ギリシャ語関連書籍
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新約聖書ギリシャ語文法書

本書は日本語で書かれた文法書として、できる限り詳しい資料として編集されました。著者が大阪聖書学院の教室で三十数年にわたって教材として使用しながら、少しずつ書き改めて今の形に仕上げたものです。教室では、第2課~第36課までは初級用、第37課~第40課までは上級用として用いられました。本書は全三巻で成っており、その構成は、第一部は「新約ギリシア語の“前”と“後”」、第二部は「
文字と音韻」、第三部は「動詞(上)」、第四部は「名詞」、第五部は「動詞(2)」、第六部は「統語法補講」、「付録」となっています。
著者は『
新約聖書ギリシア語小辞典
』(教文館)を著わされた方で、2008年に故人となられました。本書のCD-ROM版、ダウンロード版が、「
日本コンピュータ聖書研究会
」で販売されています。

本書の特徴は、各文法事項の説明において、関連する箇所への参照指示を頻繁に記していることです。これにより関連する項目を常に参照しながら学習することができます。また、各講の末尾に「新約聖書の言葉」というコラム欄があります。巻末の変化表も見やすくまとめられています。著者は新約聖書学、グノーシス主義の研究者です。

本書は1933年に初版で刊行され、1972年版を最後に絶版となっていました。それを土岐健治氏監修の下で現代語版に新装したものです。本書の特色は、①文法はごく基礎的なものに留めている。②単語は新約聖書に出て来るもののみを用い、語数も五百を越さないほどに限定している。③各課ごとに十数題の練習問題を挿入してある(ただし回答が付いていません)。④後半は、ヨハネ第一の本文と文法的解説がなされていることです。言葉も平易で活字も大きめなので入門書として最適です。著者の玉川直重氏は『
改訂新版 新約聖書ギリシア語辞典 普及版
』も手掛けています。

神田盾夫(1897-1986年)は言語学者、新約聖書学者です。本書は1956年に刊行されました。優れた文法書として名高く、後代の文法書はこの書から学んでいる部分が多いと言えます。絶版状態でしたが、岩波書店からオンデマンドで再販されました。

『
新約聖書ギリシア語初歩
』
著者:土岐健治
出版社:教文館
発売日:新版1999年、旧版1979年、初版1947年



古典ギリシャ語文法書

入門書の入門書といったところです。古典ギリシア語の全体像をつかむのに最適です。


画像左:2012年版、画像右1962年版
『
ギリシア語入門 新装版
』
著者:田中美和太郎、松平千秋
出版社:岩波書店
発売日:新版2012年、初版1951年、改訂1962年
初版は1951年で、長い間親しまれてきた文法書です。練習本位の学習本の形を取り、順次に単純な文法から複雑な文法へと進むよう構成されています。各科目ごとに練習問題が配されています。



『
ギリシア語文法
』
著者:高津春繁
出版社:岩波書店;OD版
発売日:新版2015年、初版1960年
日本語の古典ギリシア語文法書の最高峰と言われています。2015年にオンデマンドで再販されました。


『
新ギリシャ語入門
』
著者:田中利光
出版社:大修館書店
発売日:1994年

『
古典ギリシア語文典
』
著者:マルティン・チエシュコ(Martin CIESKO)
翻訳:平山晃司
出版社:白水社
発売日:2016年

ギリシャ語辞典

コンパクトで読みやすく、辞書としても扱いやすいのでお勧めです。

『
増補改訂 新約ギリシヤ語辞典
』
著者:岩隈直
出版社:1982年版山本書店、2008年版教文館
発売日:新版2008年、初版1982年
コンパクトで扱いやすいサイズです。内容もしっかりしていますので一冊持っていて損はありません。

こちらは逆引き辞典です。変化形から原形を調べるための辞典です。原形が分からない時に便利です。


『
ギリシャ語辞典
』
著者:古川晴風
出版社:大学書林
発売日:1989年
古典ギリシャ語文献の単語も網羅した辞典です。日本語でこの規模のギリシャ語辞典としては唯一です。

こちらも古典ギリシャ語文献の単語も網羅した辞典です。


新約聖書のギリシア語の文脈的・歴史的・神学的な意味を解説した、全三巻からなる辞典です。とても高価な辞典です。2015年に三巻セットの縮小版が発売されました。



画像左:小辞典、画像中央:中辞典、画像右側:大辞典
『A Greek-English Lexicon(希英辞典)』(LSJ)
編者:H.G.Liddell, R.Scott (リドル&スコット)
発売日:初版1843年
希英の古典ギリシャ語の辞書の定番です。内容量によって値段が異なりますので、学習の目的に合わせて購入できます。

バウアーの辞典です。新約聖書のギリシャ語辞典の定番です。新約聖書を研究するに当たっては、リデル&スコットとバウアーは揃えたいところです。
新約聖書(ギリシャ語聖書)の底本

エラスムスによる底本でビザンチン型の本文を基に作成されています。中世時代に権威のあった底本です。現在ではビザンチン型よりも古いアレクサンドリア型の写本が発見され、より広範囲に校訂できるようになった為、実際にはあまり用いられていません。しかし、伝統を重んじる一部の人々は、今でもTRの権威を主張しています。

ネストレ=アーラントが登場する前によく用いられていた底本です。現在では一部の聖書を除いてあまり用いられません。

現在、ギリシャ語聖書の底本として最も一般的なのはドイツの『ネストレ=アーラント』です。本文批評の研究成果が出る度に改訂され、現在は第28版が最新です。

ネストレ28版の序文部分のみの日本語訳です。底本にはアパラトゥスといって、写本による異読箇所を示す様々な記号が用いられています。この記号の意味が分かっていないと、底本を活かせません。原文はドイツ語でとっつきにくいので、これが日本語で読めるのは便利です。

ネストレ=アーラントの英語による標準版です。ネストレは学術的調査に有益ですが、UBSは翻訳や通常用いるのに必要な情報だけに特化しています。

セプトゥアギンタ訳(七十人訳)の底本です。七十人訳はギリシア語訳の旧約聖書であり、聖書時代の著者たちが用いていた聖書です。
その他の研究書
『
新約聖書の本文研究
』
著者:B.M. メツガー(B.M.Metzger)
出版社:日本基督教団出版局
発売日:1999年
新約聖書の写本や本文批評に関する解説が豊富になされています。

『
福音書共観表
』
編者:佐藤研
出版社:岩波書店
発売日:2005年
マタイ、マルコ、ルカの三福音書は、平行記述が多いため共観福音書と呼ばれています。本書はところどころトマス福音書やヨハネ福音書も並列し、各福音書の対応関係が明瞭に把握できます。
最終更新:2017年06月11日 02:28