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  • 覚醒、決意、そして……アサクラジュンイチ(前編)

ギャルゲ・ロワイアル@ wiki

覚醒、決意、そして……アサクラジュンイチ(前編)

最終更新:2007年11月15日 18:53

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覚醒、決意、そして……アサクラジュンイチ(前編) ◆4JreXf579k


川澄舞は病院を目指して山の中を歩いていた。
先の戦闘で、戦果を挙げる代償として奪われた右目の治療をするためにだ。

(失敗した……)

山の中、道ならぬ道を歩きながら、痛む右目を押さえて己の失敗を叱責する。
最強の武器、キャリバーで致命傷を負わせたと思っていた相手に手痛い反撃を受けてしまった。
窮鼠猫をかむという諺があるが、今回の戦いはそのとおりの結末になってしまったようなものだ。
右目、すなわち視界の半分を奪われてしまったということになる。
単純な戦闘力は半分程度に落ちてしまったと言っても過言ではない。

万全を期すならもう一度キャリバーか永遠神剣を使えばよかったのだが、あれは極力温存したかったのだ。
キャリバーは言うまでもなく残った弾数の問題、そして永遠神剣は自身の体調の問題である。
先ほど永遠神剣の力を発揮したとき、体の中の何かが吸われていくような感覚はすでに舞も経験済みだ。
その何かの正体は分からないが、生命、あるいは精神的なエネルギー、どちらにせよ内に秘められた命の力のようなものだと舞にも推測はついている。
強すぎる力の代償、何一つ捨てることなく強力な力を得られるほど世の中は甘くないの。
だが、その消費を惜しんだことで致命的な負傷をしてしまったのだから洒落にもならない。
あと19人、放送時は20人だったが、一人殺したことにより自分を除いてあと19人もの標的が残っている。
全員を自らの手で殺すつもりではないが、今の舞には19人という数字が重くのしかかっていた。

(これじゃあ……佐祐理を助けられない)

ふらつきながら歩く最中も、考えるのはかけがえのない親友倉田佐祐理のこと。
たった一人の無二の親友、倉田佐祐理。
闇の中に囚われていた川澄舞に光を与えてくれた少女。
相沢祐一が現れてから彼女と自分を取り巻く周囲の環境は少し変わったけれど、佐祐理との友情は変わらないまま。
川澄舞は倉田佐祐理が大好きで、倉田佐祐理は川澄舞が大好きだった。
生きているとはいえ今も捕らわれたままの彼女の身を案じる。
助けなくては、救い出さなければ。
一縷の望みにすがって、忌むべきこの殺し合いを開催した鷹野の言葉を盲目に信じて、川澄舞は戦い続ける。
何故佐祐理だけ生かしたまま主催者に捕らわれているか、その疑問は常時舞の頭の中を駆け巡っていた。
しかし、舞はそれ以上考えることはしない。
助かる可能性が1%でも残されているならその可能性に全てを賭けるだけ。
それに、考えれば考えるほど悪い予感しか浮かんでこないから。

(あれは……)

舞の視界に映るのは、かつて自分が足を踏み入れた段々畑を移動する総勢四人の大所帯。
構成は男が二人、女が二人。
強く握り締めていたニューナンブにジワリと汗が滲むを感じた。
向こうの集団は舞の存在に気づいておらず、西へ西へと向かっている。
ここで舞の頭の中に一つの葛藤が生まれた。
即ち、襲撃するか否か。

冷静に考えれば襲撃はすべきではない。
無茶と無謀はまったくの別物。
無茶をする覚悟はあるが、無謀な突貫は好ましくはない。
――いや、ここで襲撃するのは無謀ではなく無茶の範疇。
無茶の一つや二つ乗り越えてみせなくてどうやって大事な人を助けるつもりか。
さっきは半ば反則に近い行為で動きを止められただけで、現実的に考えればあんなに強力な武器はいくつもないはず。

自身の怪我を省みるべきだ。
――いや、怪我はしているが、病院に行けば目が見えるようなるという訳でもない。
治らぬ傷のことを気にかける必要がどこにあろうか。
川澄舞の肉体と魂はすべて倉田佐祐理へ捧げられた。
目の痛みと視界のブレなど道端の小石を避けるか避けないかという程度の些細な問題。
痛みなら気づかないフリをすればいい。
視界のブレなど、川澄舞の視界は生まれたときからブレている、そう思い込んでしまえ。
究極的に言えば、倉田佐祐理の体さえ五体満足ならば、川澄舞の肉体などどうなってもいいのだ。

人数が違いすぎる。
――いや、人数の問題なら川澄舞は戦力比を覆す兵器を二つも持ってる。
そして仲間を作って集団で行動するような輩が撤退しようとする自分を積極的に追撃するような行為は考えにくい。
基本的にヒットアンドウェイでやっていけば、そこまで危険な行為ではないはず。

確かにその二つの強力な武器を持っているが、それを以ってしてもやはり人数の比は大きい。
――いや、自身の怪我と所持している武器の冷静に分析した結果、一度に何人の相手ができるかのラインを見定めている。
4人、それ以上の人数は奇跡の類でも起こらない限り勝つのは不可能。
そして件の集団も都合がいいことに四人。
ここで逃せば、別の徒党を組んでいる連中と合流して更に人数が膨れ上がってしまう可能性がある。
そうすれば単独で行動をしている自身にはもう手の出しようがない。
次に出会った時、この集団の人数が倍になっていない保証はないのだ。

一つ一つ襲撃する上でのデメリットを論破していき、ついに舞は襲撃を決意した。
半ば願望の交じり合った都合のいい論理だが関係ない。
ここで四人減らすことができれば一気に佐祐理との距離が縮まる。
上手く全員殺せば、残った五分の一の人数が消え失せることになるのだ。
佐祐理の笑顔がもう一度見られる、そう考えただけ舞の体に力が漲ってくるような気がする。
己を奮い立たせることに成功した舞のとるべき行動はもはや一つ。
戦場で死を撒き散らす暴風となることだけだ。

(もう少し、もう少しだから……待ってて、佐祐理)

かけがえのない親友の顔を思い浮かべ、舞は絶好の襲撃ポイントで待ち受けるべく西の方向へ先回りすることにした。
牢獄の剣士がこれから襲い掛かる集団は未だ舞の存在に気付くことなく平和を保っている。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「ハクオロ、ちょっといいかい?」

前を歩いていたハクオロに、大空寺あゆは後ろから歩いてくる朝倉純一と蟹沢きぬに気付かれないように声をかけた。
朝倉純一と蟹沢きぬが同行することが決定したあと、一行は簡単な情報交換と武器の配分を行うために段々畑で休憩も兼ねて座っていたのだ。
そして滞りなく全ての準備を整えたあと、再び深い山の中へと繰り出した。
今は再び山の中に入って五分程度、道ならぬ道に苦戦しながらも敵の襲撃もないまま平穏を保ったまま歩いているところだ。
そんな折、機を見つけてあゆはかねてからハクオロに聞きたかったことを聞くことにしたのである。
ハクオロはあゆの方へ振り返らず、前進しつつ応えた。

「なんだ?」
「……その傷薬は本当に効いてんのかい?」
「……心配してくれるのか?」
「あ? 脳みそに蛆でも湧いたか? でないとそんなおめでたい解釈できそうにないわね」

右手で転がすように持っていた傷薬を見ながらハクオロは苦笑する。
短い付き合いとはいえ、大空寺あゆの口から発せられる遠慮ない罵倒にももう慣れてきていた。
これがあゆの普段の口調であって、口汚い修飾語を取り除いていけば彼女の言いたいことも大体は察することができる。
むしろ、こうも語彙が尽きずに次から次へと罵倒が出てくることに感心すらしてた。

「まぁ効果は私の体が保証する。 エルルゥの傷薬に助けられたことは一度や二度じゃないからな」

朝倉純一が持っていた傷薬は偶然にもヤマユラとトゥスクルで家族同然に過ごしてきたエルルゥの物だ。
もう会えない存在、そのエルルゥが今もこうして自身を守ってくれている。
加えて蟹沢きぬは自身の愛用してた武器である鉄扇も所持していたのでありがたく頂戴したのだ。
もうエルルゥもアルルゥもオボロもカルラもトウカもいない。
なのに、ここにきて在りし日を思い出させる道具に出会ったことでハクオロは郷愁にも似た感情を抱いていた。

「それで?」
「それでって何が?」
「本当に聞きたいのはそんなことじゃないだろう?」

胸の内に抱いていた感情はひとまず置いといて、ハクオロは声を一段低くして鋭い口調で大空寺あゆの心の内側に切り込んだ。
くだらない会話は大空寺あゆの最も嫌いとするところ。
その彼女がこうやって意味のない会話を振ってくるからには何か訳アリだろうとハクオロは踏んでいた。
どうやらその推測は当たりのようで、ハクオロは背中越しにではあるが、あゆが明らかな動揺を見せたのをはっきりと感じていた。

「……さすがに今のは気付くか」
「ああ、話の振り方も誤魔化し方も下手だったな」
「私も焼きが回ったもんだね。 ハクオロごときにこんなに簡単に悟られるとは」
「それで、実際は何が聞きたかったんだ?」
「一ノ瀬と朝倉のこと」

あゆが少し後方からついてくる朝倉純一と蟹沢きぬを指差す。
固まっていては強力な武器で一網打尽にされる危険がある。
だからある程度距離を離して二人ずつで移動をしているのだ。
多分会話を聞き取られることはないだろうが、それでも念のため音量は下げている。
あゆはさらに神妙な面持ちで続けた。

「もし本当に一ノ瀬の糞虫と会えたとしたら……どうするよ?」
「……」
「私が一ノ瀬を殺そうとして、朝倉が止めに入ったら……アンタはどっちにつくんだい?」
「……」
「先に言っておくけど、あたしは止まるつもりはない」

強い口調で迷いなく言うあゆの表情を彩るのは憎しみの色。
甘い人間、その代表格にも挙げることができるであろう時雨亜沙を殺した憎き仇、一ノ瀬ことみ。
人のいい人間を騙して、背後から襲い掛かるような輩にかける慈悲など一粒の砂ほどもない。
あの人物を殺すためなら、例えその過程でもう一人の甘い人物、朝倉純一と対立しようが構わなかった。

「確かにこのまま一ノ瀬と会えば、お前と純一は一ノ瀬の処遇を巡って対立する可能性があるだろうな」
「……」

ハクオロの言葉がまだ続くことを察してあゆは敢えて沈黙を保ち、ハクオロの続きを促した。

「純一はあの性格というか、曲げれない信条、理念があるだろうし、お前にも譲れないものがある。
 真っ向から対立する二つの主張を無理に束ねようとしても空中で分解するのは目に見えている」
「そこまで言うんなら……分かってんだろうね。 あたしは最悪、アンタらから離れて行動させてもらうよ」
「ああ、分かっている」
「それともう一つ、朝倉と蟹沢のこと」
「何だ?」
「あたしには気になることが一つあるんだけどね」

首を傾げ、しばし考え込むような仕草を見せるハクオロ。

「まぁ……大方の予想はつくが、言ってみろ」
「アンタは蟹沢がいるかぎり朝倉は大丈夫だって言ってたろ?」
「……やはりその話か」
「あたしは逆だと思うんだけど」
「それは蟹沢が死ぬと純一が危ないということ……ん? 全員伏せろ!」

先頭を歩いていたハクオロが全員に向かって叫ぶが、ハクオロの指示通りに反応できた者は一人としていなかった。
瞬間、天が割れんばかりの轟音が響き、弾丸の嵐が襲い掛かりハクオロたちの周辺の植物を根こそぎ蹂躙していく。
特に重点的に被害を受けた一本の木がメキメキと悲鳴を上げながら倒れていった。
訓練を受けた兵士ならともかく、平和な国に住んでいた朝倉純一や蟹沢きぬが警告に従って即座に反応できる可能性は低い。
だから今の隙は致命的。
誰か一人とは言わず、状況を把握して瞬時にその場に伏せたハクオロ以外は全てその餌食となっていたかもしれないのだ。
しかし、運が良かったのか誰一人かすり傷負うことなくすんでいた。

「散開!」

誰一人怪我をしなかった運の良さを天に感謝しながら、ハクオロの一軍の指揮官としての本能が次なる指示を無意識に口からすべらせる。
あゆも純一もきぬも今起こった状況の認識に頭を働かせることが精一杯。
だが、ここにきてようやく頭が追いついてきたのか各々が木陰などの障害物に身を隠した。
しかし、その行動は気休めにもならないだろう。
それだけの威力を持った超兵器を襲撃者は持っているのだから。
亡骸と化して倒れた一本の木がハクオロたちの行動の無意味さを説くように無残な姿を晒している。

「なんだありゃ?」

問答無用で攻撃しようとした無礼で無粋な襲撃者の顔を見てやろうときぬが木陰から様子を伺うと、そこには信じがたい物体を構えた少女がいた。
山の中で若干日光が阻害されているため見えづらいが、西の方向、つまり自分たちの進行方向に立ちふさがるように鉄塊と形容するに相応しき兵器が鎮座している。
冷たい瞳を覗かせる少女は川澄舞、そしてその手に携えしは無数の弾丸を吐き出す最悪の兵器、ブラウニング M2 “キャリバー.50”。
傍目から見てもあれはかなりの重量、威力を持っていること、そして今のきぬたちの装備では到底太刀打ちできないことが理解できた。
ハクオロたちも一応銃器を所持してはいるが、あれを前にしてはそこら辺の銃など豆鉄砲と称されても仕方がない。

「逃げるぞ!」

状況の悪さを把握したハクオロが撤退の選択肢を選ぶ。
全員が示し合わせたようにもと来た道へと逃げ出した。
朝倉純一の信念は殺し合いに乗った人間を止め、殺し合いと憎しみの連鎖を止めること。
しかし、あの少女を前にしてはそんな選択肢は即座に吹っ飛んだ。
片目を失い、制服が血に塗れたその姿はまさに修羅と呼ぶに相応しい。
年齢は純一とそう変わらないと思われるのだが、人間を捨てた、そう表現しても差し支えないほどの威圧感を少女は放っている。
あれは間違いなく人を数人殺している証拠に違いないと純一は考えていた。

それでも、それだけなら純一にも譲れない思いがあるため無謀とも言える説得を行っていただろう。
純一が説得を諦めて撤退を選択したのは偏に少女の武装の強力さがある。
武装が違いすぎる、たった一つの理由それだけが少女と純一の間に絶望的な距離を生み出していた。
もし今の状況で「殺し合いなんかやめて俺たちと仲間になろう」なんて言い出した日にはどうなるか。
元々耳を貸してもらえる可能性のほうが低いし、最悪の場合、圧倒的な武装の違いに恐れて命乞いをしていると受け取られかねない。
純一はままならぬ現実に舌打ちをしながら、きぬの手を引いて東の方向に逃げ出した。



     ◇     ◇     ◇     ◇



やはり平衡感覚が失われている。
川澄舞が最初の銃撃を終えて最初に思ったのがそれだった。
キャリバーの反動の強さもさることながら先ほど潰された右目の後遺症は思ったよりも深かったようだ。
山の中という地形の悪さも多分に関係したのだろうが、殺意の嵐とも言える弾丸は誰一人傷つけることはできなかった。
乱戦の最中でこの超重量の兵器を振りかざすことは難しいので、基本的にこの武器は初撃にしか使えないのが難点。
一人だと思って甘く見られないように、最初に強力な武器を見せ付けてプレッシャー与えるつもりだったがそれは逆効果になっていたようだ。
わずかな抵抗も見せることなく逃げ出し始めた臆病者の獲物を見ながら追撃を選択する。
貴重なキャリバーを消費して戦果はゼロでした、なんてお粗末な話は通じない。
遠距離戦ができないのなら接近戦を選択すればいいだけの話。
すぐに慣れる、そう無理に言い聞かせて川澄舞は永遠神剣『存在』を手に身体能力を強化して走り出した。

走っている途中、いきなり見えざる視界から木が顔に襲い掛かってくる。
いや、正確には舞が自分から木にぶつかって行ったのだが、舞はそんなとこにいる木の方が悪いとばかりに八つ当たり気味に木の太い幹を『存在』で両断した。
音を立てて崩れる木を見て、舞は幾分か鬱憤が晴れると同時に、改めてこの『存在』が如何に強力な武器であるか確認する。
しばし無駄な時間を消費したが、わずか二、三秒のタイムロスなど今の舞には問題外。
距離にしてすでに150mはあるであろうハクオロたちへの追撃を止める選択肢を蹴り飛ばした。
この距離でも自分なら易々と追いつける。
絶対的な自信とその根拠である武器を手に再び舞は走り出した。



     ◇     ◇     ◇     ◇



追う者と追われる者、精神的にどちらが優位に立てるかは言うまでもない。
ニューナンブで時折銃撃しながらも圧倒的な身体能力で追いかける川澄舞という存在はハクオロたちにとってこれ以上ない脅威だった。
いや、そもそも追いかけっことはある程度追う者と追われるものの身体能力が拮抗してないと成り立たない。
故に、徐々に距離を詰められていくこの状況は追いかけっこではなく一方的な虐殺にも等しいのだ。
あゆの目にもきぬの顔にも徐々に追い詰められて行くことに対する恐怖が湧き出ている。
もうこれ以上は危険。
銃声を轟かせながら大人数で移動するこの集団が目立たないはずがない。
あまり長丁場を繰り広げているとここで第三者が介入くる可能性も高いのだ。
その第三者が正義感溢れる人物ならともかく、血に飢えた殺人鬼ならこの先に待っている結末は問答無用のゲームオーバー。
先ほどとは逆に殿を務めているハクオロが下策にすぎないと承知しながらも最後の選択肢を選んだ。

「ここは私がくい止める。 お前たちは先に行け!」
「で――」
「でもも糞もない! 反論する暇があるならその足を動かせ!」

足を止めて純一が反論しようとするが、その答えを先読みしていたハクオロはあらかじめ用意しておいた言葉を口にする。
答えを見透かされていたことに狼狽する純一の手をあゆが強引につかんで再び走り出した。
もしもお互いが生きていたらどこで落ち合うか、など決める時間もない。
それほどまでに舞の接近を許してしまっているのだ。
下手に大声を出して合流する場所を決めようものなら舞にまで聞かれる心配がある。

「ハクオロ、死んだら許さないよ!」
「ああ、分かっている」

だからあゆが口にしたのはそれだけ。
今自身ができるのはハクオロに最大の声援を送ることだけだ。
ハクオロもその一言であゆの言いたいことの全てを理解し、背中越しに手を振る。
あゆが最後にもう一度振り返ってみると、そこには鉄扇で舞の大剣を受け流すハクオロの姿があった。
あゆも純一もきぬもハクオロの無事を祈って今はただ走り続けることを選ぶ。
ハクオロが無事生きていられる確率などほとんどないことを悟りながらも。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「ぬぅっ……」

ハクオロが苦しそうな声を挙げて今一度舞の大剣を鉄扇で受け流す。
まともに受けてるわけでもないのに鉄扇を激しい衝撃が襲い、鉄扇を伝わってハクオの右腕にも重いが衝撃が響く。
ハクオロが満身創痍とも言える体を無理やり動かして、舞に果敢に立ち向かって行く。
純一たちが十分な距離を稼げるまで舞には是が非でも付き合ってもらわないとならないのだ。

身体能力に関しては永遠神剣の恩恵を受けている舞の方が圧倒的に有利。
だが、ハクオロは使い慣れた愛用の武器と数々の戦場を潜り抜けた経験を生かして舞と互角に戦っていた。
舞とて真夜中の学校で魔物を相手に戦い続けていた経験があるが、今回の相手は自分と同じ血肉の通った人間。
人間を相手にして戦うという経験の面では舞は決定的にハクオロよりも不足している。

そして今の勝負を互角にさせているもう一つの要因が今二人が戦っている地形であった。
山の中、斜面の多いこの地形は平地でしか戦うことのない人間には思わぬ足かせとなる。
今回の場合、舞がその負の恩恵を受けていた。
慣れない足場で時折足を滑らせた瞬間をハクオロは見逃さず的確に突いてくる。
対照的にハクオロはヤマユラで過ごしていた時期に山間でサルに似た生物、キママゥを退治していた経験があるため山間での戦闘は幾分か慣れている。

「はあっ!」

気合の入った声とともに左斜め上から繰り出された舞の袈裟斬りの軌跡にそっと鉄扇を重ね合わせ、ハクオロは少しだけその力のベクトルの向きを変える。
必殺に等しい一撃をまたもや受け流され舞の表情に驚愕が走る。
脱臼してもはや使い物にならない左肩は使わず右手のみで器用に鉄扇を操り、なおも続く舞の繰り出す強力かつ素早い攻撃をまるで舞踊を舞うように一つずつ捌いていく。

舞の使う永遠神剣とハクオロの使う鉄扇では武器としての性能は格段に永遠神剣の方が上。
しかしそれは攻撃力に限った話で、こと防御力に関してはハクオロの操る鉄扇のほうが段違いに優れている。
ハクオロが先ほどから使用しているように扱い方によっては攻撃を受け流すのも簡単だし、扇を開けば降り注ぐ矢の雨もある程度防げることも可能。
なによりも自身の身の安全を考えねばならない一軍の指揮官の武器として、ハクオロの使う鉄扇は非常に優れているのだ。

「……」
「……」

両者一旦仕切りなおしで舞はハクオロと距離を取り、今までとは違う目でハクオロを見据える。
その瞳に驕りや油断はもう一切入っていない。
満身創痍だからと甘く見ていた感情を捨てて、舞はハクオロを警戒するに値する脅威だと認めたのだ。
甘く見ていては自分が死ぬ、舞は自分にそう強く言い聞かせた。
そして舞の行動はハクオロにとっても好都合。
少しでも時間を稼ぎ純一たちを逃がすことが目的であるハクオロにとって、この休憩もまた純一が遠くへ逃げる時間が増えることになる。

「一つ聞こう。 お前はもう戻れないのか? 皆と手を取り合うという選択肢は残されてないのか?」
「……」

この会話でさえもハクオロの時間稼ぎの一環だが今回は通用しなかった。
ハクオロの問いに対して舞は沈黙と突進という二つの行動で答える。
一瞬で距離をつめた舞の狙いは全ての行動の起点となるハクオロの足。
『存在』の長い柄を振り回し、舞がハクオロの大腿部を切り裂かんと襲い掛かる。
ハクオロは一瞬で舞の狙いを見切り紙一重でかわそうとするが、その瞬間、足に襲い掛かる筈だった『存在』が跳ね上る。
それは舞のフェイントではなくハクオロの反応を見たあとで無意識のうちに上半身へと狙いを変えたもの。
まさに永遠神剣を扱える者ならではのデタラメすぎる超反応を活かした一撃だった。
ハクオロの顔に焦りが生まれる。

「簡単に……死ねんのだ!」

足元からすくい上げるような動きをする舞の一撃をハクオロは無理やり右手を振り上げ、鉄扇を大剣の迎撃に使う。
甲高い金属音が辺り一帯に鳴り響く。
結果はまたしてもハクオロの受け流しが成功、また両者が離れる。
数合に渡る斬り合いの末、お互いの体につけた傷が未だ一つたりとも無いというのはある意味異常であった。
その証拠にハクオロと川澄舞、両者の顔に浮かぶ表情は驚愕と焦り。
そして十分な休憩を取っていた舞と違ってハクオロのみに限って言えば、そこに更に深い疲労が加わる。
互いに全力を出しながら決定打を見出せないままの状況に苛立っている。
舞は一刻も早く目の前の男を葬って追撃に移りたい、ハクオロはなんとか打開策を見つけてそろそろ撤退したい。
開けたくとも開けられない鍵のかかった扉を前にして状況を打開する方法は二つ。
それは無理やり扉をこじ開けるか、それとも鍵を持った人物の登場を待つか、二人が選んだのは前者だった。

「往くぞ……」

誰にとも無く、いや、おそらくは自分自身に向かって言い聞かせるようにハクオロが呟く。
その瞳に映すは目の前の脅威、川澄舞ではなくトゥスクルで過ごした平穏な日々とここに来てからの凄惨な日々。
ここに来てからの自身の行動を振り返ると、とても一国の皇とは言えぬ失態続きに歯噛みせざるを得ない。
エルルゥやアルルゥ、その他トゥスクルの者には結局誰一人会うことができずに死んで逝った。
そしてこの島で出会った観鈴や衛といった自身を守る力の無い弱き者。
そういった存在を傍においておきながらも守れることはできずにその若い命の火を散らせていった。
挙句の果てに無実の罪を着せられる始末。
なんて情けない、他国に賢皇として知られた男のやることにはあまりにも程遠い。
目の前の人物一人救えぬ皇が一体どうやって視界に入りきらないほどいる国民全員を守れるというのか。

「これ以上エルルゥたちに笑われてたまるか!!」

ハクオロが今回初めて自分から仕掛けて行き、合わせて舞も向かって行く。
発せられる言葉の端からも十分な決意が受け取れるハクオロだが、強い決意をしているのは舞とて同じ。
ただ、その言葉を外に出すか胸の内に呟くかの違いしかない。
故に、その思いの強さは互角。
あとは互いの戦士としての力量のどちらが優れているかが問題だ。

「はあああぁぁぁぁ!」
「せぇい!」

振り上げて降ろされたハクオロの鉄扇と横薙ぎに振るわれた舞の大剣が十字に交差する。

再度、激突――!



     ◇     ◇     ◇     ◇



違う、何かが違う。
ある程度距離も離れ、ようやく落ち着ける場所に座って、朝倉純一が一番最初に思ったのがそれだった。

「はあっ、はぁっ、ん……ここまでくりゃ大丈夫だろ」

きぬがデイパックからペットボトルを取り出し喉の渇きを潤す。
全員が一様に暗い顔をしていた。
ハクオロを捨て駒にする形で逃げてきたのだから当然だ。
しかし、朝倉純一に限って言えばもう一つ、彼の表情に暗い影を落としている事情があった。

(守られて、逃げて、守られて、逃げて……俺のやっていることは何だ?)

理想、彼には叶えたい理想があった。
それは理想と呼ぶにふさわしい厳しく険しい道のり。
彼の命と人生を賭けるに値するもの。
聞けば誰もが無理だと言うだろう。
説明されるまでもなく誰もが無謀だと言うだろう。
誰もが夢を見るのは程ほどにしておけと言うだろう。
しかし、朝倉順一は求めた。
盲目に、熱病に浮かされた病人のように。
しかし、しかし……何かが違うと純一の心に疑問が生まれる。

(俺がやったのは理想理想と喚き散らして、その癖ちょっと揺さぶりをかけられただけで理想を捨てるなんて言って……
 簡単に挫折して、簡単に蟹沢やつぐみの言葉で立ち直って……危ないから逃げろと言われて逃げて)

僕には殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出するという理想があります。
紆余曲折を経て、鷹野の言葉を聞いてすぐに理想を捨てようとしましたが、その十分後にはきぬの言葉で立ち直りました。
ハクオロの言葉を聞いて怒りに身を任せて理想を捨ててしまいそうになりましたが、その十分後にはまたきぬの言葉で立ち直りました。
そして今はハクオロさんを見捨てて逃げてきました。
詳しい事情を省いて今の純一の状況を大まかに説明をするとこうなる。
この話を聞いて、それでもなお純一の理想に共感しようという輩などどこにいようか。
十中八九誰一人として賛同する人などいないだろう。
極端な話、「理想」という言葉に酔ってきぬと「理想ごっこ」をしているだけだと言われても仕方ない。

(違う、違う、違う! こんなんじゃ、これじゃあ、誰も救えない、救われない、救いようがない!)

純一の苦悩など知ったことかと言わんばかりに、そのとき一発だけ銃声が鳴り響き全員が音のした方角へ向かう。
方角、距離からして明らかにハクオロの戦っている場所に違いない。
これは向こうで戦っているハクオロと舞の戦いの決着を告げる狼煙なのか、新たな戦いの始まりを告げる鐘なのか三人には分からない。
が、三人に身の危険は迫ってないはず。
ただまっすぐ逃げるだけでは芸がないので、逃げる進路を真東から若干北よりの北東に向けていたからだ。
ここなら川澄舞の脅威はないはず、それが三人の共通認識だった。
今の三人にできることはハクオロの元へ駆けつけて彼の決意を無駄にすることではなく彼の無事を祈り、下手に動かないこと。
だから三人とも動こうとはせずその場で休憩していた。

「しまった……おい、もう一回逃げるよ」

あゆが唐突に立ち上がり、そんなことを言い出した。
純一ときぬが何を言い出すのかと聞き返そうとするが、あゆは二人の方を見ておらずハクオロたちのいる方向を見ている。
いや、正確には自分たちが通ってきた道を見ていた。
そこで純一ときぬがあゆの見ているものが何か、何故あんなことを言ったのかようやく分かった。
俗に言う獣道、それが純一たちの通ってきた道に形成されている。
山の中、木々や植物の生い茂る中を掻き分けてを走ってきた結果が今の三人の眼前に広がっていた。
まっすぐ進むだけではすぐに見つかるかもしれないという可能性は考慮にいれることはできても、この獣道に関しては全くの予想外。

「急ぐよ! 出ないとハクオロの努力が無駄に――!」

あゆの警告をあざ笑うかのように、無駄になってしまったことを告げる銃声が響く。
着弾点はきぬのわずか30センチメートルほど手前の地面。
銃弾で抉られた土がきぬの足に少しだけかかるが、それを気に留める余裕などきぬにはない。
もう視界に入る位置に、川澄舞は制服に新たな返り血を浴びた姿で佇んでいたのだから。

「そんな……」

声に出したのは純一のみだが気持ちは三人とも共通していた。
川澄舞の制服についた新たな返り血を見てハクオロの生存を信じていられるほど三人は楽観的ではない。
ハクオロの努力を完全に無駄にしてしまったことになる。
三人の姿を認めた舞が何かを純一たちの方へ投げてきた。

「これは……」

あゆが投げられたものを手に取る。
それは血のついたハクオロの鉄扇。
ハクオロの所持していた武器はただ一つ、この鉄扇のみ。
それが血のついた形で舞の手にあったということは、結果は川澄舞に問い質すまでもない。
つまり、三人の予想通りハクオロは殺されたのだ。

一方、舞は純一たちの顔に生まれた絶望を見て、己のとった作戦が功を奏したのを確信した。
わざわざ貴重な武器を敵に渡したのは、鉄扇という癖の強い武器が必要なかったというのもある。
だが、最大の目的は血の付いた武器を見せて敵の戦意喪失を図ってのこと。
それが予想以上に効果をもたらしたようだ。
自身の身の危険も省みず、勇敢にも敵の足止め役を買って出た人間の末路を見せ付けられたショックは大きい。
戦意喪失という効果を望むのなら首を切り取って見せ付けたりすればいいのだろうが、人一人の首を切断するのは思ったより時間がかかる。
なにより舞にそこまでするような悪趣味はない。
そこまでしなくとも舞の目の前の三人はもう十分に戦意を喪失していた。

さぁ、あとは戦意を喪失した三人の命を残らず刈り取って行くだけ。
舞がゆっくりと三人に近づく。
一歩、また一歩と確実に。
走る必要はない。
焦らなくとも獲物は逃げようともせずそこに佇んでいる。
さらにもう一歩踏み出そうとした次の瞬間、三人のうち唯一の男に変化が訪れたのを見た。
さっきまでの人物とは完全に別人かと見紛うほどの変貌。
初めは他の二人と同様に絶望を色濃く見せていた瞳がやがて決意を帯びたまっすぐなものに変わる。
その次は曲げられていた膝を伸ばし、背筋をピンと張り、純一を纏っていた雰囲気が明らかに変わる。
そうして何かを考えるような仕草を見せた後、純一はゆっくりと喋りだした。



     ◇     ◇     ◇     ◇



「違う、違うよな……こんなのは逃げてるだけなんだよ。
 戦わないと、戦わないと……戦わないといけないんだ」

誰一人殺さず、誰一人殺されず、その言葉に拘るばかりで俺は何も分かっちゃいなかった。

「もっと早くに気がつくべきだったんだ。 人を殺さないことと戦わないこととは全く別の問題なんだ」

情けないよな、ハクオロさんを見捨てる形になった今になって、ようやくこんな当たり前のことに気が付くだなんて。
危ないからって言い訳して、二人いてもしょうがないからって、ハクオロさんの言うとおりに逃げてきた結果が今の状況。
きっとハクオロさんに言われたことも、俺の選んだ「ハクオロさんの言うとおりに三人で逃げる」という選択肢も間違ってはいないんだ。
むしろ一番合理的で被害も少ない選択肢かもしれない。
けど、そんなの俺の唱えてる理想という点から見れば最低の選択肢だ。
危ない局面は仲間に任せて、安全になったら偉そうに理想を語る。
なんて傲慢、なんて愚かしいんだ。
危ないからなんて最もな理由をつけるなら理想なんて捨ててしまえ。

「今俺がするのは逃げることでもない、理想を語ることでもない。 戦うことなんだ」

ハクオロさんの鉄扇をあゆから受け取って構える。
本当に理想を吐くならハクオロさんと一緒に残ればよかったんだよ。
俺は我を通すだけで周りへの影響をまるで考えていなかったんだ。 

坂上智代だってあんな反則に近い行為で黙らせても憎しみが倍増するだけだ。
そして土永さんは俺が説得したんじゃない。
土永さん自身を取り巻く状況、怪我をして動けないということと、風子の優勝してももう一度参加させられるという情報があったからだ。
行ってしまえば、俺じゃなくても土永さんは説得できたんだよ。

それだけじゃない。俺が理想を吐いてる陰で誰かが俺の代わりに手を汚している。
俺が手を汚さないってことはその分、他の人間が手を汚さないといけないんだ。
例えば佐藤良美のようなどうしようもない外道。
何を言ってもあの人間には通じなかったし、これからも通用しないだろう。
次に出会ったときは誰かがあいつを殺さないといけない。
もし会うことになったらたぶんつぐみ辺りがその役目を背負うんだろう。
つぐみはそういうやつだ。
そんなことも分かっちゃいなかった。
俺は脱出手段を探すっていう大義名分を掲げて安全な場所を巡り続けて逃げていただけだ。

「俺も他の人間も手を汚したくない、汚させたくないだって?
 だったら俺はいつも戦場のど真ん中にいないといけなかったんだよ!」

誰かに向けて言ってるわけじゃない。
けど叫ばずに入られなかった。
ようやく現実を見据えることができた俺の胸には、深い後悔が押し寄せている。
何が理想だ! 俺は、俺は、俺は何もわかっていない。
そんなんだから俺はいつも他人の言葉に左右されてばかりだ。
だったら捨てようぜ朝倉純一……そんな理想は、そんな薄っぺらい言葉は。
俺は理想なんかを語れる器じゃなかったんだ。
特別な存在でも、選ばれた人間でもない、そんな一般人の俺のすることはただ一つじゃないか。
それは目の前の人間と戦ってあゆも蟹沢も守ること。

「蟹沢!」
「お、おう」
「あゆ!」
「何さ?」

蟹沢……俺にとって不思議な存在、この胸の内に浮かぶ暖かくて奇妙な感情。
いや、奇妙なんかじゃなくて俺はこの感情の正体を知っている。
これはこの島に連れてこられる前日、義妹である朝倉音夢に対して抱いた感情と同じものだから。
けど、この気持ちを俺は蟹沢に伝える気はなかった。
昨日まで義妹が本当に好きでしたけど、今は本気で蟹沢のこと好きです。付き合ってください。
そんなことを言われてうれしくなる女の子がどこにいようか。
そんな気持ちが本物だと言われて信用する人間がどこにいようか。
自分自身でさえ信じられぬというのに。 
だから伝えるのは愛の告白ではなく別れの挨拶。
これが蟹沢が生き延びる確率の高い選択肢。

「何度も迷ってすまない。 何度も迷惑かけて悪いと思ってる。
 でも、これからも俺はお前たちに迷惑をかけ続けると思うんだ。
 お前たちもそんなのはいやだろう? だから今度は俺がここを受け持つから二人で生き延びてくれ」

これでいい、これでいいんだ。
これから俺がやろうとしているのは損得も勘定もないただの無謀で馬鹿な行為。
それに蟹沢たちをを付き合わせる必要はない。
けど、蟹沢は動こうともせず、泣きそうな顔で言い返してきた。

「……かけろよ!」

……なにを?
……なにをだ?

「迷惑かけろよ! ボクたちは仲間だろ!? パートナーだろ!?
 純一にとってのパートナーって何だよ? 楽しいことだけ分かち合うのがパートナーじゃないだろ!?
 迷惑かけろよ! パートナーだと思うんならさぁ!」

ああ、俺はやっぱり何も分かっていなかった。

「迷惑かけない方が怒るんだよぉ!」

未熟で何も知らない俺とは違う。
やっぱりこいつは俺に無い熱いものを持った最高のパートナーだ。

「あゆは……」
「甘い、甘いさねぇ……まぁそんな甘い人間に酔狂にも手を貸すつもりになったあたしはもっと甘いんだろうけどさ」
「すまない……」
「礼なら時雨に言ってくれ。 あたしを甘い人間にした時雨にね」

あゆも口は悪くてもやっぱりいいやつだった。
こんな俺を支えてくれてありがとう。
俺は本当にいい仲間に恵まれている。
ハクオロさん、ごめんなさい。 
俺たちはこれからこの女の人と戦います。
貴方の行動を無駄にしてまった俺たちの愚行に対する説教はいずれ地獄で聞きます。
だから、今だけは俺たちのことを見守ってください。




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