トワイス・H・ピースマン&ガンナー◆aptFsfXzZw







 ――この未来は間違えている。

 収益がまるで合っていない。消費と繁栄の均衡が崩れ、成長期のままで止まってしまっている。
 停滞した精神。袋小路の世界。今まで支払っていたものに相応しい未来に辿り着かぬまま静かに終わり、腐敗して行く。

 今描かれたこんな世界が、完成(終わり)に足る美しい紋様(アートグラフ)と言えるのか?

 迷うことなどない。答えは否だ。

 だが、それならば――今日までに捧げられた犠牲は、何だったのか。
 明日を昨日に変えるための、礎となった先人達。彼らの想いに相応しい世界を築けなければ、人類はただの殺戮者だ。

 故に私は叫ぶ。世界に、人類に、ただ一言。「止まるな」と。
 しかし、そんな言葉だけでは届かない。何も変えられない。見せかけの安息という泥濘(ぬかるみ)に身を委ねた者達は、それだけでは決して足を動かそうとしない。

 だから私は聖杯に願う。彼らが自らの強靭な意志で歩み出すために、必要なものを。

 停滞を破るための――人類全てを巻き込んだ、大戦争を。






◆◆◆◆



 ……我こそは魔王ザミエルである。



 我こそは聖バルバラにして聖フーベルトである。






 人の作りし億千万の鉄血鉄火、その全てを纏いしこの世最後の戦神である。






 ……そして世界の変革に取り残され、既に役目を終えた旧時代の遺物である。

 魔眼の王の行く末を見届け、彼と共にこの世を去るのを待つのみの、ただそこにあるだけの人格である。



 何故か。それは我が身を望んだニンゲンという種に、もうこれ以上必要とされなくなったからだ。
 人が住む時代は移ろい変わった。世の中が戦争で決められていた時代から、暴力に頼らず、暴力に屈しない時代へ――その、過渡期へと。

 きっと人はこの先も、何度も何度も間違えて、何度も何度もニンゲン同士で争うだろう。傷つけ合い殺し合うだろう。戦争が起き、戦争が終わり、新たな戦争が始まるだろう。

 それでも時計の針は戻らない。特別な何かが世界を動かし、強大な暴力が世界を揺るがす構図は崩れ去り、何の変哲もない大勢の意思が世界を決める。そんなもっと先の時代へと、人の世は既に向かっている。
 これ以上暴力に頼る方向に進んで待つのは闘争ではなく、人の勇気も知性も介在できない、忌むべき作業としての殺戮だけだと直感したから。
 単なる殺戮者で終わらないための教訓として、礎として、進むべき道を決定づけるのに十分なだけの戦争を、既にニンゲンは体験して来たのだから。
 だから袋小路を抜け出して、人という種は次のステップに進むことを選ぶのだ。
 全ては、戦争(あたし)があったから――

 納得はした。だからあたしは英雄に鎮められ、今に至った。
 大好きなニンゲンを信じて、何もせず、ただ見守り黙って消えて行くだけの、神格すら手放した亡霊に。



 ――――それでも。

 この身を編んだヒトの想いを、この本分を尽くせる場所が、まだあるというのなら。

 ニンゲンが次のステップに進むために、まだ戦争が必要だというのなら。あたし達の知らない遠い世界で、あるべき積み重ねが足りずに、今も渇望されている場所が残っているのなら。
 そこに馳せ参じるのは、きっと――――英雄(ニンゲン)に対する、裏切りではない。

 ならばあたしは……その呼び声に、応えよう。

 止まった時計の針を、動かすために。



◆◆◆◆



 一発の銃声。それを引き鉄に紛糾する悲鳴と怒号。跳ねる血飛沫、香る硝煙。

 此方と彼方、敵と味方の二陣営に別れた人間同士が繰り広げる、銃撃戦。

 それは、数多の移民を受け入れる“この”スノーフィールドが抱える暗部。
 行き場を無くした者達がこの箱庭の街にも馴染めず、吹き溜まり形成された黒社会。
 その住人が組織した一団と警察組織が銃撃戦を繰り広げることも、決してあり得ないことではなくなってしまった。

 ただ――その夜の事件は少々、特異だった。

 あまりにも決着が早く、一方で動員された人数に対し、あまりにも犠牲者が多かったのである。
 それも第三者を巻き込むことなく、激突した組織の構成員と警察官からのみ死者が出た。



 そして、何より特筆すべき奇妙なことは――――死亡者と消費された弾薬の総数が、ピタリと合致していたことであっただろう。



◆◆◆◆



「……あれが、君の加護か」
 夜街を歩いていた最中、そんな銃撃戦が偶然視界に収まるところで始まって、すぐに終わったのを目撃した白衣の男は、傍らの欧州系の女に語りかけた。
「撃てば当たる殲滅戦。随分と過激な聖地だ」
「そうね。狙いやすくて、当たりやすい。それって銃を撃つ者からしたら、悪いことが起き難くなっていると言えるんじゃないかしら」
「成程。外れ易くなる、よりは幸せだろうな。納得したよ。だが……」
 答える自身の心臓が、躍動することもなかった事実を踏まえて、男は眼鏡越しに鉛色の髪をした女を見る。
 鉄十字のペンダントと、頭の上には古めかしいフリッツヘルム。いかついパンツァージャケットに似合わない痩身を包んだ若い女は、誰のモノとも知れない血のニオイと誰のモノとも知れない肉のニオイが充満し、その隙間を硝煙が掻い潜って昇る酸鼻な空間を見て、無邪気な少女のように笑っていた。
 そんな彼女の姿に、あるいはすれ違いの不安を覚えながら、男は問う。

「――これが、君の見たいものだったのか? ガンナー」
「少しだけね、トワイス」
 互いに相手の名を呼びながら、男と女、聖杯戦争に臨むマスターとサーヴァントは、目の前で起こった命の攻防の感想を交わす。

「仕事や義務だからなんて、作業感覚を理由に引かれた引き鉄じゃなかったわ。最初の一人は自由に生きたいから、戦おうとして撃った。次の一人は死にたくないから撃った。生きるために撃って、撃たれて死んで、生きるためだけに生きようとして撃った。最後はみんながみんな、生きようとしてもがいていた。銃に命を預けて、一発の弾丸に奇跡を願った。
 あれがあたしの見たかったもの。死の瞬間に見える命のきらめき。本当の魂の輝きよ」
 陶然とした表情で、情熱のままにガンナーは語る。
 しかし、それもすぐに下火となった。代わって募った不満を隠す様子もなく、ガンナーは続ける。
「……だけど、早回ししちゃったから。それだけで、すぐに終わってしまったわ。本当はもっと見たかった。もっともっと見たかった。あたしもあなたとおんなじよ、トワイス」
 それからニコリと笑みを浮かべて、ガンナーはトワイスの名を呼んだ。

「あんな小さな争いじゃ物足りないんでしょう? 顔に書いてあるわ」
「そうだね……きっと、そうなんだろう」
 ああ、あんなものでは駄目だ。
 たったあれだけでは、きっとガンナーのチカラなど関わらずとも、成果が出る前に終わってしまう。むしろガンナーが言うような必死さ、死を前にしたきらめきすら、そこには生まれなかったことだろう。
 そんな思考を巡らせるトワイスを見て、ガンナーは朗らかに笑う。

「うん、そう。あたしも殲滅するためのものではない、生存するための戦争が好き。人が生きるために生きる闘争が好き。その知性と勇気を振り絞って、前へと進む熱が大好き」
「そして、その熱で鋼へと鍛えられて行く、脆弱な人間の可能性に魅入られている……か」
「そう! そうよ、その通り」
 上機嫌に笑っていたガンナーは、これ以上近づくと警察の生き残りに目を付けられる、という位置でピタリと立ち止まり。
「……だから正直、この聖杯は気に入らないわ」
 搾り出すように嫌悪を吐き捨てたガンナーは、豊かだった表情を引き締めて、鉄のような冷たい凄みをその美貌に醸し出していた。



「あなたがかつて見つけたみたいに、生きているってことはそれだけで奇跡のように素敵なことよ。でも、それはただ命があるだけで特別なわけじゃない。命なんてものはもっと一般的で、普遍的なものなの。奇跡なんて言えないぐらい、みんな簡単に死ぬものなの。価値も意義も、そんな重さに関係なくあっさり崩れるものなのよ。
 そんなニンゲンの魂を輝かせるのは勇気と知性で、それは命そのものではなくて、生きている自分というパーソナリティにこそあるのよ」
「……それを奪われた命と魂の、残された本能だけの輝きなんかじゃ、君には不服だったということか」
「そうね。確かに本能は大切だけれど、やっぱり勿体無いわ。ニンゲンの命を、本当の人生じゃなくて嘘の物語だけで終わらせるのなんて」

 まるで人命を軽視するような物言いで、しかし同時、確かに人間を讃歌したガンナーは、そこで表情を険しくした。
 命の育んだ価値を奪い、代わりに縦割りの殻を被せる聖杯は、どうも彼女のお気に召さないらしい。

「それでも、必要なんだ」

 だから、釘を刺す意味を込めて、トワイスは強く宣言していた。

「……仮令、この私の手にできないモノだとしても」

 抑揚のない呟きと共に、トワイスは自らの掌を見やる。

 ――この身は、かつて実在した“トワイス・ピースマン”という人物を模したNPCが、生前(オリジナル)の記憶を取り戻してマスターとなったイレギュラーなモノ。

 自意識に目覚めてからの自分は、ムーンセルで行われていた生存トライアルに自らをマスターとして参戦し、聖杯へと至ることを目的に活動した。
 この再現された聖杯戦争に迷い込んだのも、その過程で偶然、時空の歪みに巻き込まれたためだ。

 しかしムーンセルの最終目的は、人間の魂の観測結果を記録(タイプ)すること。
 そして人間の魂そのものではなく、網霊(サイバーゴースト)の亜種であるトワイスは、ムーンセルにとって単なる不正なデータに過ぎない。
 もしも、熾天の檻に届いたとしても。トワイスが中枢に触れようとすれば、その正体に気づいたムーンセルにより仮初の魂はたちまち解体されてしまう。

 優勝したところで。偽りの存在でしかないトワイスは、聖杯の使用権を得ることができないのだ。

 それでも、トワイスは既に自らの為すべきことを見極めていた。

「これが、最後のチャンスだというのなら。私は、あるべき未来を導かねばならない」

 この偽りの街で新たに契約したサーヴァント、ガンナーには、最高ランクの千里眼スキルが備わっていた。
 透視や読心を越え、他者の背負う因果まで見抜くその神の視座は、トワイスにとって重要な事実を見抜いていた。

 口伝されたそれは、従来と異なり、この時間軸のSE.RA.PHでは死したトワイスはNPCとして再生されないということ。

 故にトワイスにはもう、失敗は許されない。
 この戦いで、願いを託せる者を見出すか。それが叶わなければ、いずれ期待に沿う勝者が到来するのを待ち受けるために、熾天の檻まで登り詰めるか。

 どちらが到達点となるかはわからないが、それまでに万が一にも自らのサーヴァントの手綱を握り損ねるなど、以ての外だ。

 とはいえ、トワイスも自分達主従が道を違える心配などはしていない。
 何故ならこのサーヴァントが語ったのは、かつて“トワイス・ピースマン”が死の際に見出した答えそのものだったからだ。

 それでも、意思は伝える必要があった。この願望の切実さを、それに応えてやって来た戦女神に再び提示して、足並みだけは常に揃えておく必要が。
 聖杯戦争においてはどんな油断が命取りになるのか、わからないからだ。

 ガンナーはそんな己のマスターに、ニコリと微笑んだ。

「わかっているわ。必ずあなたの祈りに応えられる人間に、この聖杯を掴ませる。だってあたし、元は戦争の神さまなんだもの。一肌脱がないわけにはいかないわ」

 彼女の真名はマックルイェーガー・ライネル・ベルフ・スツカ
 トワイスが生きたのとは異なる世界で生まれた、銃の精霊。
 そして二度の世界大戦を経て、戦神の域へと至ったもの。



 世界の裏側に身を潜めた神々よりも遥かに若く、しかしそれでも時代の推移に追いつけずに信仰を失い、堕ちたカミ。
 最終的には自らの神格をとある一人の英雄に与えたことでその身を貶め、サーヴァントとしての規格に当てはまるようになった今も、彼女はかつて自らに架した責任を手放さない。
 生まれ落ちた世界では役割を終えたことを認めた今も、人類に戦争が必要なのなら――こうして他の世界にまでやって来て、やがて人類に自らが必要なくなるその時まで、尽力しようとしてくれている気高きカミ。
 それがトワイスのサーヴァント、ガンナー。

「ただ、“この”スノーフィールドは折角良い感じに銃社会だから本当に勿体無いなって。確かに国家と比べたら不足も良いところだけど、戦争っていうのはそういう大きな集団でやるものなのよ。一人一人の人間がお互いの人生を懸けて、必死になって行うものなの。NPCじゃそのチップが取られちゃってるし……参加するのがどんなに強い英霊と魔術師の集まりでも、たったの数十人でドンパチするんじゃ、陰惨さも卑劣さも、容赦のなさも物足りないわ」
「……それは君がこれまで、当事者ではなかったからだろう」
 このサーヴァントとの相性はすこぶる良い。そのように理解しながらも、ただ一点のズレを埋めるために、トワイスは言葉を贈る。

「君は銃の精霊として、戦争の神として、誰かに肩入れすることはして来なかった。人間を愛し、戦争を愛する君は、戦場の誰もに等しく加護を与えた。それが君の役割だった。
 だが今回は違う。君は英霊の座から来たサーヴァントとして私と契約した。祈りを捧げる誰も彼もに平等であらねばならない神でも精霊でもなく、自らの願いのために戦う一人の兵士として聖杯戦争に加わった」

 そこで一息。区切りを入れたトワイスは、神霊として欠落した結果ガンナーとして現界し得たマックルイェーガーへと、祝福の言葉を用意する。

「初めて、最初から当事者として関わるこの小さな戦争はきっと……戦神(きみ)に、かつてない成長を齎すはずだ」

 少しだけ、ぽかんとした表情。
 ガンナーは、マックルイェーガーは考えたこともなかったのだろう。戦争がヒトに与える熱を愛し続けていた彼女は、それを見守り育むのが役割で、それを自らに任じ律儀に守り続けて来た彼女には、己が兵士として関わるという発想自体がなかったに違いない。戦の神が人の子の争いで、どちらかの陣営に肩入れして自ら人の子を撃ち殺して回るなど、不公平が過ぎてあってはならないことだったのだから。
 しかし、堕ちた今の彼女は英霊であり、その役割はサーヴァントである。
 自ら人の子を撃ち殺して回るだけの理由と権利を持った、一人の兵士なのだ。

「……そして、これで終わりではない。これは始まりなんだ。私が願い、君が叶えようと応えてくれた、人類全てのための大戦争の。
 到底満足できないこれはその引き金となる、最初の闘争、小さな紛争だとでも思ってくれれば良い。
 君の愛する確かな自我を持った者達との、この小さくとも本物の戦争のことを」

「うーん……」
 トワイスの訴えを受けて、ガンナーは暫しの間逡巡したが。やがて、頷く。
「……そうね、トワイス。本物のあたしは神さまで、人間が用意した鉄火場に飛び込むのは許されても、自分が火種になるようなことはできなかった。争いのきっかけになる引き鉄に指をかけるのは、銃の神として許されることじゃなかったわ。
 だけど、ここにいるあたしは英霊の座から召喚されたサーヴァント。一種の特例とも言うべきアバター。みんなに加護を与えるのではなくて、己の望む結末を勝ち取りに来た参加者……自分で引き金を引いて良い、一人の兵士。こんな形で戦争に関わったのは、確かに初めてね」

 そこでガンナーは、意地の悪い猫が浮かべるような、稚気の中に獰猛さを潜めた笑顔になった。

「なら、このあたしもたっぷりと堪能させて貰おうかしら。勇敢な兵士たちがいつも見ていたもの、感じていた気持ち。絶望と恐怖、屈辱と悲しみを。それを乗り越えた先にある、達成感と高揚感、爽快感と優越感を、この戦場(スノーフィールド)で」
 そんな彼女の様子に、トワイスも微笑み返した。
「ああ、それで良い。その神格を欠落したからこそここにいる君が、再び人類に加護を与える神の座に至るまで……君自身が、戦争の中で成長する機会に恵まれた運命を、私は尊ぶ」

 語らいはそれで終わった。成すべきことが明白となり、それ以上言葉を交わす必要がなくなったからだ。





 ――さあ、まずはこの街から始めよう。

 人間が人間として、勇気と知性を持って更なる飛躍を遂げるために。



 ……今こそ、戦争を。



 一心不乱の、大戦争を。













【出典】
 レイセン

【CLASS】
 ガンナー

【真名】
 マックルイェーガー・ライネル・ベルフ・スツカ

【属性】
 中立・善

【ステータス】
 筋力B 耐久D 敏捷C+ 魔力A 幸運B 宝具E

【クラススキル】
対英雄:C-
 ガンナー本人を除く、その戦闘に参加しているサーヴァントの筋力、耐久、敏捷をそれぞれ1ランクダウンさせる。

単独行動:B
 マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。Bランクならば二日間は現界可能。
 但し宝具を使用する場合など、多大な魔力を必要とする行為にはマスターの存在が必要不可欠となる。
 また、霊格に致命的な損傷を受けても短期間ならば生存できる。

【保有スキル】
女神の神核:B-
 信仰の多寡により霊格が変動すれど、その在り方が逸れることのない、完成した女神であることを現すスキル。あらゆる精神系の干渉を弾き、肉体成長もなく、どれだけカロリー摂取しても体型が変化しない。
 神性スキルを含む複合スキルであるが、彼女の場合は魔眼王との契約によってランクダウンを招いている。
 また、彼女は星の触覚たる自然現象の擬神化ではなく、「銃」という人造物の概念に向けられた人間の想念から発生した新時代の精霊であり、ランクに関わらず星(ガイア)ではなく霊長(アラヤ)に属している。
 そのため、霊長としての属性を持つ相手と間では他の神性同様に働くが、星としての属性そのものは有していない。

千里眼:A+
 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。
 透視、読心すらも可能とし、更に捕捉範囲内に存在する銃の所有者の視界をも全て己の物として並列に捉え、挙句は相手が背負う因果すら一目で見通すことのできる、神たる者の視座。

女神変生:B-
 変化スキルの最高位。女神に変生(へんしょう)する。
 新時代の精霊故の不安定さから、霊格が精霊と神霊の規模を幾度となく変生したこと、そして己の神性を他者に与えたことで自らと相手の存在を変化させた逸話から変則的に保有する。
 使用することで戦女神としての霊基を一時的・限定的に再現し、その間は魔力消費の増大と引換えに様々な能力を向上させ、また神性が自身に及ばない敵からの攻撃を削減・無効化する絶対性をも獲得する。
 とはいえ、通常規格のサーヴァントである以上、再現可能な出力は著しく劣化したものであり、なおかつサーヴァントとしての霊基には多大な負荷が掛かる。
 具体的には、体力の消耗とその後の魔力含めた回復速度の低下というデメリットを持つ。

戦闘続行:A+
 決定的な致命傷を受けることがない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。
 元が戦神であったガンナーの場合は単独行動と合わせて、魔力か戦意が枯渇しない限り、胸を貫かれても問題なく戦い続けることが可能。


【宝具】

『億千万の鉄血鉄火(インフィニティ・ガンパレード)』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:99 最大捕捉:1000人

 銃と戦の神であるガンナーの権能が宝具化したもの。 
 空を埋め尽くしてなお余りあるほどの人の作りしあらゆる銃砲を神秘を帯びた眷属として従え、レンジ内の空間へ瞬時に召喚し使役する。射手不在でもガンナーの意志一つで同時多発的な照準・発砲が可能。
 神霊の権能由来のために神秘としてのランクは極めて高いが、弾丸一つ一つの実際の威力は銃火器の種類に依存し、また召喚には相応の魔力を消費するため大規模な展開は多用できない。

 あくまで火薬のみで実弾を飛ばす、弾頭が電子機能を持たない代物に限られるが、新しく手に取った銃火器類も眷属として宝具に取り込むことができ、また逆に一部を宝具としての性質を残したまま他者に譲渡することも可能。
 また射撃やクイックドロウ等の銃の扱いに関連するスキルの全てを、A+ランク以上の習熟度で発揮できる複合スキルとも似た効果を内包している。

 さらに、権能として銃砲による攻撃の幸運判定に有利な補正を与える場の形成効果も兼ね備える。意識することで、信心を持つ特定個人により強い加護を与えることもできる。
 これらの加護は該当するスキル保有者の想いに応える形で、銃の扱いに関連するスキルをランクアップさせることも可能。場合によってはガンナー自身がこの宝具で得た同スキルのランクを越えることもあり得る。
 特定個人に対してなら、新たなスキルを素養と信仰に応じ、最高Aランク相当で即習得させることすらできる。

 時には敵を利することもあるものの、まさに銃の神の権能に相応しい、銃砲に関する森羅万象を網羅した宝具であると言える。
 なお、銃とはあくまで人が一個の命を撃つためのものであり、どんな破壊力と捕捉範囲を誇ろうとも、ガンナーの眷属として召喚される以上は対人宝具に分類される。



【weapon】
『億千万の鉄血鉄火』

【サーヴァントとしての願い】
 また、人が生きるために生きられる素敵な戦争を見たい。そのために必要とされているのなら、戦の神として一肌脱ぐ。

【人物背景】

 銃と戦争の女神。本名は長いので、親しい者からはマックルと呼ばれる。
 銃の精霊として生まれ、世界大戦を経て戦神へと至った存在だったが、時代の推移によって信仰を失い、様々な先進技術を研究する“組織”に精霊工学の被検体として捕らわれる。
“組織”が促す科学技術の進歩により、やがて戦場は殺戮という行為に取って代わられ、生き死にだけの戦争に成り下がってしまう未来を予見したマックルは、戦神として愛する戦争を守るために“組織”の打倒を狙い、協力するフリをして力を蓄えようとするも失敗。その過程で出会った二代目聖魔王にして魔眼王・川村英雄(ヒデオ)に“組織”との戦いを託すために、東京で起こった“組織”の関わるテロの現場を聖地とし、事件を大幅に加速させる。そして事態の収束のために現れた彼に討たれることで彼を表舞台でも英雄とし、“組織”に対抗できる存在に仕立て上げようとするが、自らが伝えた人間の勇気と知性について逆に説き伏せられ、自らは役割を終えたのだと悟って消滅しようとする。
 しかし神でも精霊でもなく、ただ友人として消えないで欲しいというヒデオの頼みに心動かされ、彼と契約。役目を終えた自分を世界の存続させる最低限の信仰をヒデオから貰う代わりに、ヒデオへ自身に残されていた神格を譲渡して、二代目聖魔王の円卓を囲む精霊の一人となった。

 本来は英霊の範疇には収まらない存在であったが、他者へ神格を譲渡したことで神性を貶めサーヴァントとしての召喚が可能となっており、自分達の世界と違って人間が前に進むための戦争が足りていない世界に必要な戦争を授けるため、トワイスの下へと召喚された。
 己を生み出した人間を嘆きも悲しみもしない、人間が大好きな女神だが、人とは異なる視点故に人命一つ一つには無頓着な一面もある。


【クラス補足:ガンナー】
『砲兵』のクラス。 弓兵(アーチャー)から派生したエクストラクラス。飛び道具の中でも、銃火器の操作に特化した能力を持つ近代以降の英霊が該当する。
 クラススキルとしては、三騎士から外れたために対魔力を喪失し、代わって銃という「闘争を作業に変え、英雄という概念を戦場から駆逐する要因の原点となったもの」である武器を扱うという性質から対英雄を獲得し、また単独行動も引き続き保持している。
 著名な該当者としては『白い死神』シモ・ヘイヘ、『ホワイト・フェザー』カルロス・ハスコック、『ビリー・ザ・キッド』ことウィリアム・ヘンリー・マッカーティ・ジュニアらの名が挙げられる。



【基本戦術、方針、運用法】

 砲兵だけあって、距離を取って遠距離砲撃を加えるのが定石となる。種類の豊富な銃火器に、最高ランクの千里眼もあって遠距離戦は得意中の得意であり、多くのサーヴァントを相手に優位を期待できる。
 また優秀なスキルの助けもあって近接戦闘でも充分な実力を備えており、単独行動と戦闘続行の重ね合わせによるしぶとさと、トワイスが回復のコードキャストを得意としていることの相乗効果で場所や距離を選ばず強気に戦うことが可能。
 しかし場所を選ばず戦えるとしても、宝具となる銃砲の一つ一つはあくまで通常の近代兵器が神秘を帯びただけの代物のため、通用しない相手にはとことん通じない恐れがある。

 とはいえ単独行動のスキルを持つことから『■■■■』も戦闘での同時運用をし易いため、難敵は避けて予め弱点を補えるような『■■■』を入手すると言った手法で対処は充分に可能。基本的な性能が高いため、相性が悪い相手と出会しても生き延びることが充分に可能だろう。
 また宝具の効果でストックしている大量の銃火器の一部を自由に他者へ譲渡することができるため、マスターにサーヴァントへの殺傷力を持つ武器を与え、しかも加護を与えることも可能。
 流石にトワイス個人で扱えるレベルの銃火器で倒せるようなサーヴァントはまず居ないが、それでも牽制の一つを持てることは万全な攻勢に繋がる利点として数えられるだろう。

 元々ガンナーのメインウェポンが銃であることから神秘の秘匿を図り易いという利点が存在するため、他のサーヴァントより人目を気にせず攻めに行ける強みもあり、更に最高ランクの千里眼もあって先手を取り易いため、本来は『■■■』の早期確保も兼ねて積極的に攻める方が好ましいと言えるだろう。
 但しトワイスが聖杯を掴むことができず、代わりに聖杯を託すに足る人物を見出すという必要がある都合から、実際は先手必勝よりも他者の観察に重点を置くこととなり、最適な戦術からは外れてしまうことだろう。



【出典】
 Fate/EXTRA

【マスター】
 トワイス・H・ピースマン

【マスターとしての願い】
 全人類規模の戦争を起こすことで人類を成長させる

【weapon】
 なし

【能力・技能】
 医師としての優れた技能を持つ。
 そのためか回復に優れたコードキャストを有する。

【人物背景】
 実在した「トワイス・ピースマン」という人物を模したムーンセルのNPCが、生前の記憶(正確に言えばデータのオリジナルの記憶)を取り戻したイレギュラーな存在。

 彼の元となった「トワイス・ピースマン」は、かつてアムネジアシンドロームという病気の治療法を発見するなど、数々の功績を残した偉人。戦争があれば常に戦火の中に身を投じ、人命救助に尽力した戦争を憎む人物というのが表向きの評価だが、実際の彼は戦争を見るたび憎悪や焦りに襲われ心臓が活発的に躍動する“病気”に苛まれ、正義感でも義務感でもなくその痛みを和らげる為に戦地へ赴いていた。

 自身の戦争に対する常軌を逸した殺意に疑問を抱き続けるが、バイオテロに巻き込まれ死を迎える間際、彼は自分が70年代に起きた民族紛争の戦争孤児であったことを思い出し、疑問への解答として戦争の中で必死に生きようともがく命の強靭さを垣間見たことで「戦争」とそれが生む成果を否定しきれなかったことに思い至る。

 NPCとして自我と記憶を取り戻した彼は、停滞した今の世界に絶望する。戦争は欠落を齎すが、だからこそ欠落以上の成果を齎すし、齎さなければならない。然るに今の停滞した世界はどうか? それまでに積み重ねた欠落に見合うほどの成果を得られていないではないか。
 そして欠落を埋めるほどの成果を得られないならば、さらなる欠落をもってさらなる成果を生み出さなければならない。そんな偏執的な思考の下、彼は聖杯の力で全人類規模の戦争を起こすことで人類を成長させ、現在の世界の停滞を打破しようと、当時ムーンセルで行われていた生存トライアルに挑んでいた。
 霊子ハッカーの適正はあるものの、その実力は最弱クラス。 しかし死んでもまた再構成されるというNPCの特性を利用して、幾度となく聖杯戦争を戦い抜き、百を優に超える戦いを繰り返す。その過程の中で徐々に実力も磨かれていった。
 そして幾度もの繰り返しの中、偶発的にアリーナで白紙のトランプのデータを取得。それはやがて、トワイスを偽りのスノーフィールドの聖杯戦争へと誘うこととなる。


【方針】

 ガンナーに当事者としての戦争を体験させるためにも、他の参加者を発見し、戦う。
 その過程で、自らの掴むことの出来ない聖杯を勝ち取り、代わって全人類に戦争(成長)を齎してくれる後継者を見出す。
 もしも今回期待に沿う者が見つからなかった時には、自らが熾天の檻に座すことで、後継者となる次代の勝者の到来を待つ。











第六階位(カテゴリーシックス):レメディウス・レヴィ・ラズエル&バーサーカー 投下順 第八階位(カテゴリーエイト):立ち向かうもの
時系列順
GAME START トワイス・H・ピースマン OP2:オープニング
ガンナー(マックルイェーガー・ライネル・ベルフ・スツカ)

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最終更新:2018年12月22日 23:18