立ち向かうもの◆yy7mpGr1KA



◇ ◇ ◇


「君は神を信じるかね?」

仕事の話、ということで呼び出されてみれば第一声がこれだ。
些か面食らうのも仕方なかろう。
目の前の金髪に若干の肥満体の男が偽物ではないだろうか、などという疑念を挟みつつだが。
その答えに深く首肯する。

「うむ。そう答えると思った。しかし、わたしの……我々の信じる神と君の信じる神は違う。
 ああ、批判するつもりはさらさらない。君が我々の神に関心を抱かないようように、わたしも君の信仰などどうでもいい。
 しかしだ、だからこそ都合がいいということもある」

そう言いながらすっと懐から取り出した布切れを渡してくる。
受け取った折りたたまれた上にちょっとした刺繡細工がしてあるようで、簡単には開かないようになっていた。

「そのハンカチには一枚のトランプ……白紙のカードが挟まれている。
 おっと、取り出すんじゃないぞ。触れてはその時点で運命が決まってしまう」

中身を確かめようとすると、それを妨げられる。
気に障る物言いといい、何がしたいのか。

「君に依頼した任務は聖人の遺体の回収だが、もう一つ当たってもらうことになるかもしれない。
 万一遺体奪還の任務に失敗し、瀕死の状態となったらハンカチを開き、白紙のトランプを手にしたまえ。
 運が良ければ助かるだろう。もし助かったならば、君の任務は新たな段階に移行する」

ようやく本題に入ったらしい。
ハンカチをしまいながら耳を傾ける。

「聖なる遺体ではなく、聖なる杯を君には手にしてもらいたい」

新たに告げられた任務。
それの重要性など知る由もないが……
自分のような新参に任せていいような内容には聞こえないのだが、大丈夫なのか。

「確かにわたしと君の関係は、金銭による契約でしかない。信用など全くないが、君が我々の信じる神に何の興味もないだろうという点は信用を通り越して確信している。
 だからこそ、遺体よりも杯よりもわたしとの契約を優先してくれるだろう、とね。
 他の者ではそうはいかない、あのお方の尊さに目が眩み、持ち逃げを考えようとするものが出るかもしれない。
 君にそれはない。わたしの部下の誰よりも安心して聖杯戦争に送り出すことができるというものだ」

疑問を口に出すと、説得のような答えが返された。
なるほど。
信頼など微塵もしていないのはこちらも同じだが

「だからこそ、ある意味で君にしか任せられないと言える」

よろしく頼まれてくれたまえ、という言葉を背中に受けて席を立つことになった。

そしてその万一は的中し。
わたしは聖杯戦争に挑むことになった。
彼からの皆無に等しい信頼を裏切る形で。


◇ ◇ ◇

「どうしたニイちゃん、買うのかい?買わねェのかい?」
「……っと、悪いな。少し考え事をしてしまった」

にぎわう街中、その路肩に止まった車の前で男は正気に立ち戻った。
空腹を覚えたタイミングでホットドッグの移動販売車を見つけ、ふらりと立ち寄り、財布を開いて数十秒。
その沈黙を不審に思った若い売り子に急かされ、手持ちの予算と、ホットドックのサイズやオプション、腹の虫と相談する。
そして、不慣れな手つきで財布の中に詰まった札束から数枚を選別し――

横合いを甲高いバイクのエンジン音が駆けた。
そのあとにはドップラー効果と、僅かな札だけを手にした男の姿が残った。
男は唖然とする売り子の前に札を置いて

「一番でかいヤツを二つ頼む。釣りはいらん」
「お、おう。それはいいが、ニイちゃん……」

目の前で財布をひったくられるという事件が起きて、パニック気味の売り子をよそに客の方は落ち着いている。
警察に連絡すべきかおろおろしていると

「追いかけたいから急いでくれ」
「え?あ、ああオーケー」

客に急かされ注文のホットドックを渡す。
習慣的に釣銭も出そうとするが

「急いでいるのでな」

それを制するようにして、ひったくりのバイクの方を見る。
もうかなりの距離を走っていて、ナンバーも見えはしない。

「け、警察に連絡は……」
「必要ない」

ふ、と売り子の視界から客の男が消えた。
後には3つのものを残していっただけ。
受け取らなかった釣り、バイクが駆け抜けたかのような疾風、それに飛ばされた顔を隠すように目深にかぶっていた帽子。
物音一つなく、静かに、柔らかく、しかしすさまじい速さで男は走っていった。
その速さに驚き、またその走り方に驚く。
交通標識、信号機、ビルの看板……街中のあらゆるものを足場として駆けていく。
サーカス芸人も顔負けのフリーラン。
それを披露し、即座に背中が見えなくなる距離を踏破していった。



そんなことを知る由もないひったくりはのうのうとバイクで走る。
万に一つも追い縋られることのないよう、確実に巻けるよう道を幾度も曲がり……
それが災いした。
ひったくり犯の前に黒い影が舞い降りた。
曲がるたびに落ちる速度、余計なカーブなどなく最短距離を走るフリーラン、何より人並み外れた瞬発力によって、徒歩でバイクに追いすがることを可能としたのだ。
咄嗟に躱そうとハンドルを切る。
そこへ凄まじい衝撃が走る。
バイクを右殴りにするように、数十メートルの高さから物が落ちたような衝撃が大きな音を立てて叩きつけられ転倒してしまう。
ぐう、と潰れたカエルのような悲鳴を上げるひったくりを何でもないように扱い、男は盗られた財布の中身を確かめるのを優先していた。

「よし、もう行っていいぞ。警察沙汰は面倒だ」

無事に財布がもどれば後はどうでもいいらしい。
バイクから落ちた相手に心配の声をかけることもせず、警察に突き出すこともしないその態度に苛立ちを覚え、立ち上がろうとする。
瞬間、腕を何者かに掴まれた。
振り返ると、いつの間にかもう一つ黒い影が現れていた。
正中線上に描かれた白い直線状の紋様とインディアン風の民族衣装は特徴的だが、体格は平均的な成人男性とそう変わりない。
それでもつかむ力は尋常ではなく、そのまま手を引かれる。
立ち上がらせてくれるのか、と思いきや、直立するに十分な高さになってもまだ腕を引き続け、片腕で男を宙づりにしてしまった。
そのまま肉屋にぶら下がった生肉を観察するように、ひったくり犯の全身を一通り眺める。

「特に致命的な傷はない。ああ、行って大丈夫だ」

それだけ言ってぱっと手を放す。
ひったくり犯は地面に足が着くと同時に脱兎のように駆け出す。
それをまるで関心なさげに二人して見送る。

「ホットドック、あなたもどうだ?」
「ああ、初めて食べるなそれは。いただこう」

購入したばかりのまだ暖かいホットドックを揃って頬張る。
いけるな、悪くないなどと感想を述べながら二人して食べていると、彼らにゆっくりと近づく二人組の姿があった。
そのうちの片方、もう一人を引っ張るようにしていた少女が話しかける。

「失礼します。もしかして、サンドマンじゃありませんか?」

映画のパンフレットを持って興奮した口調で話す少女。前に回り込み、顔を見て、確信した様子だ。
話しかけられた男…サンドマンは頭に手をやり、先ほど走ったせいで帽子が飛んでしまったことに遅れて気付いた。

「サンドマンって?」
「知らないんですか!?スノーフィールドのシンデレラボーイとして超有名ですよ!?
 はじめはパルクールのパフォーマーで日銭稼ぎだったのが、映画監督の目に留まってデビュー。
 アスリート顔負けの身体能力に、ノーワイヤーでとんでもないアクションをするスタントマンとしてその道で知らないものはいないといっても過言ではないでしょう!」
「へー、どんな映画に――」
「『Shark/Stay night』!
 深海から襲ってきたサメに噛まれて、深海で進化したウイルスに感染した漁師が夜な夜な村人に噛みついて、噛まれた人もウイルスに感染して、ネズミ算式に感染者が増えていくパニックアクションホラーがもうすぐ公開です。
 予告映像だけでも、30階のビルの屋上で100メートルくらいの助走を10秒足らずで駆け抜けて、そこからへりに飛び移るのを命綱もCGもなしでやってるのが超すごいんですよ!」
「……お前の好みを忘れていたよ」

ようするにB級映画マニアの間では有名な人ね、というセリフを連れられた男は胸中にとどめ。
関係ない映画のパンフレットにサインをねだる少女のことを申し訳ないと思いつつも、心底嬉しそうな彼女を止めることもできず。
不慣れな様子でサインをしてくれたサンドマンにお礼を言って、二人は立ち去って行った。

「なかなかの人気ものじゃあないか。撮影も終わって、ああいうのが増えるのかな?
 ……しかし、いいのかマスターよ」
「いいのか、とはなにがだ」
「サンドマン、と呼ばれることがさ」

静かな調子で、サンドマンを気遣うような問いを投げる。

「ああ、構わないんだよ。キャスター、いやゴヤスレイ。これはあなたと同じなんだ」

穏やかな言葉で問われ、サンドマンも同じように穏やかに答える。

「あなたは白人にジェロニモと呼ばれ、そして以降そう名乗っている。
 敵を威嚇するために、味方を鼓舞するために、『欠伸をする者(ゴヤスレイ)』ではなく『獅子のように戦う聖人(ジェロニモ)』と名乗り続けた。
 その名に敬意を払わないものはわたしたちの部族にはまずいない。もちろん、このわたしも含めて」

音を奏でる者が、実姉にしか向けないような澄んだ目をジェロニモに向ける。
少年のような憧憬の籠もった眼で、サンドマンはそこから言葉をつなげた。

「わたしは『音を奏でる者(サウンドマン)』。白人はこれをサンドマンと聞き違え、故郷の皆もわたしを侮蔑してそう呼ぶ。
 白人の文化にかぶれたお前には白人の名がお似合いだと。
 確かに白人どもにサンドマンと言われるのは些か苛立つものがなくはないが……」

名に込められた意味も誇りも読み取れない奴らがその名を口にするのは癇に障らないといえばうそになる。
しかし故郷のみんななら。
本当の名を知る彼らには呼ばれても構わないとも思える名なのだ。

「サンド……白人どもの言葉で砂、砂漠を意味する言葉。
 わたしたちの先祖から受け継いだ土地は多くが『砂漠(サンド)』だ。故郷をこの名には背負っているんだ。
 サンドマン…『砂漠を取り戻す者(サンドマン)』なんだ。あなたがジェロニモであるように、わたしもサンドマンなんだ」

姉にしか明かしたことない、自分の名前に持つちっぽけな誇り。
尊敬する戦士にあやかった、故郷を背負う覚悟をその戦士に語る少年のような姿がそこにあった。

「取り戻す、か」
「取り戻す。なんとしても。わたしたちはまだ負けていない」

決意と熱意に満ちた目でサンドマンはそう答える。
しかしその一時の感情に流されはしない。
目の前に立つ偉大な戦士の敗北からも学ばなければ。

「だが力づくでは勝てない。あなたでできなかったことが、わたしにできるはずがない」
「だから取り戻すのはあくまで白人どものルールに従って、か。私も買われたものだ。
 しかし、惜しい。君のような戦士が私と共に戦ってくれていれば……」

かつての戦いを思い返すようにジェロニモは目を細め――

「白人どもをもう2000は仕留められただろうに」

冗談めかしてそう呟いた。

「勝てない、か」
「ああ、勝てない。私たちの魔術、悪魔の手のひらに呪われたスタンドという力、そうした奴らにはない強みはあったとして数の不利を覆す兵器にはなりえない。
 それこそ本場インドのトップ・サーヴァントでも連れてこなければ」

ジェロニモには立ち止まった者としてある種の諦観があった。それもまた運命、と堪えるつもりだった。
しかし19世紀の人間でありながら、進んだ価値観を持つサンドマンは諦めなどなく立ち向かい続ける。

「だからこそ金が要る。こんな端金じゃあない、あの広大な大地を丸ごと買える膨大な一財産が必要なんだ」

スノーフィールドに来てから購入した頑丈な爬虫類の革製の財布と、仮住まいの家には数カ月生活するには困らないだけの貯えがある。
先日撮影を終えて、十分な報酬として与えられたものだ。
しかしそれでもサンドマンの願いを兼ねるにはあまりにも不足していた。
故に彼は目先の小金でなく、かなたの願望器をただ睨む。
それをまるで凄腕の狩人のようだ、とジェロニモは思った。狩人に欠かせない獰猛さと冷静さを兼ね備えた戦士に敬意を覚える。
……同胞の願いには感じ入るものがあった。

「君はじつに柔軟な思考をしている。そして何より勤勉だ。
 白人どもの言語や文化を学び、糧としているのはもちろん、今も努力を続けようとは心底尊敬するよ」

歩く二人は市内の小規模な図書館を目的地としていた。
サンドマンが目的としたのは基本的な数学のテキストで勉強すること。

「土地を買ったところで、それだけでは維持できない。今、この時代を肌で感じてはっきり分かった。
 変わっていく時代に対応し、故郷を守り抜くための知識が必要だ」

100年程度で大幅な発展・変化を遂げたというスノーフィールドでわずかとはいえ過ごし、サンドマンの生きた時代との差異に瞠目させられた。
白人は敵だが、その敵の知識は間違いなく武器になる。

「必要な知識を得るのも聖杯に託す願いだ。わたしに聖杯戦争の知識を刻むことができたように、法や経済の知識をもたらすこともできるだろう。
 なにも全知全能になろうというわけでもなし。そこまでのものを望むのは貪欲なコヨーテでもしない。
 だが、聖杯戦争の知識を与えられただけでは埋めようのない違和感があった。
 キャスター、あなたに改めて説明され、時間をおいて咀嚼することでようやく払拭できたんだ。
 基盤となる教養がなければ、知識を十全に使いこなすことはできない。聖杯戦争が本格化するまでのほんの少しの間だけでも、学んでおきたい」

そう口にしながらもサンドマンの目線はテキストを走っている。
狩人どころか肉食獣の目だな、とジェロニモは思う。
マスターの邪魔をしてはいけない、そもそも自分がいても役に立つことはないと席を立つ。

「少し外す。周囲の警戒はしておくから安心してくれ」

それだけ告げて、ジェロニモもまた本棚へと向かい、目当てのものを探す。
その途中で精霊の声に耳を傾けつつ。

(この大地を闊歩する精霊よ。ゴヤスレイの真名においてその力を貸し給う)

スノーフィールドという故郷近くの土地ならば、様々な精霊の声と力を貸してもらえる。
月に再現された地ではあるが、それでもホームさながらの能力を発揮できる。
山の精霊の声を聴き、現在周囲に敵の気配がないことを確認。
安心して調べものに専念できる。
手に取った本は、歴史書……というほど高尚なものでもない。
ただかつてのアメリカ大統領の名を調べたかっただけ。
第23代アメリカ大統領の名を。
初の黒人大統領だとか、奴隷解放の英雄だとか惹かれる名前もあるが……

(ファニー・ヴァレンタイン。莫大な経済効果をもたらした大陸横断レースの功労者。様々な国からの勲章を受け、国民の支持も厚かった大統領か)

マスターから聞いた名前と時代に一致する。
その功績についても、また。しかし……

(そうだったか?アメリカの体制について詳しいわけではない。ワシントンくらい有名な英霊なら間違いないと言い切れるが……)

1890年といえばジェロニモもまた生きた時代だった。
囚われていたとはいえ、敵の首魁の名くらいは耳にはさんでいる。

(グロバー、とかそんな名前だったか。少なくともヴァレンタインという名にも、大陸横断レースという話にも覚えがない)

異なる歴史、知らない人物。
つまりは

(剪定事象、というやつか。いずれ儚く消える歴史。
 あるいは大統領の違いやレースの有無くらいは修正の狭間で消える程度の誤差なのか)

英霊、世界の仕組みの内側の存在となって初めて得た知識と照らし合わせる。
外法なりといえど魔術師、思考は進む。
アメリカが大地を手にする、というよりそれ以降の20世紀におけるアメリカの発展まではまず間違いなく人理定礎に刻まれている。
月にまで足を伸ばす巨大国家の存在は間違いなく未来を可能性で満たすだろう。

(だが実際どうなのだろうな。アメリカが歴史において勝利することは大地の記録に刻まれているとして。
 マスターのそれは人倫、いや人理にもとる願いかと思った。だが、彼の歴史がいずれ消えるうたかたの夢ならば……叶えるのもよしか)

眺めていた本を棚に戻す。
その際に近くの棚にあった本が二冊視界に入る。
トーマス・アルバ・エジソンの伝記と、ライオンが表紙の動物図鑑。
奇妙な取り合わせのその二つを認識すると、なにやら胸のうちに生じるものがあった。

(……サンドマンは私のような異なる時代からの干渉者ではない。
 あの時代を生きる彼が、変転するアメリカで大地主となるのは編纂事象を変えるほどの出来事となるかは……微妙なところだ)

胸の内に生じたもやを打ち消すように、頼れるマスターを肯定するように心中で言葉を紡ぐ。

(彼の願いは尊い。そして私のそれよりも賢明だ。血を流さず、白人どもの道義で奪い返す。
 それが叶えば歴史は変わってしまうかもしれない。だが、彼は私たちの流した血からその合理的な願いを得たという。
 ……私たちの流した血が無為に終わらず、同胞の手に故郷が取り戻されるならば)

欠伸などはしていられない。
マスターのために、何より我らの一族のために、この地の敵を振り払う血塗れの悪魔として目覚めよう。
そう、迷いない決意を固めた。




【クラス】
キャスター
【真名】
欠伸をする者@Fate/Grand Order
【パラメーター】
筋力C 耐久D 敏捷B 魔力B+ 幸運C 宝具B
【属性】
中立・善
【クラススキル】
陣地作成:B
魔術師として自らに有利な陣地を作り上げる。
閉鎖的な工房ではなく、地の利を活かした即席の野営地を作り上げる。
全員の戦闘力にボーナス。

道具作成:C
魔力を帯びた道具を作成できる。
精霊に祝福を与えられた武器などを作成する。

【保有スキル】
血塗れの悪魔:B
キャスターにあるまじき武勇伝を誇る。
弓、槍、ナイフなどどれを取っても熟練の腕前。近接戦闘力に大きなボーナス。

シャーマニズム:B
アパッチに伝わる精霊との対話。
契約により彼らの力を借りることができる。

守護の獣:B
ジェロニモと共にいるコヨーテの精霊。
少々悪戯好きなところが玉に瑕。

【宝具】
『大地を創りし者(ツァゴ・デジ・ナレヤ)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:100人
アパッチ族に伝わる巨大な《コヨーテ》を召喚する。
召喚されるなり、彼に煙草を奪われた《太陽》が彼を追いかけ始め、結果的に広範囲に渡って強烈な陽光によるダメージを与える。
と同時に、守護者であるコヨーテによって味方側の力を増幅させる。
アパッチ族の伝承を小規模ながら実現する大魔術。

【weapon】
ナイフ

【人物背景】
ジェロニモは北米先住民族の一つ、アパッチ族の戦士である。
「欠伸をする」というのんびりした名前であった彼の人生が一変したのは、二十歳のときである。
母親、妻、三人の子供をメキシコ兵に惨殺された彼は、演説をぶち上げて戦士としてメキシコ軍へ報復を行った。
優れた戦士であり、何より復讐の念に燃えていた彼は槍が折れ矢が尽きても、自身と相手の血で真っ赤になりながら、ナイフ一つでメキシコ兵と戦い抜いたという。
恐慌をきたしたメキシコ兵が「ジェロニモだ!」(聖ジェローム。獅子のように戦うことで名を馳せた聖人)と叫んで以降、彼の名はジェロニモへと変わった。

ジェロニモは決して野蛮で残忍なだけの人間ではなかった。
冷静であり慎重、降伏も辞さないが、誇りは決して捨てない。
ジェロニモと彼の率いるアパッチ族三十五人を捕らえるためにアメリカ政府は五千の兵を動員したという。
アメリカとメキシコ、二つの軍と戦ったジェロニモは四度降伏した。
最後の降服の際、二年経てばアリゾナに戻してくれると約束したが、それは反故にされ結局アリゾナに帰ることはできなかった。
以後、ジェロニモは生涯米軍の虜囚として扱われた。その間、1904年のセントルイス万国博覧会などで人間動物園として展示されるなどした。
生まれ故郷のメキシコ国境へ帰りたいというジェロニモの願いは叶えられず、オクラホマのシル砦でその一生を閉じた。

【サーヴァントの願い】
編纂される歴史において、故郷の土地がこれ以上奪われないように。
……剪定される歴史の中に一族の青年が栄える未来があってもいいのではと思い始めてもいる。

【マスター】
音をかなでる者@Steel Ball Run

【参加方法】
ヴァレンタイン大統領から白紙のトランプを預けられていた。

【マスターとしての願い】
故郷の土地を全て白人から買い戻せる以上の巨万の富。
そしてそれをまた奪われないための法、経済の知識。

【weapon】
後述の能力を主武装とする。
なお狩猟の訓練を積んでおり、ナイフ一本でうめき声ひとつ立てさせずに人を殺すこともできる。
他の同族の振る舞いを見るに、馬、槍、弓矢、手斧などを扱いこなす可能性あり。

【能力・技能】
『イン・ア・サイレント・ウェイ』
いわゆる超能力者、スタンド使い。
スタンドのパラメータは【破壊力-C/スピード-C/射程距離-D(2m)/持続力-A/精密動作性-D/成長性-B】
霊体に近似する存在であるスタンドの在り方はサーヴァントと相性がよく、そのエネルギーを魔力の代替とする。
持続力は高いため、優秀なマスターとなる。
物が発する音(擬音)を形にし、その性質を具現化する能力を持つ。
切る音、燃える音、刻む音など体感したことは全て現実のものとなり、切った音なら触れたものをズタズタに切り刻み、燃える音なら高熱で焼かれダメージを受ける。
作中ではナイフを振るった音で風音の文字を発生させ、攻撃の軌道を逸らさせる用法も見せた。
文字となっても音としての性質は保持しており、水中では空気中より速く伝わる、交差して増幅すれば破壊力を増す、固いものに当たれば反射するなどの特徴を作中では披露している。

スタンド抜きでも優れた身体能力を持つ。
一瞬ならば馬と渡り合う瞬発力(時速45kmは出ているらしい)、10m近い岩山を装備なしに駆けあがる技術など。
サンドマンはスノーフィールドでの生活と学習によりこれをさらに磨き上げ、独自のパルクールとして昇華させている。
学習能力にも優れ、師もなく独学で英語を学び、新聞を読めるようになる、短距離の走法を習得しさらに部族の経験と合わせて独自のフォームに至るなど多才。

【人物背景】
アメリカ・インディアンの青年。
常に己の信じることを正義とし、本来敵対関係にあるはずの白人の文化を学んでいたため、部族内では村八分の状態になっていた。
本人もそのことはまったく気にしていなかったが、唯一の肉親である姉だけには頭の上がらない一面も。
白人に奪われた土地を金で買い戻すために、6000万ドルの賞金が出るアメリカ大陸横断レースSteel Ball Runに己の足のみで参加。
他の参加者が馬や車など乗騎を用いるなか、トップグループに混ざる活躍に様々な方向から注目を浴びる。
レースの黒幕であるアメリカ大統領、ファニー・ヴァレンタインもサンドマンの実力に目をつけ、取引を持ち掛ける。
聖人の遺体を回収すれば、レースの賞金に合わせて土地を買い戻すのに十分な報酬を払うと。
サンドマンはこれに応じ、遺体の保持者に戦いを挑み奪おうとするが、敗北。
命を落とす刹那に遺体とは異なる聖遺物、聖杯へのアプローチを手渡されていたことが幸いし、スノーフィールドにたどり着く。

目的を達成するために最も効率の良い合理的な手法を選択するため、状況に応じて敵にも味方にもなりうる存在。
そのため協調性は欠片もないと言えるが、借りはきちんと返す主義でもあり、敵に対しても情報くらいは提供することもある。

【方針】
聖杯狙い。
同盟なども合理的に、柔軟に視野に入れて。
なお金銭によって大統領に雇われた経歴のあるサンドマンも、聖杯によって知識を獲得するという明確に聖杯に託さなければならない願いがある以上方針を翻すことはそうはないだろう。
もちろん大統領に金で雇われはしたが、自分たちの願いをかなえることに聖杯は使わせてもらうため、渡すつもりはない。トランプを与えてくれた借りは何らかの形で返すが。







第七階位(カテゴリーセブン):トワイス・H・ピースマン&ガンナー 投下順 第九階位(カテゴリーナイン):炎の記憶
時系列順
GAME START 音を奏でる者 OP2:オープニング
キャスター(欠伸をする者)

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最終更新:2017年02月28日 23:09