【ゆグドラシル】
「すごくゆっくりできるおおきなきさんがどこかにある」
そんな噂を聞いたれいむは、友達のまりさとぱちゅりーを誘って、ゆグドラシルを探す冒険に出発した。
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一日目
冒険開始から一日目。早くも食料が尽きた。なにしろ、まりさの帽子に収納できる量の食料では三匹にとっては少なかった。しかたないので、ゆグドラシルを探しながらその辺に生えている雑草を食べて飢えをしのぐ。
「ざっそうさんはにがくてゆっくりできないよ……」
雨が降ったので、木陰でやり過ごすことに。ぱちゅりーが風邪を引いてしまった。
「げほっげほっ……むきゅ、ごめんねふたりとも。わたし、あしでまといみたい……」
「そんなことないよ! れいむたちがここまでこれたのはぱちゅりーのおかげだよ!」
「むきゅ、ありがとう……」
地震が起こる。周りの木に実っていた果実が地面に落ちた。体力を回復すると同時に、大量の食料を確保。
突然現れた巨大な虎の一撃により、ぱちゅりー死亡。
「もっと……むっきゅりしたかった……」
れいむとまりさは命からがら逃げおおせた。
崖から落ちて、まりさ死亡。
「まりさぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
潰れた饅頭は返事をしない。
れいむは涙を流しながら、死んでしまった二匹にゆグドラシルを見つけることを約束した。
暗い森を抜け、峻烈な谷を通り、火を噴く山を駆け、友の死を乗り越えたその先に、ゆグドラシルはあった。
どこまでも高いその巨木の頂は雲に遮られて見えない。神々しい光を放つゆグドラシルは、見ているだけでゆっくりできるものだった。
「ゆっくりできるよ……まりさ、ぱちゅりー……やったよ、ゆグドラシルを見つけたよ……」
満身創痍の体だが、充実感と歓喜にうち震えた。
「れいむ、おめでとう」
巨木の影から、何者かが現れる。
「ゆっ……? おにいさんはだれ?」
「私はね、ゆグドラシルが人の形をとったものさ」
「ゆゆっ!? おにいさんがゆグドラシルなの!? か、神様だよ、すごいよ! れいむかんげきー!」
「うっそぴょーん!」
「ゆグドラシル」が投げた太く鋭い枝が、れいむを貫いた。
「記録タイムは六日か。まあまあだな」
ゆグドラシルに取り付けた豆電球と綿を外す。ゆっくりにしてみれば、鮮やかな豆電球の光は神の光であり、はるか頭上に位置する綿と雲は同義であった。
ゆグドラシルの噂はお兄さんが流したものだ。どうしてそんなことをしたかというと、とある研究のためだ。
「ゆっくりの基本行動、探索能力、敵対生物に対する反応の調査」が主題である。他にも、運搬能力の検査、病原菌抵抗値の調査なども含まれている。
猫も、地震を起こしたのも雨を降らしたのも、お兄さんの仕業。何故なら、このゆっくりの群れが存在する土地は全て、研究所の一室なのだから。
壁は常に移動を続け、空は常に色合いを変える。
今日も今日とて、ゆっくりたちはありもしないゆグドラシルを探す冒険へと旅立つ。
勇敢なる旅人ではなく、ただの実験材料として。
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「ねえねえ知ってる? 崖を越えて滝を昇って山を越えたところに、ゆグドラシルというゆっくりできるきさんがあるんだってさ」
「ゆっ! それははつみみだよ! さっそくみんなにしらせるよ!」
完
最終更新:2010年10月24日 22:37