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氷室「君といると、僕が僕じゃなくなるみたい。」
氷室「手、まだ離す気ないから。……以上。」
氷室「あのさ。もう少しだけ……いいでしょ?」
氷室「ずっと、この時間が続けばいいのに……」
氷室「顔、緩みすぎでしょ。ま、楽しそうで何より。」
氷室「年下だからって、油断してない?」
氷室「まだ、いいでしょ?」
氷室「……変なの。君のこと、帰したくない。」
氷室「……本当は、帰りたかった?ごめん、今は答え聞きたくない。」
氷室「別にいいけどさ……節度、わきまえてよ。」
氷室「どうなっても、知らないから。」
氷室「……こっち来て。――いいから。」
氷室「ふぅ……今日はここまで。」
氷室「えっ、もう家……?」
氷室「……やっぱ女子って、けっこうスキンシップするんだ。」
〇〇「そうかな?」
氷室「自覚ないわけ?女子の中でも君って激しいほうだよ。」
〇〇「……他の子も氷室くんのこと、触ってるの?」
氷室「な――!?」
氷室「そんなわけないだろ!誰にでも触らせてると思ったの?君にしかこういうこと許してないから!」
〇〇「ご、ごめん!でも、わたしは激しいって……」
氷室「女子同士で戯れてるのを見ての感想。へんな誤解しないで。」
氷室「もしかして、同性異性関係なくやってるの?」
〇〇「ううん、やってないよ。」
氷室「……本当に?」
〇〇「本当に!」
氷室「なら、いいけど……」
氷室「あ、違う、よくない。僕に対しても自重して。いい?」
〇〇「わ、わかった。」
氷室「ふぅ……先が思いやられる。」
〇〇(???)
氷室「自重してって言っただろ。」
〇〇「え?」
氷室「その、ペタペタペタペタ触るの。」
〇〇「あっ……」
氷室「君って学習能力ない?三歩歩けば忘れるっていう鶏なわけ?違うだろ、人間だろ、学習したら?」
〇〇「ごめん……」
氷室「謝って欲しいわけじゃないし。」
〇〇「本当にごめんね。もうしない。」
氷室「一度、裏切られたわけだけど?」
〇〇「本当にしないから!」
氷室「あ、そ。」
氷室「はあ……」
〇〇「氷室くん?」
氷室「……適度にほどよく。」
〇〇「え?」
氷室「適度にほどよくなら触ってもいい。」
〇〇「えっ、でも……」
氷室「なんども言わせないでくれる?」
氷室「どうせ一切やめろって言っても無駄なのはわかってるから、妥協案。わかった?」
〇〇「う、うん……」
氷室「じゃ、そういうことで。帰る。」
〇〇(適度にほどよく……か)
氷室「まただ……」
〇〇「えっ?」
氷室「触るのは、適度にほどよくって言っただろ?」
〇〇「あ……」
氷室「こっちが黙ってたら、調子に乗って……」
〇〇「ごめんなさい……」
氷室「だから、謝ってほしいわけじゃない。もっと慎みを持ってくれる?」
氷室「……僕だって男なんだし。」
〇〇「え?」
氷室「なに、その驚いた顔?もしかして、女子同士の感覚で触ってたわけ?」
〇〇「ち、違う!ちゃんと男の子だってわかってるよ?」
氷室「へぇ?男だってわかってて、触ってるんだ?ある意味もっと問題なんだけど。」
〇〇「う……」
氷室「じゃあ、自分が女子だってのは理解してる?」
〇〇「も、もちろん!」
氷室「ハァ……感覚がお子様なだけか。」
〇〇「ええ!?」
氷室「あのさ、もっとしっかりしてくれる?一応、年上なんだから。」
〇〇「う、うん……がんばる。」
氷室「……本当、頑張って。」
〇〇(よし、年上らしくしないと……!)
氷室「本当、わかってない。」
〇〇「えっ?」
氷室「僕も男だって言ったよね?それとも後輩だからって、なめてんの?」
〇〇「そんなこと……!」
氷室「その気になれば、君のことだって力づくでどうとでもできるんだよ。」
〇〇「……力づくって?」
氷室「君があおるからいけない。僕は悪くないよ。」
〇〇「あおってるつもりは……」
氷室「自覚がなくてもあおってる。」
〇〇「う……」
氷室「適度にほどよくって言った僕も悪かったけど、まさかここまでとは思わなかった。」
〇〇「そんなに触られるのが嫌?」
氷室「嫌じゃない。けど、犬じゃあるまいし、触られてただ嬉しいじゃ済まないんだよ。」
氷室「その行為に意味を求めるし、その先のことだって、意識せざるを得ない。……わかるでしょ。」
〇〇「う、うん……なんとなくは。」
氷室「なんとなくは以後禁止。勉強して出直してきて。以上!」
〇〇(勉強って、どうすれば……!?)
氷室「ああ、もう!」
〇〇「!?氷室くん……?」
氷室「あれだけ言ったよね?自重しろ、行動を慎め、勉強しろって!何1つ実行できてないだろ!」
〇〇「意識は、してるつもりなんだけど……」
氷室「……どこが?」
氷室「今のが、勉強したうえで自重した慎みのある行動だって言うなら、全力はどうなるんだ?」
〇〇「全力か……」
氷室「考えないでいいよ。付き合ってられないから、帰る。」
〇〇「えっ!?待って!」
氷室「なに。」
〇〇「その……きちんと謝りたくて。」
氷室「……はぁ。だから、何度も言ってるでしょ。謝ってほしいわけじゃないって。」
氷室「君に触られること自体は嫌いじゃないし。むしろ……嬉しい。」
〇〇「うん……」
氷室「ただ、もっと自覚してほしい。その行動は、君が思っている以上に僕には刺激が強すぎるって。」
氷室「……こんなこと、言わせないでよ。」
〇〇「ごめんなさい……」
氷室「こっちも、声を荒げてごめん。でも、そういうことだから。」
〇〇「うん。」
氷室「……じゃ、帰る。おやすみ。」
〇〇(ちょっと反省しないとかな……)
氷室「…………わかった。僕も認識を改める。」
氷室「これまでは、こっちの要望を一方的に押し付けてたし。」
〇〇「氷室くん?」
氷室「僕は適度なスキンシップを求めたけれど、君は過度なスキンシップをしたいんだろ?」
〇〇「そ、その表現は……」
氷室「僕にとっては、君のスキンシップは過度なんだ。」
〇〇「う……」
氷室「だから、1つ確認させて。」
氷室「この過度なスキンシップは、僕相手だからやってる?それとも――」
氷室「誰でも良かった?」
〇〇「そんなことない、氷室くんだからだよ。」
氷室「……そ。」
氷室「じゃ、努力をするしかないか。」
氷室「君を自制させるのより、そっちの方が手っ取り早そうだし。」
〇〇「ありがとう。」
氷室「どういたしまして。じゃ、帰る……またね。」
〇〇(氷室くん……)
氷室「ほんと、理不尽。」
〇〇「あ、また……ごめんね?」
氷室「いつまで我慢できるか……知らないから。」
氷室「……近くない?」
〇〇「あっ、ごめん!」
氷室「別に怒ってるわけじゃないし。」
〇〇「もっと近くにいっちゃダメ?」
氷室「…………いいけど。」
氷室「僕で遊んでるんでしょ?」
〇〇「もちろん。」
氷室「……認めるんだ。」
〇〇「遊びじゃない、本気だよ。」
氷室「」
氷室「」
〇〇「」
氷室「」
〇〇「」
氷室「」
氷室「」
〇〇「」
氷室「」
〇〇「」
氷室「」
氷室「」
〇〇「」
氷室「」
〇〇「」
氷室「」
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