ゴッサムシティ
そこは犯罪者が我が物顔で歩きまわり、それを取り締まるはずの警察は賄賂やマフィアとの癒着により全く機能していない。
犯罪者にとっては楽園。一般市民にとっては地獄。それが犯罪都市ゴッサムシティ。
その犯罪都市の路地裏と言えば文字通り無法地帯である。
血や吐瀉物など様々な異臭が充満し、恫喝の声や悲鳴がどこかしらから聞こえてくる。
街灯はほぼほぼ叩き割られ周囲は薄暗いが辺りを見渡せば薬物売買が平然と行われ、人が血を流し倒れている。
しかし誰ひとりして警察に連絡をすることもなくそれどころか見向きもしない。
ここではそれが日常だからだ。
そんな無法地帯で似つかわしくない声が響き渡る。
「レオ~、ラファ~、ドナ~、みんなどこ~?」
迷子か何かだろうか?声色からしてティーンエイジと思われる。その声は若干震えていた。
しかしその声に反応するものはなく、ただ空しく路地裏に響き渡る。
その声の主の元に鉄パイプを持った屈強な男達が迫ってきている。
彼らはその声の主の身ぐるみを根こそぎ剥ぐつもりだ。
いや身ぐるみだけならまだマシ、最悪殺されて臓器を売買されるかもしれない。
しかしそれを咎めるものは誰もいない。
逆に暢気に大声を出してこの路地裏を闊歩しているこの声の主が悪いと片付けられる。
それがこの路地裏の住人の価値観だ。
男の一人が鉄パイプを振り上げ、そして振り下ろす。
頭を殴打する感触を予期したが、それは裏切られ手に残る感触はコンクリートを殴打したことにより生じた手のしびれだった。
しびれに構わず鉄パイプを握り直し殴打する態勢を整えるが声の主は何時の間に安アパートの壁面を駆け上がっていた。
数秒で屋上にたどり着き、すぐさま別の建物の屋上に飛び移る。
その時月を隠していた雲が除かれ、月明かりが周りを照らした。
屈強な男は自分の襲撃を躱した人物を一目見ようと見上げるとその人物はカメだった。
カメでニンジャでティーンエイジだ。
元は普通のカメだったがミュータント化しセンセイから忍術を学び、地球外生命体や悪の軍団からNYの平和を守る正義のヒーローになった。
ある日、同じカメのミュータントであり兄弟であるレオナルド、ラファエロ、ドナテロと共に夜のパトロールをおこなっていた。
そして廃工場で犯罪行為に手を染めているフット軍団の発見し、その計画を阻止した。
それはミケランジェロにとって日常といってよい出来事だった。
家路に帰ろうとした時、ふとある物に目が留まった。
何故だか無性に興味を引き付けられ家に持って帰ろうとシャブティ像に触った時にはゴッサムシティの路地裏に移動していた。
「みんなどこにいったのかな?まさかボクがみんなピザを勝手に食べたから怒って帰っちゃったのかな?」
ミケランジェロはあるビルの屋上の床に腰を落としながら独り言をつぶやく。
兄弟たちを探すために街を駆け巡っている中ある疑惑が思い浮かんでいた。
ここは自分が住んでいるNYではないのでは?
実際ここは電脳世界で再現されたゴッサムシティなので当然である。
そしてミケランジェロは自分が聖杯戦争に招かれたことをまだ理解していない。
いつも傍にいるはずの兄弟がいないことが見知らぬ土地にいるかもしれないというミケランジェロの不安をさらに駆り立てる。
「きっとボクのためにサプライズパーティを開こうとして先に帰って準備しているんだ!何のパーティか知らないけど」
しかしミケランジェロは基本的に楽天的で物事を深く考えない性質である。
不安を頭の奥底に追いやり今の状況を自分の良いように解釈した。
「まっててね~今誕生日祝われるマンが行くから!」
そう言うとミケランジェロは屋上から路地裏のマンホールへ駆け下りる。
マンホールの蓋を開け下水道に降りようとした時にある人物に目が留まる。
緑を基調とした体色、虎の面影を見せる顔面、片腕に備えられた堅牢な爪。
それは明らかに人間ではなく化け物と言っても差し支えないだろう。
普通の人間なら見た瞬間真っ先に逃げ出すだろう。
「ねえ君、ミュータント?その爪かっこいいね」
だがミケランジェロはまるで友達に声をかけるように話しかけた。
自分がミュータントであるがゆえに異形に対する偏見はまるでない。
さらに兄弟の中で一番人懐っこい性である。
だがミュータントであるがゆえか友人は決して多くない。
声をかけたのはもしかしたら友達になろうとしたのかもしれない。
しかし緑の怪物はミケランジェロの声掛けに攻撃で返答した。
「うわ!何!?何!?」
ミケランジェロは緑の怪物の袈裟切りをバックステップで回避する。
緑の怪物は構わずミケランジェロを追撃し爪を振り下ろす。
その風切音だけでその一撃が恐ろしい威力を秘めていることがわかる。当たりさえすればミケランジェロの身体を容易く切り裂くだろう。
しかしミケランジェロも忍術を学びし者。持ち前の俊敏性で攻撃を躱していく
「もう怒った!やっつけてやる!よく見ればその爪も超ダサい!」
友好的に声をかけたのに襲われた。
自分の行為を無下にされたことに怒りを覚えていた。
襲ってくるなら迎撃するまでミケランジェロは自分の得物のヌンチャクを取り出す。
だがいつの間に集まっていた緑の怪物15体を見てその顔は青ざめることになる。
「というのはジョークだからね……」
そう言うと踵を返して走り去る。
自分ではこの数は相手には出来ない。ならばとる手段は逃げの一択。
後ろを振り返ることなく全速力で走り曲がり角を右に曲がった瞬間に急ブレーキをかける。
ミケランジェロの目に飛び込んできたのは壁だった。
只の壁ではなく高さ数十メートルはある大きな壁だった。
自分の脚力では飛び越えることは不可能。
他の建物を利用して飛び越えようと考え左右を見渡すが周りも同じような壁で囲まれていた。
「わあ~どうしよう!どうしよう!どうしよう!」
文字通り頭を抱えながら悩んでいると緑の怪物はすぐそばに迫っていた。
「いや~その爪マジかっこいい!顔もトラみたいで超クールだよ!
どっかのドックボッコとは大違い!その緑色も最高にイカてるよ!そういえばボクも緑色!もしかして兄弟!……だから見逃してくれない?」
その問いに緑の怪物は咆哮で答える。
明らかに殺意を漲らせた30の瞳がミケランジェロを見据えていた。
「やっぱりダメ?」
ミケランジェロはヌンチャクを振り回しながら戦闘態勢に入る
数々の戦闘経験からこの怪物一体で自分と同程度の実力と判断する。
それがあと14体。いかに絶望的な戦いかは肌身に染みていた。
「ブヤカシャー!」
だが戦わなければやられる!独特の掛け声を発しながら緑色の怪物にむかって跳びかかるが。
「サイゴン!」
突如謎のシャウトが聞こえたと思ったら、緑色の怪物の首は切断されていた。
その傍には迷彩柄のシノビ装束を身に纏い、異様な円錐形の編み笠を被った謎の男が立っていた。
「大丈夫か!まだ部隊の生き残りがいたのか!?今からそのべトコンを始末する!」
「GARAAA!」
緑色の怪物は雄叫びをあげながら迷彩柄のシノビ装束を纏った男に襲い掛かる!
「サイゴン!」
怪物は迷彩柄のシノビ装束の男に噛みつこうとするがその前に手に持っているマチューテで怪物の首を切り飛ばす!
飛ばされた首は近くにあったゴミ箱に吸い込まれた。ポイント倍点!
「GARAA!」
緑色の怪物は雄叫びをあげながら迷彩柄のシノビ装束を纏った男に襲い掛かる!
「サイゴン!」
怪物は迷彩柄のシノビ装束の男をその爪で切り裂こうとするがその前に手に持っているマチューテを素早く投擲!
マチューテは額のど真ん中に突き刺さる!ストライク!
「GARAAA!」
緑色の怪物は雄叫びをあげながら迷彩柄のシノビ装束を纏った男に襲い掛かる!
「サイゴン!」
怪物は迷彩柄のシノビ装束の男の心臓に爪を突き刺そうとするがその前に手に持っているマチューテが怪物の心臓に突き刺さる!ワザマエ!
「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」
「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」
「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」
数分後そこは目を覆いたくなるような光景が広がっていた。
15体の緑の怪物は全滅し、切り落とされた手足があたり一面に散乱していた。
「ウップ……夜ご飯に食べたピザ吐きそう……」
ミケランジェロは口元を抑え顔色を青くしている。
このような悲惨な光景を目の当たりにしたら気分が悪くなるのも当然と言える。
「ドーモ、フォレスト・サワタリです。お前名前は!」
「ええっとミケランジェロ。レオ達からはマイキーとも呼ばれているかな」
「ミケランジェロ!周囲一帯は直に米軍のナパーム弾が落とされる。直ちに塹壕に避難するぞ」
「ちょちょっと待って。米軍って何!?ナパーム弾って何!?」
そう言うと迷彩柄のシノビ装束の男はミケランジェロを素早く抱きかかえ、マンホールの蓋を開け下水道の中に消えて行った。
フォレスト・サワタリはこの聖杯戦争においてアサシンのクラスで召喚されたサーヴァントだ。
サワタリはニンジャであり、そして狂っていた。
その身に宿したニンジャソウルはグエン・ニンジャ。
そしてソウルの影響で偽りのベトナム戦争の記憶に支配されていた。
先ほどもナパーム弾が投下されると言っていたが現実にはそのようなことが起こるわけもなく、それどころか上空には飛行機も通っていなかった。
しかしグエン・ニンジャのソウルの影響でナパーム弾を落とそうとする爆撃機の旋回音が確かに聞こえていたのだ。
サワタリは薬物中毒者めいて偽りのベトナム戦争の幻覚を見ることがある。
その記憶が彼を狂気に誘ったのだ。
下水路内は悪臭が漂い、壁面には湿気と不衛生な環境のせいか苔がびっしり生えている。
そこらじゅうでドブネズミが我が物顔で駆け巡る劣悪な環境。
しかしサワタリはミケランジェロを抱えながら平然と地下下水路を駆け巡り、適当な場所に腰を掛ける。
「何だよ!いきなり下水道に連れてきて、それにレオ達はどこ!?」
「レオ達とは何者だ?」
「ボクの家族だよ!」
「そうかミケランジェロよく聞け。我々の部隊はべトコンからの襲撃を受け、生き残りは我々二人のみになった。そしてお前の家族とも分断された。
だがこの戦争をサヴァイブし、財宝を手に入れなければならない!」
サワタリもサーヴァントとして現界している時点で聖杯戦争の知識は授かっている。
普通のサーヴァントならばこのゴッサムシティは電脳世界であり、聖杯戦争に勝ち残らなければ元の世界に帰れなく、勝ち抜けば聖杯によって己の願望が叶えられると伝えられただろう。
だがグエン・ソウルの影響で狂ってしまったサワタリは正しく聖杯戦争の仕組みを伝えることができなかった。
「ちょっと待って!さっきから意味がわからないよ!フォレサワ!戦争って何!?レオ達はどこ?」
「フォレサワとは俺のことか?」
「そう!フォレスト・サワタリで略してフォレサワ。カッコいいでしょ?」
ミケランジェロは得意げな顔でサワタリの反応を求めるがそれを無視し、話を続ける。
「この街はナムの地獄と化す。俺たちはサヴァイブしなければならない」
「ちょっと答えになってないんだけど……」
ミケランジェロは意思疎通がとれないサワタリに対してイライラしていた。
今までに会ったことないタイプの人種。
これなら宇宙人のクランゲのほうがまだマシにコミュニケーションが取れるとも考えていた。
「余計なことを考えずにサヴァイブに専念しろ。そうすればお前の兄弟にも会える」
「本当に~?」
「そしてサヴァイブし続ければお前が望むものが手に入る」
「マジで!!するするサヴァイブしちゃうよボク!」
気分が沈んでいたが『兄弟に会える』『望むものが手に入る』という言葉を聞いてやる気を出し始める。
ミケランジェロは純粋な性格だ。
普通なら初対面の人間から望むものが手に入るとなど都合のいいことを言われても簡単には信じないだろう。
しかしその純粋さ故にすぐに人を信じる。
何よりあの絶望的状況の自分を助けてくれた恩人が騙すはずがないという思い、とりあえず信じることにした。
「とりあえずはこの下水路に拠点を作る。適した場所を探すぞ。ついてこいミケランジェロ」
そう言うとはしめやかに下水路を走り出し、ミケランジェロも置いていかれない様に全速力で走り出す。
サワタリはミケランジェロの姿に生前自分が創設したクラン。サヴァイヴァー・ドージョーの面々の姿を見ていた。
自分は何のために召喚されたのか分かっていなかった。
だが緑色の怪物に囲まれているミケランジェロを見た時に理解する。
俺はこの未熟なバイオニンジャをこの聖杯戦争で生き残らせるために呼ばれたのだと。
ノト―リアス、ディスターブド、カマイタチ
彼らのように自分未熟さで命を落とさせたりはしない!
それがサヴァイヴァー・ドージョーのリーダーである自分の役目であると。
(ボクが今欲しいものか~やっぱりピザかな!しかも一生分!)
一方ミケランジェロはサワタリの姿を追いながらまだ手に入れてもいない報酬のことを考え涎を垂らしていた。
サワタリの言う通り生き残ることができれば確かに兄弟の元へ帰れるし、望むものも手に入る。
ただミケランジェロは知らない。この聖杯戦争は命がけのイクサであり。
自分の望みを叶えるためには最低でも一人のマスターの願望と元の世界への帰還という望みを絶たなければならないということを。
【クラス】
アサシン
【属性】
中立・中庸
【真名】
フォレスト・サワタリ@ニンジャスレイヤー
【ステータス】
筋力B 耐久A敏捷C魔力D 幸運D 宝具D
【クラス別スキル】
気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を断つ。
完全に気配を絶てば探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
【保有スキル】
戦闘続行:A
グエン・ソウルがもたらした生命力。
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる
仕切り直し:B
サヴァイヴァー道場のリーダーとして培われた判断力。的確な判断で戦闘から離脱する。
サヴァイブするためには逃げることも必要である
単独行動:A
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクAならば、マスターを失ってから一週間現界可能。
精神汚染E
グエン・ソウルにより偽りのベトナム戦争の記憶を植え付けられ精神が錯乱している。
同ランク以下の精神干渉をシャットアウトする。
しかしランクが低い為ある程度コミュニケーションはとることができる
【宝具】
「ナムの地獄(キリングフィールド・デス・トラップ)」
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:10 最大補足:3人
サワタリの類まれなる技術が宝具として昇華したもの。
そのニンジャ野伏力で敵に気付かれない間にトラップを設置し、トラップが発動すれば相手に十全の力を発揮させることもなく死んでいく。恐るべき殺戮領域を構築する。
サワタリは道具作成のスキルはないが宝具使用時にはトラップの道具を作成することが
可能となる。
生前にトラップに使用した木杭、トラバサミ、ワイヤー、鍋爆弾などは作成可能。
マシンガンなど生前に使用したことがないものは作成できない
トラップ設置時のサワタリの気配遮断能力のランクはA+となり、設置終了後は気配遮断のランクはBに戻る。
【weapon】
編笠
彼のトレードマーク。盾としてスリケンなどを防ぐほか、その淵はブレードになっており、隠し持った奥の手としてここぞというときの投擲武器になる。
タケヤリ
鋼の四倍の強度を誇るバイオバンブー製の槍。組み立て式のようだ。
ククリナイフ
ネパールの少数民族・グルカ族が生んだコンバットナイフ。「く」の字型に湾曲した刀身が特徴。サワタリは数本を所持している。
マチェーテ
いわゆる鉈。森林行軍のために使われた作業用の刀。「マチェット」とも。
【人物背景】
元は暗黒メガコーポの一つヨロシサン製薬の社員。
ニンジャソウルが憑依しニンジャとなる、それに伴って実験体であったバイオニンジャを引き連れ脱走。
その後仲間のバイオニンジャと共に過酷な環境のネオサイタマで気高きトラのように逞しく生きていく。
【サーヴァントとしての願い】
この戦争をサヴァイヴする
【マスター】
ミケランジェロ@ミュータントタートルズ(ニコロデオン版)
【マスターとしての願い】
ピザかな!しかも一生分!
【weapon】
ヌンチャク
ヌンチャクは鎖鎌にも変形する。
【能力・技能】
スプリンター先生から教わった忍術。
その戦闘力、身体能力は常人をはるかに凌駕する
【人物背景】
元は只の普通のカメだったがミュータジェンを浴びたことにより突然変異した人間並みの体格と知能も持ったミュータントタートルズになる。
性格はお調子者で好奇心旺盛。
そのお調子者さから度々トラブルを引き起こすがどこか憎めない。
【方針】
とりあえずサワタリの言う通りゴッサムシティでサヴァイヴする。
最終更新:2015年05月18日 03:30