35 大海原を突き抜けろっ！ - 画像レスラー@ ウィキ(跡地)

第三十五話　大海原を突き抜けろっ！

坂本「あいつ…そのために敵を助けたのか…なんて心の広い奴だ！」
斗貴子さん「！　メロン、今なら行ける！　カズキの真っ正直な正義感と心の広さを、坂本さんが認めた今なら！」
メロン「おーし！」

　ミキシマックスガンが放たれる。
　－の光が坂本へ、＋の光がカズキへ。
　受け渡された光はカズキを新たなる姿へと変貌させた。
　肌の色がやや浅黒くなり、髪の毛も大きく伸びてちょんまげのように結わえられた。
　何よりその目は世界へと向ける大きな瞳へと変わっていた。

カズキ（龍馬）「うぉぉぉぉ！」
メロン「ミキシマックスコンプリート！」
鞠也「それが龍馬の力か。受けて立つぜ！　ミキシトランス、曹操！」
カズキ（龍馬）「クロシオライド！」

　カズキが腕を組みふんぞり返ると、その足元から海水があふれ出し、渦を巻く。
　渦はやがて龍と化し、カズキを押し上げた。
　水の龍は地面を勢いよく進み、立ちはだかる鞠也をものともせず爆進する！

鞠也（曹操）「うわー！」
カズキ（龍馬）「俺の、勝ちだぁ！」
ネロ「ミキシトランス、総司！」
ネロ（総司）「菊一文字！」

　菊の花びらが舞い散る頃には、すでにマリーヤ・ドメインのとしあき達を全て倒していた。

鞠也「ちっ…だが俺もこの勝負負けられねぇ。エルドラドのためじゃねぇ、俺自身のために！」
日影「行くで。風神の舞！」

　日影の舞いがマリーヤ・ドメインを翻弄する。

詠「バリスタショット！」

　今度は詠の攻撃である。
　彼女の右手のボウガンから放たれた弓はしかし、砂鉄によって阻まれた。

詠「ああもう！　面倒ですわ！」

　一進一退の攻防が続く。
　波に乗ったレスラーズがやや有利ではあったが、それでも戦力に差があるのは間違いなかった。

真紅（ティラノ）「古代の牙！」
ブラックコンドル「サンドカッター！」
真紅（ティラノ）「くっ、また止められた！？」
ゴーカイシルバー「俺も行くっすよー！　ゴーカイレジェ」
杏子「やらせるか！　食らえ！　触れれば鬼をも殺すトリプルヘッドスピア！」

　杏子の投げた槍が、得意の幻影魔法で三つに分かれた。
　槍は攻撃を放とうとしたゴーカイシルバーの槍を弾き飛ばして防ぐ。

鞠也「剣王モモタロス！」
鞠也（化身）「俺の必殺技、化身バージョン！」ﾓﾓﾀﾛｽｽｫｰﾄﾞ

　赤い巨大な剣がレスラーズを襲う。

夕映「戦旗士ブリュンヒルデ！」

　そこへ割り込んできたのは夕映だった。
　化身ごとぶつかり、その威力をそぎ落とす。

夕映（化身）「うわー！　ちょ、超太郎さん後は任せたです！」
超太郎「任せろ！　護星神スタープラチナ、アームド！」
超太郎（アームド）「絶・異次元・ザ・ハンド！」

　最大まで進化した超太郎の技に、赤い巨大な剣のエネルギーは異次元の彼方へと消え去った。
　これも夕映が体を張って止めてくれたおかげである。

鞠也（化身）「へっ、やるじゃねぇか」
カズキ「鞠也！　もう一度勝負だ！」
鞠也（化身）「望むところだ！！」
カズキ「今なら出来そうな気がする…戦国武神ムサシ！　アームド！」

　ムサシの体が光り、カズキへと絡まっていく。
　光は形を変え、まるで武者のような姿となってカズキの身にまとわりついた。

斗貴子さん「やった！」
鞠也（化身）「やるじゃねぇか！　アームド」
カズキ（アームド）「うぉぉぉ！」
鞠也（アームド）「はぁぁぁ！」

　サンライズハート、デンガッシャーの二つが激しくぶつかり、火花を散らす。
　大きな力のぶつかり合いの果てに勝利したのは、ノリにノっているカズキの方だった。

鞠也（アームド）「うぉ！」
カズキ（アームド）「こいつでトドメだぁ！　伝・来・宝・刀…改！」

　進化したカズキの一閃が、鞠也を、マリーヤ・ドメインのメンバーを一斉に吹き飛ばした。

メロン「勝負あった！」
坂本「いやったー！　ごはっ」
超太郎「だ、大丈夫ですか？」
坂本「はぁはぁ…なに、ちょっと息が切れてむせただけぜよ」
超太郎「ぜよ？」
カズキ「ふぅ…鞠也！」
鞠也「ちっ…今日の所は俺達の負けだ。認めてやるよ」
カズキ「『そう言うと思ったぜ』…ってね」
鞠也「ふっ」

――ﾑｰﾌﾞﾓｰﾄﾞ

　マリーヤ・ドメインのメンバーも心なしか満足した表情で、還っていく。
　最後に残った鞠也の周りを、レスラーズが取り囲む。

エヴァ「虹裏喫茶の取り壊し命令を解除してもらおうか」
たから「クロさんも返してもらうわよ」
鞠也「…ほらよ」

　鞠也は黒い旅人が封じ込められたクロノストーンを取り出し、その石をたからに向かって放り投げた。
　しかし、彼女の手に石が届くことは無かった。
　どこからともなく颯爽と現れた謎の白いローブの人間が、空中三回転を放って石を奪い取ってしまったのだ。

鞠也「お前は…」
謎のフードの人物「…悪いが、まだ渡す訳にはいかぬ」

　白い閃光と共に、フードの人物も、鞠也もその場からいなくなっていた。

　――ﾌﾞｫﾝ

近藤「…ここは屯所？　はて、何故？」

たから「くっ…折角彼を倒したと言うのに、どうして何も取り戻せていないの…！」
真紅「あいつはエルドラドの正式なエージェントじゃねぇみたいだ。エルドラドと結束していたのは間違いないけどな」
たから「だったら…エルドラドを直接、未来に行って叩くしかないわね」
蝙蝠（石）「なら、なおさら時空最強レスラーを集めなきゃな」
たから「ええ、そうね。私は、諦めない」
坂本「嘉信公！　大政奉還してもらうぜよ！」
将軍「良かろう。もう下がって良いぞ」
超太郎「…負けたのにあんまり悔しそうじゃねぇな」
エヴァ「歴史の上では、あいつらは新政府で要職につこうとしていたが…」
夕映「それで、どうなったです？」
エヴァ「歴史の教科書を見ろ。どこにも名前は載ってないだろ？」
夕映「この教科書は嘘吐きです！　坂本さんが太ってないです！」
坂本「なんだ、夕映！　そんなに太ってない俺っちが見たいのか？　なら、毎日おまんらのように運動して痩せるぜよ！　はっはっは」
夕映「坂本さん…期待してるです！　やっぱり歴史の教科書は万能です！」
エヴァ「調子のいい奴だなぁ」
まとい「所でさっきから何故ぜよぜよなんでしょうか」
坂本「え？　ああ、俺っちの国じゃこれが普通だったぜよ。京に来てからは何となくそれが恥ずかしくなって…でもカズキに教えられたぜよ。そんな事、海の広さに比べたらちっぽけなものだってな！」
カズキ「は、はは…」
坂本「おまんらのおかげで俺は大政奉還を成し遂げたぜよ！　ありがとうな！」
カズキ「こちらこそ、あなたの力、役に立て見せます！」
沖田「譲崎」
ネロ「あ、総司」
沖田「…俺は今の幕府が腐りきっているのは分っていたんだ。でも、俺は自分の生きた証を残そうと、そのことから目を背けていたんだな…でも、そんな事よりも大切なことがあると気付いたんだ」
ネロ「大切な事？」
沖田「生きるという事だ。何かを残せなくても良い。俺は今を精一杯生きて、この世界を感じていたい…それに気づかせてくれた君には、本当に感謝している」
ネロ「そ、そんな改めて言われると照れるな～」
沖田「ネロ。俺の力、存分に使ってくれ」
ネロ「！　うん、任せてよ総司！」

日影「…という訳で、任務完了や」
詠「はー、疲れましたわ」
？？？「ああ、ご苦労様…彼女達は元気だった？」
日影「元気過ぎて感情が芽生えそうやったわ」
詠「何だか知ってそうな口ぶりですわね？」
？？？「フフフ…妖怪は長生きするものよ。ねぇ？」
正体不明の影達「……」ﾌﾌｯ

　紅葉舞う、雑木林にて。

鞠也「てめぇ…なんであんな真似をした！　俺の勝負に水をさしやがって！」
フードの人物「これは必要なもの。お前はこの石の本当の力を分っていない」
鞠也「なに…？」
？？？「それに」
鞠也「！？　誰だ！」
？？？「あなたは自分の本当の力を理解していないみたいねぇ」
鞠也「誰だ！　俺の力だと！」

　鞠也の後ろに出現したのは、黒づくめの女性だった。

鞠也「俺の力の事が分かるのか？」
？？？「勿論よ。あなたはあたし達と同じ才能をもつ者だもの」
鞠也「才能？」
？？？「才能。そう…それは、『フェーダ』の資格となるよ」

（続く）

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