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「ねえねえ、どうだったアサシン」
『とっても上手だったよ。マスターが楽しんで歌ってるって見てる方もわかるぐらい元気いっぱいで、ダンスのキレもすごかったもん。でも』
「でも?」
『あんまりマネージャーさんを困らせたら駄目だよ』
「だってアサシンとはやく遊びたかったんだもん!」

 赤城みりあはTV局の楽屋にて、見えない誰かとおしゃべりをしていた。
 虚空に向けて語りかける彼女を誰かが見咎めても、幼い時期の子供特有の頭の中の友達に話しかけていると捉えるか、はたまた不思議ちゃんとして売り出す準備をしているか程度にし

か思われないだろう。
 しかし彼女は確かに実在する存在と会話をしていた。自分の持っていたシャブティが姿を変えた存在――サーヴァントと。

『マネージャーさんはマスターのことを思って言ってくれてるんだから、ちゃんと言われたことを守らなきゃ』
「だって私、ちゃんとみんなにお疲れ様でしたって言ったよ」
『うっ、確かに……。だ、だけど、そうしなさいって言われたってことは、きっとそうしなきゃいけないんだよ。次からは全員に聞こえるように大声でお疲れ様でしたって言うだけじゃ

なくて、きちんとひとりひとりにも挨拶しよ。ね? マスター』
「えー……。…………でも、アサシンがそういうならそうするね」
『うん』

 みりあがアサシンの言葉に納得した次の瞬間、楽屋の扉が開かれた。早歩きで中に入ってきたのはスーツを着こなした三十代半ばの女性――みりあのマネージャーだ。
 その顔つきは険しく、先ほど収録が終わると同時に、出演者全員にきちんと挨拶することなく飛び出していったみりあに怒り心頭のようである。

「みりあ! あなたね、自分の立場ってものがわかってないの!? まだ駆け出しのヒヨコでしかないあなたがこの街のお偉いさんに目を着けられたらひとたまりも――」
「プロデューサーごめんなさい! 今度からちゃんとひとりひとりに挨拶します!」
「まだ子供だからわからないかも知れないけど………………て、え? ど、どうしたのよ急に」
「プロデューサーは私のことを思って言ってくれてるから、ちゃんとしなさいって言われたことは守らなくちゃって」
「え、ええ……。なんだわかってるじゃない。それならいいんだけど、次から頼むわよ」
「はぁい。あ、そうだ! ねえねえプロデューサー、今から友達とショッピングに行ってきていい?」
「今から? まあまだ明るいから構わないけど、絶対に路地裏とか人気のないところに行ったら駄目よ? あと暗くならない内に帰宅すること。ちゃんと守れる?」
「うん!」
「なら行ってよし」
「やったぁ! 早くいこ♪ アサシン!」
「は? アサシン?」
『わわ、人前でみだりにクラス名を喋っちゃ駄目だよマスター!』
「あ、そっか。なんでもないよプロデューサー! じゃあいってきまーす☆」



 訝しむプロデューサーを他所に、みりあは急いで着替えを済ませると楽屋から飛び出した。
 迷路のようなTV局の中を迷うことなく駆け抜け、出口で彼女のことを待ち受けている少女に声をかける。

「お待たせアサシン♪ さあ、ショッピングにレッツゴー☆」
『だからアサシンって呼ぶのは駄目だってば……』
「えーっと、じゃあ樹ちゃん! ショッピングに行くぞー!」




                ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆*****




「アサシンはなにか叶えたいお願いってあるの?」
『だからアサシンじゃないよ』

 繁華街の人ごみの中、マスターは聖杯に望む願いはないかと尋ねてきた。
 流石にこうも人が多いところで聖杯戦争に関わる話をすることは憚われ、持ってきていたスケッチブックで返事をするわけにはいかなかった。

「私ね、叶えてもらいたいことがいーっぱいあるんだっ☆ カワイイ衣装とか、大きなステージで歌ったりとか!
 でも一番はみんなのところに戻って、また全員一緒にステージに立ちたいんだ☆」
『私の願いも、マスターを元の世界に戻してあげることだよ』
「ほんと!?」
『うん』
「えへへ♪ ありがとう樹ちゃん☆」




 マスターはアイドルであった。
 自分が歌手になるという夢を抱いたのが12歳の時であったのに、マスターは11歳にして既にステージに立ち、そしてお客さんを笑顔にしていた。
 すごいと思った。歌唱力もダンスもとても小学生のものとは思えないレベルで、そしてなによりも彼女の笑顔は、煌びやかな衣装やスポットライト、出演者が身に着けていた宝石なん

かより、ステージ上の他のどんなものよりずっとずっと輝いていた。キラキラしていた。
 そう。彼女は、スターなのだ。
 歌と、そして彼女の笑顔の輝きでみんなを笑顔にする、人々を幸せにする素敵な星。
 きっと彼女が元居た世界では、彼女が失踪したことでみんなが心配している。悲しんでいる。
 だから私は、マスターを守って、無事に元の世界に帰してあげなければならない。

「樹ちゃんってお姉さんがいるんだ! えへへ、実は私は妹がいるんだー☆ だから私もお姉さん!」

 ううん、それだけじゃ駄目。ひょっとしたらNPCとしてマスターの知り合いもこの汚らわしい街に呼ばれているかもしれない。
 彼女をアイドルたらしめる笑顔を、こんな聖杯戦争なんかで曇らせるわけにはいかない。もしもを考慮するとNPCへの被害も極力防いでいかなくてはならないだろう。

「ねえねえ樹ちゃん! また前みたいに変身して私を運んで! あれジェットコースターみたいですっごく楽しかった☆」
『そろそろ聖杯戦争が本格的に始まるから、そんなことしたらすぐに他のマスター達に見つかっちゃうよ。しばらくは禁止です』
「えー!! なんで!? 見つかっても大丈夫だよぉ! お願いッ」
『大丈夫じゃないし、今は人目も多いから無理だよ。あと、念話で話さないと変な目で見られるよ?』
「そんなことないよ。だって樹ちゃんはちゃんと私を守ってくれるし、今もこうして私とお話してくれてるもん。なにもおかしくないよ☆」

 マスターはおしゃべりが大好きなのに、呼び出された時期のせいで念話かスケッチブックでしか会話できないことが申し訳ない。
 だけどその分マスターを守る力を持ってくることができたのだから、彼女の為にも精一杯頑張ろう。

「そろそろお腹減ってきたね。樹ちゃんは何か食べたいものある?」

 マスターからの質問。
 近くに目をやれば、ハンバーガーショップやホットドッグの屋台などがある。
 ハンバーガーやホットドッグなど、四国にも外国の料理は残っていたが、やはり本場のものはスケールが違う。
 どれも捨てがたく、悩みに悩んで出た答えを手元に用意していたスケッチブックに書いてマスターに見せる。





「おうどんかー。この街にうどん屋さんってあるのかな?」






【クラス】アサシン
【真名】犬吠埼樹
【出典】結城友奈は勇者である
【属性】秩序・善
【パラメーター】筋力:C 耐久:D 敏捷:B 魔力D 幸運:C 宝具:B

【クラススキル】
気配遮断:‐
後述の『無力の殻』を発動中にのみ、サーヴァントとしての気配を完全に断つことが可能。

【保有スキル】
神性:E~B
身体の一部を供物として神樹に捧げたことにより得たスキル。
供物として捧げた機能は神霊の所有物であるが、アサシンの身体の一部であることに変わりはないため、『散華』を繰り返す度に神霊としての側面が増加していくこととなる。

無力の殻:-
勇者へ変身していない状態のアサシンは英霊として座には記録されていないため、変身を解いている状態のアサシンは魔術師及びサーヴァントにサーヴァントとして認識されない。
なお上記のパラメーターは勇者に変身している状態のものであり、このスキルが発動している状態でのアサシンの身体能力は一般の女子中学生のものと変わらない。


【宝具】
『勇者の不凋花(神樹の祝い)』
ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人
神の祝福。
『勇者』という存在を害する全てに対し精霊が出現し、無効化する。しかし神霊由来の防御であるため、一定ランク以上の『神性』を持つ相手ならば突破は可能。その際の攻撃はBランク分の威力削減を行ってからダメージ計算する。
また神性由来でなかろうと、攻撃によって発生した衝撃波や音などには精霊が現れない、もしくは現れてもそれを緩和する程度となる。
なお、『無力の殻』を発動している状態でも、アサシンに危害が及ぶ際に自動で精霊は出現する。

『満開』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:99 最大補足:1000人
勇者の切り札。神樹から通常よりも多くの力を引き出し、飛行能力を得るだけでなく全てのパラメーターを倍加させる。
発動すると神官や巫女を思わせる服装となり、背後に巨大なアーチと花が現出し、そこからワイヤーを射出出来る。発動中はワイヤーの射程距離・操作性も格段に上昇する。
10ターンの発動を以って終了し、その際に『散華』が発生して身体機能の一部を喪失する。喪失する機能はランダムであり、サーヴァントとなっているため『散華』しても精霊が増加することもない。
また、『満開』発動中は『勇者の不凋花』は発動しない。

【weapon】
  • ワイヤー
勇者に変身している際、両手の裾に花の装飾が施されたリングを召喚し、そこからワイヤーを伸ばすことができる。
ワイヤーを巻きつけて拘束したり細切れに切断することなどが可能。

  • 雲外鏡
満開によって追加された精霊。
木霊とは異なり自動発動はしないが、Dランク以下の攻撃を無効化する結界を展開できる。Dランク以上の攻撃は突破されるが、その際にDランク分の威力削減を行う。

【サーヴァントとしての願い】
マスターを平穏無事に元の世界へ戻す。
またマスターの関係者が巻き込まれていた場合、その人物も無事に元の世界へと戻す。



【マスター】
赤城みりあ@アイドルマスター シンデレラガールズ(TVアニメ版)

【マスターとしての願い】
叶えて欲しいことはたくさんあるが、一番は346プロのみんなとまたステージに立つこと。

【weapon】
なし

【能力・技能】
アイドルとしてのレッスンを行っている為、運動神経はいいかもしれない。
おしゃべりが趣味で、相手が独特な話し方をしていてもきちんと意思疎通ができる。

【方針】
アサシンに任せる。



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最終更新:2015年05月18日 03:39