そして

「そうかそうか。実にわかりやすいな。よーく分かった。よし、お前は――俺の『ペット』になれ」

「……え? えっ、え、え。あの………え?」

ディエゴは相変わらず笑みを浮かべたまま。それだけ。少女に対し何もしない。
少女は理解できずに居た。状況も、ディエゴの言葉の意味さえも。
困惑する少女に、機嫌が良いディエゴは教えてやる。

「お前はこのまま『恐竜』になるんだよ。俺の支配下に置かれ、死ぬまで俺に利用される。理解したか? 役に立ちたいんだろう?」

「え、え……!? ま、待って、いや……!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

「おいおい。謝るなよ。役に立てるんだから『ありがとうございます』って感謝をしろよ」

ディエゴに対し、少女は永遠と謝罪を繰り返すばかりで、彼の望む感謝を述べる様子が見られない。
恐竜になりたくない。
役立ちたいと望んだのに、少女は現実を拒絶し始めた。
レイチェルは、以前ディエゴに『恐竜にして欲しい』と望んだ。役に立ちたいから。
少女の状況はレイチェルとは対極的だ。役立ちたいと言って、恐竜にさせられようとしている。
……それが分からない。

(どうして)

少女の謝罪も虚しく、恐竜化の進行が途絶えない。
爪や牙、肉体の骨格や特有の尾も着々と形成されて往く。
最後まで彼女は、役立つ事を望んだにも関わらず、受け入れる事を拒絶し続けた。







(どうして、どうしてどうしてどうして)

たまに、犬吠埼珠には分からなかった。
警戒されていたが、ランサー・篤に攻撃された時。ショックとパニックで意識が真っ白になった。
彼女自身、恐竜化が進行していた自覚は無く。
叩き飛ばされた痛みに涙を流し、ひび割れた肌を見て……漸く状態を理解した。
でも、どうしたらいいか分からなかった。

(ほむらちゃん、まどかちゃん、ランサーさん……バーサーカーさん………)

バーサーカー。
自分のサーヴァントに助けを呼ぶ発想が浮かぶ前に、珠の意識が薄れて行く。

どれだけ謝っても、乞いても、セイヴァーに似た青年は助けてくれない。
他に。
自分をどうにかしてくれる人は……青年の隣に、少女が一人。
生気の薄い、例えるなら死んだ魚の瞳をした少女。彼女を目にした時、珠はふと呟く。

「スイム……ちゃん………?」

あの子……スイムちゃんに似てる。
結局、珠は最後まで『スイムちゃん』――スイムスイムと呼ばれた魔法少女を理解できなかった。
彼女は何故自分を殺したのか。
まじまじと球を見詰める金髪の少女の雰囲気は、やはりスイムスイムと似ている。

「スイ、ムちゃん。どうして、どうしてなの。わたし、わからないよ」

何故ルーラーを殺したのか。
何故たまを殺したのか。
何故、どうして、自分は恐竜になってしまうのか。

金髪の少女・レイチェルがポツリと呟いた。


「あなたは………ライダーの役に立てるから、恐竜になる」


そんなワケないヨ……


「わたしは………ライダーの役に立てないから、恐竜になれない」


ちガウよ……


「どうすればライダーの役に立つのか。考えなくちゃ………」


………………………………………


………………………


………






暁美ほむらは己がセイヴァーから信頼を得られていない、と自虐していたが。
大きな間違いであると、プッチは思う。
セイヴァーはほむらを『信頼しない』のではなく『信頼する必要がない』と捉えているのだろう。

DIOにとっての信頼するべき相手とは。
話しをして、心が落ち着く。捻り曲がって不安を感じるほどに、身を委ねたくなる安心を覚える存在。
DIOが唯一『信頼する友』と称したのはプッチである。

信頼はしていない。
だが、彼――セイヴァーは暁美ほむらが己を信じていると確信しているのだ。
彼女の在り方は、ディエゴのマスター・レイチェルに通ずるものがある。
奇妙にも彼女二人は重なり合う部分が節々に見られた。

これも『引力』の働きか。だが、他はどうか?
『もう一人のディエゴ』のマスター、アヤ・エイジア。
そして『過去のDIO』のサーヴァント、レミリア・スカーレット

彼女ら二人に関してプッチは印象しか語れない。
………別だ。レイチェルとほむらの二人とは対極的で。彼女達はまるで『対等』にあるようだった。
そう、DIO相手に。
信頼があるか分からない。だが、彼女らをDIOは受け入れていた。

何を対話していたか不明だったが。
アヤ・エイジアと『DIO』は他愛ない会話をしている風に感じられたし。
レミリア・スカーレットの散々な態度に『DIO』は何も指摘すらせずにいた。


何故なのか? プッチは、これが奇妙でならない。


暁美ほむらに頼まれた恐竜の処理は手身近に済んだ。恐竜も時を静止した状態では何もできない。
『死体』を下水道へと放りこんだプッチは、何食わぬ顔で元いた場所へ戻る。
そこに、少女が一人。
ほむら達と同行していた犬の魔法少女・たまが取り残されている。
プッチが戻った時、たまは犬には程遠い。小柄な肉食恐竜に変化し終えたところだった。
たまの成れの果てをレイチェルが興味深く観察していた。



暁美ほむらに頼まれた恐竜の処理は手身近に済んだ。恐竜も時を静止した状態では何もできない。
『死体』を下水道へと放りこんだプッチは、何食わぬ顔で元いた場所へ戻る。
そこに、少女が一人。
ほむら達と同行していた犬の魔法少女・たまが取り残されている。
プッチが戻った時、たまは犬には程遠い。小柄な肉食恐竜に変化し終えたところだった。
たまの成れの果てをレイチェルが興味深く観察していた。

ディエゴがプッチの存在に気付き、何ら疑念を覚える様子なく話しかける。
信頼している。
訳じゃあないだろう。ディエゴの瞳は疑心に満ちていた。
彼は、他人に信用される為に、愛想良い表情を被るのが得意なのだろう。

「プッチか。お前、何をしていたんだ? コイツから興味深い情報が得られた。
 さっきまでコイツは、暁美ほむらと同行していた」

「……私も先ほどまで暁美ほむらを追跡した。彼女達によって君の恐竜たちは打ち倒されてしまった。
 だが、彼女の傍にDIO――セイヴァーはいないと判断できた。私は彼女がDIO側の存在ではないと思う」

「へぇ?」

如何にも「本当なんだろうな」と挑発的な微笑を作るディエゴに。
プッチの表情は微動だに変化しない。淡々と説明をし続ける。

「様子を見る限り、暁美ほむらの意志とセイヴァーの意志。相互が反発しているようだ」

「ああ。コイツの情報もそうだな。暁美ほむらとセイヴァー。双方の意志疎通は不安定らしい。
 まともな主従関係とは呼べない状態だ。……だからか? お前は暁美ほむらを見限ってノコノコ戻ってきた理由は」

「そういうことだ」

今回プッチがほむらの要望を受け入れたのは。
鹿目まどかをセイヴァーが必要しているから……否、まどかの状態を理解したが故。
彼らも把握している。肉体からソウルジェムが離れ『抜け殻』となった体。

「どうやらDIOも気付いているようだ。魔法少女と呼ばれるソウルジェムの原理と可能性に」

ピクリとディエゴも僅かに反応を見せた。
セイヴァーも。ディエゴも視点のつけ方は同じだとプッチは回りくどく表現している。
彼自身、同じだと遠まわしに語っているのだろう。
少々不愉快を感じつつ、ディエゴは一先ずプッチに告げた。

「例の修道女が俺達を追跡し続けている。お陰で、折角あそこで待ち伏せ出来たマスターを仕留められたのを妨害された」

「となれば、まずホタルとの合流を優先しなくては」

「ああ。ソウルジェムの情報を入手できたが……今は後回しだ」

一応、ディエゴは美樹さやかによるソウルジェムより誕生する『魔女』の情報を疎かにしてはいない。
だからこそ、たまを恐竜にした。彼女のサーヴァントの魂を回収すべく。
ソウルジェムの原理が、果たして魔法少女のソレと同じかどうか不明確な以上。保険はかけなくてはならない。
そして、サーヴァントの魂を利用した『願いを叶える』手段。

全ては憶測の範囲でしかない。
アヌビス神にも明かした通り、それらを確実にする模索とは――所謂。
DIOの『天国の到達』と同じものだろう。

ただ一つ。
レイチェル・ガードナーが彼らを凝視していた点を除けば、ディエゴの計画は着実に進んでいるのだ。






暁美ほむら。
討伐令にかけられていた少女の名前を、レイチェルも記憶していたからこそ、疑心を覚えた。
果たして、プッチは本当に暁美ほむらを見逃しただけなのか?
結局、プッチが語るDIOとはセイヴァーなのだ。
そしてセイヴァーとライダーは別人だ。レイチェルが一番理解している。

(やっぱり……)

ひょっとしたら、ライダーはレイチェルよりもプッチを信頼しているのだろう。
多分じゃなくとも、きっとそうだ。

(この人は信じちゃ駄目だ)

ライダーの事を考えれば、プッチは確実に始末しなければならない。
問題は、レイチェルがどうやって彼を倒すか。
非力で何ら特色もない少女がサーヴァントを倒す手段など、到底存在しないのだ。

考えなくては。

むしろ『考える』とは、この時の為にあるのだろう。
プッチを倒せば聖杯の獲得に一歩前進し、忌まわしいセイヴァーの因縁から脱する事も叶う筈だ。
恐竜になれなくても、何かライダーの役に立ちたいのがレイチェル。


しかし……彼女は『何故ディエゴがレイチェルを恐竜にしなかったのか』を未だ分からずにいた。


【D-2/月曜日 早朝】

【ライダー(ディエゴ・ブランドー)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]魔力消費(中)杏子のソウルジェム(飲み込んだ状態)
[ソウルジェム]有×2
[装備]
[道具]携帯端末、トランシーバー
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯の獲得
1.神父(プッチ)のマスターの所に向かう
2.レイチェルは必ず殺す
3.あのセイヴァーについては……
4.神父(プッチ)は信用しないつもり、使い潰す。
5.ソウルジェムでの聖杯作成は保留するが、魂は回収する。
[備考]
※真名がバレてしまう帽子は脱いでいます。
※魔法少女が持つ『ソウルジェム』の存在を知りました。→ソウルジェムの秘密を把握しました。
※プッチの情報を全て信用しておらず、もう一人の自分(アヴェンジャー)に関して懐疑的です。
※ランサー(什造)、バーサーカー(家康)の存在を把握しました。
※マミのソウルジェムの穢れを知りました。
※ソウルジェムを飲み込んだ影響か、杏子の意志が伝わります。
※たまから彼女の関わった事象の情報を得ました。


【ライダー(エンリコ・プッチ)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]魔力消費(中)、精神的ショック(回復傾向)
[ソウルジェム]有
[装備]
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:『天国』を実現させ、全ての人類を『幸福』にする
1.セイヴァー(DIO)ともう一人のディエゴを探す。
2.一旦マスターの元へ戻る。
3.暁美ほむらは『覚悟』をしている、か……
[備考]
※DIOがマスターとしても参加していることを把握しました。
※ランサー(レミリア・スカーレット)の姿を確認しました
※魔法少女が持つ『ソウルジェム』の存在を知りました。
※アサシン(杳馬)の姿を確認しました。彼が時を静止する能力を持つ事も把握しております。
※アサシン(杳馬)自体は信用していませんが、ディエゴの存在から
 アヤ・エイジアのサーヴァントがもう一人のディエゴ(アヴェンジャー)である事を信じています。
※ディエゴ(ライダー)に信用されていないのを感じ取っています。
※ランサー(什造)、バーサーカー(家康)の存在を把握しました。
※ソウルジェムの穢れを目撃しました。穢れ切った結末に関心があります。
※暁美ほむら、まどか&ランサー(篤)の存在を把握し、ほむらの覚悟を理解しました。


【レイチェル・ガードナー@殺戮の天使】
[状態]魔力消費(中)、プッチに対する疑心
[令呪]残り3画
[ソウルジェム]無
[装備]私服、ポシェット
[道具]買い貯めたパン幾つか、裁縫道具
[所持金]十数万程度
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れる。
0.やっぱり神父様は信じちゃ駄目だ……
1.自分でどうするべきか考える
2.ライダーは信じられる。それ以外は信用しきれない。
3.セイヴァーは一体……?
4.聖杯が作れない……?
[備考]
※討伐令を把握しました。
※ライダー(ディエゴ)が地図に記した情報を把握しました。
※ライダー(プッチ)のステータスを把握しました。
※プッチが提供した情報を聞いている為、もう一人のディエゴ(アヴェンジャー)の存在を知ってはいます。
※ライダー(ディエゴ)の真名を知りました。
※キャスター(ダ・ヴィンチ)のステータスを把握しました。
※さやか&セイバー(アヌビス神)を把握しました。
※ソウルジェムの秘密を把握しました。


たま(犬吠埼珠)@魔法少女育成計画】
[状態]恐竜化、身体に死の結婚指輪が埋め込まれてる、全身に軽い怪我、X&カーズへの絶対的な恐怖。
[令呪]残り三画
[ソウルジェム]無
[装備]
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない。
0.―――
※カーズが語った、死の結婚指輪の説明(嘘)を信じています。
※ソウルジェムを含めた装備品はライダー(ディエゴ)に回収されました。





下水道に逃げた先、敵の追跡は……ない。
一先ず、現状に安堵する余裕はありそうだった。篤も息をついた。まどかを抱え、遅れてほむらも篤の後に続く。

恐竜化したたま。
彼女のサーヴァントも結局、最後まで見る影もなかった。
マスターには念話や令呪があり、サーヴァントとの対話や非常の呼び寄せも可能だったのに。
誰もが、それを行っても悪くなかった。

否、むしろソレを怠った彼女の方が発想力がない。頭の回転が弱い証拠。
恐竜の襲撃の際、たまが己のサーヴァント・バーサーカーを呼びだして居れば、戦況が変化しただろう。

「さて、ここからどうするか……」

「あの」

篤にほむらが呼びかけた。
恐竜の襲撃時と異なり、篤も少々ほむらを警戒する。
彼女は、恐竜の追跡が途絶えたのに安心したのか、至って普通に話を続ける。

「ランサーさんも傷を回復できない状況です。休める場所まで移動しませんか?」

「アテがあるのか?」

「私の家です。鹿目さんとは違って、私は一人暮らしですから……お二人が来ても問題ありません。それに」

「……セイヴァーが来る可能性もある訳だな」

「はい」

頷くほむらに目立った挙動や表情の変化は一切ない。
彼女の行動は一貫している。親友・まどかの身を考慮し、彼女に最善を尽くしている。
篤は『ほむらの弱み』をセイヴァーに利用されているのでは? と疑心を覚えた。

『弱み』――鹿目まどかそのもの。
セイヴァーの宝具ないし能力がなければ、鹿目まどかを救えない脅迫概念。
擬似的にまどかを人質に捕らわれた状況だろうか。

(セイヴァーは危険かもしれない……だがこの状況で奴を退けるには――)

ソウルジェムの浄化。暁美ほむらの処遇。恐竜化したたま……問題が山積み状態だ。
篤自身、ほむらが指摘した通り怪我を負った状態。万全に戦闘できない。


「待ちなさいって言ってるでしょ!?」

「うるさいなッ!!」


遠くから言い争う声が近づいてきたのに、篤は咄嗟に足を止める。
だが、ほむらは気付く。声の一人に心当たりがあるのだ。

「美樹さん……?」

暗がりの下水道ながらも闇の奥側から現れる青の魔法少女と、修道女のライダー。
ライダーに抱えられた佐倉杏子。
美樹さやかは、どうやらライダーを避ける態度を取っているが、ライダーの方はタダで動く気配もない。
そして、杏子の状態はまるで………

「………」

フツフツとただならぬ感情がほむらの中で渦巻く。不安や恐怖じゃあない。
篤とほむらの存在に、さやか達も気付いた時。
ほむらの中で渦巻くドス黒いものが、どう蠢くか誰も知らない……





【D-2 下水道/月曜日 早朝】

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]ソウルジェムとのリンクが切れている仮死状態 、精神的疲労(絶大)
[令呪]残り三画
[ソウルジェム]有
[装備]
[道具]
[所持金] お小遣い五千円くらい。
[思考・状況]
基本行動方針: 聖杯戦争を止める。家族や友達、多くの人を守る。
0:――――
(1):ほむらと情報交換する。
(2):聖杯戦争を止めようとする人がいれば手を組みたい。
※(1)と(2)については精神的に落ち着かなければ不可能です。


【ランサー(宮本篤)@彼岸島】
[状態] 全身に打撲(中~大)、疲労(大)、精神的疲労(大)、腹部裂傷
[装備] 刀
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯は手に入れたいが、基本はまどかの方針に付き合う。
0.まずはセイヴァーに接触し、どういう奴かを見極める。雅と同類であれば殺す。
1.怪盗X及びバーサーカー(カーズ)は必ず殺す。
2.怪盗X・セイヴァー(DIO)には要警戒。予告場所に向かうかはまどかと話し合う。
3.たまにも警戒を緩めない。
※恐竜化が感染する可能性を得ました。
※襲撃した恐竜が『鹿目詢子』だと気付いておりません。
※ほむらがセイヴァーの能力の影響下にある可能性を持ちました。


【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]疲労(中)、魔力消費(小)、魔法少女に変身中
[令呪]残り3画
[ソウルジェム]無
[装備]見滝原中学校の制服
[道具]学生鞄、聖杯戦争に関する資料、警察署から盗んだ銃火器(盾に収納)、まどかのソウルジェム(穢れ:中)
   ほむらのソウルジェム(穢れ:小)
[所持金]一人くらし出来る仕送り
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯の獲得。まどかを守る。
0.美樹さん――?
1.まどかのソウルジェムを浄化する為、セイヴァーと合流する。
2.学校には通学する
3.セイヴァーに似たマスターは一体…?
4.またセイヴァーのそっくりさん...あと何人いるんだろう
5.バーサーカー(カーズ)には要警戒
[備考]
※他のマスターに指名手配されていることを知りましたが、それによって貰える報酬までは教えられていません。
※セイヴァー(DIO)の直感による資料には目を通してあります。
ホル・ホースからDIOによく似たサーヴァントの情報を聞きました。
ヴァニラ・アイスがDIOの側近であることを知りました。
※ライダー(プッチ)がDIOの友であることを把握しました。
※恐竜化が感染する可能性を得ました。

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]魔力消費(小)、負傷(治癒済み)
[令呪]残り三画
[ソウルジェム]有
[装備]セイバー(アヌビス神)
[道具]大き目のバッグ(アヌビス神を入れる用)、さやかのソウルジェム(穢れ:小)
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:平和を乱す奴をやっつける
1.ライダー(ディエゴ)は放っておけない。倒す。
2.このライダー(マルタ)は杏子のサーヴァント……? まだ信じきれない。
3.魂のエネルギーで願いが叶う……?
[備考]
※まどか・マミ・杏子の電話番号は知っていますが、ほむらの電話番号は知らないみたいです。
※ライダー(ディエゴ)のステータスを把握しました。
※ライダー(マルタ)のステータスを把握しました。彼女が杏子のサーヴァントかは懐疑的です。
※配布されたソウルジェムが魔女を産む可能性を考えています。


【セイバー(アヌビス神)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]魔力消費(小)、水に濡れた、ディエゴに対する戦意喪失
[装備]
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:さやかを自分の有利な方へと扇動する。
0.DIO様に勝てる訳が無いッ!
1.DIO様と合流したい。
※ライダー(ディエゴ)とレイチェルの主従を把握しました。
※ライダー(マルタ)の存在を把握しました。


【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]肉体死亡
[令呪]残り3画
[ソウルジェム]有
[装備]
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争に乗り気は無いが……
0.―――
[備考]
※ソウルジェムが再び肉体に近付けば意識を取り戻し、肉体は生き返ります。


【ライダー(マルタ)@Fate/Grand Order】
[状態]魔力消費(小)
[ソウルジェム]無
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争への反抗
1.杏子のソウルジェムを取り戻す。恐竜使いのサーヴァントはシメ……説伏する。
2.アサシン(杳馬)は何か気に食わない。
3.さやかは放置しておけない。
[備考]
※杏子のソウルジェムが破壊されない限り、現界等に支障はありません。
※警察署でXの犯行があったのを把握しました。
※卯月とアサシン(杳馬)の主従を把握しました。
※ディエゴの宝具による恐竜化の感染を知りません。ただディエゴの宝具に『神性』があるのを感じ取っています。
※ライダー(ディエゴ)とレイチェルの主従を把握しました。
※セイバー(アヌビス神)とさやかの主従を把握しました
最終更新:2019年01月31日 17:46