Green Paradise 【母家】
死010
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匿名ユーザー
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噂のお題の人
『初めて知った死の重み』
そもそも思い起こせば、身近な人で亡くなった人がいないんだな。 だから、大切な人を亡くした感情っていうのに非常に鈍感かもしれない。 おやじもおふくろも健在だし、ばあちゃんじいちゃんに関しては、物心つく前に亡くなってるしね。 社会に出てからも、会社のスタッフの近親者が亡くなったりってのはあるけどね。 しかし、どれをとっても心にポッカリ穴があくっていうのは、今までそれほどお目にかかる機会がなかったのかも。。。
でも、ひとつだけあるとすればあれだな。
俺が今の店の前に勤務していた店でのこと、一人の女の子が自殺しちゃったんだな。 彼女は俺よりも10歳ぐらい年下やったかな? どういうきっかけで仲良くなったのかは忘れたけど、毎日、俺の仕事が終わるのを覗きにきたり、仕事を手伝ってくれたり。。。誕生日プレゼントも貰ったな。
そんな彼女と一回だけ二人で飯を食いにいったことがあるの。 噂ってのは怖いもので、深夜やったのにあっという間に「ぐうたらさん、不倫したはんねん!」(笑) おいおい、俺はチュウもしてないし、手もつないでないんやぞ! しかし、そんなワイドショーみたいなネタにもめげず、彼女は毎日のように、俺の仕事を覗きに来てました。 なんていうのかな?感性が合うっていうのかな? さすがに年が離れてるので、ピッタリって感じじゃなかったけど、映画の話なんかの趣味が合ったって感じかな?で、何事もなく日々は過ぎていったんやけど。。。
ある朝、職場に警察から電話があったの。 「もしもし、○○警察ですが、署まできていただけませんか?」 俺はなんのことかわからず、「なんですか?」。 すると、「○○さんが今朝お亡くなりになりました。」とのこと。 さすがにわけがわからず、凍りついたような感じになったな。 取り調べ室に案内され、根掘り葉掘り聞かれ「身体の関係はありましたか?」だの「奥さんには黙っときます。」だの。 どうでもいいちゅうの、そんなことは! 結局、理由はわからないままやったけど、どうも手帳に俺のことが書いてあったらしいんだな。 早朝に発作的にマンションから飛び降りたらい。
その後、葬式に参列したんやけど、やましいことはなくても、両親をみると辛かったな。 棺の中の彼女がどうして動かないのかもわからなかった。 ちゃんとした人間の原型をしてるし、今にも目が開きそう。 笑って、いつものようにペチャクチャ話しそう。 でも、反応がないんだ。 これが「死」ってもんなのか! 俺は、いい年こいて初めてこの時、人間の「死」が悲しいものやとわかったのかもしれん。 でも、不思議と涙は出なかったな。 どうして泣いたらいいのか、わかなかった。というより、他の人と同じように、しらじらしくオイオイと泣くのが嫌だった。 「俺は薄情だなぁ~」と思ったけどね。 もちろん、このことは嫁には正直に話した。 ちゃんと正座して聞くようにいったが、ソファーでふんぞり返りながら聞いていた。(笑) 後から、いらぬ噂で嫁を傷つけるわけにはいかないしね。 まあ、彼女もちょっと俺の雰囲気が違ったので動揺してたんやとは思うが。。。
何日か経って、人がその出来事を忘れた時に、俺はいつも仕事が終わってから、彼女と座っていた店のベンチで、気が抜けるのと、涙が出てきたのを覚えている。
毎年、墓参りはしようと思ったんやけど、ずっと彼女の遺骨は家にあるらしくて、墓参りもいけないんだな。 彼女の家に、手を合わせに行くっていうのは、周りの噂を肯定することのような気もするし、残された者に迷惑もかけたくないし、彼女もそれを望まないような気がしてね。 とまあ、よくありがちな話なんやけど(笑) 毎年その日がくると思い出す話でね。 ほんとこれぐらいかなぁ~マジで「死」を実感したのは。