ふたば系ゆっくりいじめ 500 駄目だよ?

駄目だよ? 46KB


虐待 夫婦喧嘩 飼いゆ 現代 うんしー ぺにだけ少々描写有り

・長いお話







狭いケースの中で多数のゆっくりが眠る。

このゆっくり達は、生まれてから直ぐママを探し回ったが、側に親は居なかった。
大きな人間が声を掛けて来て、君達は捨てられたのだ。と伝えられる。
狭いケースの中を暴れまわり、数体の赤ゆは不満を訴えたが、自分達の環境は何も変わらない。

小さなお皿に乗せられた乾燥しきったカリカリさん。
少し濁ったお水さんと、姉妹全員が流す涙で固まったお布団さん。

全然幸せになれない生活。

最初は自分以外にも一杯姉妹が居た。寂しさを紛らわす為に寄り添って寝ていたのだ。
でも、不満が爆発して姉妹喧嘩をした時、跳ね飛ばされて壁にぶつかり動かなくなった妹。
人間さんに助けを求めたが、ケースの中から連れ去られた後、大きな箱に入れられた妹はそのまま帰ってこなかった。

それから姉妹喧嘩はしなくなった。と、言う訳では無い。
体に直接攻撃をする行動をしなくなっただけ。その代償なのか、赤ゆ達の言葉使いが汚くなっていった。
姉妹達の溝が深まり、少数のグループに分かれて生活を始め出す。ギスギスした環境に拍車をかけていく。



しばらく経ったある日。姉妹達がケースからお外に出されていく。

「れいみゅをきゃわいがってにぇっ!」
「まりちゃにであえちゃきょちょは、きょうえーなきょとにゃんだじぇっ!」

小箱に入れられて、知らない人間さんに買われた姉妹。箱に入る時、こちらに向けられた勝者の笑みが頭から離れない。
これで、あの姉妹達は飼いゆの地位を得た。歯を噛み締める物や、涙を流しながら自分も買ってくれと喚く、残された姉妹達。

『飼いゆになれば幸せになれる。』ここの人間さんに教えて貰った幸せになる方法。
つまり、あの小箱の姉妹達は今から幸せになるのだ。姉妹達をここに置いて行って、自分達だけゆっくりする気だ。

それは、断じて許される行動ではない。

追加で買われていった姉妹達の勝ち誇った笑み。お空を飛んでいった幸せそうな輝く瞳。
声が枯れる程叫んだが、素晴らしい自分は買って貰えなかった。目が腐ってるとしか言いようが無い。
自分の周囲には、濁った視線で見上げている同類の残された姉妹。惨めさに涙が溢れて、体が乾燥していく。

そして、人間さんは二つの小箱を手にして店を出て行く。最大のチャンスを逃してしまった。
自棄食いをしようにも、潤いが全く無い美味しくないご飯さんは、乾燥した喉に張り付いて多く食べられない。
乾きを癒そうと水飲み場に殺到した姉妹達が、奪うように飲んでいた水皿を倒してしまう。
吸収性が高い床に水分が飲み込まれて、水溜まりさえも残らなかった。

お水を零した罰として、餌と水抜きを示された売れ残り姉妹達。
水が染み込んだ床を舐めて、どうにか水分を確保しようとした姉は、舌の水分が床に奪われて苦しんでいた。
お口の外へ乾燥して赤みが無くなった舌を出し、助けてと泣き叫ぶ。だけど、誰も助けられない。
夜通し泣き叫んだ姉はそのまま死んでしまい、あの大きな箱に入れられてしまう。妹と同じ様にそのまま姉は帰ってこなかった。



深夜に目が覚めた。

ケース内に微細な振動と、近くから小さな声がする。
音と気配が感じる所に目を凝らして見てみると、妹がケースのガラスさんに体をすり寄せている。
ガラスの向こう側には、自分達と同じく親に捨てられた赤ゆ達。その中に居る一体に妹がお話していた。

「れぇいむはゆっくちしちぇるでちょっ!?しょうらいけっきょんちようにぇっ!」
「ゆっきゅりけっきょんちゅるよっ!」

将来の誓いをしてるらしい。
なんて愚かなのだろうか。そいつらは敵なのだ。自分達のライバル。
向こうに居る姉妹達が買われてしまっては、自分達が幸せになる可能性が減ってしまう。仲良くなど出来ない。

妹はすり寄せた体を離し、お口に不味いカリカリを咥えてきて、向こう側の敵に差し出している。
それを見た敵は嬉しそうに愛を振りまき、激しくガラスに体を擦りつけ、それに妹が興奮しながらお返ししている。

馬鹿馬鹿しい。

自分は煩い音を遮るように、硬い毛布に無理矢理包まって、早々に眠りに付く事にした。




売れ残りの時が過ぎる。不味いご飯でも、自分達の体は成長していた。
赤ゆ言葉も少しずつ抜ける姉妹もでて、赤ゆ言葉をしているのが恥ずかしくなるそんな時期。

自分達の大きくなった体は狭いケースを圧迫して、以前より住みにくい環境になりつつある。
食欲旺盛な姉は自分より一回り大きくなり、力で良い場所を独占し始める。当然ご飯も一人占めだ。

「たべちゃちぇてよぉおぉっ!?おにゃきゃちゅいたぁあぁっ゛!!! 」
「ゆぷぷ!あかちゃんことばはゆっくりできないよ!ゆっくりでなおしてねっ!」

乾燥したご飯を食べれば喉が渇く。そうなるとお水さんも独占対象になってしまう。
ごーくごーく!と、飲み干す大きくて醜くい姉の体。誰もが逆らえず、隅で縮こまるしか無い。

そこに救世主が現れたのだ。

何時も美味しくないご飯とお水を中に入れる人間さん。その大きな手が姉を掴んで持ち上げる。
誰もが最初に思ったのは、買われたのだろうか?と言う事。姉もそう思ったのだろう。笑みを零し、飼い主を世話しなく探していた。
でも、姉れいむが連れて行かれたのは大きな箱がある部屋の隅。

「ゆ!?やめてねっ!かわいいれいむになにをするきなのっ!?ばかなのっ!このびぼうをみてゆっくりかんがえなおしてねっ!!!
 ゆゆゆっ!なんなのぉおぉっ!?やべでねっ!ぽいっ!しないでねぇえっ゛!あやばるがらっ゛!いやぁあぁぁぁぁっ゛!!!?? 」

大きな箱に、生きて入れられたのを見たのは初めてだった。
壮絶な断末魔。ガタガタと震える箱。それを見ている自分達の体も無意識に震え出す。

「やべでねっ!?ゆっぐりでぎなくなっぢゃうよっ!?」
「まりしゃのおよめしゃんちゅれていきゃないでぇぇぇぇっ゛!?」

隣のケースからも大きなれいむが取り出された。
それは妹まりさの将来を誓ったお嫁さん。連れて行かれるれいむを離すまいと、狭いケースの中を妹まりさは必死に駆け巡る。

しかし、ガラスの壁は厚かった。妹まりさが体当たりを幾らしようとも全く歯が立たない。
ペッタリと顔をガラスに押し付けて、やめてくれと声を上げる事が精一杯。

「まりしゃいいきょになりましゅっ!ごはんしゃんもれぇいむにあげましゅからっ!おねがいしましゅっ!」
「ほら!れいむのまりさもそういってるよっ!?たすけてあげないとこうかいするよっ!」

「……ゆん?わかったようだね!くずにんげんはりかいがおそいよっ!ゆっくりはんせい……、
 ぎゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ゛!?だずげでぇえぇぇぇぇぇぇぇっ゛!!!?? 」
「れぇぃむゅぅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ゛!?」

人間さんは大きく振りかぶって箱の中にれいむをぶち込んだ。
箱から遠く離されたとき、れいむは助けてくれると勘違いしたらしい。

妹まりさは絶叫しながら、この世の終わりを感じていた。でも、それに同情する姉妹はいない。
それは、あの巨大で醜いれいむが、此方の姉れいむの様な存在だと知っていたから。小さな世界の横暴な支配者だった。

居なくなった所で喜ぶ物はいても、悲しむ同士はいない。これで平和が訪れたのだ。
自分は何時の間にか体の震えが止まり、笑みを漏らしながら大きな箱を見ていた事に気付く。
周囲と、向こう側のケースから覗き込む他姉妹も、同様の視線を箱に送る。

『『 ゆっくりしんでねっ!!! 』』

示し合わせた訳では無いのに、皆の声が一致する。
中々に気分が良く、ゆっくりとした時間が訪れた。大きな箱からはくぐもった呻き声が漏れている。
ある種の一体感を伴った集団の中で妹まりさだけが悲しみ、体を床に伏せて泣き崩れていた。

自分達は人間さんに心から感謝する。とても気分が良い。
睨んできた妹まりさに、侮蔑の視線を浴びせた集団は、思い思いの時を過ごす。

妹まりさはうつ伏せになって泣き出した。
それを見ながら食べるご飯さんは、何故かとても美味しかったよ。




また、売れ残りのまま時が経つ。

店内にラジオさんが流れて、テレビさんからは美味しそうなご飯のCMが、延々と繰り返し写される。
ある意味、これらは自分の母なのかもしれない。いろんな言葉を教えて貰い、ゆっくりとした声を掛けてくる。
見た事も無いクズ親なんて、もうどうでも良くなっていた。

今日も大きな箱に連れて行かれる姉妹達。
泣き叫んで許しを求めるが、手遅れと言わんばかりに箱の中へと投下される。

姉でいぶが居なくなって平和が訪れたのかと思いきや、それから直ぐ別の支配者が君臨した。
絶対一人占めを行う物が出てきてしまう。支配者が放り込まれた後、数日後には元のもくあみ。
確実にケース内は広くなっていった。隣も同じような状況だ。広くなった部屋でゆっくりと過ごしている。

大きな箱から上がる悲鳴を聞きながら食べるご飯。中々格別だ。

……妹まりさ?

アレはもう死んじゃったよ。一日ずっと泣いてたから、上で住んでいる綺麗なお姉さんありすから苦情が出た。
次の日には大きな箱に入れられた。グチョグチョの体で煩かったから、ありすには感謝してるよ。
ゆっくり出来ない妹は死んでね!ゲラゲラゲラッ!

少なくなった姉妹。でも、悲しくなどは無い。
どれもが自分勝手に騒いで居なくなった。邪魔だったのだ。餌の分け前も減るし、部屋も狭くなる。

居なくなって清々したよ。これで、自分の美を遮る汚いクズは消えたのだ。
さあ!可愛くて美しい自分を、お買いなさいっ!

その願いは通じ、ケースが開かれて、お外の世界へと飛び出した。





「ゆっ!?おそらをとんでるみたいっ!」

つい声を発っしてしまったが、『これは大きな箱に向かうのか!?』と、疑った自分。
しかし、その疑惑は数秒後に晴れる。目の前にあるテーブルさんに置かれた小さな箱に自分は向かっていた。

「おめでとう。今からこの人が飼い主だよ。」
「ゆっ!」

飼い主さん。自分をゆっくりさせてくれる人。幸せになれる未来。

「かわいがってねっ!ゆっくりさせてねっ!?」

最高の挨拶を与える。これ位のサービスはして上げよう。
これで自分の可愛さにメロメロになったはずだ。人間さんは扱いやすいよ。

小箱に入る自分。
ケースより一段と狭すぎるが、苦痛は何も感じなかった。
だって、これから幸せな飼いゆ生活が始まるのだ。わくわくが止まらず、にやけた頬が閉まらない。

飼い主の手に持たれ、店の出入り口へと向かう小箱。
その時、自分が入っていた小箱の透明なラップ部分から、大きな箱の中身が見えた。

中には大きなゆっくりが2体入っていた。
虚ろな目をしたその2体は、小箱に入った可愛い自分の姿を確認すると、いきなり目を輝かせて見上げてくる。
お口の中で、短くなった舌がチロチロと泳ぐ。周囲はゴミだらけだ。そのゴミにはゆっくりのお飾りも混じっていた。

まさか……、こいつらは同属を食ったのか!?

なんてゆっくり出来ない奴らなのだろか!美しい自分とは、比べ様も無いゲスクズだよ!
姉妹も、このデブ達の餌食になったんだね。可愛そうだけど、それが妹や姉のゆん命だったんだよ。ゆっくり諦めてねっ!

何かを必死で訴えてくる番から自分は視線を外し、自動ドアの向こう側に広がる新たな世界を見つめる。
これから最高のゆん生が始まるのだ。こんなゴミに構ってやる必要性は無い。
視線を逸らした時、番は絶望の眼で自分を見ていたが、そんな事は気にも止めなかった。



両開きのガラスを出ると、お日様が顔に当たり、風が頬を撫でてくる。
これが夢に見た素晴らしき外の世界!

「ゆっくりおうちにむかうよっ!」

興奮気味に息を荒くして、飼い主に命令する。
今から自分の家に向かうのだ。早くあまあまを一杯食べて幸せになりたい。

飼い主が歩き出した時、ガラス越しに今まで居た家の中を除くと、人間さんが大きな箱にゴミを投入している。
そこで理解した。あれはゴミ箱だったのだっ!ゆっくりできない物を入れて処理をする大箱。

つまり、入れられなかった自分は、とってもゆっくり出来るゆっくりなのだ!
感謝してね!飼い主さんっ!幸せにしてくれないと怒るよっ!?
だって、自分は素晴らしいゆっくりなのだから。

「あれがほしいよっ!かいぬしさん!」

自分が欲しいと思う物を、声を出して要求する。
道路さんと言う場所を進んでいるだけで、あちこちから美味しそうな匂いが漂ってくる。
香ばしい匂いや甘い香り。お家の前に並ばれた色とりどりの果物さん。
どれも食べてみたい!お口にいれて幸せになりたい!

涎が流れるのを抑えきれないゆっくり。小箱の透明なラップの部分が、破れそうな勢いで外方向へ盛り上がる。
それを見た飼い主は、お魚の形をした食べ物を小さく千切って小箱に入れた。

「ほふほふっ!あまあま~っ!しあわせー~っ!!!もっとちょうだいねっ!?」

白い湯気が立つ甘い香りを放つ物体を口に入れると、今まで感じた事の無い幸せが体を駆け巡る。
これが飼いゆになると言う事か!?なんて幸せな世界なのだろうか。誰もが夢に見る状況だと理解を深める。

「おいしいよっ!もっと!もっとちょうだいねっ!?」

次々と入るタイヤキの欠片を、無我夢中で食べる小箱に入ったゆっくり。
ゆっくりの周囲は食べカスが散らばり、体にカスが付着して汚くなっていく。
でも、このゆっくりは、『自分は凄く可愛いから、そんな事では魅力は落ちない!』と本気で思っていた。

現状の飼い主も優しく自分を見つめている。ゆっくりしている。とてもゆっくりしている!
『自分がもっと幸せになれば、飼い主も幸せになれる!』と、このゆっくりは考え、更なる我侭な要求を重ねていく。

そして、飼い主の片手に購入した物が入ったビニール袋が追加された。





金属が擦れ合う音の後、茶色の玄関扉が開く。
小箱から出されたゆっくりは、目を輝かせて床を飛び跳ねながら家の探検に向かう。

最初の部屋へと入ったゆっくりは、綺麗なフローリングの床を滑りだした。つるつると滑走し、何回も往復して遊ぶ。
次の部屋では、一面に敷かれた畳の上で仰向けになって思いのまま寛ぐ。草の香りが、昔の本能を呼び覚ます気がした。
違う部屋に行くと、ふかふかの毛布が床に敷き詰められている。側には中型のお皿があり、中には美味しそうな食べ物が盛られてある。

ゆっくりはその毛布の中心へと突撃する。もそもそと動き回り、一番良い足回りを自分で構築し始めた。
毛布の隙間から顔を出して、息を大きく吸い、満足そうに宣言する。

「ここをゆっくりぷれいすにするよっ!」

きまった。きまったよ!これでここは自分の場所だ。誰にも譲れない自分だけのゆっくり空間。
狭いケースの中では得られなかった縄張り。声高く主張すれば、あの大きな箱に入れられると解っていたから、ずっと我慢してた。
でも、ここでの自分は飼いゆなのだ!可愛くて素晴らしいゆっくりに相応しい場所を選んであげたのだ!

『ゆっくり感謝してねっ!飼い主さん!』

息を荒く吐き、への字眉毛で勝ち誇った顔をする一体のゆっくり。
それを見た飼い主は毛布を捲り、そのゆっくりを抱き上げる。

「ゆゆっ!?なにをするきなのっ!」
「何って……、お風呂だよ。」

今まで入っていた純白の毛布が薄黒く汚れている。
このゆっくりの体は汚かった。ケースの中に入っていた時は下の中位の格好だったが、今は規格外の汚染状況だ。
ゆっくりは初めてのお風呂に入る為、飼い主と風呂場へと向かう。




猫が始めて水を浴びる様な、恐ろしい暴れ方をしたゆっくり。
お水はゆっくり出来ない物だと考えている。多分、本能的な直感なのだろう。事実、水には極度に弱い。
溜まった水溜りに長くつかると、足がふやけて緩み始め、移動した時に容易く破れてしまう。死に直結する危険な液体。

「うわぁあぁぁぁぁっ゛!!! 」

例に漏れず、このゆっくりも大きな声を出して震えていた。暴れたと言っても、ぐねぐねと体を揺らしただけだ。
ただ、猫より勝っている所は、その煩すぎる声量位だろうか?かなり耳障りな部類に入る。

「ゆっ!くすぐったいよっ!」

暫くすると、シャンプーに配合されたゆっくりさせる効果が現れ始め、洗われる事を受け入れた。
シャワーをゆっくりに向けると、泡混じりの黒くなった水が排水溝へと流れ出し、綺麗なゆっくりが誕生。
浴槽内の大きな鏡で自分の姿を確認したゆっくりは、頬を赤く染めながら自画自賛で賛美している。
その後、丁寧にドライヤーで体を乾かし、髪を整えられて、初めてのお風呂は終了した。



サラサラになった髪をなびかせながら、お皿に乗ったディナーを口にしようと大きな口を開ける。

『食べたいから買って欲しい!』と、昼間におねだりした美味しそうな食べ物。それが、目の前に山ほど盛られてあった。
さっき騒いだせいで、お腹が空いてゆっくり出来ない。でも、綺麗になったからゆっくり許してあげるよっ!

そんな考えを持ちながら食事をしようとしたゆっくりに、飼い主が目の前にあった皿を取り上げる。

「なにをするのっ!?ゆっくりたべさせてねっ!」
「いいかい?食べ物を散らかしたら駄目だよ?」

何を言ってるんだ。この飼い主は?さっさと食べ物をよこせば良いものを。

「わかったよ!りかいしたよ!ゆっくりせずにちょうだいねっ!」
「約束を守ってね?」

置かれた皿に顔を突っ込んで食べ始めるゆっくり。
また、取り上げられたらと思うとたまらない。さっさと食べるに限る。ガツガツと大量に口へと頬張る。

「むーしゃ!むーしゃっ!ししし、しあわせぇーーー~っ!!! 」

濃厚な甘味とコク。口一杯に幸せが広がる。これが叫ばずにいられようか?
幸せ一杯を感じる体が、ある一部の不幸せを中核に伝える。
痛み。それも鈍く重い痛み。もちもちほっぺが抓られて、上へと伸びていく。

「やめてねっ!?ちぎれちゃうよっ!」

飼い主が、自分のほっぺたさんを指で掴んでいる。ギリギリと力が込められているのが解る。
でも、何故こんな目に合うのかが解らない。当然の主張を持って、反撃の言葉を叫んだ。

「そうなんだ?でも、目の前を見てごらん。汚いと思わないか?」

精一杯の反論をしたが、冷めた言葉で返された。
確かに目の前には食べカスが散らばっている。が、自分が散らかした訳ではない。
当然、汚した飼い主が片付けるべきだ!

「おいおい。何を言ってるんだ?ゆっくり出来ないゆっくりだな。」

自分の正当性と飼い主の責任を交えた説教を喋ったら、益々ほっぺさんが捻られていく。
ゆっくり出来ない飼い主だ!ここはガツンと言わなければならない!

「やべでぐだざいっ!あやばりばずがらゆるじでぐだざいぃいぃぃぃっ゛!?」

ガツン!!と言ったその訴えで、開放されたゆっくり。
幾分か暗い表情で、お皿に乗った物を再度食べ始める。あっという間に機嫌が直り、また、あのセリフを叫ぶ。

『しあわせぇーっ!』と、高らかに叫んで極上の幸せを感じた次の瞬間、最低な不幸せを感じる羽目になったゆっくり。
それが何度も続き、ついには食欲が無くなったのか、ふかふかの毛布へと逃げる様に顔を潜り込ませた。

「ゆーっ………。」

頬を赤く腫らしたゆっくりは、そのまま眠りへと付く。
色んな事があって疲れたのだろう。今は何も深く考えず、幸せな夢の世界へと落ちていく。

まだ、新しいゆん生は始って間もないのだから。




次の日、目が覚めたゆっくりは、寝ていた白い毛布の中で伸びをして、固まった体をゆっくりとほぐす。
喉が渇いたので、側にあったお水さんを飲んだ。すると、感動が体を駆け巡る。

なんて美味しいお水さんなのだろうか!
いつも飲んでいたお水さんはざーらざーら!!してて、凄く不味かったのを覚えている。
それが、この液体は滑らかで不純物が入っていない!とっても美味しい!


ゴクゴクと勢いよく飲み干すゆっくり。
一息ついた時、ゆっくりの体がブルリと震えた。そわそわしながら辺りを世話しなく見渡す。

「しーしーがしたくなったよ。」

挙動不信に辺りを徘徊するゆっくり。その身に考えている事は一つ。
『いかに自分のゆっくりプレイスから離れた所に排泄するか。』その一点のみ。
だから、ふかふか布団の側に設置してある、いかにもトイレと言わんばかりの設備には、全く目もくれなかった。

「ここでするよ!しーしーするよっ!」

違う部屋の中心で、排泄行為を行うゆっくり。目を瞑り、出そうとした所で、何故か体が浮き上がる。

「ゆゆっ!?おそらをとんでるみたいっ!」

出そうとした物が引っ込んでしまった。
お空を飛ぶ感覚が楽しくてたまらない。ひと時の空中散歩を味わう。

「もっととぶよっ!びゅーん!びゅびゅびゅー、ぶぎゅうっ!?いだいよっ゛!?やべでねっ!!!?? 」

ゆっくりのお尻を叩く飼い主。何度も何度も叩く。
痛みで漏れ出したしーしーは用意されていたトイレマットへと落ちていく。トイレの上空でおしおきされていた。

ボタボタと目から流れ落ちる水分と、下から勢い良く噴出す水分。
それらが下に敷かれたトイレマットに染み込んで大きな染みを作る。自分の匂いが付いたこの場所は、トイレだと認識せざるを得ない。
そう思う事にした。だって、他の場所にしたら捻って捨てると言われたのだから。決して屈服したわけでは無い。

「ゆん。ぐすっ!ゆぅうぅぅぅっ!?」

泣きながらトイレを覚えたゆっくり。寝床に近いのが不満だが、その事を訴える気力が無い。
ここは諦めて、素直に従う。最悪な朝を迎えてしまったようだ。

「そうだ。君に言う事があったよ。トイレの際、体を汚しちゃ駄目だよ?」
「ゆゆゆっ!?」

また、条件を突きつけられた。
飼いゆとはこう言うものなのか?もっと幸せにしてくれるものではないのか?
疑問に思ったが、優秀で素敵な自分はそれに答えてやろう。



ほっぺたを抓られた朝食が終わり、今からトイレタイムだ。それも大きい方。
でも、自分なら楽勝なミッションだ。気にする程の事ではない。さっさと終わらしてしまおう。

トイレの中心でいきり立つゆっくり。事を終え、すっきりとした表情でトイレを後にする。
廊下を少し進んだ先で、飼い主に頭を押さえられた。前進も後退も出来ず、その場でもがく事しか出来ない。

「やめてねっ!?ゆっくりできない!」
「約束を破ったらお仕置きだ。」

ゆっくりのお尻は真っ黒く汚れている。
このゆっくりが育った環境は劣悪だった。トイレの場所覚えが精一杯の記憶量だろう。現にケース内でも定位置に用を足していた。
しかし、綺麗に用を足す技術がこのゆっくりには欠けていた。常にお尻が汚い。見えない所には関心がなかったのだ。

「ゆっぐりごべんなざいっ!ゆるじでねっ゛!?ごべんなざいぃいぃぃぃっ゛!!! 」

それから毎日、トイレをする度に、お尻を何回も叩かれる。

「もうじまぜんっ!やべでくだざいっ!?もうじまぜんがらぁあぁぁぁっ゛!!! 」

朝昼晩の食事をすると頬を抓られる。
そんな毎日が続いた。




ある日、ゆっくりは気付いた。『しあわせーっ!』と、叫ぶと食べカスが飛び散るという事に。
別に幸せ発言が禁止されたわけではなかったが、口にする事は出来ない。またほっぺたさんが抓られてしまう。
無言で食べるご飯さんは、何時もより美味しくなかった。

ある日、ゆっくりは思いついた。体をベッタリと床に付けて、開放的に用を足すと体を汚す事に。
別に体勢を禁止された訳では無かったが、以前の体勢は使用禁止だ。またお尻を叩かれてしまう。
慎重に捻り出すトイレは、何時もよりすっきり出来なかった。


遅すぎる成長。
元が駄目な素材だから仕方ないのかも知れない。でも、確実に体罰は減っていった。
だが、ここに来た当初の元気も根こそぎ無くなっていく。跳ね回って遊ぶ行動はしなくなる。

毛布に蹲る生活。
飼いゆとはこんな物なのか?幸せになるものではなかったのか?
何度も考えたその言葉は、もう頭に染み付いて離れない。まるで呪詛の様。

それだけを求めて、今日もこの家で生きていくゆっくり。

「今から出かけてくる。」
「ゆっ……。」

お外に行くらしい。さっさと行けばいい。
自分を不幸せにする飼い主の顔は見たくないよ。

「これに触ったら駄目だよ?」
「ゆ?」

綺麗なお皿さんだよ!ぴかぴかしてるよっ!
触りたいよ!乗っかりたいよ!?



飼い主が持っていた箱から出して、テーブルの上に置かれた絵皿。
ゆっくりはその綺麗な絵皿に釘付けだ。貫くような視線を全く離さない。

「ゆ~。ゆん?ゆ~ゆ~?」

飼い主が外出した後、ゆっくりは絵皿が置かれたテーブルの周囲をくるくると移動する。

「ゆっくりのぼるよっ!」

テーブルの上までの距離はそんなに無い。自分なら登れる高さ。楽勝だ。
ちょっと触るだけ!絶対バレないよ!優秀でごめんねっ!?

「ゆっくりのぼったよ!」


ゆっくりは絵皿の端を歯で齧り出した。
カチカチと歯で鳴らす。何が気に入ったのか解らないが、凄く大喜びだ。
体を摺り寄せ、大皿の上に乗り、だらしない息を吐く。体に触れる適度なカーブが心地良いらしい。

ゆっくりはこのお皿が気に入ったようだ。



数時間たった後、飼い主が帰宅。

「ゆっくりぷれいすにようこそ!ゆっくりしていってねっ!」

そこには、絵皿の上で寛ぐゆっくりが存在していた。

「このおさらは、あたらしいゆっくりぷれいすだよっ!かいぬしさんはりかいしてねっ!」

コロコロと絵皿の上を転がるゆっくり。
飼い主。などと言っているが、飼われていると言う考え方は皆無だ。

買われたら飼い主。自分は幸せになる。ただそれだけの思考回路。
このゆっくりにとって飼い主などの言葉は、昔店員に教えられた知識の欠片。
感謝の気持ちや、思いやる心などは存在しない。ただただ、自分のいかに幸せにしてくれるのか?の考えしか持たない。

「ゆ?」
「駄目じゃないか?」

「約束をやぶった悪い子は、どうなるんだっけ?」
「ゆゆゆゆゆゆっ!?」

何故俺が怒ってるのかが解らないと言わんばかりの表情で、このゆっくりはうろたえている。
『言葉が通じないのっ?』とか、考えているんだろうな。
ゆっくりの柔らかい頬に指を触れると、毎度のごとく同じ謝罪を繰り返していた。
やっと駄目だと伝えた事を思い出したようだ。痛い目に合いたく無いと願う涙ながらの訴え。

「いだぁあぁぁぃっ゛!?もちもちのほっぺさんがあぁぁぁっ゛!なんでぇえぇぇぇっ!!!?? 」

今回は指で片頬を捻り切った。
絵皿の上に、ゆっくりの体の中身がボタボタと散らばる。
側に置いた頬の断片に、『ゆっくりついてねっ!』と、必死で体を摺り寄せている。

そんなの付く訳がないだろうが。動く度に中身が漏れて、ゆっくり出来なくなってしまうぞ?

「ゆわぁぁぁぁぁあぁぁぁあんっ゛!!! 」

大声で泣き始めたゆっくりを治療する事にした。
俺が指先で潰した頬の断片を拾い上げ、ボールの中へと入れる。振りをして、後ろ手に台所へと放り投げた。
こいつの角度からは解るまい。と言うか、それどころではない状況だろうがな。

はけを使い、ボールに入った内容物を練り上げる。
中に入ってるのは強力粉。これを、滑らかにならない程度に抑えながら荒めに溶く。

泣き叫ぶゆっくりの周囲にある中身を救い上げ、傷口に刷り込んで丸い形を作ってから、ペタペタとはけで液体を塗っていく。
激痛に苦しんで暴れるこのゆっくりを押さえ込むのは簡単だ。力技が困難になる大きさでは無い。
丁寧には塗らない。あえて、雑に塗っていく。

治療終了を伝えたゆっくりは、スンスンと泣き伏せていた。
あっという間に塗られた皮が馴染んでいく。ゆっくりは凄いな。

そう考えながら絵皿に乗ったゆっくりを見ると、かなり汚い体をしていた。
だが、治療後なので水は厳禁だ。部屋ある白い毛布の中にゆっくりを突っ込んで適当に休ませる。
すすり泣く声がしてきたが、別にどうでもいい。これからの経過が重要なのだから。

俺は汚れた絵皿を手に持ち、流し場へと向かった。





目が覚めたとき、自分のほっぺたさんは、自分の物では無くなっている気がした。

乾燥したようなザラザラで硬いほっぺ。
表面のおうとつが激しく、床を転がった時、痛烈な違和感を感じる。

あの綺麗なほっぺは無くなった。もちもちぷにぷにのほっぺたさん。
今は、でこでこぼこぼこのかちかちさんだ。辛いよ。嫌だよ!
こんな適当な治療をした飼い主は、ゆっくり出来なくなればいい!

文句を言う為、怒りを込めて地面を駆け出す。
全然幸せになれてないと。飼い主になった自覚はあるのかと。

色んな悪態を考えていたゆっくりの足が急に止まる。

「お?起きたのか。おはよう。」

飼い主の向こう側に飾られている絵皿。
あれがゆっくりの頬を無くした元凶。ゆっくりの憎むべき敵。

「それをゆっくりしまってねっ!みたくないよっ!?」

大きな目を見開き、要求するゆっくり。
だが、飼い主は『良品だろう?』と、まともに相手をしてくれない。
更に煩く騒ぐゆっくりを手に持ち、『ゆっくり見ていってね。』と絵皿に近づけていく。

イヤイヤと首を振るゆっくり。下から水分が漏れ出した。
この直後、久しぶりのお尻叩きの罰を受ける事になる。
最近尻を叩かれず、耐性が抜け始めた時期の痛みは、ゆっくりの芯まで響き渡ったという。




尻を真っ赤に腫らしたゆっくりが、地面をそろそろと這っていく。
ズキズキと痛む尻。飼い主は今日も外出している。もう帰ってこなくても良いのに。

やっとお皿に辿り付いたゆっくりは、もそもそと口に食料を運ぶ。
黙って頬張り、租借をして、喉に通す。作業をしているような感覚。

「む……むーしゃむーしゃ!しあわせーーー~っ!!! 」

耐えられなくなって叫んでしまった。食べカスが周囲に飛び散る。
今は飼い主が居なくて怒られる事は無いが、帰って来た時、ほっぺさんがイタイイタイする羽目になってしまう。

急いで食べカスに接近して舐めとる。みっともなく床を舐めている自分。
そんな、はしたない体勢が窓ガラスに写る。ゆっくりなど感じ取れないその姿。

その姿がある情景を思い出させた。
あの狭いケースに住んでいた頃の、水分を求めて床を舐めている姉の姿。それと同じ格好を自分はしていた。
ここはあの地獄では無いのに。ゆっくり出来る筈なのに。

涙を流しながら床を舐め続けるゆっくり。
もう、何が幸せで不幸せなのかも解らなくなっていた。

「ただいまー。」
「だだいまなんだぜっ!」

だが、そんなゆっくりに幸せが舞い降りた。



飼い主の持つ箱の中に居たまりさ。

「ゆゆゆ!?ゆっくりしていってねっ!」

ゆっくりは興奮気味に挨拶をする。飼い主には決して発しない友好的な言葉。
にっこりと微笑み、改心のゆっくりしていってね!を、したつもりだった。

「なんなのぜ?このきたないのは。」
「お前のお嫁さんだ。」
「………じょうだんきついのぜ。」

「ゆがーーーーーーーーん!!!?? 」

汚いと言われてしまった。
この美貌に満ちた自分を!なんと失礼なまりさなのだろうか!?

「なにか、すえたにおいがするよ。ゆっくりはなれてね?」
「どぼじでぞんなごどいうのぉおぉぉぉおっ゛!?」

「ゆっ?ここはゆっくりできそうだよ!ここはまりさのゆっくりぷれいすにするよっ!」
「よこどりはゆっぐじやめでねぇえぇぇぇっ゛!?」

先住のゆっくりが寝る白い毛布の上で、まりさがゆっくりプレイス宣言。
号泣しながら追い出そうと体をぶつけて来た毛布の持ち主。そして、不毛な喧嘩を始めるまりさ達。
キリがないので、両方を風呂場に運んでタライの中へとぶち込む。

正直、まりさも体が汚かった。まさに五十歩百歩。黒い汚水が流れて体が綺麗になっていく。
そして、改めて互いの姿を見たまりさ達は、頬を染ながら求婚を始めた。それで良いのか?お前らは。

すーりすーりと体を擦り寄せるまりさ達。幸せを感じている番のゆっくり。
しかし、まりさの動きが急に止まり、次の一言がゆっくりを地獄へと引きずり落とす。

「………どうしたの?まりさ?」
「……………ほっぺさんが、かたいんだぜ。」

またもショックで固まる新婚さんは、凄い形相で番のまりさを見つめていた。
怒っているような泣いているような。どう表現していいか解らない。とてもゆっくり出来ない顔をしている。

それを横目に、俺はシャワーの水を止めた。水滴が落ちる音だけが風呂場に響く。
嫌な沈黙だけが、その場を支配していた。





白い毛布の中で、二つのゆっくりが寄り添いながら眠りに付く。
俺が、このゆっくりの頬が固いのは病気の後遺症だと伝えると、まりさは渋々納得していた。

その後、先住が叫ぶ、『あまあまがほしいよっ!ふかふかのもうふさんをもってきてね!』等々の願いを俺が聞き遂げると、
次から次へと、ゆっくり出来る品が用意される事にまりさは感嘆を抱いていた。当然、用意する俺ではなく、番のゆっくりにだ。

こいつらの思考回路はどうなっているのだろうか?

まあ、考えてもしょうがない。電気を消して、俺も寝室へと向かう。
その途中で、『もう、たべられないだぜー……っ。』とか、聞こえてきた寝言に殺意を抱いた。
部屋に置いてある袋に拳をめり込ませて怒りを抑える。今日もゆっくり眠れそうだ。





「むーしゃ!むーしゃ!しあわせーーーー~っ!なんだぜっ!めっちゃうめっ!」
「やめてねっまりさっ!ゆっくりできなくなっちゃうよっ!」

次の朝、美味しい朝食を取る新婚夫婦。
まりさは食べカスを散らかし、餌皿から猛烈な勢いで喉の奥へとかきこむ。殆ど丸呑みに近い。

「がつがつがつがつがつがつっ!うんめっ!がつがつがつがつがつっ!おかわりがほしいんだぜっ!」
「ゆゆゆゆゆゆゆっ?かいぬしがきたよっ!?」

まりさの側に近づいてきた飼い主。このままでは痛い事をされてしまう。自分がゆっくり守るよっ!
そう意気込んで体を膨ませる番。しかし、飼い主はまりさの皿におかわりを入れて去っていった。
まりさに罰が与えられない。その事に拍子抜けするよりも早く、不満の言葉が大爆発した。

「どぼじでまじざには、ばつがないのぉおぉぉおっ゛!?だめなんじゃないのおぉぉぉっ゛!?」
「別にまりさに、駄目だと言ってはいないだろ?」

酷い。酷すぎる。
なぜ自分だけ駄目なのか?こんなの許される事ではない。ゆっくり出来ないよ!

「む、むーしゃむーしゃ!しあわせーっ!!! 」

まりさの食いカスに紛れ込まればバレないよっ!自分の才能が怖いよ。惚れ惚れするねっ!

「ゆっ?ゆゆゆっ!?いだいよっ!ぞっぢのほっべざんはつねらないでねっ!」
「お前は駄目だ。忘れたのか?」

「どれがじぶんのなのか、わからないでしょぉおぉぉっ゛!?いいがかりはやめてねっ!」
「……現在進行形で食いカスが飛び散っているだろうが。」

確かに、叫ぶ口から食べカスが床へと飛び散っている。
でもこれは、飼い主が叫ばせたのがいけないのだ。言いがかりはゆっくりやめてねっ!

「残ったもちもちほっぺも、千切り取ってやろうか?」
「ゆっぐぢごべんばざいぃいぃぃぃっ゛!あやばしばずうぅうぅっ゛!?もうかだぼうじがないんでずぅうぅぅっ゛!」

不利になったと見るや、脅しをかけて来た。
酷い。酷すぎる。

横目で見たまりさは、泣き叫ぶ自分を無視して、皿に盛られたおかわりに夢中だ。
自分の味方はいないのか?絶望が身に染みて切なくなってきたよ。

後から、『ごめんねっ?』と、擦り寄って謝罪するまりさを、冷めた視線で見つめる番の姿がそこにあった





「んーっ!いっぱいでてすっきりーっ!」
「……………。」

まりさがトイレマットの上ですっきり(便意的な)宣言。

最初は適当な所で用を済まそうとしたまりさだったが、自分と同じように宙吊りなって、お尻を叩かれたまりさ。
そこまではいい。でも、その後のトイレ使用が問題だ。

明らかにお尻に黒い物が付着しているまりさ。それを見た飼い主はスルーを決め込んだ。
これもまりさは、おとがめ無しか?ふざけるな!

「ゆゆゆっ!かっ、かいほうてきにすっ……きり……しないよ?」

開放的なポーズを取った瞬間。ゆっくり出来ない視線を感じた。早々に、安全策に切り替える。
そして、意外な敵が現れる。大量に食らったまりさが、再度トイレ内に侵入してきた。
『がまんできないんだぜっ!』とか言いながら、ズンズンとお尻を突き出しながら接近してくる。

放出する寸前に、華麗に転がり緊急回避。
自分用に取り替えられたマットがまりさに汚されていく。交換は期待出来ないだろうから、隅っこでするしか無い。
更に窮屈な姿勢を要求されるだろう。このまりさのせいで。本当の敵はこいつなのかもしれない。

後から、『ごめんねっ!?』と、近づいてくるお尻が黒いまりさを、絶妙な距離で避ける番の姿がそこにあった。




黒く染まる白かった毛布をまりさに投げつけ、もう一枚の純白に毛布に包まれた番。
ゆーゆー。だぜだぜ。言い寄るまりさに、早くも愛想が尽きてきた。

汚く食い散らかし、常にお尻を黒く汚したまりさ。都合良くごめんねを繰り返し、擦り寄ってきては、
『なんだかきもちよくなってきたよっ?』と、痙攣し始める。それを自分は青い顔で跳ね飛ばす。
まりさは仰向けで怒っているが、どうしても受け入れてはいけないのだ。

数日前、飼い主はこう言った。

『まりさ達?すっきりをして赤ちゃんを作ったら駄目だよ?』

まりさ達。と言うからには、まりさも対象に入っている。
どちらも赤ちゃんを作れないという事だ。でも、それは好都合。自分はこのまりさと赤ちゃんを作る気は全く無い。
もっと自分に相応しい美ゆっくりがいる筈なのだから。汚れまりさはもう要らない。

激しく拒絶する自分。それでも求めてくる汚れまりさ。
そんなジレンマを溜めこんだ汚れまりさは、実力行使に出る。
深夜に『すっきりーっ!』の愛の声が響く。

台所には、飼い主がまりさの餌に投与したと見られる、ゆっくり専用の精力剤が置かれていた。
毎日適量を混入していたらしい。





次の早朝。

「ゆぇえぇぇぇぇんっ゛!?まじざがむりやりに、ずっぎりーっ!じでぎだぁあぁぁぁぁっ゛!!! 」

番の片割れが俺の足元へと駆け寄ってくる。
涙で顔がべしょべしょだ。よっぽど酷い目にあったのだろう。

そんな番のもう一体の片割れは……、

「ゆーー~っ。さわやかなあさなんだぜっ!」

やけにツヤツヤした肌でさわやか気取りのまりさ。テカテカして逆に気持ち悪いんだぜ?

「まりさのあかちゃんかわいいでしょ!?だいじにそだててあげてねっ!」
「ゆぇえぇぇぇえぇんっ゛!?」

まりさは俺に赤ゆを押し付ける気だ。そして、追加の赤ちゃんも作ると言い出した。
アレだけ長期間投与すれば当然の結果か。予想の範疇だ。

俺は台所のガスコンロを付ける。まりさは食事の時間だと勘違いしていた。お気楽な頭をしてるな。
朝食を強請るまりさを無視し、茎の生えた番へと手を伸ばす。

番は殴られると思ったのか目を瞑っていたが、頭の重みが軽くなった違和感で薄めを開けて、恐る恐る確認をし始める。
開いた瞳で俺の手に握られた茎を確認したようだ。憑き物が落ちたような表情の番と、それと対称的な驚きの顔をしたまりさ。
俺は燃えるガスコンロの上で、緑色の茎を炙り出す。

「やべぇろぉおぉぉおっ゛!?まじざのあがぢゃんじんじゃうでじょぉおぉぉっ゛!ばがなのぉおぉぉっ゛!?」
「ゆん♪ゆん♪もえろ。もえてねー~っ♪」
「……ゅ゛!…………ゅゃっ゛!?」

苦しげな微かな呻き声を漏らし、黒い塊となって落ちていく、赤ゆになるはずだった物。
俺の足元では番が嬉しそうに踊り、遠くにいるまりさは涙目で吼えている。

「じじいはゆっぐりじねぇえぇぇぇぇぇぇぇえっ゛!!!……えっ?あづいぃいぃぃぃぃっ゛!!!?? 」

突っ込んで来たまりさを持ち上げて、火が立ち上るガスコンロの上に置く。

炎が、まりさのあんよを容赦なく焼いていく。飼い主は焼きムラが出ない様に、焼き位置を変えながらじっくりと足を焦がす。
それを見ていた番は、悲しむどころか更に喜びを露にする。相当、腹の中に溜め込んでいたらしい。

「まじざの……ゆっぐじとじだあんよざんが……っ!えぐっ!ゆぐぅうぅぅぅっ!?うごがなよぉおぉぉっ゛!!!?? 」

まりさは体を動かすが、足はピクリとも反応しない。
どうやら旨く焼けたみたいだ。あの部分を避けながら焦がすのは大変だった。

「さて、君も罰を受けようか?」
「ゆっ゛!?」

笑っていた番の表情が固まる。先程の余裕はなくなっていた。
態度一転。まりさへの責任転化と、保身の交渉を訴え始める。

「そうだな。足を焼くのを許してあげてもいい。」

満面の笑みで答える番。まだ話は終わってないよ?

「献身的にこれの世話をしろ。それが条件だ。」
「まじざのずでぎなおぼうじがえぜぇえぇぇぇっ゛!?ゆっ?やべでねっ!
 まじざはそんなどごにがえぜなんで、ひとこどもいってないんだぜぇえぇぇぇぇえっ!?」

俺はまりさの黒帽子を掴み、床でとんがり部分を踏み潰した。
平たくなった帽子の上にまりさを乗せて、緊急担架の完成だ。これで床を滑らして移動が出来る。
当然引っ張るのはこの番だ。頑張ってくれ。

「出来なければ。こうなる。」

まりさの真っ黒に焼け漕げた部分を見せ付ける。
それを目にした番のこれからの方針は決まったようだ。




帽子を噛んで、ズリズリと引っ張るまりさの番。

「おそいよっ!まりさこのままじゃもれちゃうよっ!」

ご飯さんを鱈腹食べたまりさが、トイレに行きたいと言い出した。あれほどあんまり食べるなと言ったのに。
ろくに動かず飽食しているまりさは、あっという間に体が大きくなっていった。
『まりさは、あんよがうまくうごかないから、とってもかわいそうなんだぜっ!?』が口癖。自分にはどうでもよい事だ。
死んだら自分のあんよが焼かれる。だから、死んでもらっては困ると言う理由。

「もうだめだよ!でるよ!すっきりーっ!」

間に合わなかったので、白い毛布を咥えて下に敷く。これも何時もの事だ。この馬鹿は我慢を知らない。
我侭し放題で、とってもゆっくりしていた。罰を受けた後、大きな罰も受けないまま、思うが侭の美味しい物を食べ続けてる。

幾ら汚く零そうが罰を受けない。トイレもそうだ。世話疲れで自分が汚すと平手が飛んでくるのに。この差は何なのだ?
慎重にご飯さんを食べてる時に限って、まりさは呼び出してくる。待っててね!と、言うと決まって。

「いますぐきてくれないとまりざしんじゃうかもっ!ぐぇえぇぇぇえっ゛!?」

そう叫ぶのだ。本当に死んでもらっては困るので、ゆっくりせずに駆けつけると、

「あんよがむずむずして、かゆいかゆいなんだぜっ!やさしくかいてねっ!」

全てが大した用事でも無い、最低な頼みごと。
夜は毛布を優しくかけてあげる事から始まり、寝返りの世話までしていた。

「ゆぷぷぷっ。もうたべられないんだぜ~~っ。」

その寝言が癇に障る。いっそこの場で何もかも捨てて潰したい。でも、我慢。
まりさの世話をしなければ駄目なのだから。



そんなゆっくり出来ない数日間が過ぎた時、破砕音が部屋に響き渡る。

「あぁあぁぁあっ゛!?まじざのおぼうじがぁぁぁあぁぁぁぁっ゛!!! 」

まりさのお尻に敷かれていた黒い帽子の淵が、引っ張っていた番の歯に千切られてしまった。

「なにをずるぉおぉぉっ゛!?ゆっくりあやまってねっ゛!!!まりさおこっているんだよっ!」
「ゆん……、ゆっくりごめんなさい。」

この番に悪気は無かった。悪いのはまりさの方だと言える。
体積が増えて重くなっていくまりさ。それを引っ張る番が、咥えた帽子の淵に唾液を何時も以上に浸透させる。

そして、黒い帽子は容易く千切れた。
まりさはそんな事実を思いもせずに、本気で番だけが悪いと決め付けて攻撃する。

「ゆっくりなおしてねっ!きれいにくっつけてねっ!」

ペタペタと切れ端を破損箇所にあててみるが、接着する訳が無い。
唾液で湿った切れ端は、いかにも張り付く様子を見せて希望をたっぷり与えた後、無駄だと言わんばかりにズレ落ちる。

「あーっ!まりさしんじゃうねっ!たいせつなおぼうしこわれちゃったからねっ!」

死ぬ死ぬ詐欺がゆっくり発動。まりさの得意技だ。

「でも、まりさのきぼうにこたえたら、ゆっくりゆるしてあげるよっ!」

番は顔をあげてまりさを見つめる。許してくれるのなら聞きどけてあげよう。
自分が助かる為にはしょうがない。一体、その条件とは何か?

「まりさとあかちゃんつくろうねっ!いっぱいいっぱいつくるんだぜぇえぇぇぇぇぇっ!!! 」



キレた。



大事な物が何か切れた音を感じる。
誰のせいでこんな目に合っていると思うんだ?あの時、無理矢理迫ってきたお前のせいだろうが!
正面の焼けた足の部分から、ぺにぺにが主張していた。それがまたイラツキを誘う。
いやらしい顔で、来い来いと叫ぶまりさは、嫌悪対称以外の何者でも無い。

あの時の、太りきった姉れいむの姿にダブって、視界が揺れた。

決意を固め、足を前へと運ぶ。
すると、飼い主が目の前に枝を落としてきた。
『これはなんなの?』疑問に思った番の足がとまる。

「それは、まりさの足を焼いた時に出て来た枝だ。」

飼い主が発言する。一番驚きの表情を見せたのはまりさだ。口がアホみたいに開いている。

「正確には帽子の中からだな。出てきたときは驚いたよ。まさか、こんな武器を隠し持っているとは。」

番の刺す様な視線がまりさの顔面を捉える。
チリチリと額が殺気で漕げる感触に、たまらずまりさは声を上げる。

「しししししし、しらないよっまりさはっ!?そんなものはしらないよぉおぉぉっ゛!?」
「赤ちゃん作りの際、抵抗された時の鎮圧用だったと予想するね。早い話が脅し武器?」
「いいいいいっ、いいががりはやめるんだぜぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇえっ!!!?? 」

あの日の屈辱が番の頭に蘇る。

「今も近づいた所をグサッ!だったんじゃないかな?怖い怖い。」
「やべろぉおぉぉっ゛!?おばえはぼうじゃべるなぁあぁぁぁぁっ゛!」

無理矢理に赤ちゃんを作られた最低な記憶。そして、目の前に居るのが元凶のまりさ。
番はゆっくりと枝を口に咥えた。歯でしっかりと固定する。衝撃でずれないように。

「しんじてねっ!まりさはけっぺきだよっ!およめさんならしんじてくれるよねっ!ゆんっ!」

良識を良い顔で発言するまりさ。
だが、立ちっぱなしのぺにぺにで全てが台無しだ。

「わかってくれたんだねっ!まりさはうれしいんだぜっ!ゆ~ん♪あんしんしたらおなかすいちゃったよ♪
 ゆっくりあそこまではこんでねっ!……ゆん?どうじばぁっ……!?ぐぅゆっほっ゛!!!?? 」

まりさの大きなお腹に茶色の枝が突き刺さる。
短めの枝は、根元まで埋まっても致命傷にはならない。裂くように動かす必要がある。

「やべでやべでっ!?いだいよっ゛!まじざのおだががざげぢゃうぅぅぅぅっ゛!?ぐりぐりじないでぇえぇぇぇぇっ゛!?」

大きく裂ける度に、中に詰まった餡子が勢いよく外に漏れ出してくる。
散々良い物を食べて堕落しまくったまりさは、詰まった餡子も相当な量だ。敷かれた帽子に黒山を作り、盛り上がりが増してくる。

「しんじゃうよっ!まじざじんじゃうっ!?やべでぇっ!やべろぉおぉぉぉぉっ!?ゆぐああああああああっ゛!!!?? 」

口癖の死んじゃう発言を最後に、動かなくなったまりさ。今も腹からは餡子が出続けていた。
これで、本当にまりさはゆっくりしたのだ。自分も終わりだろう。

目を瞑り、これまでのゆん生を思い返す。
ろくな目に会わなかった。ケースから出て飼いゆになっても結末はこの様だ。
涙が溢れて体を濡らす。

「罰の分は介護したみたいだから、今回は許してあげるよ。」
「……ゆっ!」

飼い主の寛大な裁きに、ゆっくりは目を見開く。
信じられないと言った表情で。

「ゆっくりしていってね?」
「ゆゆゆっ!ゆっくりしていってねっ!!! 」

久しぶりに発した心からの言葉。
笑みで顔が幸せそうに綻び、重荷が取れたのかの様な、爽快な気分で嬉しそうにはしゃぐ。

「お風呂にいこうな。」
「ゆんゆ~ん。おふろさんはゆっくりできるよ~っ♪」

返り餡子だらけのゆっくりを洗浄する為、風呂場へと足を運ぶ。
綺麗になっていく幸せを満喫している声が、今まで居た部屋まで届いてきた。
そこに転がるまりさだった物は、醜い姿のまま床に放置されて、それから数時間も冷たい板の上で過ごす。
体には温もりが無く、目は開いたまま。口端からは餡子の筋が流れ、妊娠したかの様な大きな腹の中身は全て床に排出された。

結局、このまりさは餌として再利用される事無く捨てられる。

とりあえず今は、あまり他の中身を食べ物として与えたくないのだ。勿体無いが仕方ない。
大切な黒いお帽子に包まれてゴミ箱に収まるまりさは、とても幸せそうだった。
……と、思う。





お布団はふかふか。プレイスの周辺には排泄物も無く、ご飯さんも美味しい。
まりさの汚らしい食い方等を見て、自分は学習した。清潔である事は、とってもゆっくり出来ると。

多少窮屈に感じるかもしれないが、決められた事をやり遂げる達成感を得る快感をしった。
綺麗な皿周辺を確認した飼い主が褒めてくれる。トイレもキッチリ済ませて、お尻はいつも清潔だよ!
やっぱり、このゆっくりプレイスは最高だねっ!

……このゆっくりに快適な生活が帰って来た。
今までとは違うストレスの無い生活。まりさの世話からの開放感。全てが順調に動いていた。

「いってくるよ。」
「ゆっ!」

床をコロコロ転がるボールを追いかけていくゆっくりに、飼い主は声を掛ける。

「そうだ。言っておく事があった。」
「ゆ……?」

ゆっくりは嫌な雰囲気を感じた。口をへの字にして不満を訴える。

「あそこの部屋に入っては、駄目だよ?」
「ゆぅっ。」

遠くにある扉を指差しながら言葉を紡ぐ飼い主。ゆっくりの視線は、その禁則を告げられた扉を捕らえる。
あそこのお部屋には、まだ入ったことは無い。一回入ろうとしたが扉さんが開かなかったのだ。

「今度こそ本当に行って来ます。いいかい?入ったら駄目だからね。」

玄関が閉まり、飼い主が外出した。

「ゆ、ゆ~ん♪おいしいあまあまさんをたべるよっ!」

ゆっくりは餌置き場へと向かう。
別に食べたい訳では無かったが、何故かそう言ってしまった。自分でも解らない。
食べてからボールさんで遊んだのに、先程より面白くなかった。

強く押したボールが転がっていく。コロコロコロコロと。
偶然にも、"あの"扉の近くで止まる。そう、これは偶然なのだ。

「ぼ…、ぼーるさんまってね!そっちにいくのは、ゆっくりできないよ!ゆぁっ!?」

咥えて捕獲しようとしたボールが、掴みそこなって更に奥へと行ってしまった。

「しょうがないよねっ!いきたくはないけど、ぼーるさんのためだもんねっ!」

独り言を呟きながらボールを追いかける。
そして、ボールの側に着いたが、ゆっくりは丸いボールさんより四角い扉さんが気になってしょうがない様だ。

「ゆ~?ゆん。ゆー?ゆゆーー~ん?」

ウロウロと扉の前を徘徊するゆっくり。
駄目だとは解っている。でも、入って見たい。中に何があるのか確かめてみたい。
体が扉に触れたとき、いつもはピクリともしない扉が、少し内側に開いた。扉の隙間から光が漏れている。

ゆっくりは考えた。精一杯考えた。
そして、その結果が、

「ゆーん!?ぼーるさんはいっちゃだめだよーっ!」

口に咥えたボールを扉の隙間にねじ込んだ。
勝手に入ったボールを取りに行かねばならない。行きたくはないがしょうがないよね?

「ゆんゆーん。そろ~りそろ~り。」

完全に室内に入ったゆっくり。辺りを見渡すが何も変な所は無い。拍子抜けだ。
『へっ!』と、口ずさみ部屋を出ようとしたゆっくりは、呻き声を耳にする。
見てはいけないとは感じた。そう、見ては駄目なのだ。でも、視線が声のする方向に移動していく。

棚の上、ゆっくりが昇れそうもない高い所に、足が黒く焼かれ両目を開いたままの、自分の姉妹が置かれていた。

「なん……なの?なんなのぉおぉぉっ゛!?」

目の上にある薄い皮が取り除かれて、瞬きも出来なくなった姉妹。お口は縫い付けられていて開かないようだ。
足はドス黒くなって、髪もボサボサで潤いが無い。何かを定期的に刺している為、そこだけが穴が塞がらず醜い中身が確認できる。

床に転がっている大きな丸い塊も自分の仲間なのか?
肌色の丸い物体には、赤い痣が痛々しく浮かび上がっている。髪とお顔の部分が全く無い。肌色一色だ。

「ゆ。」

助けろと視線で訴えかける姉妹達。

「ゆあ。」

床に転がる肌色の物体。

「うやぁあぁあぁぁぁぁぁあっぁあぁぁぁぁっ゛!!!?? 」

ゆっくりは部屋を飛び出し、悪夢と恐怖を振り払う為に白い毛布の中へと逃げ込む。
丸く盛り上がった毛布は小刻みに振動して、中から泣き啜る声が聞こえてきた。





毛布が捲れ上がって光が差し込む。
自分は何時の間にか眠っていたらしい。

「ゆ?」
「おはよう?違うな。こんばんはかな?」

飼い主が覗き込んでいる。
背中が一気に冷えていく感覚を味わった。顔が青くなっていく。

「おおおお、おかえりなさいっ!?」

今まで挨拶などした事は無かったが、自然に口から出ていた。

「ゆゆゆっ!ゆっくりしていってねっ!?おおおにいさん!」

ん。の発言を終えたゆっくりは、口を閉じたまま口端を上にあげて精一杯の笑顔を見せる。

「うん。ありがとう。ところで……、部屋に入ったね?」
「ゆゆゆんっ!?」

ゆっくりの体は宙に浮かび、床に叩きつける音が室内に響いた。

「やべでねっ!?いだいよぉおぉっ!」
「約束を破る子は嫌いだな。」
「ぼーるさんがさいしょにはいったんだよっ!しょうがなくおいかけたんだもんっ!ゆっくりとりかいしてねっ!」

大きな声で自分の正当性を訴えるゆっくり。
ボールが偶然転がって、部屋に入っていった事も伝えた。自分は悪くないと。

「確かにボールも悪いな。」
「そうだよっ!いいがかりをつけたことを、ゆっくりあやまってねっ!」

ふんっ!!と、体を仰け反らせるゆっくり。いきなり態度がでかくなる。もう勝った気でいるようだ。
俺はボールを手に乗せて、コロコロと転がしていた。

「それではボールにも罰を与えよう。」
「そのまえにゆっくりあやまってねっ!?かいぬしさんはゆっくじぃっ゛!ゆゆゆゆっ……!?
 いだぁあぁぁぁぁあぁぃっ゛!?おべべざんがいだいよっ!みえだいよっ!おべべざんどごいっだどぉおぉぉっ゛!!!?? 」

俺はボールをゆっくりの眼球部分に押し込んだ。目玉が潰れる感触と共に、赤いボールが深くめり込んで収まった。
今の所、飛び出してくる様子は無い。眼球より一回り大きかった為、思ったよりも安定した設置になったみたい。

「ボールにはゆっくりの目になる罰を与える。」
「どぼじで、どぼじでごんなごどずるのおぉおぉぉ……?」

赤い義眼を付けたゆっくりが悲しそうに呟く。
どうして?それは罰だからだよ。それ以外の何がある。

「さて、君の罰も終わりだ。連帯責任という所かな?」
「こんだおべべじゃゆっぐぢでぎないよおおおおおっ゛!?」

泣き喚くゆっくり。それに掌を振りながら俺は立ち去る。
そして、入っては駄目だと指定された部屋の扉を開けた。

ここは俺の寝室だ。床には抱き枕が転がり、棚にはインテリアが並ぶ。俺のゆっくりプレイス。
溜まる不満を抱き枕にぶつけて、インテリアに養分を注入して心を癒す。とても最高で快適な空間だ。

「皆、ゆっくりしていってね~。」

玩具の注射器に溶液を入れ、両目が開きっぱなしのれいむに注入する。隣のまりさにも注射した。
床で蠢く肌色の抱き枕を踏みつけて、グンニョリと力なく伸びたのを確認した後、あのゆっくりの元へ戻る事にした。

あのゆっくりの成長過程は、今の所順調だ。安いゆっくりを高級ゆっくりに出来るのか?それが知りたい。
購入当初より、性格も良くなって学習もしている。今回は挨拶もしてくれた。この今までの奴らより将来性がありそうだ。

ゆっくりは駄目と言われると実行してしまう。それがどんなに悪い事であってもだ。好奇心が大きすぎる。
聞き分けが良くなってくるとイタズラが減っていく。そこで、わざと誘導して罪を被らせ罰を与える。
悪い事をしたと認識させてから、叩き落す方法。安い個体だからこそ出来る荒業だ。

「さて。可愛いあの子の元に戻りますか。」

俺は部屋にあるオブジェに語りかけるような声を発する。
閉じない瞳で必死で訴えてくるれいむとまりさ。充血した目元から涙が溢れる。
俺はそんなインテリアに、これからの注意事項を伝えた。


「君達、死んだら駄目だよ?」










・溜まっていた小ネタを集めて一つの物語にしてみた
・このお話の続きはありません
・キワモノ小ネタを省いたので割と普通すぎる話に
・連作の続編は半分くらいで止まってます





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感想

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  • 毒者さまきもーい -- 2017-12-08 12:49:46
  • 面白いけど、ちょっと読みにくい。
    -- 2017-04-17 02:49:21
  • ↓x5餡子脳様だよ -- 2012-12-29 09:10:25
  • ここは餡子脳たちのゆっくりぷれいすなんだね
    ゆっくりりかいしたよ!! -- 2011-07-07 02:36:21
  • ↓×4
    お前はSS添削する先生かよ。増長しすぎ。 -- 2011-02-09 18:05:45
  • 自分が作者より偉いと勘違いしてるコメンターが増えているな -- 2011-01-06 00:23:44
  • いや実際 ふぅん・・・ な出来だから仕方ない -- 2010-12-04 19:50:00
  • ↓何様だよw -- 2010-11-20 22:21:14
  • *確かに視点の切り替えが唐突すぎて読みづらい

    *れいむっぽいけど種類を最後まで伏せた意味がわからない
    姿を想像出来ないから面白さが半減した
    なにかおもしろいオチでもあって伏せてるのかとも思ったが
    それもなくガッカリした

    *飼い主の行動や、いろんな箇所で
    フラグを立ててるっぽい所があるが
    殆ど回収されずに意味の無いただの冗長な文になっている

    *まったく感謝をせず、挨拶すらしない
    クソゆっくりに順調に殺意が湧いたのに
    最後のシメの虐待が中途半端すぎて不快なレベル

    *これだ長いSSなのにオチの
    入ってはいけない部屋と
    不気味インテリアは出現が唐突すぎて
    はあ、そうですか・・・レベル
    オチがつまらないと終わり悪ければ全部駄目となるので
    よく練りましょう

    *序盤のペットショップのギスギスした雰囲気は最高に面白かったです
    全体的にとても面白くゆっくりさせて頂きました -- 2010-11-20 18:07:31
  • ↓↓↓に尽きるな -- 2010-11-12 00:12:01
  • 結局このゆっくりの種類はなんだったんだろう?
    まあ十中八九れいむか -- 2010-09-15 13:01:36
  • 青髭オチ? -- 2010-06-24 09:59:32
  • 内容は面白いが視点が俺だったりゆっくりだったり三人称だったりコロコロ替わって混乱する…。 -- 2010-06-17 22:29:25
最終更新:2009年11月17日 17:50
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