アットウィキロゴ


「アイドルに、興味はありませんか」

差し出された紙片……名刺、を、じっと見つめる。
それがどういうものか知識としては知っていても、実際目にした経験はあまりない。
当然、自分に向けて渡されたことなど一度もない。驚き以上に新鮮な興味がなかったと言えば嘘になる。
その名刺には、こう書かれていた。

『株式会社346プロダクション シンデレラプロジェクト プロデューサー』

「つまり、あなたは……アイドル、十代の少女を導く立場である、と」
「当社に所属するアイドルは十代だけではありませんが、その通りです」

彼の身長は、かなり高い。並んで立てば自分より頭二つは上だろう。
何かスポーツでもやっているのか、がっしりとした体つきだ。
上下黒のスーツに身を包み、きっちりとネクタイを締めた模範的なビジネスマンスタイル。
髪色は黒、特に着飾ったりもしていないまじめ一本といった容姿。
目尻は鋭い三白眼。胸の内を読み取らせない無表情。貫禄を感じさせる重低音の声。
自分を召喚したマスターは、そんな人物だった。

「……それで、私にアイドルになれ、と?」
「もし、よろしければ、ですが」

念のため聞き返してみても答えは同じだった。つまりは、本心からの勧誘だろう。
彼女……盾のサーヴァント・シールダーは、ずっと差し出されたままの名刺を受け取るかどうか、悩む。

「……もう一度、説明が必要ですか? 私はサーヴァントとしてこの街に召喚されました。
 そしてあなたは私のマスターとして、聖杯戦争に挑まなければなりません」
「それは、理解しています。これが夢ではないということも」
「では、それを理解した上で、私にアイドルになれとおっしゃるのですか?」
「はい」

迷いなく頷かれ、ますます彼女は困惑した。
彼は決して愚鈍ではなさそうだ。社会に出て働いている年齢であれば、今の自分の立場を現実的に認識しているはずなのだが。
小さな喫茶店の片隅。運ばれてきたコーヒーはとっくに冷めてしまっている。
いつまでも悩んでいる時間はない。どう諭したものか、とシールダーが悩んでいると、

「あなたは、盾のサーヴァント。つまり、何かを守るのが専門、という認識で合っていますか?」
「ええ、その通りです」
「でしたら、私は……やはり、誰かを殺して願いを叶えるということは、できそうにありません。
 そこで、あなたには、他のマスターを守っていただきたいのです」

プロデューサーは、シールダーの眼をまっすぐ見つめてそう言った。

「この聖杯戦争が何のためにあるものなのか、私にはまだはっきりとわかってはいません。
 ですが……間違っている。それだけは、わかります」
「……続けてください」

一言一言を区切るように喋るマスターの眼には、やや分かり辛いが確かな決意が読み取れる。
気の迷いや思いつきではない。悪徳を否定する、人として好ましい感情がそこにはある。
シールダーは思い直す。彼は錯乱してなどいない。確固たる信念の元、シールダーと向かい合っている。

「私は仕事柄、小学生やあなたくらいの年齢の少女と関わる機会が多くあります。
 彼女たちはみな、夢を叶えるために毎日をひたむきに頑張っています。
 夢は……そう、夢は、自分の手で叶えなければ意味がないと。そう思うのです」
「聖杯に望む願いなどない……と?」
「はい」

やはり、迷いなく、頷く。
プロデューサーを支えているものが何なのか、シールダーにはおぼろげながら見えてきた。
アイドルという存在がどういうものか、シールダーはよく理解しているとはいえない。
けれど、このプロデューサーと少女たちは、お互いを信頼し、手を取り合って夢に向かって進んでいるのだろう。

「私は、プロデューサーです。すぐにでもここから帰って、仕事をしなければなりません。
 もし誰かを殺してしまえば、彼女たちに向き合うことはできなくなる。それは……困ります」
「そのために、殺さない。そして、殺させない、と」
「ええ。誰も戦わなければ、戦争なんて起こらないでしょう」

プロデューサーがシールダーに求めている役割とは、戦いを勝ち抜く力ではない。
戦いに巻き込まれた人を守る力。戦争を根本から否定する思想……しかし、シールダーにとっては好ましい。

「私は、気が付いたらここにいました。特別な何かをした覚えはありません。
 なら、私のように連れて来られた人はきっといるはずです。そういう人を、あなたに守ってもらいたいのです。
 戦う意志のない人をあなたが守り、私のような考えの人間が戦う気のある人より多くなれば、戦いはもう起こらないはずです」
「なるほど……あなたの意志は理解しました。それは、私の望むところでもあります」

シールダーは、守護者。地上に在る全ての生命を守る存在である。
聖杯という聖遺物を巡るこの戦い、聖杯戦争に招かれても、その在り方は変わらない。
たとえこの場に、彼女を支え共に戦ってきた戦士たちがいないとしても、使命を果たさなければならない。
であれば、このマスターはこれ以上望むべくもない最高のマスターだ。志を同じくする友は、万軍にも勝る力を与えてくれる。
そう、かつての「彼ら」のように……

「そこから先は……どうすれば帰れるのか、今はわかりませんが、何か、方法はあると思います」
「聖杯の所在を突き止めることが必要となります。そこにあるとさえ分かれば、私が機能を掌握することも可能でしょう」

これは確信だった。
聖遺物、つまりは神の手になるものであれば、シールダーが干渉できない道理はない。

「では……承諾していただけますか?」
「ええ、私はあなたの『戦わない戦い』に協力しようと思います。あなたの気高き意志に祝福を」
「では、こちらの書類にサインを」
「……え?」

晴れやかな気持ちで誓い、微笑んだシールダーの前に、一枚の紙が差し出された。
そこには、先ほどの名刺に書かれていた社名と、

『株式会社346プロダクション タレント専属契約書』

そう、書いてあった。

「……そう言えば、それがありましたね。私に、アイドルになれ、と」
「ペンは、こちらをお使いください」

プロデューサーがさっとペンを差し出してくる。
軽く、頭痛がした気がする。

「……本気だったのですか? 私はてっきり、共闘を要請する宣言と受け取っていたのですが」
「わかりにくかったなら、申し訳ございません。ですが、ちゃんと意味はあります」
「それは?」
「アイドルは、ファンに……誰かに、夢を魅せられる存在だからです」

ペンを差し出したまま、プロデューサーは力説する。
表情がほとんど変わらないが、言葉に込められた想いはとても雄弁だ。

「あなたはここで、私のような戦わない人の夢に、希望になっていただきたい。
 誰も殺すことなく、元いた場所に帰る。そして、また明日から、いつも通りの生活を始める。
 全ての人を守る、それが……今の私の考える、理想のアイドルです」

友愛、信頼、善意……シールダーの力の源となる、正の感情。
彼がアイドルという存在に抱く想いは、とても崇高で純粋なものなのだろうと、そう伝わってくる。
シールダーは苦笑し、プロデューサーの手からペンを受け取った。

「それがアイドル、ですか。なら……そうですね、今だけなら。
 この街にいる間だけ、私はあなたのアイドルになりましょう。
 あなたが、あなたと共に駆けている少女たちの元へ帰る、そのときまで」

シールダーは文字を刻む。
そこに書かれた名は、サーヴァントとしての彼女の真名ではない。
だが確かに、彼女という存在を示す本当の名前。

城戸沙織。

地上に降臨したアテナの化身の、人としての、父から与えられた大切な名前だった。





【クラス】
シールダー
【真名】
アテナ@聖闘士星矢
【パラメーター】
筋力:E 耐久:A+ 敏捷:E 魔力:A 幸運:EX 宝具:A++
【属性】
秩序・善
【クラススキル】
小宇宙(コスモ):EX
 人間や神の内に存在する宇宙的エネルギー。小宇宙を燃焼させることで、肉体を強化したり異次元への穴を開けるなど様々な超常現象を引き起こす。
 自らの五感と第六感を封じることで増大し、第七感・セブンセンシズに目覚めればさらに爆発的に増大、第八感・エイトセンシズに覚醒すれば生きたまま地上界と冥界を行き来できる。
 神であるアテナは強大な小宇宙を有するものの、直接的な戦闘は聖闘士に任せているため一切の攻撃的な技を持たない。逆に防御や回復、呪いの浄化などには無類の力を発揮する。
生命の守護者:A
 地上に存在するあらゆる生命を守るというアテナの在り方そのもの。
 アテナが守ると決めた半径100m以内の対象は愛と安らぎに満ちた小宇宙によって保護され、その対象に行われるいかなる攻撃もアテナが肩代わりする。
 このため、彼女のマスターを暗殺しようとしても、まずアテナを排除しなければかすり傷すら負わせることはできない。
【保有スキル】
神性:A+
 神霊適性を持つかどうか。ランクが高いほど、より物質的な神霊との混血とされる。
 戦女神アテナが人の姿を借りて降臨した存在。人と神の割合が半分ずつのため、非常に高い神霊適性を持つ。
カリスマ:B
 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。
 彼女が率いる聖闘士たちはアテナに絶大な信頼と敬慕を寄せるものの、アテナはどの時代においても必ず双子座や他の聖闘士に裏切られるためランクダウンしている。

【宝具】
『女神の聖衣(アテナのクロス)』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:自分
 神話の時代より受け継がれる女神の鎧。右手に黄金の杖、左手に黄金の盾を携える。
 右手の杖はアテナに仕える勝利の女神ニケの化身であり、あらゆる勝利を手にする力がある。神である冥王ハーデスの真の肉体を滅ぼしたため、神殺しの属性を持つ。
 左手の盾はいかなる神や邪悪の力も退ける力がある。攻撃を防ぐだけでなく、光を発して双子座の黄金聖闘士サガに潜む悪の心を消し去ったこともある。
  『女神の聖衣』
   Bランク以下の物理攻撃と魔術を完全に無効化し、さらにAランク以上の攻撃でもその威力を大幅に減少させ、Bランク分の防御数値を差し引いたダメージとして計上する。
  『女神の杖』
   Bランク以上の神性スキルを持つサーヴァントに対し、絶対命中・防御無視・威力五倍・回復阻害の効果。
  『女神の盾』
   聖衣と同効果に加え、属性・悪のサーヴァントと戦闘を開始するとき幸運判定を行う。成功した場合は相手の全パラメーターを1ランクダウンさせる。
『女神の聖域(サンクチュアリ)』
ランク:A++ 種別:結界宝具 レンジ:1-100 最大捕捉:1000人
 アテナが座する聖域を再現する固有結界。人界から隔絶された女神の領域。
 黄金聖闘士が守護する黄道十二宮が侵入者への防壁として機能し、あらゆる攻撃・スキル・宝具の効果を十二分の一に減衰する。
 本来ならさらに八十八人の聖闘士を召喚し敵を攻撃するが、アテナがサーヴァントとして定義されたためランクダウン。十二宮の再現のみに留まっている。
【weapon】
女神の杖
 神殺しの属性を持つため、神性を持つサーヴァントに対し圧倒的な優位を得る。
 ただしアテナ自身はさしたる武術の心得がなく、また攻撃的な技も持たないため、神性を持たない英霊と打ち合うことは実質的に不可能。

【人物背景】
オリュンポス十二神の戦女神アテナが人間の姿を借りて降臨した存在。
人の世が乱れるとき現れ、地上の平和と生きとし生けるすべての生命を守る使命を持つ。
人としての名は城戸沙織。人間として生まれた後にアテナとして覚醒、地上を守るという使命に生涯を捧げることとなる。
海皇ポセイドン、冥王ハーデス、邪神エリス、太陽神アベル、堕天使ルシファーなど世を乱す数多の神々と戦い、その全てに勝利する。
【サーヴァントの願い】
誰も命を落とすことなく戦いを終わらせて、聖杯を解体する。
【基本戦術、方針、運用法】
防戦に特化したサーヴァント。
非常に強力な防御宝具と固有結界を持ち、癒しの力もずば抜けている。
その反面、攻撃能力は皆無に等しく、特定の相手にしか勝つことは不可能。
決して負けないが、勝つことも難しい。そんなサーヴァントである。
故に、取れる戦法としては。
アテナがサーヴァントの攻撃を防ぎ、その間にプロデューサーがマスターを説得する。これ以外にはないだろう。


【マスター】
プロデューサー@アイドルマスターシンデレラガールズ
【マスターの願い】
誰も殺さず、また誰にも殺させることなく聖杯戦争を集結させたい。
【weapon】
なし
【能力・技能】
プロレスラー並みの体格
殺し屋のような眼光と威圧感
【人物背景】
346プロダクションアイドル部門に新設された「シンデレラプロジェクト」の担当プロデューサー。
一見とても堅気には見えないが、実直にアイドルを支える誠実な人物。
やや口下手であり、アイドルたちと行き違いになることもしばしばあるが、決して問題を途中で投げ出したりはせず常に正直にアイドルたちと接していく。
考え事をしたり、困った際には首筋に手を回す癖を持つ。




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2015年04月24日 02:26