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334-354 - (2009/05/13 (水) 21:35:54) のソース
334 :アナザードルダ 6/23:2009/03/01(日) 00:27:08 デハドスの士気は高かった。随時送られてくる戦果報告と、防戦側でありながらほとんど一方的ともいえる形勢に鼓舞されて、MSパイロットたちは守るというより攻めるのに近い心境になっていた。 自分は何機撃墜できたか、自分たちは敵部隊を幾度退けることができたか、たった一時間のうちに上げた武勲を胸算用して得意な気持ちになっている者があった。 後の出世を考えて敵機の追撃に精出す者や、これ幸いと勇敢な仲間の後ろに下がる者もあった。戦争というものは、なかなかどうして楽しいものだと考える者さえあった。 どういうわけか連邦軍は火器を使って来ない。施設の破壊を恐れるにしたって、行き過ぎている。戦争となれば手段を選んでいられないのはそちらも理解していることではないか。 だのに、火の明かりに吸い寄せられる羽虫のようにわらわらと群がっては撃退されて行くのである。もしや学習能力が欠如しているのではあるまいか。 哀れを催すよりか、いっそ腹を抱えて笑ってしまいたくなる有様である。 奇麗事をいうほうが愚かなのである。信仰を持たないスペースノイドどもは、この当然の摂理を弁えないほど無知であったのか。 彼らの怠惰なる魂は、長らく続いた安逸の中で機知さえも無くしてしまっていたのか。 火星の独立ばかりに留まらず、むしろ彼らの無知を告発してやることこそが、我らマーズノイドの義務なのではないか。 程度の差こそあれども、テーレマコス出身の兵士のほとんどはそういうような意味のことを思っていた。増長ともとれるこの種の思考は、ドーム・テーレマコスに直接的な戦争の経験が少ないことに由来する。 チョウ・シノーティルもそのようなパイロットの一人であった。洗礼名はルイス七左衛門、デハドスでの位階は助祭で、これは連邦軍でいう少尉の地位である。 デハドスに入隊する以前は大学でMS陸上競技の選手をしていた。無論、軍務に服したことはない。操縦能力はそれなりにあるとはいえ、入隊まもなくの尉官待遇は異例の出世であった。 彼の父親であるシノーティル司祭はとある銀行経営者の細君の聴罪司祭を務めていて、それが関係していると考えられないこともないという話が同期のパイロットの間で囁かれていた。 335 :アナザードルダ 7/23:2009/03/01(日) 00:30:21 チョウは今やもはや自分が生まれ変わったような心地でいた。あんなにも恐れていた殺し合いというものは、思いのほかなんてことのないものだと感じられたからである。 以前までは、同期のパイロットに疎まれるのも、父に珍妙な洗礼名で呼ばれるのも、親戚を招いて盛大な出征式を催されるのも彼の望むところではなかった。 しかし今では、それらがむしろ誇らしく、どうしてあのときこの心境に至らなかったのかと歯軋りさえした。 敵機を撃墜しても映画や小説の登場人物のように罪悪感に苛まれることはなかった。 「MSは、人間じゃないんだ」 ライフルを撃って行動不能にした敵MSの様子を見るに、中のパイロットが死んだとは思われなかった。 爆発するでも分解するでもない。ただモノアイの光が消えて、胴体の弾痕から真っ黒い煙を上げているだけである。 チョウは[[ガーランド]]のカメラを味方に向けた。運河中継区画の上に載っているブッシュが弾切れを起こしたのが見えた。 「隊長、そちらの援護に回ります!」 ガーランドが銃撃している間に、ブッシュがライフルのマガジンを交換する。幸い、煙幕に潜む敵機が襲いかかって来ることはなかった。 『ルイス七左衛門、恩に着る。これで貸しを作ったな』 チョウが隊長と呼んだ男から返礼が来た。 「なんの。ガーランド(こいつ)を譲ってもらったのを思えば、負債はまだまだこっちにありますって」 『気にするなと言ったろう。私にはブッシュが馴染んでいるのさ』 彼は、連邦軍からデハドスに移籍したスペースノイドの一人である。 「火星魂、みせてやりましょう!」 「おうさ!」 志を同じくするなら人種は関係ない。戦場で拾った些細な功徳に酔っていた頭がそんなことを考えたかもわからない。 隊長が威勢良く答えたのを聞いて、チョウは面はゆい反面、何だか安心した気がした。 ガーランドのセンサーが上空に機影を捉えたのはそのときであった。隊長、とチョウが叫ぶころにはブッシュのセンサーにも感知できるまでに接近していたらしい。 ブッシュとほぼ同時に上を向くと、黒い影がチョウの部隊のところに急降下して来た。ライフルを構え直す暇はなかった。 眼前で巨大な黒い影と真紅の光が瞬くのと同時に、 『ガンダ――』 という言葉を最後に隊長の通信が途切れ、爆煙がコックピットのモニターを埋め尽した。 336 :アナザードルダ 8/23:2009/03/01(日) 00:33:18 粉塵の晴れた後もチョウは暫し何が起きたのかわからないでいた。黒い影は跡形もない。隊長のブッシュも消えている。 チョウはブッシュのいたところを見た。視線をやや下に逸らすと、レールの溝に二本の足が残っていた。膝から上がどこかに消え去っている。 露出した機械部品が火花を発したと思えば、ブッシュの二本の足はレールの隙間に転げ落ちて行った。 『空だ、敵は空だぞ!』 チョウははっとして空を見上げた。先ほどの黒い影が頭上を旋回していた。黒い影は一回りごとに空で描く輪を小さくして行った。 その動きは猛禽が獲物を狙うのに似ていて、急降下の頃合はおぼろげながら予感できたけれども、対処する方法は思いつけなかった。 影が一瞬だけぼやけて縮んだ。それが襲撃の直前の羽ばたきであることをチョウが理解したのは、黒い影が急降下して味方のブッシュに覆いかぶさってからであった。 黒い影は地上すれすれのところを旋回して、また舞い上がった。噴き上がった粉塵の中に、先回と同じくブッシュの足だけが残っているのが見えた。 「MSを、喰った」 『寝言は死んで言え! ありゃビーム兵器だ! [[ガンダム]]だ、ガンダムが来やがったんだよ! 各機、密集隊形をとれ! 弾幕で飛ぶ鳥を落とす!』 副隊長の声がかかり、散らばっていたブッシュとガーランドが施設の屋根に集まった。チョウのガーランドも少し遅れて円陣に加わった。 ガンダムは加速と減速を繰り返して、高度をめまぐるしく変えつつ旋回している。右に見えたかと思えば左から現われ、羽ばたいた数瞬後には真後ろに回っている。 凄まじい機動性である。赤い空に現れる影を追ってチョウがライフルを撃つと、 『同じ目標に撃ってどうする! お前はお前の持ち場に撃ちゃいいんだ!』 「は、はい」 チョウはライフルの銃口を虚空に向けた。黒い影がさっと横切ると、照準を動かしたい衝動に駆られてじりじりした。 離れた地点にいた味方のMSが寄って来て射界が厚みを増した。黒い影が距離をとったとき、チョウは生き残ることを考え始めた。仲間の隊員も似たような考えを持ったに違いない。 しかしその心の緩みに付け入るように、突如煙幕の中から銀色に光るものが現れて、粉塵を吹き上げながらこちらに向けて一直線に飛んできた。相当な低空飛行である。 『ガンダムがもう一機だと!』 337 :アナザードルダ 9/23:2009/03/01(日) 00:36:17 その方角にいた味方機が、咄嗟に銀色のガンダムを照準で追った。副隊長が『馬鹿野郎!』と叫ぶころには既に遅く、弾幕に生じた間隙を器用に通り抜けて、暗褐色のガンダムは円陣の中心に侵入を済ませていた。 発光する足の爪が二機のブッシュの胴体を抉り取る。同時にスコップらしきものから真紅の光が延びて、副隊長の乗るガーランドの首を刎ねた。 暗褐色のガンダムは三機のMSを屠ると即座に離脱していた。部隊の者たちがそのことを知ったのは、同士討ちをしたのに気付いた後である。 新兵の何人かがガンダムを狙うつもりでライフルの引き金を引いて、放たれた銃弾は全て味方機に当たっていた。 無防備な背部を撃たれたMSは行動不能に陥り、コックピットに直撃を受けたMSもあった。チョウ・シノーティルも味方を手にかけたパイロットの一人であった。 「化け物……」 しかしチョウが暗褐色のガンダムに抱いた畏怖は良心の呵責に勝った。再び円陣に加わって引き金を引く際は、震える利き腕をもう片手で抑えながらである。 黒い影の中心に垣間見えた七つの光の輪郭が目に焼きついていた。七つの目玉の幻覚を打ち消したのは、モニターに現れたもう一機のガンダムの姿である。 銀色のガンダムは暗褐色のガンダムに比べて真っ当な見かけをしている。反面、挙動は不気味で、空中で意味のない宙返りをしたかと思えば地面を蹴って飛び跳ねたり、爪先を伸ばして奇妙なポーズをとったりしていた。 それでもなお暗褐色のガンダムと同様に銃弾を避け続けているのである。チョウはいやな寒気を覚えた。パイロットスーツのグローブの中が汗でぬめっていた。 「救難周波数?」 発信元は銀色のガンダムで、あのガンダムのパイロットは、敵味方双方に向けて音声を流しているようであった。 『地面、見つけた! 重力、あったぁ!』 銀色のガンダムが空中で身悶えした。新式のAMBAC機動かもしれない。その証拠にブレード状をした二本の背部バインダーが立ち上がった。 『悔しいッ、でも魂惹かれちゃう!』 『気が、くるっとる』 と味方の誰かが言った。声にある訛は、ドーム・ディオゲネスの方言に伴うものであった。 ガンダムのパイロットも笑い声を上げていたが、声の調子に張りは少なく、大根役者の白々しい大笑いに似ていた。相手の気を引くためにあえて笑っているとも考えられた。 338 :アナザードルダ 10/23:2009/03/01(日) 01:08:35 『重力すなわち愛! 愛は大地で大地はガイア!』 ガンダムのパイロットがそう叫ぶと、先ほど立ち上がったブレードの間に球状の発光体が出現した。くすんだ青色をしているので、ビーム兵器の類ではないらしい。 光の球はだんだんと明るさを増して行った。光が反射して、ガンダムの銀色の装甲がてらてら輝いた。 『ガイアがオレにもっと輝けと囁いているッ!』 その言葉と同時に、光の奔流がチョウの目を眩ました。 チョウは初め、自分は光で目が潰れて盲目になってしまったのかと思った。何も見えなかった。音も、自分の息遣いのほかは聞こえなかった。 操縦桿を握る感覚はあった。手を動かしてみるとコンソールに触れた。どうやら何らかの異常で電源が落ちていることがわかった。 チョウは手探りで非常用レバーを引いた。しかし反応がない。MSの機能が完全に死んでいるのである。そのことに思い当たると、急に息苦くなったように感じられた。 チョウはヘルメットを外そうとスイッチを押したが、これも非常用レバーと同様である。チョウの息が荒くなった。 MSばかりでなく、パイロットスーツも機能を失っている。手動で外すべく首周りを弄るが、あせりばかりが先に立った。 鍵をせわしく抜き差しするのに似た音と、息遣いとともに激しくなる心臓の鼓動がチョウの発汗を促した。ようやくのことでヘルメットが外れると、今度は鉄を激しく打つ音が反響してコックピット全体が傾いた。 チョウがヘルメットを外したことは、外さないでいるよりも幸運といえる結果を招いた。彼は頭をしたたかに打って気絶した。 酸欠で意識を失うのを待っていては、酸素の無くなることへの恐れや、暗闇から聞こえる装甲の軋む音、それからガーランドが機能を取り戻したときに感ずるぬか喜びなどに苛まれて、天上の楽園を空想する余地はなかったであろう。 彼は夢を見ていた。夢の中で、少年の彼は父親に手を引かれて教会に出かけていた。 339 :アナザードルダ 11/23:2009/03/01(日) 01:11:24 乱戦の中、一機のガーランドが跳躍してガンダムアデュナタの翼にしがみ付いた。ガーランドは空中で振り回されながらも、高周波ブレードを逆手に持ってアデュナタの翼を引き裂こうとする。 ミレンナは舌打ちした。腕で無理に引き剥がすことも出来るが、その間に敵の銃弾が当らないとも限らない。 アデュナタは翼全体に配置された補助スラスターを使って、空を蹴るように転進した。重力とメインスラスターの加速によって赤錆色の大地が見る見るうちに迫って来る。 地面に接触する間際、上体を逸らして進路を水平方向に変えた。地面に引き回された衝撃でガーランドの手からブレードが落ちる。 それでも離そうとしないから見上げたものである。アデュナタはぶら下げたガーランドで砂埃を上げながら敵陣に飛び込んだ。何機かのブッシュが撃つのをためらった。 アデュナタは翼の角度を変えつつ飛ぶことで、それらのブッシュにガーランドをぶつけた。これによって敵部隊の砲撃に付け入る隙が生じて、ガンダムデュナトンが前に出る。 『やばいやばいマジやばい、オレ輝いてね? ちょー輝いてね? つーかこの瞬間、宇宙の中心は間違いなくオレ』 デュナトンの背部ブレードが立ち上がり、その空間に光の球が発生した。 『オレは戦場という劇場に舞い降りた黒騎士。エレガントに舞い、クレイジーに酔う。――シーンの最前線に立つ覚悟はあるか?』 光の球が一瞬のうちに巨大化し、デュナトンばかりでなく、半径数キロ付近にある全ての物体がそれに飲み込まれた。 光が消えた。建物も敵MSも傷一つなく、先ほどと何ら変わっていないように見えた。しかし敵MSは攻撃を続行しようとはしなかった。 それどころか一切動かなかった。見ればカメラアイの光も消えている。煙幕の中から連邦軍のブッシュが現れて、デハドスのMSに群がり始めた。デハドスのMSは立ち往生したままであった。 この現象は、GVX-012ガンダムデュナトンから発せられた特殊EMP(電磁衝撃波)によるものである。 ブレード状の発生装置から生じる光の球体はプラズマの一種で、これの範囲内に飲み込まれた電子機器は一定時間使用不能となる。 ガンダムのような高級機ならともかく、シールドの不十分な量産機などはひとたまりもない。 340 :アナザードルダ 12/23:2009/03/01(日) 01:14:09 実際のところ、ビーム制御技術を応用したデュナトンのEMP兵装は、本来の意味でのEMPとは原理からして異なっている。そのためEMPと称するのは正しくない。 理論段階では別な名称が考案されたが、考案者本人にも覚えられないような長ったらしい名称であった。ならば頭文字をとってはどうかという案も出た。 しかし頭文字を並べてみると、口にするのも憚られるような文字列が出来上がった。そうして結局、効果が似たようなものなのでEMPと呼ばれ続けて、そのまま定着したのである。 味方のブッシュが敵のブッシュを押し倒して、コックピットに高周波スコップを突き立てた。暫く経てばEMPの効果が切れる。その前に完全に行動不能にしておかねばならなかった。 パイロットのみを狙うのは、いちいち解体していては間に合わないからである。 「非殺傷性の人道的兵器、か」 既に数箇所の拠点をこの仕方で制圧していた。味方のパイロットたちも手馴れて来たようで、MSを仰向けにしてスコップを刺す動作も様になっている。 『一つだけいえる真理がある。「男は黒に染まれ」ってことさ!』 「白黒の区別もつかないキ印め。自分のしていることが、まるでわかってはいない」 ミレンナは気分を害していた。自分のしていることが後ろめたく、しかしそれ以外に仕方がないと心の中で弁解している自分自身が不愉快であった。 『第五中継区画、制圧完了しました』 「よろしい。工兵部隊を向かわせてシステムの掌握に移れ。運河を攻撃出来ないのは敵も同じ。掌握と同時に運河で兵力を中央ターミナルへ移送せよ。こちらはこれよりマスドライバー制圧へ向かう」 『ここからがオレの伊達ワルレジェンドの始まりッ!』 統牙は舞い上がってさきほどからずっとこんな調子で、何かあるごとに錯乱したようなことを叫んでいる。 通信を試みても真っ当な言葉を返さないどころか、民間用の救難周波数で敵味方双方に自分の狂乱ぶりを見せつけてさえいる。 宇宙連邦軍の恥部を宣伝するようなものである。デイヴィッド・リマーならこの男に何と言うだろう、とミレンナは思った。 ミレンナの師である彼ならば、不愉快そうにこめかみを叩いて、 「品性の欠片もない」 そう吐き捨てたに相違ない。 341 :アナザードルダ 13/23:2009/03/01(日) 01:18:11 司令部のモニターには、デハドスのMSがなすすべも無く破壊されて行く光景が映し出されていた。 能力の程度に関係なく、パイロットたちの生命が失われて行く映像を見ながら、[[マスター・ベイト]]は苦い顔を作った。 「近接戦闘に特化したガンダムアデュナタがかく乱した後に、電子戦機であるガンダムデュナトンが敵部隊を沈黙させ、後続のMSがとどめを刺す。 ガンダム二機を撃墜の危険にさらす点を除けば、確かに理に適った戦術だ。しかし……」 ベイトは腕を大きく払って法衣を翻した。大仰な仕草である。 「こんなものは、品性の欠片もない卑劣な戦いだ。アンデレ権八郎、[[ガンダムマルス]]の出撃準備を始めてくれ」 「枢機卿猊下御自ら御出陣なさるのですか。対ガンダムならば、ノーメンクラートル隊でも充分かと愚考いたしますが。幸い、プロテラはシールド処理がされております」 「剣をとる者は剣によって滅ぶ。それを連邦の者どもに教えてやろうというのだよ」 我ながらよく言う、とベイトは顔色を変えずに思った。先に戦争を仕掛けたのはデハドスである。この矛盾に気付いた者もいるに違いない。 しかしベイトの目の前にいる義士たちは、それを面に出すのを恐れ、考えまいとしている。 「オラテ・フラテス(祈れ、兄弟らよ)。私は銃後の将軍でいるより、遍歴の騎士でありたい」 「ゼスス・キリシテ。サンタ・マリヤ。サンチャゴ……御武運をお祈り致します」 そう言って、アンデレ権八郎は再びその文句を繰り返した。司令部の者たちも総立ちとなり、十字を切ってアンデレ権八郎に合唱する。 信仰を持たぬ人間がこの光景を目撃したなら、彼らが素面でないと思うであろう。 342 :アナザードルダ 14/23:2009/03/01(日) 01:21:16 数日前は連邦軍基地であったところの一区画を効果範囲内に収めて、デュナトンがEMP兵装を起動した。 『ブリリアントな罠がオマエを篭絡するッ!』 「デュナトン、対空砲に近づきすぎるな」 ミレンナがそう言っても統牙は聞くものではない。彼は結果さえ出せば良いと考える類の人間である。 ミレンナはアデュナタのエナジー残量を確認した。なるべく節約して来たつもりであったが、半分を切っていた。 「この反応は」 ミレンナが一抹の不安を覚えたとき、凄まじい速度でこちらに接近してくる機体をセンサーが感知した。 カメラをそのスラスター光に向けて拡大すると、肥大化した頭部を持ち、真紅の装甲の上に銀の装飾を施したMSが映った。 左手にビームスマートガンを構えて、背中には巨大な十字架を背負っている。 「やはり出たか! ガンダムマルス!」 事前に渡された情報とは外見が違っているが、あのMSはデュナトンのEMPを恐れずに接近してくる。故にガンダムであることは確実である。 「デュナトン、下がっていろ!」 ミレンナは統牙の返答を待たず、アデュナタの管制システムを対ガンダム戦のものに切り替えた。全てのスラスターに火が入れられ、モニターにはガンダムマルスを模したホログラムが無数に表示される。 ホログラムの一つから赤い空間が扇状に広がった。アデュナタが体をひねって宙返りをすると、紙一重のところを真紅の光芒が横切って行く。 「なんて精度なの」 瞬時に弾道の再計算が完了して、モニターの殆どが赤い空間に占められる。これでは飽和攻撃を受けるのと変わりない。 ミレンナは、アデュナタの進行方向をマスドライバー施設に向けた。幸いにも機動性は勝っている。 ガンダム同士の戦闘は、一瞬で決着するか、さもなければどちらか一方のエナジーが切れるまで延々と続くといわれている。 両者とも一撃必殺のビーム兵装を持ち、事象予測による驚異的な回避能力で大抵の攻撃は当らないためである。 単純な運動性や機動性よりも、センサー類の性能とパイロットの技量とが結果を決めるといっても過言ではない。 343 :アナザードルダ 15/23:2009/03/01(日) 01:23:44 ガンダムアデュナタがマスドライバーの支柱を背にすることに成功した。ガンダムマルスのビームスマートガンはこれで封じられる。アデュナタはビームスコップを構え直した。 スコップとクローとの先端は仄かな赤い光を帯びているだけで、ビーム刃そのものは延びていない。これはエナジーの節約と、攻撃の間合いを読まれないためである。 「接近戦なら、アデュナタはオリュンポス・キングにだって負けない」 ミレンナの言ったオリュンポス・キングとは、GVX-001RXオリュンポス・キング・ガンダムのことである。現代のガンダムの始祖にして最強といわれるガンダムで、連邦軍兵士の間では英雄視されている。 ガンダムデュナトンが単機で多数を圧倒するガンダムであるならば、ガンダムアデュナタは一対一の戦闘に特化したガンダムであるといえた。 殆どのガンダムが多数を相手にする大火力兵器を装備している中、射撃兵装をビームバルカンのみに絞り、外見が異様になるのもかまわずセンサーを強化している。 加えて、白兵戦において万能な武器と呼ばれるスコップと、脚部のビームクローを装備している。ミレンナの断言は虚勢とばかりはいえないのである。 ガンダムマルスは背部にスマートガンを収納して、ビームクルセイダーズソードを正眼に構えている。対するアデュナタも両膝をやや曲げて、両手でビームスコップの切っ先をマルスの胴体に向けている。 二機は空中で制止していた。アデュナタはマルスのスマートガンを恐れてマスドライバーから離れようとせず、マルスはアデュナタの近接戦闘能力を警戒して斬りかかれないでいる。 離れた位置にいるデュナトンも、マスドライバーのあるためにビームライフルを構えたままである。 344 :アナザードルダ 16/23:2009/03/01(日) 01:25:52 ミレンナの顎から汗の雫が落ちた。パイロットスーツの空調は快適で、汚れた空気がヘルメットに篭ることはなかったが、どうしてかミレンナには、うなじの辺りから漂う女の臭いがむせるように感じられた。 彼女は長らく集中した反動で頭がぼんやりし始めて、過去のことを思い出したのかもしれなかった。その間も、残りエナジーの数値は刻々と変化して行く。 長期戦となればこちらが不利である。ミレンナは通信回線を開いてみた。周波数はデイヴィッドの部隊にいたころに使っていたものである。 ガンダムマルスのパイロットが事前の情報通りマスター・ベイトであるなら、何らかの反応を見せるはずであった。 ミレンナは会話で敵を惑わすことで状況を打開しようという腹であった。彼女の師が得意としていたやり方である。 『やはりアデュナタに乗っているのは貴様であったか』 マスター・ベイトがモニターに映った。一年前最後に見たときより、頭髪に混じった白髪が増えているように思われた。 ベイトは黒い法衣を身に纏っていた。ノーマルスーツさえ着ていない。皺の刻まれた顔は、やはり以前と同様に、人間らしい感情を読み取れない威圧的な表情が張り付いている。 「降伏してください、大佐」 無論、ミレンナは彼を説得できるとは思っていなかった。そもそもベイトの人柄さえろくに知らないのである。 隊長の後見人で自分たちの部隊の後ろ盾であったけれども、得体の知れない人物という印象しか持たなかった。 「私たちとともに木星で戦った人が、なぜ謀反を」 『故郷を救うためよ、ミレンナ・カマシーヌ!』 と、言い終えると同時にマルスが加速してクルセイダーズソードを振り下ろす。 「だからといって、やり様はある!」 アデュナタが反射的にマルスの握り手を狙ってビームクローを蹴り上げるが、マルスは直前になって片手を柄から離してそれを逃れる。 ミレンナはすかさずビームスコップを起動してなぎ払った。ビーム刃の伸びたときには既にマルスは後退していた。 スコップが空を切り、三日月型のビーム粒子の残滓が空中で拡散する。今の空振りでスコップの間合いを見切られたかもしれない。 二機のガンダムは同時に姿勢制御を行い、再び先ほどと同じ位置で相対する。 345 :アナザードルダ 17/23:2009/03/01(日) 01:31:10 マルスのクルセイダーズソードからは出力を絞りきれないためにビーム粒子が漏れていて、十字架が血を流しているように見えた。 マルスがクルセイダーズソードを払って真紅の飛沫を散らした。その芝居がかった動作の後、マルスは柄を右手に持ち直して切っ先をアデュナタの顔に突きつけた。 いつの間にかマルスからの通信が、部隊用周波数ではなく救難周波数に変わっていた。ベイトが何を思ってそうしたのか考える余裕は、ミレンナには残っていなかった。 『もはや内からは変えられぬ段階にまで、宇宙連邦は腐敗しているのだ。快と善を履き違え、何も知ろうとせずに豊かさを貪るルナリアン。その場限りの喝采を得たくて奴らに尻尾振る弁論術屋ども。 そんな人非人どものために、どれほどの民が食い物にされていることか!』 その口上を終えると、マルスはクルセイダーズソードを振ってビームの刃を伸ばした。そのまま柄に左手を添えて脇構えで突撃してくる。 逆袈裟に斬り上げる軌道がアデュナタのモニターに表示される。ミレンナはアデュナタを急上昇させつつ叫んだ。 「戦争を起こせば人が死にます! おかしくなります! 貴方はそれを知っているはず!」 『知っていても人は争う。私とて人の子だ! 民衆の理想のためなら捨石にもなろう!』 切り上げた姿勢からマルスが突きを放つ。 「理想と空想は違います!」 アデュナタは翼を羽ばたかせて、ビームスコップの横なぎで対抗した。相打ちを覚悟しての一閃である。クルセイダーズソードの刀身がアデュナタの翼を焼き、スコップのビーム刃はマルスの冠を掠めた。 「見切られた?」 両者はそのまますれ違い、互いの位置を入れ代えた。ほとんど同時に方向転換を終えるが、翼に穴をあけられたアデュナタは体勢を崩しかけていた。推力を補正する間も無く、マルスが上段構えで迫り来る。 『ガンダムすらも食い殺すワイルドさ!』 クルセイダーズソードが振り下ろされんとする直前に、下方からのビーム光がマルスの鼻先を掠めた。下に回ったガンダムデュナトンのものである。上空への射撃ならば施設を破壊する恐れはない。 『人はオレを「マッド・ロックの伝道士」と呼ぶ。来いよ、サムライおじいちゃん。どこまでもクレバーに抱きしめてやんぜ』 346 :アナザードルダ 18/23:2009/03/01(日) 01:37:43 デュナトンが水平方向に移動しながらビームライフルを連射する。マルスはデュナトンのビームを回避することに専念した。その隙を逃さず、同じくデュナトンのビームを潜り抜けながらアデュナタがマルスに肉迫する。 スコップを槍のように構え、ビーム刃を最大出力にして突撃した。 真紅の光刃がマルスの胸に迫る。デュナトンのビーム掃射が檻の役目を果たして、マルスの回避ルートは残されていない。 マルスは最後の悪あがきのためか、クルセイダーズソードをスコップのビーム刃に合わせた。当然、ビーム刃同士は干渉しないのでその防御は意味を為さない。 勝った、とミレンナは確信した。しかしその刹那、スコップのビーム刃の赤色が薄らいだかと思えば、別な赤色の光がアデュナタの足元で瞬いた。 「……なぜ」 『確固たる信念を持たぬ貴様らでは勝てない。我らは信仰によって立っているからな! そして、主も我らに味方しておられるのだ!」 ミレンナが現状を理解したとき、モニターの各所にエラーの表記が並んで、機体状況の表示されたサブウインドウには、足のないアデュナタのホログラムがあった。 凱歌を上げるガンダムマルスの脚部は、ビームと思わしき赤い光の膜で覆われていた。 ミレンナはマルスに隠し武器があったのは理解できた。しかし、アデュナタが打ち負けたということは到底納得が行かなかった。 あの瞬間、確かにスコップのビーム刃が消えたのである。ビーム兵器に対する防御手段などきいたこともない。 アデュナタは地面に叩きつけられる直前にスラスターを吹かした。あらためて機体状況を確認すると、太ももの中ほどから下がビームで消滅させられたことがわかった。 戦闘能力を完全に失ったわけではないが、ガンダムを相手に出来る状態ではない。エナジーもせいぜい撤退できる分量が残っているに過ぎなかった。 『我らは敵を殺さない! その邪気を殺す!』 『テラヤバス』 味方を失ったデュナトンにマルスが襲い掛かる。デュナトンが乱れ打ちといわんばかりにビームライフルを撃つが、ことごとく回避される。 EMP関連を除けば、デュナトンの機体性能はガンダムタイプの中でも下から数えた方が早い。ましてや、今回の敵は量産機でなくガンダムで、それもアデュナタと正面から互角に渡り合ったガンダムマルスである。 マルスにデュナトンの相手は役不足であった。 347 :アナザードルダ 19/23:2009/03/01(日) 01:41:41 『往ね! 邪教の徒よ!』 瞬く間にクルセイダーズソードによる連続攻撃がデュナトンを八つ裂きにした。コックピットブロックがどうなったかはミレンナのところからは確認できなかった。 『敵が増援を出してきました! 新型が、新型なんです! 中継区画が奪還されつつ、やつら運河にかまわず攻撃を――』 駄目押しに味方部隊から連絡が入る。ミレンナは拳を硬く握って、ノイズばかりとなった通信画面を叩いた。司令部のある本隊の方角に撤退信号が上がる。 「撤退といって、どこへ撤退するのです」 マスドライバーが使えなければ宇宙へは戻れない。 『デハドスが手段を選ばぬなら、こちらも手段を選ばぬまで。アルカディア地方で増援を待つ』 場合によっては戦時徴収の名目で略奪も辞さないということである。ミレンナは先ほどと同じ動作を行った。画面を叩いた衝撃で機体が爆発してくれればいいとさえも感じた。 「ミレンナ・カマシーヌ、椅子を暖めるしか能の無い女!」 このように屈辱に打ちひしがれているばかりで自分は感情を切り替えられずにいる。その器量の小ささを思うにつけ、ミレンナはどうしようもなく情けない気持ちに襲われた。 かつて彼女に修正を行ってくれた上官はもういなかった。 348 :アナザードルダ 20/23:2009/03/01(日) 02:05:05 宇宙連邦軍は敗退した。 デハドスの兵士たちが喚声を上げた。喚声に応えて、教皇ペトロ四郎の演説が行われる。勝利を得た兵士たちへの労いと、犠牲となった敵軍の兵士への追善の祈祷である。 略式の祈りが済んで兵士たちがしんとなると、続いて詩を詠い上げた。 『十ぺるしいぬん、さんてくるしす、でいにるしす、あめん』 通信を聞いている全ての兵士が朗誦する。 『あめん』 勝利の余韻に浸っている兵士の様子を窺いつつ、ベイトはアンデレ権八郎に通信を繋げた。 「広報部へは、こんなもので良かっただろうか」 『さすが大佐ですね。予定にはありませんでしたが、素晴らしい絵が撮れました。早速編集に回します。ガンダム二機を相手に立ち回って勝利する。この映像は、きっと相当な効果を上げますよ』 彼らのほかにこの通信を聞く者はない。故に、アンデレ権八郎はベイトを大佐と呼んでいる。 「世辞はいい。所詮は水もの、老兵の無謀と変わりないさ。マルスの状態も芳しいとはいえんのでな。我が方の損害はどうか」 『徴兵組の士官が相当数戦死いたしました。いかがなさいますか』 「二階級特進が妥当だろう」 『では、方々の遺族には……』 「いいや、文字通りの二階級特進さ。私の権限で彼らをノーメンクラートルへ配属させる。今はまだ殉教者をまとめて供養する時勢ではない。反戦教派に口実を与えかねん」 『了解、そのように手配いたします』 「ああ。それと、今夜あたりディオゲネス行きの便は出せるだろうか」 『運河の復旧に暫くかかりますのでテレウスの帰還次第になりますが、おそらくご期待には沿えるでしょう。しかし番組の収録はどうなさるのですか』 「以前見せてくれたCG合成があるだろう。大根の私よりも本職の役者がやったほうが効果的さ。君とて、本心ではそう思っているのだろう?」 『はい』 アンデレ権八郎が即座に答えたのを見てベイトは小さく笑った。ベイトの腹心の一人である彼は、純粋な義勇兵と違って気の抜き方を心得ている。 『ディオゲネスに行かれるということは、やはり聖女を?』 「老人どもが喚き始めている。そろそろ火星を民衆の手に取り戻す頃合だ」 『大佐?』 アンデレ権八郎の顔色が変わったとき、ベイトは鼻の下に冷たいものが流れているのを感じた。拭ってみると手に赤い筋が出来ていた。鼻血である。 349 :アナザードルダ 21/23:2009/03/01(日) 02:10:19 「小言はいらない。私の体だ。パイロットとしては欠陥品だが、当分くたばることはないさ。人類の革新、それを君たち若者に見せるまではな」 ベイトはそう言って通信を切ると、突っ伏して咳き込んだ。先ほどああは言ったものの、唾液の中にも血液が混じっていた。 「マルスには暫く乗れんか……」 ふと、戦場で演じた三文芝居が思い出された。ミレンナ・カマシーヌに放った言葉が真実に心にもない言葉であったのか、なぜか己でも疑わしく思われた。 自分自身の命を何よりも優先するのがマスター・ベイトという男の格律である。けれども、殉教という自己犠牲の精神に心引かれている自分もいた。 「なんという矛盾。だが、このような矛盾を孕むことこそが、オールドタイプの業というものか」 マスター・ベイトは未熟な現在の自分を罵りながらも、さほど遠くない未来の情景に思いをはせて、自分自身を慰めた。 向かいの壁には、煙草に×印をつけた標識が貼られている。壁の塗装も染み一つない白さで、それを燻らせるのは気が引けた。デイヴィッドは二本目の煙草に火を点けた。 死を思え、と、彼は彼の後見人に云われたことがある。 『――それは逃げていく老人を追いかけ、卑怯な若者の足や臆した背中をも容赦しない』 『用心深く鉄と青銅で身を隠していても、死はそのように守られた首を奪い去る』 『太古のある民族は、宴会の食器に人間の骸骨を使っていた。それは残虐性の嗜好によるものではない。快楽に身をまかせている最中も、己が死すべきものであるという事実を忘れぬためだ』 『哲学、宗教、自然科学、俗流形而上学に至るまで、様々な思想が現れては消えて行き、死を知ろうと試みた。 何よりも恐れるべきは死で、それさえ恐れなくなってしまえば、浮世の恐れなど取るに足りぬことになると考えたからだ。たとえそれが己の死であろうと、他人の死であろうとな』 『死をあらかじめ思いみることは、自由をあらかじめ思いみることだ。いかに死ぬかを知ることは、あらゆる隷属と束縛から人を解き放つことだ。 デイヴ、死を思えという言葉は、死を恐れよというのではなく、死を征服する勇気を持てということなのだよ』 350 :アナザードルダ 22/23:2009/03/01(日) 02:13:45 下穿きを湿らせて、涙と鼻水でまみれた顔をしたデイヴィッドに、マスター・ベイトがそう言った。そのころデイヴィッドは十代であった。 何年か後に読んだ本にほとんど同じようなことが書いてあり、ベイトの顔を見るにつけ、噴出すのを堪えたことも思い出された。 受け売りに違いない台詞を知らん顔して平然と言い放った後見人が、滑稽でもあり、頼もしくも感じられた。 「しかし大佐、人間はそんな合理的に出来ちゃいないんです」 デイヴィッドは昔の思い出で緩みかけた顔を引き締めて、苦々しげに煙を吐いた。いくら死を思おうとも、現在の自分の置かれている状況で心の平静を保つことは出来なかった。 苛立ちと羞恥心とがデイヴィッドの心をかき乱し、煙草の減りも普段の二倍に近かった。 デイヴィッドのいる空間に、白衣の女性がいそいそとした足取りで入って来た。 知らない顔であるが容貌はなかなかよろしく、場所が食堂や休憩室であったならば、下心で声をかけていたかもわからない。 しかしその女性は、煙草を吸うデイヴィッドの姿を見止めるや否や顔を顰めて転進し、言葉も無く去って行った。 彼女がいやな顔をしたのは副流煙を嫌ってのことではない。ゲイリーあたりならむしろ喜ぶかもしれんが、と失敬なことを考えながら、デイヴィッドは背後の扉に寄りかかった。 「デイヴ」 少女の声が聞こえた。デイヴィッドは気だるそうに腕を上げて扉を軽く叩いた。 「はいはい。ちゃんとここにいる……畜生が」 デイヴィッドとドルダは約一分毎の間隔でこのような問答をしていた。 前に一度、デイヴィッドは耐えられず逃げ出したことがあり、そのときに蒙った衛生上の損害と失った面目とに比べれば穏便なものとはいえ、矢面に立つデイヴィッド当人にしてみれば到底許容できるものではない。 食堂でのことがあって以来、デイヴィッドはヴァニナに少女の教育の片棒を担がせるようになって、今少女のしているような行為に関する直接的な教育もヴァニナに任せた。 しかし、ヴァニナにはヴァニナの仕事があるうえに、ドルダという少女は付き添いなしにはどこへも行こうとしなかった。 ドクターに言っても、デイヴィッドが叱られるばかりである。軍人が一般市民の気持ちを理解しないように、病人相手に器具を扱いなれている医者はデイヴィッドの屈辱を理解しなかった。 351 :アナザードルダ 23/23:2009/03/01(日) 02:15:15 やっと水の流れる音が聞こえた。ドルダに手を洗わせると、デイヴィッドは彼女の首根っこを掴んで逃げるようにそこを去った。 入り口の壁には、スカート穿きの人間を模した赤い印と、「W.C」という文字が書いてある。 352 :通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 02:16:53 以上です。 353 :コナイ◇8GDQEpBT:2009/03/02(月) 06:46:18 さよならデイヴ。 乙です。久々の投稿ですね! なんか嫌な奴がまた出てきましたね。 逆にマスターベイトはなかなか。 業務連絡 一応wikiメンバーに入りましたが、自分の権限ではキャラ紹介や[[ストーリー]]の所はいじれませんでした。 現在トップと[[ドルダスレとは?]]ならいじれることを確認しています。 管理者権限を持つバルト氏が戻ってくるまで他はいじられませんので、また今までのを保存しときます。 354 :通常の名無しさんの3倍:2009/03/02(月) 23:20:36 ドルダが俺にもっとageろと囁いている・・・