852 名前:
ガンダム少年探偵団 :2010/08/27(金) 20:25:03 ID:???
AM11:00【
ガンダム家】
< ピンポーン
ロラン「はいはい」
タクヤ「あの……フロスト兄弟が、ここにくればドーガボマーを探してくれるって!!」
ロラン「……はい?」
シーブック「あの男の子の家で使っていたモビルシチズンが迷子で
それを探してくれって?なんでまた俺達が?」
ガロード「待って……あ、繋がった。おいシャギア!」
シャギア『ふ……その様だと依頼人は無事、ガンダム家に着いたようだな』
ガロード「依頼人だと?!」
シャギア『そうだ。事情は彼から聞いたのだろう?』
ガロード「ああ。なんでも今日の夜7:00引っ越しだとかで、それまでにモビルシチズンを見つけられないなら
そのまま出発しちまうって話だろ。お前んところに来た依頼なのかよ!」
シャギア『その通りだ。タクヤ=ブリッグスは私達に迷子のモビルシチズン探しを依頼しにきた』
ガロード「んでそんな仕事は俺に押し付けるってわけか!」
シャギア『それは違うな。依頼内容に順番を付けるような事はフロスト兄弟の誇りにかけてしない。
単に先に受けていた依頼があって、彼の依頼を受けることはできないというだけのことだ。
そういう訳で、君に良心があるならば、心優しい少年の願いを叶えてみせるのだな』
ガロード「単なる嫌がらせじゃねーか!」
シャギア『ふ……ガンダム兄弟が本気になれば不可能なことなど無いということを、私は一番良く知っているだけだよ。
そろそろお喋りの時間はお終いだ。立ち止まって電話をしていると、虫が寄ってきて敵わないからな』
ガロード「お前、今どこにいやがる」
シャギア『企業秘密だ。ジャングルの中、とだけ言っておこう』
<プツッ…
ガロード「切れやがった……」
シーブック「どうする?」
ロラン「追い返すのも気が引けますし、家で暇している人達でなんとかしましょう」
ヒイロ「任務了解」
AM12:00【キラの部屋】
キラ「はい、町内の監視カメラ全部ハッキング完了」
ヒイロ「早いな」
キャプテン「カメラの映像の中でドーガボマーの大きさで移動しているものをリストアップする」
ヒイロ「じゃあキラ兄さん、少年の情報からプロファイリングを始めてくれ」
キラ「ニコ・ドーガ作りながらでいいなら、やるよ」
PM1:00【日登公園】
シーブック「捜査の基本は現場百編ってシロー兄さんが言ってたからな」
アル「この公園で見失ったの?」
タクヤ「うん」
シン「居なくなったのが今朝の6:00……早起きなんだな。
だから目撃者も居なかった、か……くそっ」
アル「ねえ、この傷何かな?」
シーブック「花壇の……この高さは丁度モビルシチズンの肩ぐらいの高さじゃないか?」
シン「見ろよ兄さん、傷に黄色い塗料が付着している!」
853 名前:ガンダム少年探偵団 :2010/08/27(金) 20:26:36 ID:???
PM2:00 【サテリコン】
ガロード「ふー、疲れた身体にフルーツ牛乳が染みるぜ!」
パーラ「んなノンビリしてていいのかよ?」
ガロード「ノンビリなんかしてないっての!昼からずっと聞き込みしてんだぜ?
んで、サテリコンのお客の中でドーガボマーを見たヤツいねぇ?」
パーラ「アタシは情報屋か何かか」
ザコ「お客さんの中にドーガボマーを見たって人は何人かいたザコが
それがその子のドーガボマーとは限らないザコよ」
ジュドー「確かになぁ。俺もジャンク屋の連中に情報集めて貰ったけどさ、
逆に目撃情報が多すぎて絞りきれないんだよね。あ、俺もフルーツ牛乳」
ガロード「迷子なんだから、一人でいるドーガボマーの目撃情報に絞れば、多少は……
ロラン兄は? 商店街で聞き込みしてたんだろ?」
ロラン「そうですね。失踪前に果物屋さんにタクヤくんのお使いに来ていたという話を
……待ってください、今家から電話が……」
PM2:10【ガンダム家・居間】
シュウト「ロラン兄さん達、ドーガボマーが一人って断定するのは早いんじゃないかな?
誰かと一緒にいる可能性もあるし、もっと言うと連れさられたってあるんじゃない?」
ウッソ「そこら辺は現場班から送られてきた花壇の傷の写真から判断しましょう。
ヒイロ兄さん、この写真を科学捜査班に」
ヒイロ「ああ。何かひらめいたか?」
ウッソ「安楽椅子探偵とはいかないですよ。取り敢えず、現状を整理しましょうか。
居なくなったのはドーガボマー。低価格で販売されている
ザコソルジャーとは違って
ハイグレードモデルと言われています。あの子の家はそこそこのお金持ちですね」
ヒイロ「そうだな。今回の引っ越しも彼の父親が南米の支店長に抜擢された為だという」
ウッソ「それですよ。その南米支社ね、キナ臭いことになってますね。
前の支店長が環境破壊スレスレのことをやってマハが抗議しています」
シュウト「マハの過激派があの子のドーガボマーを拉致……するのは変だよねぇ?
狙うなら元支店長の方だし、仮にあの子のお父さんを脅迫するとしても
あの子を直接捕まえた方が効果がありそうだもん。
だって、
モビルシチズンが見つからないなら置いて引っ越しするなんて言う人だし!」
ヒイロ「怒るな、シュウト」
ウッソ「単純にモビルシチズンが欲しかった、という可能性もありますよ
野良モビルシチズンを闇市で裁いたり、要人テロ用に改造されたりというのは
今、社会問題になっていますからね。犯罪の可能性としてはありうることです」
ヒイロ「モビルシチズンの持ち主が金銭的に余裕があり、居なくなっても必死に探すような人物でない場合
拉致の対象には充分なりえるだろう。尤も、単に迷子になった可能性も十二分にあるが」
シュウト「迷子になったとしたら、それは自発的になのか、それとも機械の故障なのか。それが問題だよ」
ヒイロ「故障の場合は、行動に法則性を見いだせる可能性もあるし、バッテリー切れで今は動いてない可能性もあるな」
ウッソ「自発的な場合、もういちど彼や、その周りとドーガボマーの関係が良好であったのかを確かめる必要がありますね」
PM3:00【日登公園】
タクヤ「僕たちは友達だよ!」
シーブック「……だってさ」
ヒイロ『しかしそれは彼が一方的にそう思っているだけで、向こうは……ん?
シーブック兄さん、キラが写真の傷を鑑定し終えた。
結論から言うと、誰かに引き摺られたりした強い傷ではない。
偶々、擦れて出来た傷だと考えられる。方角は北西から南東にかけて』
シン「つまり、南東の方角に向かったって事でいいんだよな?」
アル「そうだね。わざわざグルッと回って移動する必要はないし!」
シーブック「シン、ロラン達に電話。公園から北西半分の情報は無視していいって」
シン「了解。あ!アル!そっちは林だから気をつけろよ。
昨日の夜雨降ったんだから」
アル「でもこの林を突っ切ったほうが近道だよ!」
854 名前:ガンダム少年探偵団 :2010/08/27(金) 20:28:00 ID:???
PM3:15【学校】
ジュドー「あいよ。じゃあ地図のこっち側は無しっと……」
ルー「迷子ならさ、ティファの力でちょちょいっと探せないの?」
ジュドー「相手が機械だからなー。それに、俺達兄弟にも意地っての、あるし?」
ハマーン「ふん、それをもう少し勉学に向けてくれれば助かるのだがな」
ジュドー「げ、ハマーン先生……」
ハマーン「夏休みの宿題は終わったのか?」
ジュドー「ひゅー…ひゅー…」
エル「吹けてない、吹けてないよ、口笛」
ハマーン「地図を広げて、人の話を聞いて、……これは自由課題に応用できるかも知れんな」
ジュドー「ま、マジで?!」
ハマーン「これをそのまま提出しても認めんぞ。ちゃんとレポートに纏めるなら、考える」
ジュドー「おーけー、おーけー」
ハマーン「本当に分かっているのか?ただ地図を見てるだけでは何にもならんぞ。なにか発見をし、考えてみろ」
ジュドー「って言ったって……う~ん……」
PM4:00【ガンダム家・今】
シュウト「どうして花壇に傷が付いていたんだろう……」
ヒイロ「ん?何か不自然か?」
ウッソ「確かに不自然ですね。人間なら目算を誤るという事はありますが
モビルシチズンですよ?歩行不良になった……バランサーかカメラの不良……」
PM5:00【教会】
デュオ「そうそう。工場近くでパンを配ってたシスターがドーガボマーを見たって言ってたぜ
それも何回も同じところをグルグル回っていたって」
ガロード「工場地帯は公園から見て西側だな」
ジュドー「ま、北は山だし、目撃されるとしたらこっちだよな」
ロウ「つーかここら辺はスモッグが酷くてモビルシチズンの光学センサーがイカれちまうんだぜ」
ガロード「ほんとか、教会の浄水器を直しにきていたロウ!」
ロウ「やけに説明的なセリフだな。ホントだぜ。だからあの辺りは野良や迷いモビルシチズンは結構いるんだ」
ジュドー「そういうこと、早く言えっての!」
ロウ「いやさ、でもそれはモビルシチズン作ってる側もよく分かってて
ネオ・ジオン社が定期的にパトロールしている筈なんだけどな。確か今日も……」
PM5:30【ネオ・ジオン社ビル前】
アフランシ「ああ、そうだよ。今日の昼にあの辺りで保護されたモビルシチズンは3体
ドーガボマータイプは居なかったな」
ロラン「そうですか。わざわざ済みません」
アフランシ「オリジナルの記憶の僕に捕まっていたらもっと時間がかかったろうね。
情報と引き替えに××を要求されたり?」
ロラン「怖いことを言わないでくださいよ……」
<PPP
ロラン「もしもし?」
ウッソ『どうでした? 保護されて……』
ロラン「残念ですが……」
ヒイロ『ふりだしか』
ロラン『一歩下がる、ぐらいですよ』
シュウト『"ふりだし"……ねえ、なんで二人は公園に行っていたんだっけ?』
855 名前:ガンダム少年探偵団 :2010/08/27(金) 20:29:38 ID:???
PM5:45【工場地帯】
シン「くそー。ガロード達の話だとここら辺の筈なんだけどなー」
アル「……うん…うん……わかった、ありがとうロラン兄ちゃん」
シーブック「アル、ロランはなんだって?」
アル「ネオ・ジオン社のパトロールの人はここでドーガボマーを見てはいないって」
シン「げ、無駄足かよ!」
シーブック「いや、パトロールの人が見落としている可能性もある
これまでの捜査でだいぶ絞り込めたんだ、きっと後少しさ」
シン「そうは言ってもさ……もう時間だってないぜ」
タクヤ「………」
シロー「お前達、何やってるんだ?」
シーブック「シロー兄さん!?」
シロー「この近くで捕り物があってさ、誰だ?その子?こんな時間まで連れ回して大丈夫なのか?」
シン「実はかくかくしかじかで……」
シロー「なるほど。でもタクヤ君の親御さんも心配しているだろう。俺が家まで送っていくよ」
タクヤ「でも……」
シロー「心配するな。コイツらはきっと君のドーガボマーを見つけるさ」
シーブック「シロー兄さん、頼む」
シロー「ああ」
シーブック「……兄さん!」
シロー「なんだ?」
シーブック「……見つかると思う?」
シロー「お前達は花壇の傷を見つけて、それでここまでホシに近づいたんだろ。
捜査の基本は足だ。足が動かなくなるまでやってから弱音を吐け」
シーブック「……わかった」
PM6:00【ガンダム家・居間】
キラ「ここ三日間、二人は公園に朝早く通っていた。
目的はカブトムシ。果物屋でかったバナナやリンゴを砂糖とハチミツで漬けて
クヌギの木にぶら下げておくと……ってヤツだね。あそこの公園の林はクヌギ林だから」
ヒイロ「しかしあの公園にカブトムシが居るのか?」
キラ「いたら三日も通い詰めてないんじゃない?」
シュウト「じゃあ、もし、ドーガボマーがカブトムシを見つけたとしたら?」
ウッソ「捕まえようとする。タクヤ君の為に」
シュウト「逃げられたら……」
キラ「追いかけるだろうね。カブトムシだってそう長くは飛ばないだろうから、休み休み木に留まるんじゃない?
だとするとロラン兄さんたちの目撃情報と、町の緑地を重ねて……このルートか。キャプテン?」
キャプテン「了解した。確かにドーガボマーらしき影が二度、映っている」
ヒイロ「しかし、一番の緑地である山がカブトムシのゴールだとすると、その前に工場地帯に入るな」
ウッソ「そこでドーガボマーは前後不覚に陥ったんでしょう」
キラ「じゃあやっぱりシン達のいる辺りに……」
キャプテン「しかし、センサーが効かない状況になったらむやみやたらに動き回るのは愚策だと思うが」
シュウト「でもドーガボマーには元々目的があった。タクヤ君の為にカブトムシを捕まえるっていう目的が。
もし迷子になった状況で、またカブトムシを見つけたとしたら?」
ウッソ「ガイドビーコンに誘われるように動き出しますよ。きっと」
856 名前:ガンダム少年探偵団 :2010/08/27(金) 20:30:55 ID:???
PM6:30【国道】
ガロード「やっぱ山か!」
ヒイロ『やっぱ?』
ジュドー「消去法ってヤツ?それに目撃情報が北上していたしさ」
ガロード「実はもう向かっていたりして……って、あれ、シーブック兄!?」
ジュドー「エレカに乗ってんの?いいもの持ってるジャン!」
ラウ「フハハハハ!レイの友人の頼みとあっては私のオーダーメイド、
ル・クルーゼ社製エレカに乗せてやるのもやぶさかではない!!」
シーブック(鍋のメーカーに車作らせるって……)
シン「話は聞いた。お前達も来る気なら乗れ!」
ガロード「へへ、もちのろんだぜ!」
ラウ「残念だが定員オーバーだ。後一人なら乗れないこともないが」
ジュドー「げ!?」
シーブック「いそげ、もう時間がないぞ!」
ガロード「わかった!」
ジュドー「ゴメン、シン兄!」
シン「ゴメンってどういう……おい!俺を突き落とすなお前ら……コラっ!
だれのツテで車借りて貰えたと……おい、ちょ…まっ……」
<バタンッ!
ラウ「ハハハハ!これこそ人の業!人の罪!ガロード君、
ジュドー君、シートベルトはしっかり締めたまえ!発進!!」
シン「アンタは一体なんなんだーーーー!!!」
PM6:45【北の山】
シーブック「山にはついたけど……」
アル「これから探して戻ってじゃ、7:00には間に合わないよ」
ガロード「畜生っ!」
<バサッ
刹那「ガンダム!!」
ジュドー「へ……刹那……兄……?」
カミーユ「お、おまえら丁度よかった。ドーガボマーな、見つけたぞ」
ドーガボマー「みなさんご心配をおかけしました」
ジュドー「え?なんで?」
カミーユ「なんでって、一緒に探してたじゃないか」
シーブック「いや、探してたけど、カミーユ達電話繋がらなかったし」
アル「すごいや二人とも!僕たち全員で推理したに、それよりはやくここに辿り着いたんだね?」
刹那「……推理?」
カミーユ「なんのことだ?」
ガロード「……え゛?」
刹那「俺達は普通に町を探していただけだ」
カミーユ「山にきたのはなんとなくここにいるような気がしたから……つまり勘、だな」
刹那「ああ」
シ・ガ・ジュ・ア「「「「えええええええ~~~~~~~~!?!?!」」」」
858 名前:ガンダム少年探偵団 :2010/08/27(金) 20:43:21 ID:???
PM8:00【ガンダム家・食卓】
ドモン「わっはっはっはっは!!」
ガロード「ドモン兄、笑いすぎ」
マイ「人間の知恵より野生の勘に勝敗が上がったわけですか。興味深いですね」
シロー「まあ勘も捜査には必要ではあるけど……でもシュウト達は頑張ったよ」
アムロ「そうだな。勘だけじゃ人は動かないからな」
セレーネ「それで、そのタクヤ君って子は引っ越していっちゃったの?」
シュウト「ううん」
ヒイロ「支店の犯罪が明るみになって、企業は立て直しより撤退を選んだようだ」
コウ「あ、それニュースでやってた。マハが雇ったエージェントが証拠を掴んできたって」
ジュドー「結局、骨折れ損のくたびれもうけってヤツ?」
アムロ「そんなことないさ。タクヤ君は喜んでいたんだろ?」
シロー「それに、今日みたいに力を合わせて困難を解決したのは良い経験だぞ」
ガロード「だけどことの発端がフロスト兄弟だけに、やっぱ悔しい!!」
シャギア「それは何よりだ」
オルバ「僕たちは永遠のライバルだからね」
ガロード「さりげなく食卓に混じってるんじゃねえ!おまえらジャングルにいるんじゃなかったのかよ!」
オルバ「いやだな、僕たちはフロスト兄弟だよ?依頼にそれほど時間をかけるのは流儀に反するのさ」
シャギア「ふ…
ロラン君、これは
お土産だ。マハ印の純度100%のロイヤルゼリーだ」
ロラン「これは高級なものを……いいんですか?」
オルバ「何、依頼人からの貰い物だからね」
シャギア「これを持って、この話はQuod Erat Demonstrandumと言うわけだな」
ガロード「何訳の分からないこと言ってやがる!ジュドー、塩持ってこい、塩!」
シャギア「はっはっは…」
オルバ「ふっふっふ…」
おわり
最終更新:2014年10月18日 22:42