1:
結論を先に述べるのならば、今ランサーのサーヴァントは、絶体絶命の状況であった。
現界するのも困難な程の大ダメージを負っていた。着用している鎧は一部が凹み、一部が砕かれ。
鎧の下で肉体が悲鳴を上げている。骨が折れ、血管が切れ、筋繊維が断裂し。英霊と呼ばれる彼の身ですら、堪える程の損傷だ。
後一発、良いものを貰ってしまえば、この聖杯戦争の舞台からの退場は不可避だった。
対して、目の前の男はどうだ。無傷である。身体も、身に付けている衣服も。
息も乱れていなければ、心拍も平常時のそれ。汗の一つだってかいちゃいない。
そして、嗤っていた。口を三日月の様につりあげ、その黒い相貌に狂喜の色を宿して。心底楽しそうな表情で、此方を見つめ続けていた。
「どうして……」
ランサーの隣で、マスターである女性の魔術師が茫然と呟いていた。
そう言いたいのは、ランサーとて同じだった。ランサーは目の前の男を追い詰める為に、宝具すら開帳した。
ステータスと保有するスキルのランクをアップさせ、苛烈な攻撃を可能とする宝具。それを使用してなお、目の前の男には届かなかった。
いや、仮に届かなかったとしても、相手が『サーヴァント』であるなら、敵わなかったとしても諦めも行ったし、納得も行っただろう。
……サーヴァントも、そのマスターも、認める事も許容する事も、出来ないのも無理はない。
魔術師の、聖杯戦争の常識から考えれば、信じられない事なのだ。何故なら彼らを追い詰めているのは
「――どうしてマスターのアンタが私のランサーと対等に戦えてるのよぉッ!!」
悪夢の原因が、これなのだった。
そう、今ランサーを追い詰めているのは、そもそもサーヴァントですらないのだ。
目の前に佇む、安物の黒いカンフー着を身に付けた、ライオンの鬣のような怒髪をオールバックにした男性は、正真正銘本物の人間。
そんな男が、諸人の憧れや想念を集めた英霊である、このランサーのサーヴァントを追い詰めている。
マスターにとって、この光景を悪夢以外に何と呼べば良いのだろうか。いや、ランサーにとっても、出来るなら夢だと思いたいところだろう。
「クッ、ククククク……」
オールバックの男が、忍び笑いを浮かべた。
馬鹿にしている、と言った感じは見当たらなかった。純粋に、楽しいから笑っている、と言った様子に、女マスターは感じた。
「いや悪ぃ悪ぃ、俺の想像以上に、聖杯戦争って奴が楽しくってよ……。前哨戦でこれだけ楽しめるんだから、もう後が楽しみで楽しみでしょうがねーんだよ」
言葉を紡ぐ途中から、浮かべる笑みが剣呑なそれへと変わって行く。
戦闘を、聖杯戦争を楽しむ戦闘狂のサーヴァント、と言った存在は珍しくもないだろう。然もありなん、と言う奴だ。
だが、マスターが直接打って出て、しかも音に聞こえた英霊猛将と戦い、それを楽しいだなどと言うのは前代未聞である。
常識から考えれば、狂気であるとしか思えない。ならば目の前の男は、狂気の世界の住人なのだろう。そう、マスターは考えたかった。
どうして、こうなってしまったのだろうか。
ゴッサムの土地鑑をつけておこうと、霊体化したランサーと共に夜のゴッサムを見回りし、
人気の少ない小通りに面している小さな公園へと足を運んだ時に、園内を歩くこの男を見かけた。
ランサーは当然として、一介の人間である彼女にだって理解出来た。NPCとは全く異質な存在であると。
普通であるならば、聖杯戦争の参加者は、このゴッサムのNPCに交じり、自らが聖杯戦争とは無関係だと装うのが定石である。オールバックの男はそれを隠しもしなかった。
尋常じゃない気魄と鬼気をこれでもかと放出するその男が、聖杯戦争の参加者であると理解するのに、時間は不要であった。
状況はしかも、マスターが一人でうろついていると言う格好の状況。三騎士のクラスで、此処を狙わない手立てはないだろう。
初戦を勝利で飾ろうと、男の前まで躍り出て、戦いを申し込んだ結果が、これである。
どうも相手は、魔術か何かで元々の身体能力を向上させられていたようである。
其処から、相手マスターのサーヴァントはキャスター或いは魔術に造詣の深い者である事は容易に想像がつく。
だが、相手サーヴァントの魔術の腕前が卓越しているのか、はたまたマスターの元々の身体能力が高いのか、オールバックの男は、鬼神の如き強さだった。
ランサーの神速の槍技が、当たらない、掠らない、捌かれる。対するマスターの攻撃は、掠る、当たる、捌けない。
ステータスを向上させる宝具を開帳してなお、その構図が覆る事はなかった。自分達がとんでもない敵を相手にしているのだと気付いた時には、後の祭り。
そう考えた時には、既にランサーは、瀕死同然の状態であった。マスターの判断が甘かった、などとは責められまい。
三騎士を相手にして圧倒する人間の方が、常識から遥かに外れているのだし、そう言った存在を予見せよ、と言う方が無茶苦茶なのだから。
「(マスター、この場をどうする……)」
ランサーのサーヴァントが念話で語りかけてくる。
目の前のマスターが規格外の存在であると言う事は疑いようもないし、目の前の状況が危機的な物であると言う事は厳とした事実。
この場を無事に切り抜けねば、自分達は初戦で退場、死亡してしまう。全力を尽くす必要が、この二人にはあった。
「(令呪を使ってステータスを向上させてから逃げても良かったけど、何処かに潜伏しているサーヴァントが怖いわね……)」
目の前の男は、そもそもマスターである。と言う事は当然の事ながら、彼に従うサーヴァントがいる筈。
だが、そのサーヴァントは未だランサー達の前に姿を見せていないのだ。これは警戒すべき事柄だ
下手に背を見せて敵マスターから逃げようものなら、何処かに潜んでいるサーヴァントの追撃を喰らってしまう可能性が、ないとも言い切れない。
そうなってしまったら、確実に彼らは詰みだ。これ程消耗してしまっては、最弱のクラスであるアサシンやキャスターにすら後れを取るだろう。
となれば……取るべき策は、ただ一つ。
「(……ランサー、殺すわよ、あのマスターを)」
「(私も……それしかないと思っていた)」
目の前の男がマスターである。それは、重要な事実を孕んでいた。
マスターとサーヴァントの関係は、運命共同体のそれに等しい。サーヴァントが倒されれば、聖杯戦争におけるマスターの生存率は最早絶望的。
そしてマスターが殺されれば、魔力の供給が断たれ、現界出来なくなったサーヴァントは近い内に消滅する。
聖杯戦争においてはサーヴァントより遥かに劣る強さのマスターを倒し、その組を退場させると言うやり方は卑怯でも何でもない。寧ろ常套手段だ。
今この場にいるマスターを殺し、そのサーヴァントも聖杯戦争の舞台から退場させる。それが、今ランサー達に残された、最後の策なのだった。
宝具を開帳してなお届かない。悔しいが、それは事実だ。
だが、相手マスターに掛けられた身体能力向上の魔術にも、リミットがあるだろう。永続的に効果を発揮する補助魔術は、ない。
粘り強く持久戦を持ち込み、それが切れた所を、狙う必要がある。勝機は、もう其処しかなかった。
「ランサー!!」
「応ッ!!」
掛け声をあげると同時に、一瞬で手に持った槍を中段に構え、マスター目掛け地面を蹴って走り出した!!
聖杯戦争にて確認されている七つあるクラスの内、最も軽捷なクラスなのがランサーである。
彼らが本気で動けば、人間世界の自動車やバイク、或いは旅客機の最高速に肉薄、或いは特定条件で音速に近しい速度で動く事も可能なのだ。
今のランサーの移動速は、時速二百五十キロ弱。視界の先にいるマスターまでの距離は十m程度で、真っ当な人間ならば、反応する事すらままならない速度だ。
……目の前の人間が、真っ当な人間であったのならば、だが。
ボゥンッ!! と言う音を立てて、オールバックのマスターが佇んでいた地点が、爆発した。
地面のブロックタイルが割れ、すり鉢状の浅いクレーターが出来上がっていた。それが、相手マスターが地面を踏み込んだ事に出来た産物である、とランサーが認識した瞬間。
彼は、思いっきり前方方向につんのめった。何が起こったのかと思い、現状を認識した瞬間、表情が凍りついた。
敵のマスターが、槍の柄部分を右手で握っているのだ。信じられない、どんな腕力と握力の持ち主なのか。
英霊であるランサーが全筋力を駆使して現状を打破しようにも、微動だに出来ない。
巨大な大樹に槍が深々と突き刺さり、其処から槍を引き抜こうと努力しているかのようである。万力の如き力で押さえられた槍は、一mmたりとも動かせない。
「とれぇ槍だな」
言った瞬間、ランサーの身体に、浮遊感が舞い込んできた。
槍ごとマスターが、ランサーの身体を持ち上げたのである。しかも、片腕で。
凄まじい膂力だと驚愕する前に、オールバックの男は背面からランサーを地面に叩きつけた。
バゴォン!! と言う凄まじい音が響く。ゴム鞠のように、ランサーの身体は地面に衝突した瞬間、一m程の高さまでバウンド。
ランサーがぶち当たったブロックタイルは、砂糖菓子の用に砕かれていた。
バウンドの最高点にまで達した瞬間の事だった。カンフー着のマスターは、自らの右足を一瞬で頭上にまで上げ始めたのだ。
最高到達点まで片足を上げた瞬間、それを稲妻の如き速度で振り落とす。マスターの踵が、バウンドしているランサーの腹部に命中。
一瞬身体がくの字に折れ曲がったランサーだったが、すぐにブロックタイルにめり込む程の勢いでランサーは地面に叩きつけられ、身動きが取れなくなる。
恐ろしい速度の踵落とし(ネリチャギ)だった。
彼らは知らないのだろう。
もといた世界で、この男が放つ踵落としはジャブより速いと言われる程の、強烈な速度を誇っていたなど。
この男が銃弾飛び交う現代の戦場の最前線で、拳銃一丁、ナイフ一本携帯せず、己の肉体のみで生き残って来た者であったなど。
そしてこの男がそもそも――もと居た世界では、地上の最強の生物と呼ばれ、国家が保有する軍隊以上の暴力を持った『個人』であったなど。
最早ランサーに意識はなかった。
目は白目を剥き、口からは血で出来た泡を吹き。誰が見ても戦闘不能の様相。
これでもなお、男は手を止めなかった。
「邪ッチェリアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァッッッッッ!!!!!!!!!!!」
凄まじい雄叫びだった。人間の声帯から生み出されている声なのかと疑ってしまう程の、大音声だった。
冬の夜の透徹した空気を切り裂き、天にまで届きかねない程の咆哮を上げ、男は右腕を振り上げた。
勝鬨では、ない。男はそのまま右拳を、ランサーの顔面に振り落とす。
ゴクチャッ、と言う、嫌な音が女マスターの耳に届いた。ランサーの顔面に、男の拳が手首までめり込んでいた。
どんな力で殴ったら、あんな風に拳が入没してしまうのか。
男が拳を引き抜いた。
拳に付着した粘つく血液が、ランサーの顔面から糸を引く。
顔面の筋肉や頭蓋骨の陥没具合があまりにも酷い為に、ランサーの眼窩から視神経のついた眼球がポロッと外れて行く瞬間を、マスターは目の当たりにしてしまった。
そして、消滅して行く自らのサーヴァント。彼を構成する肉体は徐々に粒子状に変換されて行き、上昇、虚空に溶けて消えて行った。
女性は思わず腰を抜かす。敗北した。もう、打つ手がなかった。
緩んだ尿道から、暖かいものが流れて行く。本能的な恐怖は、理性で抑えるべき、はしたないと思う事柄を易々と行わせてしまった。
歯の根がかみ合わない。上の歯と下の歯が、カスタネットの如くカチカチと音を立てる。
カンフー着の男が、チラリと女マスターの方に目線を向けた。が、すぐにつまらなそうに視線を外し、彼は口を開いたのだ。
「出番だぜ、レザード」
男が短くそう告げた、瞬間だった。
それまでカンフー着の男と、公園の周辺に立ち並ぶ安いボロアパートを映していた視界が、フッとブラックアウトした。
そして、彼女の意識までもが。彼女の意識が戻る事は、二度とないのであった。
2:
「勇次郎、死に掛けだったとは言え、敵マスターの前で真名を呼ぶのは避けて貰いたいですね」
眼鏡をかけた男が、不機嫌そうな物言いで向かいの男を責める。
「次は気ぃつけるぜ」
と言うマスター――範馬勇次郎だったが、声音からは反省の色は見られない。
やれやれ、と言った風に、彼のサーヴァントは溜息を吐く。
眼鏡をかけ、マントを羽織った、如何にも魔道士然とした美形の男だった。
顔以外に肌の露出はなく、厚手の布地で拵えられた服装で、この寒い冬を越すに相応しい恰好である。
クラスは、先程葬ったランサーのマスターが想像した通り、キャスター。そしてその真名を、レザード・ヴァレス、と言う。
「なるべくならクラス名で呼ぶよう心掛けてください。真名が露見する事は、百害あって一利ないですからね」
「解ってるって、俺も聖杯戦争を楽しみてぇんだ。迂闊なミスで機会を水に帰すような真似は、したくねぇ」
小煩いとでも言うような態度で、勇次郎が言葉を返した。
このような調子ではあるが、聖杯戦争を楽しみたいと言う部分だけは、本心から出た言葉だとレザードは気付いていた。
「で、おめぇの方は魔力とやらの確保は出来たのか?」
「相手はNPCではない、聖杯戦争のマスター。しかも魔術師でしたからね、大分安定しましたよ」
「そいつぁ重畳」
獰猛な笑みを浮かべ、勇次郎が言った。レザードもつられて笑みを浮かべる。
先程戦ったランサーのマスターは、聖杯戦争の舞台であるゴッサムシティから。いや、世界から消滅していた。
レザードが魂喰いを行い、その潤沢な魔力を命ごと奪い去ったからだ。これによりレザードも勇次郎も当分は魔力には困らないだろう。
結果論から考えれば、初戦は大勝利に終わったと言っても良かった。魔力と言う手土産も奪い取れた事は特に大きい。
魔力に乏しい勇次郎にしてみれば、大きな収穫であったと言えるだろう。
――だが。
「勇次郎」
真面目な顔付きで、レザードが言葉を紡ぐ。
「本当にこのような戦い方を続けると言うのですか?」
「くでぇな、キャスター。俺の方針は言った筈だろ」
「改めて思っただけですよ。マスターが前線でサーヴァントと戦うなど、正気の沙汰じゃない」
「だからお前がいるんだろ」
ビッ、とキャスターに指差して、勇次郎が言った。
「お前の卓越した魔術の技量で、俺を強化する。そして俺が強化された状態で殴り合う。お前の殴り合いの貧弱さを俺が補い、
神秘性を帯びていないと言う理由でサーヴァントを殴れないと言う揺るがない事実をお前が補う。お前もそれで賛同しただろうが」
「自分からサーヴァントに向かって行く事は勝手が違う。私は貴方が、私に迫る障害や危難を排除すると言う理由から貴方の提案を呑んだのですよ。
勇次郎、私は貴方に、自分からサーヴァントと戦う為に外をうろつき、発見し次第それを葬る事は認めてない。
先程の戦闘とてそうだ。相手が出し惜しみしたからよかったものの、令呪を用いてステータスを向上されたら、貴方とて無事では済まなかったかもしれないのですよ?」
「それはそれで面白かったかもな」
獰猛な笑みに、危険な香りが漂い始めた。それは、獣臭と言っても良かったのかもしれない。
弱者ならばその香りを嗅ぎ、勇次郎の浮かべる、肉食獣宛らの笑みを目視しただけで、失禁すらしてしまうかも知れない。
人間が放つ事の出来る凄味の限界値を遥かに超える凄気が、彼の身体から漲っていた。
「……まるでベルセルクだな、貴様は」
呆れたようにレザードが零した。勇次郎のオーラを受けても、このキャスターはたじろぎすらしない。
彼は付き合ってられない、とこの後言葉を続けかけたが、それを呑み込んだ。
「北欧神話の主神、オーディンの加護を受けた、狼の皮被った狂戦士か。言い得て妙じゃねぇか」
「ほう、細部の差異は兎も角として、概ねその通りだ。喧嘩だけが取り得の馬鹿かと思ったが……そうでもないようだな」
戦闘だけが取り得の学のない人間だと、勇次郎を頭から決め込んでいたレザードだったが、存外そうでもなかったようである。
それだけにタチが悪い。それなりの頭脳を持っていながら、レザードの、マスターが前線に立って戦闘を行う事は避けろと言う進言を破る、と言う事は、
これはもうわざと破っているとみられてもおかしくない事であった。
マスターである勇次郎を初めて見た時、レザードは割と良い者をあてがわれたと思っていた。
魔力の総量にこそ難があるが、それを補って余りある、圧倒的な身体能力を勇次郎から感じ取ったのだ。
レザードは、この男を自らの魔術で強化すれば、キャスターとして最大の欠点である身体能力の低さをカバーする無二の要素になると、出会った当時即座に考えたのである。
勇次郎の方も同様だった。
この男にとっては、聖杯など全く取るに足らない代物だった。万能の願望器であると言うらしいが、下らない。
金など国家首脳を脅せば幾らでも手に入る、名誉も女もそもそも興味がない。勇次郎に願いがあるとすれば、強者を『喰らう』事ただそれだけだった。
つまりこの男の願いは、聖杯戦争に呼び出されたその時点で全て叶っているのだ。
だが、高すぎる神秘の結晶である英霊は、神秘性のある物でしか手傷を負わせる事が出来ない。
つまり勇次郎がどんなに優れた腕力を持っていても、拳に神秘がなければ殴り飛ばす事が出来ない。だからこその、レザードである。
レザードが勇次郎を強化すれば、彼は相手のサーヴァントを殴り飛ばせる。同じ土俵に立てるのである。
聖杯戦争に於いては通常外れクジの部類であるキャスターは、勇次郎と言う男にしてみれば大当たりの部類だった。
故に彼もまた、レザード同様、自分がキャスターを引いたと知った時は、内心で狂喜していたのだ。
互いが互いを補い合う存在、その事は両者共に強く認識していた。
その事は重々把握していた二人だったが、しかし、気付いてしまったのだ。二人のやりたい事は、全くの正反対であると言う事に。
レザードはキャスターとしての戦い方に忠実に従いたいのである。
陣地作成で拠点を作り、其処で道具作成でアイテムを生みだし、不死者達を創造させ、使い魔を利用して他陣営の動向を探る。
着実に駒と道具を生み出して、勝利を盤石にして行きたいのである。
慎重派と言う訳ではないのだが、キャスターのクラスで王手を打つのならば、これが確実だとレザードは考えていた。
これに対し勇次郎は、自らサーヴァントのもとに赴き、彼らを自らの力で下したいのである。
勇次郎は闘争を世界の誰よりも好む男だった。世界に名を轟かせた偉人や猛将、果ては御伽噺の中でしか語られない存在と戦える。
強者との戦闘をSEX以上のコミュニケーション手段とし、末期にはアフガンやベトナムの戦場すらも退屈と称していた勇次郎が、この聖杯戦争に燃えない筈がなかった。
いつだったか、自分の腕力をヘラクレスのようだと褒めた大統領がいた事を勇次郎は思い出す。
此処ではそのヘラクレスが、実在の存在になるかもしれないのだ。イメージトレーニングで、カマキリや恐竜と戦うのとはわけが違う。
それが楽しみで楽しみで、子供の用に、その時が来るのをワクワクして過ごしているのだ。
なるべくなら戦闘を避けたいレザードと、戦闘を楽しみたい勇次郎。
二人の考え方は、一見してもすぐにわかる程の、水と油。正反対のものなのだった。
「……そんなに戦闘が楽しいですか、勇次郎」
「俺とランサーとの戦闘はどう映ったんだ、お前は」
「率直に言えば、何がそんなに楽しいのか、と思う程楽しんでましたが」
この男の戦いぶりは、忘れたくても忘れられるものではない。
ランサーの攻撃を尽く回避したり捌いたりして、ランサーの攻撃以上の速度で一方的に攻撃を叩き込んで行くその様子は、見ていていじめに近しい物を感じた。
暴力を振るう、と言う事をこれ以上なく楽しんでいるのだ。レザードは遠くから勇次郎の戦いぶりを眺めて、そう結論付けていた。
「俺はよ、この聖杯戦争が俺の期待に添わないものだったら、どうしようかと悩んでたのさ」
「だが……」、と言葉を区切る勇次郎。
「違ったんだな。あのランサーもそれなりに強くはあったが……あれよりまだ上の奴がいると思うとよぉ。こんな楽しい戦いがあったんだと思うとよぉ。
もと居た世界で、欲望を満たす為に戦場を駆け抜けたのが、馬鹿らしくてしょうがねぇ。……テメェの言う通りだキャスター。
聖杯戦争は俺の中で……楽しいものとして定着しちまったぜ。不詳の倅バキとの戦闘も中々だったが……さしものあいつも英霊と比べちまったら……まあ可哀相だな」
全く頭がおかしいと、レザードとしては思わざるを得ない。常軌を逸した戦闘狂。我欲を満たす為だけに戦場を駆け抜けたと言う事実。
この世界に愚神オーディンがいようものなら、真っ先にヴァルキュリアに命を下し勇次郎の魂を我が物とするであろう。
マスターの鞍替えや、グールパウダーで忠実な不死者にでもしてやろうかとも考えたが、止めた。それ程までにこの男は強いのだ。
恐らく、この男に匹敵する強さを誇るマスターは、聖杯戦争の中でもそうそう存在するまい。
不死者にしようにも、この男の強さの源泉は、自らの圧倒的な強さに裏打ちされたエゴイズム(自我)であるとも、レザードは気付いていた。
不死者にすると言う事は、その存在を術者の操り人形にすると言う事と同義。勇次郎の長所を殺してしまう危険性がある。
それは避けたい。この男の腕力はそれだけの利用価値があった。その強みを潰す様な愚作は、犯したくない。
レザードも勇次郎に負けず劣らず利己的な側面があるし、それは彼も自覚している。
だがこの戦いは聖杯戦争。自らの意思を貫き通すだけで勝てる程ぬるい戦いではない。
時に自らのわがままを貫き、時にサーヴァントと折り合いをつけ、時に相手マスターと手を組む老獪さも必要となる。
今はマスターである勇次郎と折り合いをつけるべきなのだろう。しかし、レザードにも譲れない点はある。
彼は勇次郎のように、聖杯戦争に参加した時点で願いが叶ったと言う訳ではない。漸く、スタートラインに立てた、と言う所なのだ。
彼は、この戦いに生き残り、聖杯戦争に勝利する必要がある。そして、今度こそ我が物とするのだ。
レザードがありとあらゆる知謀をめぐらせても、遂には創造主に等しい権能を手に入れても、振り向かせる事も出来なかった、初恋の相手。
彼が求めてやまない、至上の美を誇る戦乙女、レナス・ヴァルキュリア。自らの浅はかな行動で世界から消えてしまった彼女を、聖杯の奇跡で蘇らせたい。
そうして今度は、自分の手で、彼女の心を自らのものとするのである。それが、レザードの願いなのだから。
「勇次郎。今回は貴方のわがまま、即ち、私が魔術を用いて貴方の身体能力を強化させ、サーヴァントを探し、見つけ次第戦うと言う要求を受け入れました。
が、次は私の要求を呑んでもらいます。私は貴方と違い、聖杯が欲しい。聖杯戦争に勝ち残りたい。
マスターの貴方が死ねば私の目標も達成出来なくなる、だから次は、私の要求を呑みなさい。自分の陣地を作成し、拠点を作ります。
貴方は、その際に私の護衛をお願いします。……頼まれてくれますね……?」
頼まれてくれますね、と、一見すれば自由意志と裁量に任せるような物言いである。
しかしその実、レザードの声の調子は、受け入れる以外の返事は認めないとでも言う様な鬼気に満ちており、眼鏡の奥の瞳には、凄烈な殺意が輝いている。
その目線を、真っ向から受け止める範馬勇次郎。つまらなそうな表所を浮かべていた。
無理もない、この男に大人しくしていろ、と頼むのは無謀もいい所である。結局は自分の本能の赴くがままに行動し、全てを滅茶苦茶にしてしまう男。それが勇次郎なのだ。
それにこの男は、自分と敵対する存在は許さない性格だ。余りにも横暴な理由で殴られ、殺された人物は最早数えるのも馬鹿馬鹿しい程である。
レザードと勇次郎の視線が絡まり合う。冷たい殺意を放射するレザードに対し、空間を歪める陽炎の如き、熱を孕んだ殺意を放射する勇次郎。
両者を中心とした半径数m内の空間が、異空間と化す。ブリザードのような殺気と溶岩の如き殺意の荒れ狂うその空間内で、平常心を保てる人類は存在しえないだろう。
「……いいぜ。テメェの好きにしろ」
意外な事に、折れたのは勇次郎の方だった。
レザードに怯えた訳ではない事は、言うまでもない。此処でレザードと仲違いする事と、此処を我慢してまだ見ぬ英霊と戦える次の機会を待つか。
その二つを比較衡量して、どちらがマシかを考えただけだ。結果は勿論、言うまでもない。
つまらない理由で敵対するよりは、適当に折れた方がマシ。そう結論付けたのだった。
「聡明なマスターで、何よりです。物分かりの良いマスターを持てて、私は果報者なサーヴァントですね」
「ケッ、白々しい野郎だ……」
此処まで露骨な恐喝手段を取って置きながら、この褒めちぎりよう。イイ性格をしているようだ、この男は。
満足そうな笑みを浮かべ、レザードは霊体化を始める。速く拠点となる場所へ戻ろう、と言う催促の意味合いも込められている。
盛大に舌打ちを響かせて、勇次郎は不機嫌そうに公園を後にする。
彼らが去った後の公園には、人智を超えた戦いの残滓の、タイルブロックの破壊跡だけが残されているだけだった……。
【マスター】
範馬勇次郎@バキシリーズ
【参加方法】
暇潰しに遊びに来てやった、アリゾナ州立刑務所に収容されている友人が秘蔵していた骨董品の1つを手に取ったら、それがシャブティだった。
【マスターとしての願い】
ない。だが聖杯戦争がもし楽しければ、別の何処かで開催している聖杯戦争に参加したい。
【weapon】
身体:
勇次郎は重火器やナイフなどと言った、一般的な意味での武器を持たない。
しかし勇次郎の肉体は、それらよりも遥かに危険であり、ある者は勇次郎の姿を見て、巨大空母一隻分以上の戦力だと錯覚した程。
m単位の厚さのコンクリート塀や鉄板を破壊する腕力や、銃弾すらも見切れる程の反射神経など、地上最強の生物と揶揄されるに相応しい身体能力を持つ。
【能力・技能】
勇次郎はその圧倒的な身体能力をいかんなく発揮させ、思うがままに暴力を振るう戦法を好む所とする。
打撃の要となる背筋が鬼の顔の様に見える事から、通称「鬼の貌」と呼ばれる天然のヒッティングマッスルを持ち、その筋肉に裏付けされた力で、思い切り殴る、蹴る。
それが勇次郎の戦い方である。ただ、勇次郎自体は世界中のありとあらゆる格闘技及びその技の数々に精通しており、その気になれば一度見ただけで、
その格闘技の体系の中で最高級の技とされるものをトレース、自分のものとして使う事が出来る。
但し勇次郎は格闘技における技術を不純物と断言し、純粋な力こそを至上としている為、その技を使う事は滅多にない。
また解剖学や人体に精通し、数々の戦場を渡り歩いた為か、『相手の身体的な弱点を自動的に発見する』と言うスキルも持つ。
本人すら気付かないような些細な弱点(未発見の虫歯・癌なども)でさえ無意識的に発見出来、 その診断能力はベテランの医師すら上回ると言う。
人の身でありながら、A+ランク相当の勇猛や心眼(真)、天性の肉体にカリスマ(偽)、反骨の相、無窮の武錬などに相当するスキルを持ち、
彼自体がサーヴァントとして呼び出される可能性すらある存在。
キャスターによる強化なしでも下手なサーヴァントに肉薄するその身体能力は、マスターとしてはまさに破格と言う他ない。
【人物背景】
地上最強の生物、鬼(オーガ)と作中で呼ばれている男。主人公である範馬刃牙の父親であり、また彼の目標でもある存在。
一個人で国家軍事力に匹敵する暴力(身体能力)を誇る男で、事実その力で、数々の戦場を渡り歩き、数々の軍隊を壊滅させて来た。
ベトナム戦争に傭兵として参加した時の年齢が十六歳の時であり、その頃には既にその圧倒的な才能を開花、急速に成長させていたようである。
法の外に君臨する男の一人であり、作中で起こした数々の傷害罪や殺人罪、総理大臣への殺害予告とその実行(総理の殺害自体は未遂)が不問に処されている。
これは、人間一人が振るう暴力で国家が揺るぐ事実を公に出来ない(威信に関わる)からであり、殆どの国家は、彼の行った如何なる行為も黙認している。
極めて自己中心的な性格の持ち主で、自分が地上最強の生物である事に対し一切の疑念を抱いていない。
勇次郎と長年の付き合いを持つストライダムに曰く、彼の精神の強固さは、歴史を大きく動かして来た偉人のそれと殆ど同じだと評する程。
彼にとって闘争とは人生の全てであり、彼は食事や睡眠、果ては呼吸よりも、戦闘のプライオリティが高い程。
総括すれば、どこまでもわがままで、何処までも闘争が大好きで、そしてデタラメに強い。それが、範馬勇次郎と言う男なのである。
今回の勇次郎は『範馬刃牙』に於いて、刃牙との最後の戦いの後、退屈な日常を送っていた時からの参戦。
【方針】
サーヴァント達と殴り合いたい、本気を出して戦いたい。
但し、サーヴァントであるレザードの意向も汲んでやらないとつまらない結果を招いてしまうので、当分は彼の言い分も呑んでやる。
【クラス】
キャスター
【真名】
レザード・ヴァレス@ヴァルキリープロファイル
【ステータス】
筋力E 耐久E 敏捷D 魔力EX 幸運A+ 宝具A+++
【属性】
混沌・悪
【クラススキル】
陣地作成:B
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。“工房”の形成が可能。
道具作成:EX
魔術的な道具を作成する技能。
錬金術、屍霊術を初めとする様々な魔術を極め、物質を構成する原子の配列変換を高いレベルで行えるキャスターは、
時間及び材料さえ揃えば、グールパウダーやエリクサー、ホムンクルス、果ては賢者の石の作成すら可能とする。
【保有スキル】
錬金術:EX
賢者の石の作成を目的とした魔術体系。
キャスターは過去に賢者の石の作成に成功している為、ランクは最高クラスである。
屍霊術:A+
ネクロマンシー技術。死体や悪霊、幽鬼等のアンデッドや魂、霊魂に関する知識やそれらを扱う技術に長けているかどうか。
キャスターは高いレベルの屍霊術を操り、種々様々な不死者の作成が可能である。
信仰の加護(偽):A
一つの宗教観に殉じた者のみが持つスキル。加護とはいうが、最高存在からの恩恵はない。
自己の精神を強く保証し、自らの信ずる理念において、様々な非人道的かつ残虐な所業を行う事が出来る。
キャスターの信仰の対象とは、彼のいた世界における最高神であるオーディンでもなければ豊穣の女神であるフレイでもなく、
彼らの手足として働く戦乙女ヴァルキュリアであった。但し彼の場合はヴァルキュリアを信仰の対象と言うよりは、愛情の対象としてみていたようだが。
使い魔使役:B
優れた魔術師として使い魔を使役する事が出来る。
キャスターの場合は主に実在する動物を使い魔にする事を好み、元いた世界では鳥や猫を操っていた。
【宝具】
『万象記憶せし知識の魔石(賢者の石)』
ランク:A+++ 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
錬金術師のみならず、キャスターのいた世界であるならばあらゆる者が求めたと言う究極物質。
見た目はただの石にしか見えないが、その実、世界が創世される以前をも含めた、ありとあらゆる知識の集積体。
魔法にも等しい効能を持つ失伝魔法(ロストミスティック)をも網羅している。
だがこの宝具から知識を抽出する作業は非常に難しく、求めている知識は簡単には引き出す事は出来ない。キャスターに曰く、百億ページもある辞書のようなもの。
解析にさえ成功すれば、人の身でありながら神々しか知らない知識を知る事は元より、魔力量が許せば失伝魔法をも扱える。
聖杯戦争に関しては、解読に時間をかければ他の参加者の情報及び、サーヴァントの真名や来歴と言った情報すらも手中に収める事が可能。
また莫大な魔力を有する魔力炉としての効果も備えており、キャスターが操る魔術の効能を底上げする効果も持つ。
そして最終手段として、賢者の石が内包するその魔力を全て犠牲、つまり宝具を破棄する事で、並行世界からの干渉や五つの魔法、神霊級の奇跡や魔術をも一時的に無効化させる
生前キャスターはその効果を使用する事で、四宝・ドラゴンオーブが放つ、世界を焼け落とす終末の炎、ラグナロクをも無傷で乗り切った。
【weapon】
聖杖ユニコーンズ・ホーン:
ユニコーンの角を原子配列変換する事で作成出来る杖。
魔法(魔術)を遥かに超える規模・威力を誇る『大魔法』の発動を可能とする触媒。
大魔術の発動には膨大な魔力を必要とする為、その魔力に耐え切れず自壊してしまう杖が多いのだが、この杖にはそう言った心配が存在しない。
魔法及び大魔法:
元いた世界の、戦闘用の魔法(魔術)の殆どを極めている。
大抵の魔法は一工程で発動可能だが、大魔法クラスとなると、二小節の詠唱を必要とする。
使用する大魔法にはこだわりがあるらしく、天空から隕石を飛来させ、落下させるメテオスウォームの使用を好む。
どちらも短い詠唱で発動可能だが威力は高く、魔法レベルならBランク以下、大魔法レベルになるとAランク以下の対魔力でも容易くダメージを通す。
【人物背景】
フレンスベルグの魔術学院に所属していた魔術師の一人。
魔術師でもあり錬金術師でもあり、同時に、不死者を操りそして生み出す、ネクロマンサーとしても活動、それらを両立させていた人物。
座学や魔術に関連する事柄に対して非凡な才能を見せ、魔術学院の中においても、極めて優秀な生徒であった。
しかし、協調性のなさや、自らのエゴイスティックで残虐な思想の故に、学院長であり師でもあるロレンタから学園を破門される。
破門された前後かは不明であるが、偶然目にしてしまった戦乙女・ヴァルキュリアの一人であるレナスに一目惚れ。
以降は、彼女の心と魂を自らのものとする為に、非人道的な手段のペースを加速させる。
レナスの魂を封じ込める為の素体であるホムンクルスを作り出す為に、何人もの人間やエルフを犠牲にする。
学院を破門したロレンタを殺害、彼女の無念の声を呼び水にレナスをおびき出す、と言った行為はほんの一環に過ぎない。
また、学友であり、ライバルであり、後々の障害になるであろうと目測した女魔術師・メルティーナを氷漬けにして封印した事もある。
どうしようもない悪人である事は疑いようもないのだが、同時に世界を救った立役者でもあり、彼が製作したレナスを模したホムンクルスがなければ、
オーディンの命を受けて地上に現れたアーリィ・ヴァルキュリアによって霧散させられたレナスの魂を入れる事が出来なかったのだから(そうしていなければ確実に、黒幕であるロキの放った終末の炎で世界全体が滅んでいた)。
ロキを討ち倒した後で、ロキの手によって葬られたオーディンの代わりに、世界の創造主となったレナスは、
ラグナロクによって死んでしまった地上の人間や文明を復活させるが、賢者の石を犠牲にラグナロクを生き残ったレザードは、
ラグナロクによる破壊前の人物、つまりレナスの支配下の外の住民になってしまう。
その事を利用し、レザードは過去へと遡る研究を行い、自分が生きている時代から数百年も昔の時代へと移動。
時代の改変を行い、レナスを我が物とするよう歴史を改竄する事を画策。レザードの目的は、この世界で主神・オーディンに成り代わって自らが神となり、レナスの魂と一つになる事だった。
紆余曲折を経て主神であるオーディンを抹殺し、四宝の一つであるグングニルを奪い取る。
事態を察知した、未来世界に於ける創造主であるレナスも過去を遡りレザードの前に現れるが、失伝魔法である王呼の秘法と呼ばれる、強制的に魂を転生させる術をもって、レナスを封印。
が、最後の最後で、戦乙女の三姉妹の末妹シルメリアが世界に顕現。彼女にその野望を挫かれる。
罪に罪を重ね、世界を混乱に陥れたレザードには、死ではなく、魂の消滅と言う罰が与えられると言う。
シルメリアから、「例え神であろうとも、魂と心を所有物とし、意のままに操る事は出来ない」と説教され、憑き物の落ちたような顔を浮かべるレザード。
一時は神に等しい存在となり、神にも等しい権能を振るう事が出来、その力でレナスを我が物にしようとした彼が今わの際に悟った事は、
「神は期待していたほど万能ではなかった」、と言う事であった。
【サーヴァントとしての願い】
レナスを復活させ、今度こそ彼女を自分のものとする
【基本戦術、方針、運用法】
典型的なキャスターのステータスを持つレザードは、陣地作成で自らの拠点を生みだし、其処に籠城すると言うキャスターとして基本的な戦術に忠実に従うのが最善である。
材料と時間さえ許せば宝具すらも作成可能な程の高い道具作成ランクと、不死者を生み出す屍霊術で、道具と駒を確実に増やせて行ける小回りの強さも魅力。
ステータスを見れば一目瞭然だが、直接的な殴り合いは不得手も不得手。だがそんなレザードをサポートするファクターが、マスターである範馬勇次郎である。
ガード・レインフォースやマイト・レインフォースを筆頭とした補助の魔術を用いて強化する事で、勇次郎は上位のサーヴァントに匹敵する程の白兵戦能力を獲得する。
肉弾戦を苦手とするレザードにとって、下手な不死者を超越する程の勇次郎の戦闘能力は聖杯戦争を勝ち抜く上で重要な要素なのである。
このコンビの弱点を上げるとするならば、マスターとサーヴァントの意識の違い。
二人の聖杯戦争に対するスタンスは全く真逆なもので、表面上は互いが互いを補い合うベストパートナーに見えるのだが、
実際には互いに考えている事は水と油も甚だしいのである。
レザードも勇次郎も、互いは補い合っていると言う意識をしっかりと持っている為仲間割れは早々起こさないだろうが、付け入る隙があるとすれば、この反りの合わなさであろう。
最終更新:2015年04月12日 01:32