いつしか双星はロッシュ限界へ

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*いつしかそうせいはロッシュげんかいへ 収録作品:[[星のカービィ ディスカバリー]][NS] 作曲者:[[安藤浩和]] ---- **概要 #center(){&font(b,14px){かれの &ruby(しんりゃく){侵略}の&ruby(やしん){野心}の&ruby(なか){中}にのこされた、&ruby(ちい){小}さな&br()はく&ruby(あい){愛}の&ruby(こころ){心}が ぶんりして エフィリンが&ruby(う){生}まれた。&br()その&ruby(けっか){結果}、&ruby(くうかんてんいのうりょく){空間転移能力}は&ruby(ふあんてい){不安定}となり、&ruby(ぼうそう){暴走}した&br()ナゾのうずが &ruby(かくち){各地}で&ruby(はっせい){発生}した。 &ruby(かんぜんたい){完全体}となった&br()かれは、また &ruby(つぎ){次}の&ruby(ほし){星}への&ruby(しんりゃく){侵略}を たくらんでいた。}} #center(){&font(b,25px){&ruby(かんぜんたい){完全体}}} #center(){&font(b,33px){&ruby(){フェクト・エフィリス}}} 本作のラストボス「フェクト・エフィリス」とのバトルで流れるBGM。 英題は“Two Planets Approach the Roche Limit”となっている。 本作の黒幕であるID-F86こと「侵略種 フェクト・フォルガ」が、自らの片割れであるID-F87「フェクト・エフィリン」を吸収し「完全体 フェクト・エフィリス」へと回帰。 ラボ・ディスカバール最上階のヘリポートで後光を浴びながらその姿を現し決戦となる。 作曲者はサウンドテストの仕様からほぼ確定していたが、「[[ニンドリ6月号『星のカービィ ディスカバリー』開発者インタビューこぼれ話>>https://www.ndw.jp/kirby_discovery_01/]]」において安藤氏と明言された。 この曲は「双星」の名の通り二部形式となっており、テーマソングである「[[WELCOME TO THE NEW WORLD!]]」のフレーズを中心に構成されている。 また、[[前作>星のカービィ スターアライズ]]の「[[組曲:星羅征く旅人]]」の流れを受け継いだ曲構成となっており、前半は第一楽章・第三楽章を、間奏曲は第二楽章と次の曲への移行時のインタラクティブミュージックを、後半は第四楽章を思い起こさせるものとなっている。 前半は弦楽器とピアノと女性コーラスで構成された美しく神秘的な曲である。 女性コーラスと鐘の音が神々しいイントロで始まり、激しくも美しく奏でるヴァイオリンが静かに盛り上げていく。 だがこの段階でも「アンタレス」という名のヤリによる高速かつ広範囲の攻撃に晒されるため、曲を聴いている余裕はほとんどないだろう。 それでも天に最も近い場所で、天使や悪魔を思わせる存在と対峙するこの場面によく合った曲であることは感じられるはずである。 今作もHPの減少に応じて曲がシームレスに切り替わっていくが、今作では前半から後半の間に間奏曲を設けている。 HPの3分の1を削ると間奏曲へ移行していき、半分を切ると異空間の展開とともに曲も後半に切り替わっていく仕組みである。 ちなみにこの間奏曲、なんと''どのタイミングでHP条件を満たしたかによって移行時の繋ぎのパターンが違う。'' 後述の「町かどワドライブ」で聴けるものは前半が1ループした直後に流れるパターンだが、それ以外にも多様なタイミングで違和感なく間奏曲に繋がる仕組みとなっている。 このインタラクティブミュージックは普通にプレイする分にはなかなか気付けない仕様である。 後半は一気に様変わりし、管楽器が主旋律となるロック調となる。 トランペットとドラムを中心に奏でられる美しさと熱さを兼ね備えた音色は、「[[無限のチカラ]]」を持つカービィと「究極の生命体」と呼ばれるエフィリス、頂きに立つ「双星」の決戦の舞台に相応しい。 そして取り分けインパクトの強い&bold(){悲鳴にも似た甲高いコーラス}が、この双星のどちらかが崩れ去るまさに「ロッシュ限界」を迎えている事をありありと指し示している。 ここに至ると本格的に空間転移能力を駆使して巨大な異空間ゲートを開き、複数の「スペースデブリ」と超巨大な「フェルミパラドックス・アンサー」を降らせる大規模な攻撃を行ってくるのみならず、まさかの回復技「ゲノムリペアーズ」まで使ってくる。 HPを完全に削りきっても、最後にドームほおばりでエフィリンを助け出すことになるため、最初から最後まで気の抜けない戦いとなるだろう。 そしてストーリーの締め括りとして、この後には[[熱い最終決戦>無敵にGOODBYE NEW WORLD!]]が控えている。 この決戦を制しエンディングを迎えた後は、町で「町かどワドライブ」が開催されるため、この曲をいつでも聴くことができる。その前に1000コインのカンパが必要になるが。 ここで初めて曲の全貌が明らかになるのだが、演奏時間は驚愕の&font(b,red){6分越え}。 これは「[[組曲:星羅征く旅人]]」第一楽章~第四楽章を超える凄まじい演奏時間である。 #region(以下ネタバレ。知ってしまっても…こうかいしませんね?) EXストーリーでは「[[思念獣 ソウル・フォルガ>隆隆たる獅子叢の哮り]]」となり復活を目論んでいたのだが、[[前作>星のカービィ スターアライズ]]での[[銀河最強の戦士]]と[[同じ目にあってしまう。>バルフレイナイト]] 「[[ソウル>ドロシア ソウル]]」の名を冠する敵を出オチにしてしまう斜め上の展開には過去作経験者ほど啞然とすること請け合いである。 しかし、これで終わるはずもなく…。 #center(){&font(b,25px){&ruby(こんとんしんしゅ){魂沌新種}}} #center(){&font(b,33px,red){&ruby(){カオス・エフィリス}}} EXストーリークリア後に追加されるThe アルティメットカップZの最後では、更なる変異を遂げた「[[魂沌>組曲:星羅征く旅人]]新種 カオス・エフィリス」との戦闘になる。 これが事実上本作のソウルボスに相当する存在なのだが、こちらでは曲の流れ方が通常と大きく異なる。 まず、カオス・エフィリスの体力を削り切るまでは前半の静かなパートしか流れない。 体力を削るとエフィリスから赤黒いコアが出現するのだが、ここからコアを完全に引っ剥がすまでは間奏曲が流れる。 このコアをドームほおばりで引っ剥がすと、なんと&bold(){エフィリスの肉体が崩壊し、赤黒い球体の異形に変貌}。 #center(){&font(b,30px,red){それでは ご&ruby(らん){覧}ください!}} この場違いも甚だしいアナウンスと共に、歴代のラスボスが使ってきたブラックホールを彷彿とさせる「&font(b,red){ソレデハご覧ください}」を発動し、コアとの戦闘が始まる。 この時のBGMは[[EXストーリ>隆隆たる獅子叢の哮り]][[ーのラスボス>バルフレイナイト]]前やこの戦いの前の休憩所で使われた「[[時ドキ残響エターナルツアーアー>ドキドキ発見ドリームツアー]]」であり、作曲者は[[下岡優希]]氏。 この最終局面においてバグった館内アナウンスを流すというぶっ飛んだ選曲はラスボス戦とは思えない程不気味であり違和感満載である。 かつての「[[Soul 0 System>回歴する追憶の数え唄]]」を思い起こさせる構成であるが、こちらは訳の分からなさを全面に出しており、本作の代表的なトラウマ曲として名を馳せている。 だがこれが、力を失って観光名所にされていた時の記憶の残照だとしたならば、また違った見方ができるのではないだろうか。 そして体力を約3分の2まで削ると、歴代のソウルボスに受け継がれてきた大技の名を冠した最大技「&font(b,red){デッドリーサン・グレーザー}」の発動と共にBGMが後半に切り替わる衝撃的な仕掛けが施されている。 いままでのソウルボスの技が3Dで見られることへの興奮や、曲自体の熱さも相まってプレイヤーを非常に昂らせる演出になっており、この曲の評価を押し上げている一因といえる。肝心の技は初見殺しだが。 更に凄いのが後半戦に突入した後、ポーズやコピー再取得、ジャスト回避などの遅延を多数引き起こさない限りは&bold(){[[BGMがちょうど1ループする辺りで敵の行動パターンも一巡する。>ボス(星のカービィ64)]]} 行動パターンとBGMの噛み合い方まで計算されているのは芸術的ですらある。 曲名のロッシュ限界とは、天体同士が引き合う重力よりも潮汐力が大きくなる限界距離のことであり、この限界を超えて近づくと潮汐力によって天体は破壊されてしまう。 フランスの天体力学者エドゥアール・ロシュが導き出した事に由来する。 カービィとエフィリス、フォルガとエフィリン、そして[[新世界とポップスター>無敵にGOODBYE NEW WORLD!]]といったいくつもの関係性を含ませた曲名だと言えるだろう。 更に『[[星のカービィ Wii]]』の「[[飛べ!星のカービィ]]」から続いてきた[[「星」の>この星をかけた魂の戦い]][[名を>VS.スタードリーム]][[冠する>組曲:星羅征く旅人]]5曲目のラスボス曲に至り、ついに天体用語まで使われたことで、ますます「&font(b,#DAA520){星}のカービィ」シリーズに相応しい曲名になったのではないだろうか。 また30周年フェスにおいてこの曲名をつけた熊崎信也氏より、元々弦楽器で発注したことをきっかけとして&bold(){限}界と&bold(){弦}楽器をかけて「&bold(){弦}界」にしようとしたが、難しいということでボツにして代わりに天体用語の「ロッシュ限界」に切り替えたことを[[明かしており>https://www.ndw.jp/kirby-30th-musicfest-3/]]、曲名も試行錯誤を繰り返して決めたようである。 今回は技名も殆どが天体用語を由来としているが、曲名を決める過程と無関係とは言えないだろう。 #center(){&font(b,14px){&ruby(ゆめみどり){夢見鳥}と &ruby(げんせいしゅ){原生種}たちの &ruby(あまた){数多}のソウルが &ruby(ま){混}ざり、&br()&ruby(カオス){魂沌}の&ruby(しんしゅ){新種}が&ruby(う){生}まれた。だが その&ruby(ぼうそう){暴走}する&ruby(カオス){魂沌}も&br()ついには やぶれ、カービィのキセキの&ruby(ちから){力}に よって&br()&ruby(ちい){小}さな&ruby(ひかり){光}へと &ruby(う){生}まれ&ruby(か){変}わる。&ruby(ひかり){光}は &ruby(き){消}えることなく&br()エフィリンの&ruby(もと){元}へと だきとめられ、そして…&br()1つに、なった。}} #endregion この曲の評価の高さは[[第15回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100>第15回の結果]]において圧倒的な大差をつけ、「[[CROWNED]]」「[[狂花水月]]」「[[VS.スタードリーム]]」に続くシリーズ四曲目の一位の快挙を成し遂げた事実からも明らかだろう。 加えて元号が令和へと変わってから開催された[[第13回>第13回の結果]]と[[第14回>第14回の結果]]の頂点が「[[太陽は昇る]]」であったことから、この曲が令和時代生まれの初の一位の曲であることになる。 シリーズ初の3Dアクション作品として本格的に「新世界」へと足を踏み入れた作品のトリを飾る曲が、新時代の初の頂点に輝いたのは運命的なものすら感じられるのではないだろうか。 曲構成・演奏時間・ゲーム展開のいずれを見ても、[[星のカービィシリーズ]]30周年を迎えるに相応しい大作である。 またプレイ中に聴く場合とサウンドテストで聴く場合とで異なる味わいがあるので、ぜひ両方で聴いてみてほしい。 なお約一年後に発売された『[[星のカービィ Wii デラックス>星のカービィ Wii]]』は、本作と同時開発だったことが後年[[ニンテンドードリーム5月号>https://www.ndw.jp/kirby-interview-230417/2/]]で明かされている。 つまりこの曲とほぼ同時期に「[[王亡き樹冠のミストルティン]]」も作曲されていたと考えると、作曲の質と量を高次元で両立させていた事実に驚嘆せざるを得ないだろう。 ---- **過去ランキング順位 [[第15回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100>第15回の結果]] 1位 [[第16回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100>第16回の結果]] 2位 [[みんなで決める2022年の新曲ランキング>みんなで決める2022年の新曲ゲーム音楽ランキングの結果]] 2位 [[第2回みんなで決める星のカービィBGMランキング]] 4位 [[第3回みんなで決める任天堂ゲーム音楽ベスト100]] 3位 ---- **サウンドトラック ***星のカービィ ディスカバリー サウンドセレクション #image(https://www.hallab.co.jp/wp-content/uploads/2024/03/Kirby_and_the_Forgotten_Land_ST_selection_main.png)
*いつしかそうせいはロッシュげんかいへ 収録作品:[[星のカービィ ディスカバリー]][NS] 作曲者:[[安藤浩和]] ---- **概要 #center(){&font(b,14px){かれの &ruby(しんりゃく){侵略}の&ruby(やしん){野心}の&ruby(なか){中}にのこされた、&ruby(ちい){小}さな&br()はく&ruby(あい){愛}の&ruby(こころ){心}が ぶんりして エフィリンが&ruby(う){生}まれた。&br()その&ruby(けっか){結果}、&ruby(くうかんてんいのうりょく){空間転移能力}は&ruby(ふあんてい){不安定}となり、&ruby(ぼうそう){暴走}した&br()ナゾのうずが &ruby(かくち){各地}で&ruby(はっせい){発生}した。 &ruby(かんぜんたい){完全体}となった&br()かれは、また &ruby(つぎ){次}の&ruby(ほし){星}への&ruby(しんりゃく){侵略}を たくらんでいた。}} #center(){&font(b,25px){&ruby(かんぜんたい){完全体}}} #center(){&font(b,33px){&ruby(){フェクト・エフィリス}}} 本作のラストボス「フェクト・エフィリス」とのバトルで流れるBGM。 英題は“Two Planets Approach the Roche Limit”となっている。 本作の黒幕であるID-F86こと「侵略種 フェクト・フォルガ」が、自らの片割れであるID-F87「フェクト・エフィリン」を吸収し「完全体 フェクト・エフィリス」へと回帰。 ラボ・ディスカバール最上階のヘリポートで後光を浴びながらその姿を現し決戦となる。 作曲者はサウンドテストの仕様からほぼ確定していたが、「[[ニンドリ6月号『星のカービィ ディスカバリー』開発者インタビューこぼれ話>>https://www.ndw.jp/kirby_discovery_01/]]」において安藤氏と明言された。 この曲は「双星」の名の通り二部形式となっており、テーマソングである「[[WELCOME TO THE NEW WORLD!]]」のフレーズを中心に構成されている。 また、[[前作>星のカービィ スターアライズ]]の「[[組曲:星羅征く旅人]]」の流れを受け継いだ曲構成となっており、前半は第一楽章・第三楽章を、間奏曲は第二楽章と次の曲への移行時のインタラクティブミュージックを、後半は第四楽章を思い起こさせるものとなっている。 前半は弦楽器とピアノと女性コーラスで構成された美しく神秘的な曲である。 女性コーラスと鐘の音が神々しいイントロで始まり、激しくも美しく奏でるヴァイオリンが静かに盛り上げていく。 だがこの段階でも「アンタレス」という名のヤリによる高速かつ広範囲の攻撃に晒されるため、曲を聴いている余裕はほとんどないだろう。 それでも天に最も近い場所で、天使や悪魔を思わせる存在と対峙するこの場面によく合った曲であることは感じられるはずである。 今作もHPの減少に応じて曲がシームレスに切り替わっていくが、今作では前半から後半の間に間奏曲を設けている。 HPの3分の1を削ると間奏曲へ移行していき、半分を切ると異空間の展開とともに曲も後半に切り替わっていく仕組みである。 ちなみにこの間奏曲、なんと''どのタイミングでHP条件を満たしたかによって移行時の繋ぎのパターンが違う。'' 後述の「町かどワドライブ」で聴けるものは前半が1ループした直後に流れるパターンだが、それ以外にも多様なタイミングで違和感なく間奏曲に繋がる仕組みとなっている。 このインタラクティブミュージックは普通にプレイする分にはなかなか気付けない仕様である。 後半は一気に様変わりし、管楽器が主旋律となるロック調となる。 トランペットとドラムを中心に奏でられる美しさと熱さを兼ね備えた音色は、「[[無限のチカラ]]」を持つカービィと「究極の生命体」と呼ばれるエフィリス、頂きに立つ「双星」の決戦の舞台に相応しい。 そして取り分けインパクトの強い&bold(){悲鳴にも似た甲高いコーラス}が、この双星のどちらかが崩れ去るまさに「ロッシュ限界」を迎えている事をありありと指し示している。 ここに至ると本格的に空間転移能力を駆使して巨大な異空間ゲートを開き、複数の「スペースデブリ」と超巨大な「フェルミパラドックス・アンサー」を降らせる大規模な攻撃を行ってくるのみならず、まさかの回復技「ゲノムリペアーズ」まで使ってくる。 HPを完全に削りきっても、最後にドームほおばりでエフィリンを助け出すことになるため、最初から最後まで気の抜けない戦いとなるだろう。 そしてストーリーの締め括りとして、この後には[[熱い最終決戦>無敵にGOODBYE NEW WORLD!]]が控えている。 この決戦を制しエンディングを迎えた後は、町で「町かどワドライブ」が開催されるため、この曲をいつでも聴くことができる。その前に1000コインのカンパが必要になるが。 ここで初めて曲の全貌が明らかになるのだが、演奏時間は驚愕の&font(b,red){6分越え}。 これは「[[組曲:星羅征く旅人]]」第一楽章~第四楽章を超える凄まじい演奏時間である。 #region(以下ネタバレ。知ってしまっても…こうかいしませんね?) EXストーリーでは「[[思念獣 ソウル・フォルガ>隆隆たる獅子叢の哮り]]」となり復活を目論んでいたのだが、[[前作>星のカービィ スターアライズ]]での[[銀河最強の戦士]]と[[同じ目にあってしまう。>バルフレイナイト]] 「[[ソウル>ドロシア ソウル]]」の名を冠する敵を出オチにしてしまう斜め上の展開には過去作経験者ほど啞然とすること請け合いである。 しかし、これで終わるはずもなく…。 #center(){&font(b,25px){&ruby(こんとんしんしゅ){魂沌新種}}} #center(){&font(b,33px,red){&ruby(){カオス・エフィリス}}} EXストーリークリア後に追加されるThe アルティメットカップZの最後では、更なる変異を遂げた「[[魂沌>組曲:星羅征く旅人]]新種 カオス・エフィリス」との戦闘になる。 これが事実上本作のソウルボスに相当する存在なのだが、こちらでは曲の流れ方が通常と大きく異なる。 まず、カオス・エフィリスの体力を削り切るまでは前半の静かなパートしか流れない。 体力を削るとエフィリスから赤黒いコアが出現するのだが、ここからコアを完全に引っ剥がすまでは間奏曲が流れる。 このコアをドームほおばりで引っ剥がすと、なんと&bold(){エフィリスの肉体が崩壊し、赤黒い球体の異形に変貌}。 #center(){&font(b,30px,red){それでは ご&ruby(らん){覧}ください!}} この場違いも甚だしいアナウンスと共に、歴代のラスボスが使ってきたブラックホールを彷彿とさせる「&font(b,red){ソレデハご覧ください}」を発動し、コアとの戦闘が始まる。 この時のBGMは[[EXストーリ>隆隆たる獅子叢の哮り]][[ーのラスボス>バルフレイナイト]]前やこの戦いの前の休憩所で使われた「[[時ドキ残響エターナルツアーアー>ドキドキ発見ドリームツアー]]」であり、作曲者は[[下岡優希]]氏。 この最終局面においてバグった館内アナウンスを流すというぶっ飛んだ選曲はラスボス戦とは思えない程不気味であり違和感満載である。 かつての「[[Soul 0 System>回歴する追憶の数え唄]]」を思い起こさせる構成であるが、こちらは訳の分からなさを全面に出しており、本作の代表的なトラウマ曲として名を馳せている。 だがこれが、力を失って観光名所にされていた時の記憶の残照だとしたならば、また違った見方ができるのではないだろうか。 そして体力を約3分の2まで削ると、歴代のソウルボスに受け継がれてきた大技の名を冠した最大技「&font(b,red){デッドリーサン・グレーザー}」の発動と共にBGMが後半に切り替わる衝撃的な仕掛けが施されている。 いままでのソウルボスの技が3Dで見られることへの興奮や、曲自体の熱さも相まってプレイヤーを非常に昂らせる演出になっており、この曲の評価を押し上げている一因といえる。肝心の技は初見殺しだが。 更に凄いのが後半戦に突入した後、ポーズやコピー再取得、ジャスト回避などの遅延を多数引き起こさない限りは&bold(){[[BGMがちょうど1ループする辺りで敵の行動パターンも一巡する。>ボス(星のカービィ64)]]} 行動パターンとBGMの噛み合い方まで計算されているのは芸術的ですらある。 曲名のロッシュ限界とは、天体同士が引き合う重力よりも潮汐力が大きくなる限界距離のことであり、この限界を超えて近づくと潮汐力によって天体は破壊されてしまう。 フランスの天体力学者エドゥアール・ロシュが導き出した事に由来する。 カービィとエフィリス、フォルガとエフィリン、そして[[新世界とポップスター>無敵にGOODBYE NEW WORLD!]]といったいくつもの関係性を含ませた曲名だと言えるだろう。 更に『[[星のカービィ Wii]]』の「[[飛べ!星のカービィ]]」から続いてきた[[「星」の>この星をかけた魂の戦い]][[名を>VS.スタードリーム]][[冠する>組曲:星羅征く旅人]]5曲目のラスボス曲に至り、ついに天体用語まで使われたことで、ますます「&font(b,#DAA520){星}のカービィ」シリーズに相応しい曲名になったのではないだろうか。 また30周年フェスにおいてこの曲名をつけた熊崎信也氏より、元々弦楽器で発注したことをきっかけとして&bold(){限}界と&bold(){弦}楽器をかけて「&bold(){弦}界」にしようとしたが、難しいということでボツにして代わりに天体用語の「ロッシュ限界」に切り替えたことを[[明かしており>https://www.ndw.jp/kirby-30th-musicfest-3/]]、曲名も試行錯誤を繰り返して決めたようである。 今回は技名も殆どが天体用語を由来としているが、曲名を決める過程と無関係とは言えないだろう。 #center(){&font(b,14px){&ruby(ゆめみどり){夢見鳥}と &ruby(げんせいしゅ){原生種}たちの &ruby(あまた){数多}のソウルが &ruby(ま){混}ざり、&br()&ruby(カオス){魂沌}の&ruby(しんしゅ){新種}が&ruby(う){生}まれた。だが その&ruby(ぼうそう){暴走}する&ruby(カオス){魂沌}も&br()ついには やぶれ、カービィのキセキの&ruby(ちから){力}に よって&br()&ruby(ちい){小}さな&ruby(ひかり){光}へと &ruby(う){生}まれ&ruby(か){変}わる。&ruby(ひかり){光}は &ruby(き){消}えることなく&br()エフィリンの&ruby(もと){元}へと だきとめられ、そして…&br()1つに、なった。}} #endregion この曲の評価の高さは[[第15回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100>第15回の結果]]において圧倒的な大差をつけ、「[[CROWNED]]」「[[狂花水月]]」「[[VS.スタードリーム]]」に続くシリーズ四曲目の一位の快挙を成し遂げた事実からも明らかだろう。 加えて元号が令和へと変わってから開催された[[第13回>第13回の結果]]と[[第14回>第14回の結果]]の頂点が「[[太陽は昇る]]」であったことから、この曲が令和時代生まれの初の一位の曲であることになる。 シリーズ初の3Dアクション作品として本格的に「新世界」へと足を踏み入れた作品のトリを飾る曲が、新時代の初の頂点に輝いたのは運命的なものすら感じられるのではないだろうか。 曲構成・演奏時間・ゲーム展開のいずれを見ても、[[星のカービィシリーズ]]30周年を迎えるに相応しい大作である。 またプレイ中に聴く場合とサウンドテストで聴く場合とで異なる味わいがあるので、ぜひ両方で聴いてみてほしい。 なお約一年後に発売された『[[星のカービィ Wii デラックス>星のカービィ Wii]]』は、本作と同時開発だったことが後年[[ニンテンドードリーム5月号>https://www.ndw.jp/kirby-interview-230417/2/]]で明かされている。 つまりこの曲とほぼ同時期に「[[王亡き樹冠のミストルティン]]」も作曲されていたと考えると、作曲の質と量を高次元で両立させていた事実に驚嘆せざるを得ないだろう。 ---- **過去ランキング順位 [[第15回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100>第15回の結果]] 1位 [[第16回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100>第16回の結果]] 2位 [[みんなで決める2022年の新曲ランキング>みんなで決める2022年の新曲ゲーム音楽ランキングの結果]] 2位 [[第2回みんなで決める星のカービィBGMランキング]] 4位 [[第3回みんなで決める任天堂ゲーム音楽ベスト100]] 3位 ---- **サウンドトラック ***星のカービィ ディスカバリー サウンドセレクション #image(https://valuemall.site/cdn/shop/files/vm_product_img_selection_jacket.jpg?v=1711068357&width=600,,height=160,width=160) ***星のカービィ ディスカバリー コンプリートサウンドトラック(期間限定生産盤) #image(https://valuemall.site/cdn/shop/files/vm_product_img_comp_all.jpg?v=1711068212&width=600,,height=160,width=160)

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