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『だからもっと弾けていこう、恋していこう、青春はNon-stop』




静かに響き渡る旋律。
ゆったりと歌詞を紡ぐ穏やかな歌声。
小さな部屋の一室にて音楽が奏でられる。




『いつだって夢を見たいな 全力で羽ばたいていこう―――――――』




引き鳴らされるアコースティックギター。
サビを弾き終え、曲はゆったりと終わりを告げる。
詩も曲も彼女が作った。自分だけの音楽だ。
自宅で練習がてらに弾き語りを行うのが彼女の日課だった。


「………はぁーっ……」


弾き語りを終えた少女はギターを置き、ごろりとベッドに転がる。
そのままアンニュイな表情でぼんやりと天井を眺めていた。



(結局、今日も入部出来なかったなぁ…)


聖川 紫杏(ひじりかわ しあん)。
軽音部へ入部志望の高校一年生。
音楽をこよなく愛するごく普通の少女…なのだが、人見知りで内気な性分の持ち主である。
そんな性格が災いし、高校入学から暫く経っても軽音部へ入部出来ずにいる。
ゴールデンウィークが刻々と迫る中、未だに門の前で足踏みしている状態だ。

「早く入部届出さなくっちゃ…」

部活は時間が経てば経つほどまず入りにくくなる。
しかもゴールデンウィークには合宿があると言っていたような…。
とにかく、早く入部しないとダメだ。もたもたしてるとますます入りにくくなる。
でも正直に白状すると恥ずかしい。
こんな時期に入部希望だなんて、ヘンに思われそうで気が引けてしまう。

「あー、もう!ただでさえ人見知りなのになぁ、もーっ!」

ベッドの上でゴロゴロと悶え。
自らの性格を恨めしく感じながら、シアンは思った。

―――――決めた。明日こそ入部しよう!

何度目かも解らぬ決意を胸に、くるりと寝返り。
俯せの姿勢になり、枕を抱えながらスマートフォンを弄り始める。

(頑張るのシアン。明日こそちゃんと入部しよう…その前に、まずはゲームで気持ち上げときますか!)

つまり気分転換である。
シアンは慣れた手つきでスマートフォンを弄り、アプリケーションを起動。
「SHOW BY ROCK!!」。曲に合わせて三つのボタンを譜面通りタイミング良く押していく、言わば音楽ゲームだ。
音楽を愛するシアンにとってお気に入りのゲームである。
シアンはスマートフォンの画面と向き合い、リズムに乗りながらその指でメロディを奏で続け――――


「やったぁ、最高記録!」


―――――フルコンボ達成である。
自己最高記録を達成し、喜びの余りベッドの上で小さくはしゃぐ。
そのままシアンは画面をタッチし、リザルト画面へと移行。
このスコアならきっと珍しいアイテムが出てくる筈。
そう思っていた矢先だった。


[アイテムゲット!【シャブティ】]


「………シャブティ?」

リザルト画面に表示されたのは、見慣れぬ人形のようなアイテム。
シアンの顔にきょとんとした表情が浮かぶ。



次の瞬間。
スマートフォンの小さな画面から強烈な光が放たれ。
驚愕する間もなく、彼女の世界は反転した。


◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆




「え……え?何………?」



とある古びたアパートの一階、103号室。
シアンは自室で尻餅を突き、混乱した表情を浮かべていた。
ゴッサムシティのハイスクールに通うギタリストの少女は、『目の前』の非日常への恐怖を覚える。
突如として現れた『男』への恐怖と困惑を示す。


「誰なの…?」


始まりはごく当たり前の日常からだった。
自宅へ帰り、暇潰しと言わんばかりにスマートフォンを起動したシアン。
そんな彼女が発見したのは『シャブティ』という見慣れぬアプリ。
いつダウンロードしたのかも覚えていないそれに対し、どこか既視感を覚えたシアンは迷いつつも『シャブティ』を起動。
そして、ダウンロードの完了と共に―――――スマートフォンが光り。
自らの目の前に姿を現したのは。






「ヒャァーーーーッハァァァァァーーーーーーーーーッ!!!!!」






――――――激奏ッ!!
唐突に響き渡るメロディ!
細長い指によって弦の音色が掻き鳴らされるッ!
卓越した高速ピッキングによる攻撃的なギターサウンドが轟くッ!!
呆然とするシアンに容赦なく暴風の如しロックンロールが叩き付けられるッ!!!



「ロックンロォールッ!!今日も元気にッ死んでるぜェェーーーッ!!!」



そして演奏はフィニッシュへと向かう!
怪物のようなエレキギターを掻き鳴らしていた男がシャウトのような声で叫ぶ!
青白い肌。牙にも似た剥き出しの肋骨。骸骨にも似た貧相な肉体。
その男は『ゾンビ』を思わせる異形の存在だったッ!
ただぽかんとするのみのシアンは、演奏を終えたゾンビの男を無言で見上げる。
先程まではただ怯えるのみだったが。
シアンの顔から、いつの間にか恐怖が消え失せていた。


見下ろすゾンビ。見上げるシアン。
暫しの沈黙が場を支配した後。
シアンが、先に口を開いた。


「かっこいい……」


小さな口からぽつりと溢れる言葉。
眼をきらきらと輝かせ、頬を薄く紅潮させていた。
禍々しいギターによる激奏。魂に訴えかけるようなロックンロール。


最初は怖いと思っていた。
だが、そのサウンドを聴いている内にシアンの胸に熱い感情が込み上げてきた。


――――――素敵だ。カッコいい。


ギタリストであり、音楽を愛するシアン。
目の前のゾンビが演奏する卓越したギターサウンドは、彼女の胸に強い衝撃を与えた。
シアンの心中の恐怖や混乱を吹き飛ばす程に。


「あ、あの…!もしかしてプロの方ですか!?」


グイッと顔を近づけ、ゾンビに問い質すシアン。
その表情からは興奮と昂揚が垣間見える。
魅入られた様子のシアンを見下ろし、ゾンビは機嫌を良くしたようにギターを鳴らす。


「よくぞ気付いてくれた!!俺サマはかつて『メタルの神』と称された男よ!!
 まッ、つっても随分過去の話だ!オマエみてぇなチンチクリンじゃ知らねえだろうがなァ!!」


『メタルの神』―――――ゾンビは己をそう称する。
シアンは思う。決して嘘ではないだろう。先程の演奏からして技術は卓越していた。
何より、あのサウンドからは滾るような想いを感じられたのだから。


「さあ願いを言ってみろ!オマエが聖杯に託す『願い』をよォッ!!
 俺のマスターになったからには相応の願いがあるだろう!?」


そのまま唐突に畳み掛けるようにゾンビが言い放つ。
シアンはえっ?と言わんばかりのぽかんとした表情を浮かべる。

聖杯に託す願い。マスター。
そういえば、そんなこともあったような気がする。
何故だか解らないが、自分はそれを『知っている』。

それを言うべきかどうか、迷う様子を見せるシアン。
そのまま暫しの間を置いて、もじもじとした様子で伝えた。


「強いて言うなら……」
「おォ?」
「部活……」
「あ?」
「軽音部に……入部したいなーって……」


どこか恥ずかしそうに伝えるシアン。
ゾンビは呆気に取られた様子で彼女を見下ろしていた。


「………ケーオンブだァ?」
「ご、ごめんなさい!他に大した願いもなくって…」
「本当にそれだけかよ?」


信じられないと言わんばかりの態度で問い質すゾンビ。
上手い言葉が見つからないシアンは口籠らせる。
どこか疑う様子のザベルに対し、僅かに怯えた様子でシアンは言葉を紡ぐ。


「その…私、そんなに大それた願いも無いですし…
 ゴールデンウィークまでに部活に入ることが出来たらそれでいいかなーって…」


それはシアンにとっての本心だった。
大金持ちになりたいとか、世界征服を死体とか、そんな派手な願いは望んでいない。
ただバンドをやりたい。というか、軽音部に早い所入りたい。
今の彼女にとっての明確な願いとはそのくらいのものだった。


「つまんねェなア!聖杯なんてモンがあるんだぜ!?
 だったらデカい野望の一つや二つ叶えるしかねェだろうがよォ!!」


突然顔を近づけてながら言ってくるゾンビ。
ほんの少しびっくりした様子でシアンが後ずさる。
何でも願いが叶えられるモノがあるというのに、部活に入りたいだなんていうくらいの願いしか無い。
確かにちょっと地味だよなぁと、シアンは頬を掻きながら思った。


「えっと……考えておきますね。出来れば部活には自力で入りたいかなーとは思ってますし…
 あっでも私、あんまりいい願い浮かばないかもしれないかな…」


はにかみながら苦笑し、ゾンビにそう伝える。
何とも煮え切らない表情を浮かべていたゾンビだが、シアンは現に聖杯を使ってまで叶えたい願いが無い。
いきなり「勝ち残ったら聖杯を手に入れられる!」なんて言われても困るのだ。
そのまま何とも言えない空気が流れ、気まずくなったシアンが口を開く。


「あ…そういえば、お名前聞いてませんでしたよね!」
「おォ!そうだったなァ!!」

シアンに名を問われ、思い出したようにゾンビが言う。
そのままゾンビが己のギターを掻き鳴らしながら、その名を告げる。




「『ダークストーカー』――――――ザベル・ザロック様だ!覚えておきやがれェ!!」




闇の住人――――――ダークストーカー。
存在する筈の無い「番外位“エクストラクラス”」。
それがシアンの召還したサーヴァントだった。


◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆


聖杯戦争。
奇跡の願望器。
令呪。
マスター。
サーヴァント。
ゴッサムシティ。
ロックギタリスト、ダークストーカー。


余りにも唐突過ぎる始まり。
まるで空想の物語にでも入り込んだかのような常識外の話。
ゴッサムシティという街で繰り広げられる戦い。
勝利して得られるものは、あらゆる願いを叶えられるという奇跡の願望器。
ただゲームの最高記録を出しただけだったのに、何故こんな大それた話になっているのだろうか。
流石にこれが現実の出来事だなんてことは有り得ないだろう。


(ゲームのやりすぎなのかなぁ、私…)


シアンは頬を掻きながら、ふとそんなことを思う。
ゲームをやっている途中でばったりと眠ってしまったせいだろうか。
今日はなんだか変な夢を見ているなぁと、暢気なことを考えていた。




【クラス】
ダークストーカー(エクストラ)

【真名】
ザベル・ザロック@ヴァンパイア

【属性】
混沌・悪

【ステータス】
筋力C+ 耐久C++ 敏捷B+ 魔力C 幸運C 宝具B

【クラス別スキル】
魔物:C
闇の住人(ダークストーカー)。伝承や噂話で語り継がれる異形の怪物。
種族によってその能力や特性は大きく異なる。
ザベルの場合、人から後天的に人外へと転じた。
魔の属性を持つ攻撃に対する耐性がアップする。
ただし退魔の逸話・能力を持つ攻撃に対しては逆に被ダメージが増加する。

対魔力:D
一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

【保有スキル】
ゾンビ:B
死の淵より蘇りし屍人。リビングデッド。
ザベルは魂に闇の洗礼を受け、ゾンビとして蘇った。
肉体を自在に変化・操作する能力を持ち、身体の伸縮による打撃、手足のチェーンソー化、骨による刺突など数々の奇怪な攻撃を行える。
ゾンビとしての不死性も備え、魔力を用いることで通常のサーヴァントよりも優れた再生能力を発揮出来る。

精神汚染:A
闇の眷属として蘇った猟奇的な狂人。
同ランク以下の精神干渉をシャットアウトする。
魔に魅入られ、己の信奉者達を生贄にし魔物へと転じた精神性は並の者には理解出来ない。

魔力放出(雷):C+
武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出するスキル。
ザベルの場合、肉体を魔力で帯電させて攻撃に用いる。

空中戦闘:B
空中での攻撃判定にプラス補正が掛かる。
また滞空による敏捷値のマイナス補正を受け付けなくなり、常に十全の機動力を発揮出来る。
魔力を瞬間的に放出することで空中ダッシュを行うことも可能。

【宝具】
『Le Malta(ル・マルタ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
帝王オゾムがザベルの監視役として送り込んだ単眼の魔物。
ザベルの唯一無二の相棒として宝具へと昇華された。
短距離の空間転移を行え、ザベルを飲み込んで共に転移することも可能。
更にギターやスピーカーなど様々な形態に変身し、ザベルとのトリッキーな連携によって戦う。

『Death voltage(デス・ボルテージ)』
ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:1人
魔力放出(雷)スキルより派生した宝具。
髑髏を象った強力な電撃を纏って突進し、相手を感電させる。
命中することで電撃による追加ダメージを与えられる。
空中戦闘スキルの恩恵によって空中でも発動可能。
空中で発動した場合、空中ダッシュによって突進する。

『Hell dunk(ヘル・ダンク)』
ランク:C++ 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:1人
奇想天外な地獄の籠球。
空間転移をしたル・マルタが地面から相手を捕獲し、無力なボールの形状へと変える。
そのままボール化した相手を受け取ったザベルがバスケットゴールに変身したル・マルタにダンクシュートを決める魔技。
ボール化は物理的防御や対魔力など相手のあらゆる抵抗を無視して一方的に押し付けられる。
ダメージ判定はダンクシュートが決まって相手が地面に叩き付けられた瞬間に発生し、
相手の耐久値を無視して大ダメージを与えることが可能。
ただし直感スキルなどの危機感知能力があれば地面から出現するル・マルタを事前に察知可能。
またル・マルタの行動を先読みできる能力や高い瞬発力さえあれば回避は然程難しくない。
ボール化はダンクシュートによるダメージ判定が発生した時点で自動解除される。

【Weapon】
己の肉体

【人物背景】
かつて「メタルの神」と称されていたカリスマギタリスト。
この世の快楽のみでは満たされなくなった彼は魔界の力に魅入られる。
ライブで自らのファン100人を殺害した後に自害し、ゾンビとして復活した。
殺戮を好む残虐で狡猾な狂人だが、ハイテンションでコミカルな一面も併せ持つ。

【サーヴァントとしての願い】
絶対的な力を獲得する。

【方針】
勝ち残る。

【エクストラクラス:ダークストーカー】
闇の住人を意味する魔物のサーヴァント。
悪魔や怪物、妖怪と言った人外の存在がクラス適性を持つ。
クラススキルとして「魔物」「対魔力」を備え、魔の属性に対する高い耐性を持つ。
ただし退魔効果や聖なる逸話を持つ武具を主な弱点とする。



【マスター】
シアン(聖川 詩杏)@SHOW BY ROCK!!(アニメ版)

【マスターとしての願い】
ゴールデンウィークまでに軽音部に入部したい。
ただし別に聖杯に縋るほどの切実な願いという訳でもない。

【weapon】
エレキギター

【能力・技能】
ギターの演奏が出来る。
自分で作詞作曲もしている模様。

【人物背景】
女子高生のギタリスト。クラスは一年三組。
内気な恥ずかしがり屋で、その性格から高校の軽音部に入部出来ずにいる。
明日こそ入部しようと決意した日の夜、アプリゲーム「SHOW BY ROCK!!」の世界に迷い込んでしまう…はずだった。

アプリ内にデータとして紛れ込んでいた「シャブティ」を入手し、シアンはゴッサムシティへと誘われることになる。

【方針】
聖杯戦争自体を夢だと思い込んでいる。
ダークストーカーとセッションしたい。

【令呪】
右手に発現。
肋骨を思わせる六本の刃に包まれたハート。
消費は左側の刃三本(一画目)→右側の刃三本(二画目)→ハート(三画目)。




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最終更新:2015年04月17日 00:27