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オデッサの激戦

作戦二日目、11月8日の朝である。夜通し激戦の続いた戦区では、兵士たちが疲れ切った体を起こし、今日も続くであろう死闘を待っていた。連邦軍の第二次攻勢はまもなく始まろうとしていた。
公国軍側の戦線では、ジオン兵達が夜の間に自分たちの陣地を強化していた。複雑になった戦線を一部で退却させ、そこから兵力を捻出したのである。だがそれでも、公国軍の圧倒的劣勢の状況には変化がなかった。
損害を受けた部隊に速やかに補充を行えた連邦と異なり、公国軍には戦略予備というものが存在しなかったのである。さらに指揮系統が複雑に絡み合っていた。
オデッサ地方を守る公国軍は形式上マ・クベ司令の突撃機動軍に所属していたが、西ヨーロッパから退却してきた欧州方面軍に所属する部隊は、マ・クベ司令部の命令に従うことをよしとしなかったのである。
このため戦域全体の連携が取れなくなっていた公国軍は、各部隊が独自に反撃することを強いられたのである。

前日と同様、戦いは激しい砲撃によって始まった。戦線全体が轟音と炎に包まれ、戦い疲れた兵士達の上に襲いかかる。

「伏せろ!伏せろ!」

圧倒的な砲撃の前に無力な歩兵たちは、ただ自分の体を地面に埋めるようにして伏せることしかできなかった。
だが無慈悲な砲撃は彼らの隠れている掩蔽壕やトーチカそのものを吹き飛ばし、必死に取り繕われた公国軍の戦線は再びボロボロになっていった。だが一部のジオン兵達はこの砲撃のさなかにも戦う準備を続けていた。
MSのパイロット達は砲弾の爆発が舞上げた土砂の中を駆け抜け、愛機によじ登った。ろくな補給も整備も受けていない機体がほとんどだった。それでも彼らは戦う。
最後の勝利を無心で信じて、ジオンの栄光を示すために、愛する者達を守るために。死地へ赴かんとする彼らの姿は、紛れもなく戦士のそれであった。ザクが、ドムが、グフが、目の前に広がる地獄へと繰り出していく。
そこでは今も彼らの戦友が苦痛にもがきながら死んでいく。そして彼らとていつその後を追うことになるかわからない。だが、誰も足を止めようとはしない。いかなる困難に遭遇しようとも必ず敵を殲滅する。それがジオンのMSパイロットだ。

だが砲撃の嵐の中で、その場にあるまじき厳粛さで語る男がいた。

「括目させてもらおう、ガンダム。今日こそ君の姿をこの太陽の下で見てみたいものだ。」

その男、グラハム・エーカーはそう独りごち、愛機である専用のカスタムフラッグに乗り込んでいった。彼の決意は固い。部下を失った仇、必ず討たせてもらおう。

そしてもう一人、ガンダムへの復讐に燃える人物が、ここオデッサにいた。彼はオデッサ上空を飛翔するザンジバル級巡洋艦、ダモクレスから燃え上がる戦場を見下ろしていた。
黒の騎士団の指導者ゼロは、ブラックハウスは敵の第4軍の麾下にあるとの情報を掴んでいた。ガンダムとの戦闘で重傷を負ったスザクは驚異的な回復を見せていたが、全快とはほど遠い。
そしてゼロは自分に敗北の汚名を浴びせた敵を決して許さない。彼は燃え上がる復讐の炎をそのマスクとマントに隠し、戦場へと舞い降りようとしていた。

† † † † †

わたし達はあずにゃんに呼ばれ、艦橋に来ていた。そこには意外にもムスカ大佐がいて、あずにゃんに命令文書を手渡していた。

「これはこれは。王女様ではないか。」

相変わらず芝居がかった言葉がこざかしい。どうにも好きになれない。

「では、確認するぞナカノ少佐。我々の行動は依然第4軍団司令部によって制限されているが、強行偵察の許可は降りた。ブラックハウス戦闘団はここから単独で進撃し、敵の防衛ラインがどの程度強力であるか、実際に攻撃を仕掛けて調べるのだ。私はゴリアテで左翼を進む。君のブラックハウスはここから右へそれつつ前進するのだ。だが死神旅団の戦域には入るな。お互いに誤射の危険性がある。いいな。」
「了解しました。」
「期待しているぞ。では失礼。」

ムスカは余裕たっぷりに敬礼をすると、艦橋から去っていった。

「意外だけどあの大佐は前線にはよく出ていくんだな。」

ナガモンが言った。確かに昨夜の輸送部隊護衛でも、ムスカはゴリアテに乗艦し最前線拠点までやってきていた。若くして大佐の地位にまで上り詰めるのは楽ではないらしい。

「みなさん来てますね。聞いていたと思いますが、強行偵察の任務が回ってきました。ブラックハウスのMS隊は2グループに分かれて行動してもらいます。グループ1はBlackCat、ブラックサンヤラナイカの三機、ブラックハウスに先行して露払いをしてもらいます。残るマスタースパークとWhiteCatはブラックハウスの直援として船のすぐそばにいてもらいます。マスパは甲板の上で船からエネルギーの供給を受けつつの戦闘になります。」
「おまかせあれだぜ。」

あずにゃんが任務を簡単に説明し、魔理沙が陽気に答える。

「偵察任務はわかったけど、本格的な攻撃はいつになるのあずにゃん?」

わたしはずっと思っていた疑問を口にしてみた。

「まったくわからないです。いよいよエルラン中将の考えはわかりません。どうして攻撃に移らないのか・・・。集まった情報はどれもわたし達の正面の敵は弱体であることを示すものばかりなのに。」

各々のコックピットに収まったわたし達は次々にブラックハウスから飛び出していった。南の方角では次々に爆発が起こり、真っ黒な煙がわき上がっていた。第3軍団の戦域では今この瞬間も激戦が続いている。
死神旅団の受け持ち地域ではすでに攻勢準備砲撃が終わったらしい。最前線拠点から繰り出していくGMがかろうじて見える。

「なんで隣は戦ってるのに、わたし達は偵察任務なのかなぁ。」

ついつい不平を漏らしてしまう。

「オレ達の任務だって戦いには変わりない。油断は禁物だぞ。」

ナガモンがすかさず注意を促してくる。わかってるって。

「前方!敵戦車3輌!高速移動中!!」

シンが叫んだ。マゼラ・アイン空挺戦車だ。わたし達から見て左から右へ、すなわち北から南へ向かって疾走している。第3軍団に叩かれている友軍の応援に向かうらしい。

「あれをやるぞ!二人はこのまま進め!オレはここから援護する!」

ナガモンが素早く指示を飛ばす。待ってました!
わたしはシンとともに機体を駆り、敵戦車の前方へ回り込むように走らせる。敵もこちらに気づいている。戦車にしては身軽な車体を軋ませ、わたし達が針路上に来ないように急旋回、疾走を続ける。手慣れた運転だ。
わたしの乗るブラックサンは完全に素手だから逃げられたらどうしようもない。なんとしても針路に飛びでなくては。そう思った瞬間、一発のビームがさらに加速する敵戦車を捉えた。
敵戦車は瞬時に大爆発を起こし、後続の戦車がそれに巻き込まれた。一瞬で3輌とも撃破。ナガモンの狙いすましたアームストロング砲だった。見事過ぎる。わたしとシンには出る幕が無かった。
わたし達の機体は格闘戦に特化しているから接近できないとどうしようもない。だがアームストロング砲を有するBlackCatならかなりの距離での射撃戦も可能だ。だがわたしはこの機体、ブラックサンがとても好きだった。
まさしく徒手空拳の設計思想はわたしのセンスにぴったりだった。ブラックサンはジャブローに着く直前で交戦したあの小型MSのような新兵器に対抗してつくられた。たしかにこれだけの柔軟な機動性があればあの新兵器にも対抗できるだろう。

「2時方向に新たな敵!今度はザクだ!単独行動で偵察中の模様。」

シンが再び敵を見つけた。めざとい奴だ。

「発見されたな。ブラックハウスが見つかる前に倒すぞ!」
「了解!今度はわたしがやる!二人は周囲の警戒を!」
「了解!頼むぜ猫さん!」

わたしはブラックサンをジャンプさせ、一気にザクに接近させた。ザクは空中にあるブラックサンを狙い撃ってきたが、ナガモンほど正確ではない。このまま間合いを詰める。うろちょろするより当たらないものだ。
ザクの懐にまで飛び込んで、まずその手のザク・マシンガンをはたき落とす。ザクはヒート・ホークを抜いたが、遅い遅い!

「くらえ、愛と怒りと悲しみのォ!」

わたしはブラックサンの左手で振り下ろされるザクの腕を止め、同時に右手で頭を鷲づかみにした。

「シャイニング・フィンガー!!」

バイタルチャージが作動し、ザクの頭は粉々に砕け散った。昨夜このオデッサに散った補給隊員の仇討ちだ。まずは一機!

† † † † †

黒の騎士団の母艦、ダモクレスでは、三機のKMFが発進準備を終えていた。その内の二機は蜃気楼紅蓮弐式であり、それぞれにゼロとカレンが搭乗していた。もう一機は斬月と呼ばれる機体だった。
黒を基調としたカラーリングの機体だが、もっとも特徴的なのはその頭部から伸びる赤い髪である。もちろんこれは本当の髪の毛ではなく、衝撃拡散自在繊維と呼ばれるれっきとした装備である。
これにより機体の放熱機構や通信機能の強化などが可能であり、また敵機の武装にからめて無効化したり直接攻撃から機体を守ったりすることもできた。その斬月に乗り組んでいるのはキョウシロウ・トウドウ中佐。
彼もまたこの戦争の初期から戦い続けてきた男である。ジオンの地球降下作戦の際にはたった一人で敵の守備隊を壊滅させ、その戦功から「奇跡のトウドウ」の異名をとっていた。
今彼は、初めて交戦する連邦軍のMSに関するデータを読みふけっていた。
機動力、火力、防御力、どれをとってもジオンのザクをはるかに凌駕する性能を持ち、彼も一目置くパイロットであるスザク・クルルギに重傷を負わせた敵のMSは、今度はこのオデッサに現れたらしい。彼は自問する。
「自分にあのガンダムを倒すことができるだろうか」と。そして彼は自答する。「たとえ差し違えてでも、あれは自分が倒すのだ」と。それはもはやできるかできないかの物理的な問題ではない。やるかやらないか。
自らの精神的な問題なのだ。根っからの堅物軍人である彼にとって、任務とは命をなげうってでも達成せねばならないものなのだ。
シグナルが点滅し、三機のNMFは硝煙漂う戦場のまっただ中へ飛び出して行く。何の因果か、彼らが防衛を命じられたのは連邦軍第4軍団の正面、ブラックハウス隊のいる戦区であった。

運命に導かれるように、黒の騎士団とブラックハウス隊は広い戦場の中で互いに急速に接近していった。最初に敵を見つけたのはブラックハウスのレーダー係、カントー・ドゲザであった。

「センサーに感!11時の方向、距離8000!かなりの大型艦です。ライブラリ照合…、出ました!ザンジバル級です!」
「やはり手薄とはいえある程度の兵力はいるようですね…。攻撃を掛けます。総員第一戦闘配置!」

あずにゃん艦長の号令一下、ブラックハウスの戦闘機器が次々に起動してゆく。

「敵ザンジバル級より発進する機影!これは、アマゾンで交戦した小型MSと同一のものと思われます。」
「アークさん、ナガモンさん達に伝えてください。先遣隊は敵小型MSの攻撃に専念、ザンジバル級はブラックハウスとマスパ、WhiteCatに任せるように。遠慮はいりません。今度こそあの新兵器を倒してください。」
「了解!」
「副長、ブラックハウスは転進します。針路335、高度3000、両舷最大戦速!」
「アイ・マム!取り舵10、上げ舵15、両舷最大戦速!」

一方、ブラックハウスの前方にいるナガモン達は、すでに黒の騎士団のKMFを目視距離にとらえていた。

「猫さん、あれが敵の新兵器ですか?」

シンが黒猫にきいた。

「そうだよ。三機の内二機はこの間と同じ、もう一機は初めて見るけど、同じような性能と見て良いだろうね。」

黒猫がそう答えると、今度はナガモンがシンにきいた。

「長距離行軍のあといきなりの戦闘になるが、機体に問題はないか?」
「もちろん!いつでも行けます!」
「よし、シンは敵の側面に回り込め。オレと黒猫はこのまま前進し、敵の足を止める。そこへ突っ込んでこい。」
「わかりました!」

シンはヤラナイカの機体を旋回させると、バーニアをふかして宙に舞い上がった。それに対応したのか、敵の新兵器はバラバラに散り、その内の一機、紅い機体がシンのヤラナイカに向かった。

「シン!紅い奴は輻射波動砲を持ってるよ!気をつけて!」
「わかってますよ猫さん!」

着地したヤラナイカと紅い機体との距離はみるみる詰まり、紅い機体、紅蓮弐式とヤラナイカはどちらも右腕を振りかざした。紅蓮弐式の腕には輻射波動砲が、ヤラナイカの腕には試作型のトンガリコーンスラッシュが装備されている。
両者はかなりの高速ですれ違った。その瞬間、両方の機体は強い衝撃に揺さぶられ、双方のパイロットは一瞬何が起きたのかわからなかった。紅蓮弐式は頭部を損傷し、ヤラナイカはトンガリコーンを粉砕されていた。
だがこれで引き下がる両者ではなかった。シンは即座に体勢を立て直し、残された左腕だけで格闘戦を挑んだ。一方のカレンも、戦闘意欲を失ってはいなかった。カレンはヤラナイカの巨体を鋭く見つめ、次なる攻撃に移ろうとしていた。
だがそこに蜃気楼からの通信が入った。

「退け、カレン!今は一機でもやられるわけにはいかない!」

ゼロはすでにBlackCatとの交戦状態に入っていた。それでも僚機の状況に気がつくのは、彼の戦略家としての有能さを物語っていた。カレンはヤラナイカの対人機銃を避けつつ答える。

「たかがメインカメラをやられただけです!負けられません!わたしの紅蓮弐式は!!」
「これは命令だ!お前を失うわけにはいかないんだ!!」
「ゼロ……。…わかりました。」

カレンはシンの攻撃をやり過ごすと、スモークチャフばらまき、戦域からの離脱をはかった。

「あぁっ!くそ、逃げるのか!」

文字通り煙に巻かれたシンは毒づくが、すでに紅蓮弐式は遠く走り去っていた。その上空、かなり低い所を、ザンジバル級巡洋艦ダモクレスが飛行していた。
ダモクレスはその主砲であるコイルガン式の連装主砲を撃ち放ち、シンは反射的に機体を交代させた。刹那、ヤラナイカの立っていた場所に砲弾が爆ぜ、オデッサの大地に大穴を穿った。

「シン!大丈夫か!」

高速で起動する蜃気楼を狙い撃ちながらナガモンが叫ぶ。

「このくらい!なんともないです!」

一方黒猫は斬月の巨大な日本刀に翻弄されていた。無駄な動きのない太刀筋は、黒猫の直感力を以てしても避けることの難しい攻撃だった。
また太刀筋が読めたとしても柔軟性に富んだブラックサンでなければ、何もできないまま機体を切り刻まれていたに違いなかった。黒猫は疲れを感じていた。一瞬でも気を抜けば斬られる。
だが次々に繰り出される攻撃はこちらに反撃の隙すら与えてくれない。

「これはッ、分が悪いね!」

一瞬のタイミングを見計らい、黒猫は腰部の拡散ビーム砲、キングストーンフラッシュを放った。だが、MSよりずっと小型の敵機には直撃させることができない。
黒猫が敵機からの次の攻撃を予感して身構えると、今度はダモクレスが主砲を撃ってきた。間一髪でこれをかわす。すると今度こそ斬月の刃が襲いかかってきた。刀身が機体をかすり、ブラックサンは一瞬バランスを崩す。
「マズイ」と思ったその時、日本刀をまっすぐこちらに突き出した敵機がモニターに映し出された。その刃がコックピットを突き出すかと思われたまさにその瞬間、敵機とブラックサンの間を強烈なビームが駆け抜けていった。

「助かったよナガモン!」

BlackCatのアームストロング砲だった。アームストロング砲のビームは敵機がつき出していた日本刀をかすめたらしく、それを瞬時に蒸発させていた。

トウドウは機体をいったん敵機から離し、自分の額の汗をぬぐった。危ない所だった。敵の黒いガンダムの主砲は、想像以上に強力だった。もしあと1メートルでも前にいたらやられていた。
トウドウは軽く深呼吸し、斬月の足を止めないように絶えず機動しながら辺りを見渡した。カレンと戦っていた青いザクモドキは今度はゼロの蜃気楼に向かっている。その蜃気楼は今黒いガンダムと至近距離での射撃戦を演じていた。
蜃気楼はその機体の周囲に全方位エネルギーシールドを展開し、ガンダムのビーム攻撃に対して異常なまでの防御力を証明していたが、防戦一方にも見えた。戦況は押され気味と言わざるをえない。
だがゼロとトウドウはダモクレスからの援護射撃をうまく利用しながら、機体の瞬発力を生かしてどうにか戦い続けていた。トウドウは今度はザクそっくりの青い機体に目標を絞り、接近していく。
ダモクレスから発射された砲弾が青いザクモドキめがけて飛来し、ザクモドキがそれをかわしたところへ斬月がすかさず切り込む。ザクモドキの機動性は本家ザクと大差ないように思われた。ならば小回りのきくKMFが有利だ。
トウドウはそう判断し、果敢に攻撃を仕掛ける。日本刀はビームに溶かされてしまったから、トウドウは使い慣れないスラッシュハーケンを準備しザクモドキに踊りかかった。

一方ヤラナイカに乗るシンの額にも、じっとりと汗が浮かんでいた。ヤラナイカの主武装である試作型トンガリコーンは、先の紅い敵機との戦闘で粉砕されてしまった。
いまやヤラナイカはブラックサンのようにう完全な素手での格闘戦を強いられているのである。だがやるしかない。機動性はザクのそれからまったく変わらないが、MSより小さな機体の敵に負けるわけにはいかない。

「負けてられないんだよォ!MS崩れなんかにィ!!」

気合一閃、シンは飛びかかってくる斬月の機体に蹴りを入れる。だが、ヤラナイカの脚部はむなしく空を蹴った。斬月はとっさにスライディングし、ヤラナイカの脚をくぐり抜けていた。
ヤラナイカの後ろに回った斬月は今度はヤラナイカの軸足付近にスラッシュハーケンを撃ち込み、ワイヤーを瞬時に巻き取ってヤラナイカに体当たりを敢行する。
軸足のバランスを崩されたヤラナイカは一瞬ぐらつくが、シンは卓越した操縦テクニックですぐさま体勢を立て直した。

「決死の体当たりも効果なしか!このパイロット、ただ者ではない!!」

トウドウはそう叫び、再び敵機との距離を置いた。だが敵機の戦闘意欲は凄まじく、瞬時に斬月に突進してきた。あまりの行動の速さに不意を突かれたトウドウは、ヤラナイカの再びのキックを今度はまともにくらってしまった。

「ぬあっ!!」

強烈な衝撃とともにコックピットが揺さぶられ、斬月の小さな機体が人形のように宙に舞う。トウドウの意識が飛びかけるが、着地の瞬間の振動がそれを防いだ。機体に深刻なダメージを受けたかも知れない。
トウドウはどうにか機体を起こすと、今度は全力で敵機から離れる。
蜃気楼にちらりと目を移すと、ゼロは敵の黒い機体二機を相手に懸命の戦いを続けていた。だがこのままでは蜃気楼も斬月も撃破されてしまう。機体性能やパイロットの技量の問題ではない。もっと単純な数的劣勢のせいだ。
さらに悪いことに、今度は敵の母艦が砲撃を開始した。敵艦の甲板上にも二機のMSの姿があり、それらはダモクレスに対して濃密な弾幕を展開していた。
ダモクレスはこれをどうにか避けているが、回避に手一杯でKMFの支援どころでは無くなっている。黒の騎士団は一気に壊滅の危機に瀕していた。だが、ゼロは何の指示も出してこない。
このままではやられてしまうのは彼もわかっているはずなのに、なぜ?
トウドウは気づいていなかった。斬月のレーダーが、接近する友軍の機体を捉えていたことに。レーダーが示す機種名は「SVMS-01 Flag」。ゼロが密かに呼び寄せていた、強力な援軍の到着であった。
トウドウが再びヤラナイカと対峙した瞬間、彼の受信機は抑揚のある声をがなりたてた。

「こちらはツィマッド社特務隊、グラハム・エーカーだ。黒の騎士団に助太刀する!会いたかった!会いたかったぞ、ガンダム!!」

トウドウはとっさに空を見上げた。細身でなんとも不思議な形の機体が高速で飛翔していた。MSとも戦闘機ともとれるそのシルエットは、トウドウがこれまで見てきたどのMSとも異なる。
彼は戦いも忘れ、飛び交う友軍機をただ見つめてつぶやいた。

「あれが、ツィマッド社の新型機か…」

グラハムは自分の気持ちが子供のように浮かれているのを感じていた。この広いオデッサで、一度ならず二度までも戦えるとは。いや、これも運命に違いない。そしてここで昨夜の屈辱を晴らすのだ!

「黒いガンダムは私がやる!ジョシュア編隊は敵の母艦を叩け!行くぞ!!」

グラハムは機体をMS形体に変形させ、BlackCatめがけて急降下していく。BlackCatのナガモンもこれに気づき、僚機に警報を発する。

「昨夜補給部隊を襲った新機種だ!ここで墜とすぞ!」

グラハムにとっても、ナガモンにとっても、今目の前にいる敵は仲間の仇だ。絶対に撃たねばならない敵。二人はどちらかが倒れるまで戦わねばならない。誰に強制されたのでもなく、ただ己の意志の為に。それ故に勝たねばならない。
己の正義を示すために。
フラッグが舞い降り、試作型の135mm対艦ライフルを発射する。だが相対距離はまだ100m以上あった。BlackCatの機動力を以てすればたやすく避けられる。ナガモンはすかさずアームストロング砲を撃ち返す。
だがグラハムの反射神経も負けてはいない。ビームを避けながら、グラハムは異様な圧迫感を感じていた。そのプレッシャーのようなものはあの黒いガンダムから発しているらしい。だが、もう一つのプレッシャーがある。
グラハムは機体を変形させ、一度上空へと離脱をはかった。あのプレッシャーに気をとられ過ぎては足下をすくわれる。冷静にはなれないが、余分な感情は捨て去らなければならない。グラハムは再び敵機を見下ろした。
黒いガンダムは今度は素早く飛び回る蜃気楼にビームライフルを撃ちかけている。

「感謝するぞ、黒の騎士団!」

グラハムはそう叫ぶなり、機体を変形させながらハヤブサにように降下した。

ナガモンはいくら撃っても通用しないビームライフルに苛立っていた。正確にはビームライフルが悪いのではなく、敵機を覆うビームシールドが強力すぎるのだ。ナガモンにもそれはわかっていたが、それにしてもあまりに堅い守りだ。
しかも敵機は決してこちらの格闘戦距離には入ってこない。あの紅い小型MSとは異なり、この機体のパイロットは野心的な突撃は欠けてこない。見たところ指揮官機のようだ。

「間合いさえ詰められれば!」

ナガモンは毒づき、もう一度アームストロング砲を発射した。ビームはまっすぐ蜃気楼を捉えたが、ビームシールドはアームストロング砲すら防いでみせた。さすがのナガモンもこれには焦らざるを得なかった。
今のところ敵機は攻撃を仕掛けてはこない。だがこちらの攻撃は敵にとって無効だ。もし敵の機体にとんでもない威力の武器が搭載されていたら…考えただけでも背筋が凍る。ナガモンはぶんぶんと首を振り、不吉な想像を頭から追いやった。
今はできることをやるだけだ。ナガモンは自分にそう言い聞かせ、まなじりを開いて敵に向き直った。だがその瞬間、ナガモンは頭上に不愉快なプレッシャーを感じていた。反射的にバーニアを噴かし、機体をジャンプさせる。
その途端、BlackCatの立っていた場所は上空からの一斉射撃で爆風のるつぼと化していた。見上げれば、昨夜補給隊を襲ってきたあの戦闘機のようなMSが編隊を組んで飛び交っていた。
ナガモンは飛び去る編隊の一気に狙いを定め、ビームライフルのトリガーを引いた。

グラハムはBlackCatがライフルを上空に向けているのに気づくと、僚機に警戒を呼びかけた。

「黒いガンダムが狙っているぞ!全機散開!!」

だが、時すでに遅かった。ナガモンの狙いすました一撃が編隊を襲い、フラッグの一機を瞬時に葬りさっていた。さらに続けてもう一撃が別のフラッグを直撃し、フラッグのか弱い機体はコックピット付近からまっぷたつに折れ、爆発した。

「堪忍袋の緒が切れた!許さんぞ、ガンダム!!」

グラハムは今度こそ決死の特攻を仕掛けた。135mm対艦ライフルを投げ捨て、ヒートサーベルを両手に構えると、地面すれすれを背面飛行の姿勢でBlackCatに襲いかかった。

「なんて無茶な飛行するんだ!」

ナガモンはそう叫びつつ、BlackCatをジャンプさせる。脚をなぎ払おうとしたグラハムの攻撃は外れ、フラッグはそのまま飛び去っていく。
その針路にいたシンがフラッグを捕捉しようとするが、想像以上の加速度でスピードに乗ったフラッグはヤラナイカの鼻先をかすめて急旋回し、勢いを落とさずに再び BlackCatに向かってきた。

「あんな急旋回、人間業じゃない!」

シンは思わず叫んだ。急旋回に伴うGに機体は耐えられても、中に乗るパイロットが耐えられるとは限らないのだ。だがグラハムは必死に耐えていた。体は悲鳴を上げていた。
のどの奥から鉄の匂いがこみ上げて来るかと思うと、グラハムはこらえきれず吐血していた。

「さすがに今のはギリギリだったな。だがこれしきのことでッ!!」

グラハムのフラッグはさらに加速し、ブラックハウスから放たれる援護射撃をものともせず飛翔した。この一撃で雌雄を決する!

† † † † †

わたしは複数の敵に囲まれて身動きが取れなくなっていた。赤毛の生えた小型MSと、昨夜の戦闘機風MS二機。即席のチームらしいけど、連携は見事だ。いつもながらジオンのパイロットの状況適応力には恐れ入る。
しかしいつまでも相手をしてはいられない。敵の隊長機とおぼしき機体は、さっきからBlackCat を執拗に追い回している。ブラックハウスは敵機とBlackCatとの距離があまりに近すぎて思うように攻撃できない。
シンはわたしと同じく、敵の戦闘機風に苦戦しナガモンのバックアップには回れそうもない。わたしがなんとかしなくちゃ、戦況はこのまま膠着状態だ。もし敵にさらなる増援でも現れたらたまったものではない。

「次に来る奴は問答無用で倒す!」

そう宣言して、次なる敵の攻撃を待つ。こういう時には射撃武器が無いのがもどかしい。だけど敵が接近してきたら必ずしとめる。それがブラックサンの使命だ。
来た。戦闘機風が単独で突っ込んでくる。ライフルを撃ってきたが狙いが甘い。半歩横へずれるだけでかわす。距離500、バイタルチャージを準備。すれ違いざまに喰らわせる!しかしその瞬間、わたしは奇妙な直感をおぼえた。
わたしはとっさに機体を横へステップさせ、後方頭上を振り返った。思った通り、別の敵機がライフルを発射していた。わたしはさらに機体をステップさせつつ、先ほどの敵機に目をやった。
距離は150、この攻撃はハッタリではない!わたしは渾身の力でブラックサンの右腕を動かし、猛スピードで突っ込んでくる敵機の鼻先を押さえた。衝突の瞬間にバイタルチャージを起動、腕が引っこ抜かれるような衝撃が走った。
歯を食いしばって振動に耐える。モニターが明滅したが、わたしは機体に損害がないことを文字通り直感的に悟っていた。敵機は突然推力を失い、轟音とともに砂煙を巻き上げながら地面に突っ込んだ。これで今日の二機目だ!
わたしは他の敵機を警戒しつつ、ナガモンの援護に回った。

† † † † †

ナガモンは凄まじい速さで接近してくる敵機の細かい動きに注視していた。その両手に握られたヒートサーベルの微弱な動きから、敵がどうやって攻撃してくるのかを予測するのだ。
敵のパイロットが左利きらしいことは先ほどからの戦闘でほぼ確信していた。だが、この攻撃はどうだ?どちらのサーベルで切ってくる?太刀筋は上か?下か?ナガモンは敵機の右腕がわずかに下に引かれるのを見切った。
だが、彼女の不思議な直感は、敵が左腕で斬りかかってくることを教えていた。反射的に下した判断は、直感を信じる方であった。

「これでダメなら、お慰みだぁ!」

BlackCatの機体が後ろ向きに宙返りし、ナガモンはその円の頂点でビームサーベルをかざした。機体のほんの少し下を敵機が猛スピードで突き抜けていく。
敵機のヒートサーベルがBlacCatの左足をなぎ払い、BlackCatのビームサーベルが敵機の右腕に突き刺さる。ナガモンもグラハムも、直接は見えない相手パイロットの存在をはっきりと感じ取っていた。
他とは違う尋常ならざる圧力と、不思議にひかれ合うような引力とを、同時に感じていたのだ。だが、この矛盾した感覚はいったい何だ?
永遠のような一瞬が流れ、二つの機体は別々に地面に落下した。BlackCatは左足を、フラッグは右腕を失っていた。だが、それ以上の衝撃のようなものが二人の精神を揺さぶっていた。この相手はただ者ではない。
自分とは切っても切れない、絡み合った因縁のようなものを感じる。それだけではない。この相手は自分だけが倒せるのだ、そんな運命をも感じていたのだった。

両者はともに次の行動に移った。ナガモンは片足を失ったBlackCatをどうにかコントロールしながら敵機に肉迫する。フラッグはそれを待ち受けるかのようにすくっと直立すると、残された左腕を斜め下にまっすぐ伸ばした。
グラハムなりの居合いの構えらしい。それを見たナガモンはBlackCatを滑らせるように飛翔させ、フラッグのやや横合いから斬りかかった。
直前まで居合いの構えを崩さなかったフラッグはBlackCatの斬撃が襲いかかるまさにその瞬間にゆらりと動き、ナガモンの攻撃をやりすごした。
と、同時に力強い鼓動のような一撃が発せられ、フラッグの鈍く輝く刀身がBlackCatの胴体に吸い寄せられるように振るわれた。ナガモンは周りの景色がすべてスローモーションで映っているように感じていた。
今、敵機の見事な一閃が、彼女のコックピットを叩き斬ろうとしている。

「これまでか…ッ!!」

しかし次の瞬間、迫り来る刀身は横から飛び出してきた巨大な手に掴まれ一瞬鋭く光ったかと思うと、爆音とともに幾千もの破片へと粉砕され飛び散ってしまった。

「間一髪だね!ナガモン!!」

黒猫の軽妙洒脱な声が聞こえたが、ナガモンは何が起きたか一瞬理解できなかった。どうやら黒猫がギリギリのところで両者の間に割って入り、バイタルチャージで敵機のサーベルを破壊してくれたらしい。

グラハムは怒り心頭に発していた。黒いガンダムとの一騎打ちを邪魔されたことは許し難い。だが二機を同時に相手にすれば分が悪い。まして肝心のヒートサーベルを失った今、接近戦を仕掛ける意味はない。
グラハムはフラッグ脚部のミサイルを放つと機体を飛行形体に変形させ、BlackCat、ブラックサンから一気に離脱した。だが彼は撤退するつもりはなかった。格闘がだめなら射撃戦だ。
最も強力な武器、試作型135mm対艦砲は失ったが、まだ翼下には四つのミサイルパイロンもある。差し違えてでもガンダムを倒さねばならない。グラハムは上空でフラッグを旋回させると、再び攻撃態勢に入った。
だが、彼がミサイルを放つより先に、思わぬ人物からの通信が入った。

「グラハム・エーカー!無謀だ!退却しろ!!お前の部下は叩かれているぞ!」

それは黒の騎士団の指導者、ゼロからのものだった。ゼロは混乱するこの戦場の状況をいち早く察知し、どうするのが適確かを常に考えていた。今のグラハムはガンダムのことで頭がいっぱいだ。
だがブラックハウスに攻撃を仕掛けた他のフラッグ隊は、ブラックハウスの対空兵器や主砲、マスタースパークにWhiteCatまで総動員しての圧倒的弾幕の前に次々と被弾し、傷ついていた。
今のところ撃墜された機体こそ無かったが、中には姿勢を保って飛ぶのがやっとのフラッグもあった。グラハムはそうした戦況を目の当たりにすると、口惜しげに撤退を命令した。

「くっ…、ここでも凱歌をあげられないか…。一時撤退する!全機高度5000に集合、基地へ帰還する!」

一方、蜃気楼に搭乗するゼロもまた、トウドウとともにダモクレスへと帰投していった。蜃気楼の防御力はゼロに傷一つつけなかったが、それでもこの激闘は彼にとってかつて経験したことのないほどの消耗を伴うものだった。
だがそれなりの代価は得ていた。この蜃気楼に蓄積された戦闘データ、これを徹底的に洗い出せば、必ずあのガンダムの弱点がわかるはずだ。そしてあのフラッグファイター、グラハム・エーカー。
彼をけしかけることができれば、黒の騎士団を危険にさらすことなくガンダムを葬り去ることができるだろう。ゼロは自らの勝利を疑わなかった。戦術は戦略を覆せない。そして自分の戦略に狂いは無い。
その絶対的自信からか、ゼロは自分でも気づかないままに笑っていた。悪意に満ちた、底意地の悪い微笑だった。

† † † † †

長かった戦いは突然に終わった。オレはヘルメットを外して深く深呼吸した。激しい戦いだった。いま隣に立っているブラックサンと黒猫がいなければ、オレは敵のMSにやられていた。
昨夜の戦闘でも感じたが、敵のパイロットはただ者ではない。他のパイロットとは違う。あのパイロットは本物だ。オレの直感がそう断定している。
自分のことなのだが、オレはそんなインスピレーションをまるっきり信じてしまう自分がおかしかった。躰の奥から笑いがこみ上げてくる。急に緊張が解けたからかも知れない。
オレの中の、精神とは違うもう一つの意志がオレに笑えと言っているのかも知れない。そんな妄想がまたおかしくてますます笑ってしまう。終いにはオレは声を出して一人で笑ってしまっていた。こんなこと初めてだ。
オレ達はブラックハウスに帰還した。疲れがどっと押し寄せてくるが、オデッサ作戦は今も続いている。いつまた敵が来るかわからないから、休むのも交代になってしまう。
整備兵達は損傷のひどい機体から早速修理に入り、格納庫は未だに戦闘の熱気に包まれている。オレ達は例によって艦橋に呼ばれた。作戦全体の状況が気になる。第3軍団はさらに進んだのだろうか?
そしてエルラン中将は第4軍団に前進命令を出しただろうか?

† † † † †

エルランは第4軍団の移動禁止命令を未だに取り下げていなかった。小規模の威力偵察は行われていたが、その結果はどれも軍団の正面には公国軍がほとんどいないと言うことを示していた。
一方、第3軍団の戦域ではこの日、11月8日も一進一退の攻防が繰り広げられていた。最初の混乱から立ち直った公国軍は数で勝る連邦軍と互角の戦いを見せ、全体で見れば戦況は膠着状態に陥っていた。
第3軍団戦区の右翼に位置する小さな村は、連邦軍、公国軍双方の目標となり、その日の内にそこを占領する部隊が7度も入れ替わった。最後に連邦軍の消耗しきった中隊が村に入ったときには、村の建物は跡形もなく吹き飛ばされていた。
それでも公国軍はその村に砲撃を加え続け、その中隊を殲滅した。以降両軍はこの名も無き村を挟んで対峙し、互いに牽制を掛け合った。一方第3軍団左翼ではあの死神旅団が終日奮戦し、最前線拠点を死守し続けた。
コレマッタ少佐は一度は野心的な攻勢に出て戦線を5kmほど押しやったが、夕刻に公国軍のダブデ陸戦艇を用いた反撃に遭遇し、元の位置に戻らざるを得なくなった。
目視で確認できないほどの彼方から砲撃してくるダブデ陸戦艇に対し、独自の長距離砲を持たない死神旅団はまったくの無力であった。
第3軍団は偵察機を飛ばしてダブデ陸戦艇の位置をどうにか捕捉しようとしたが、ダブデ陸戦艇はそれ自体強力な移動対空陣地であり、出撃した偵察機はことごとく撃墜され連続しての追尾は不可能であった。
激戦を終え、最前線拠点に戻ったコレマッタ少佐は荒れていた。移動指揮車であるホバートラックから降り立った彼は、たまらず毒づいた。今彼の旅団は第3軍団左翼の最前線にいる。それは昨夜の時点からそうだった。
夜が明ける前に補給を受けた旅団は、今日も快進撃を続けるはずだった。だが…

「ダブデ陸戦艇めぇ!明日こそが決戦だ!!」

コレマッタの怒りは収まらない。だが、彼は周囲の兵士達が何かに浮き足立っているのに気づいた。コレマッタは西の方角を振りむいた。すると、沈む夕日を背に、巨大なMS3機が接近しつつあった。それを見たコレマッタは急に邪悪な笑みを浮かべた。
これで勝てる、そんな考えが手に取るように読み取れた。やってきたのはRTX-440、陸戦強襲型ガンタンクの小隊だ。コレマッタの脳裏には、すでにオデッサ作戦の行方が描き出されていた。
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最終更新:2010年09月27日 23:33
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