20 名前:技術屋は兄弟家へ還る 1 :2010/09/25(土) 18:53:06 ID:???
それは、突然でした。
刹那「大変だ!」
ロラン「おはよう刹那。どうしたの?」
刹那「マイ兄さんが…仕事に行きたくないと言い出したんだ」
ロラン「えっ」
アムロ「えっ」
全員「えーっ!?」
アムロ「あああ、あの仕事人間のマイが…!?」
ロラン「どどどっ…どういうことですか!?」
刹那「正確には、他人と会いたくないそうだ」
キラ「要はヒッキー…いや、ニートになりたがってるってことじゃない?参ったなぁ、この家にニートは1人で十分なのに」
シロー、ドモン「馬鹿者ぉぉぉ!!この家にニートなど必要なぁぁぁい!!」
アムロ「シローとドモンの言う通りだ!!全く…」
ロラン「それよりマイ兄さんが、どうして…?何か、あったんでしょうか?」
ヒイロ「昨夜、仕事から帰宅したマイ兄さんに会った。その時から、マイ兄さんは様子がおかしかった」
セレーネ「どういうこと?ヒイロ」
ヒイロ「詳しくは解らないが、落ち込んでいるというか…何か、ショックを受けていたようだった。そして、よそよそしい態度だったが」
シーブック「理由は解らない、か…」
シン「誰か、マイ兄さんがおかしい理由を解る人は居ないのかよ?」
ガロード「うーん…」
ジュドー「マイ兄、基本的に帰って来るの遅いしなぁ」
アル「結構、会えないことあるよね」
シュウト「キャプテンは解る?」
キャプテン「いや、残念ながら…」
ウッソ「そういえば、マイ兄さんって、毎日記録つけてますよね?」
カミーユ「ああ、あの堅苦しい感じの報告書か」
ウッソ「もしかしたら、それにおかしい理由が書いてあるかも…」
コウ「でも、どうやってそれをゲットするの?」
バナージ「うん、それだよなぁ」
ドモン「強行突破か!?」
刹那「トランザムで!!」
シーブック(怪盗キンケドゥ…は、無理だな)
アムロ「…いや。とりあえず、少し様子を見よう。誰にだって、おかしくなることはあるさ」
ロラン「心配ですけど…そうですね。それがいいかもしれません」
アムロ「キャプテン、ロラン、あと…キラは、マイの様子を注意深く見ていてくれ」
キャプテン「了解」
ロラン「解りました」
キラ「えー?僕もー?」
シロー「キラ!!」
キラ「じょ、冗談だよ。了解しましたっ」
21 名前:技術屋は兄弟家へ還る 2 :2010/09/25(土) 18:54:31 ID:???
その日、マイは1度も部屋から出なかった。
アムロ「そうか…部屋から出なかったか」
ロラン「思った以上に重症ですね。
どうすれば…」
キャプテン「これでは、相部屋の刹那ですら部屋に入れません」
キラ「大丈夫だよ」
アムロ「キラ?」
キラ「セレーネ姉さんとヒイロとウッソで協力して作った、このG型盗撮機があればね」
ロラン「わあああ!Gぃぃぃ!?」
アムロ「落ち着けロラン!偽物だ!」
セレーネ「この子結構凄いのよ?狭い隙間もスーイスイなんだから」
ヒイロ「バレた時の為に、自爆装置も付けた」
ウッソ「映像はリアルタイムで見れますよ!」
アムロ「何だか…褒めていいのか悪いのか。複雑だな」
キラ「まあまあ。それはちゃんと成果を見てからにしてよ。じゃ、発進」
ガサガサガサ
キャプテン「無事に部屋に入ったようだ」
ヒイロ「頭から布団を被ったマイ兄さんを発見…」
セレーネ「ん?何か聞こえるわ」
ウッソ「音を拾います」
マイ「僕は…普通の人間じゃないのか…」
ウッソ「だ、そうです」
キラ「何か厨二っぽい感じになってるね」
マイ「僕だけは、家族の中でいたって普通な、マトモな人間だと思っていたのに…」
アムロ「マイ!どういう意味だ!?俺が普通でマトモな人間じゃないとでもー!?」
ロラン「アムロ兄さん!落ち着いて下さい!」
ガサガサガサッ
マイ「!?…何です!?」
セレーネ「あ、バレた?」
キャプテン「いや、ただのGだとしか思われていないと思うが」
ヒイロ「自爆準備…」
フワッ…ウィィィン………パーン!
アムロ、ロラン「えええ!?」
キラ「あれ?応答なし?」
ヒイロ「自爆装置を発動する前に…」
キャプテン「マイがカメラ目線になった瞬間…」
ウッソ「破壊されたのっ!?」
セレーネ「え!?マイが破壊したって事!?」
アムロ「…いや、これはただ破壊したわけじゃないかも…!!」
ロラン「どういうことです!?」
アムロ「
空中分解だ…」
22 名前:技術屋は兄弟家へ還る 3 :2010/09/25(土) 18:56:25 ID:???
セレーネ「大好きな仕事に行かずに引きこもり」
ロラン「人に会いたくないと、家族すら遠ざけ」
キラ「
厨二病発言」
アムロ「そして、突然の空中分解…」
ウッソ「謎は深まるばかりですね」
シーブック「うーん…。あのさ、会社の人達は、何も知らないのかな?昨日、会社で何かあったのか…」
ヒイロ「聞いてみる価値はありそうだが、誰に聞いても、更に謎が深まりそうだ…」
シーブック「まあ、あの会社の人達だしね…」
アムロ「しかし、このままというわけにもいかないだろう」
ピンポーン
ロラン「あ、お客様だ。はぁーい!!」
シーマ「邪魔するよ」
ロラン「シーマさん、いらっしゃい」
シーマ「コウに会いに来たんだが…なんだい?皆、随分と深刻な顔をして」
アムロ「実は、かくかくしかじかでな…」
シーマ「あの技術屋さんがかい!?それは深刻にもなるねぇ。何ならアタシが会社の奴に探りを入れてやろうか」
ロラン「本当ですか?」
シーマ「海兵の兄ちゃんとは馴染みがあるし、キャディラック姉弟ともよく会うからね。奴らなら、謎が深まるような答え方はしないだろ。ちょっと待ってな、今、電話をしてやるよ」
ピ、ポ、パ…トゥルルル…トゥルルル…
シーマ「あ、海兵の兄ちゃんかい?ちょいと
聞きたいことがあるんだが。…ああ、
ガンダム家の技術屋さんのことでね。………え?な、なんだいそれは!?」
アムロ「どうしたんだ?」
シーマ「…ちっ。ヅダンガンの覚醒がどうのこうの言って、電話が切れちまったよ」
シーブック「ヅダンガン…?」
ピ、ポ、パ…トゥルルル…トゥルルル…
シーマ「あ、嬢ちゃんかい?実は、ガンダム家の技術屋さんのことでね…。は?知らないってなんだい!?ちょ、ちょいと…!!」
ロラン「電話、切れられてしまったようですね」
シーマ「済まないねぇ。役に立てなくて」
ロラン「そんなことありません!ありがとうございました」
アムロ「ヅダンガン…覚醒…そして、語ろうともしない会社の同僚達…。一体、どうすればいいんだ…」
23 名前:技術屋は兄弟家へ還る 4 :2010/09/25(土) 19:11:10 ID:???
死神「ねえ。ちょっと」
セレーネ「何よ」
死神「イイモノがあるのよ?」
セレーネ「イイモノって…それ、マイの記録?」
死神「私にかかれば
朝飯前よ」
セレーネ「さ、さすが死神ね…」
キラ「あれ?セレーネ姉さん、それってマイ兄さんの記録じゃ…」
ロラン「あっ!本当だ!いつの間に!?」
セレーネ「あ、あの…。タマが持って来てくれたのよ~!賢い猫なのよ~!アハハハ…」
シーブック(死神ですか)
アムロ(死神だな)
ヒイロ「とりあえず、中を見てみよう。昨日のページは…ここか」パラパラ
25 名前:技術屋は兄弟家へ還る 5 :2010/09/25(土) 19:18:47 ID:???
兄弟家報告書
モニク・キャディラック嬢と営業。公園で休憩を提案、採用。
公園のベンチにキャディラック嬢を残し、私は近くの自販機でスポーツドリンクを2本購入。
戻ろうとすると、キャディラック嬢へボール型ボールが勢いよく接近。
注意を呼びかけようにも助けようにも間に合わず困惑。キャディラック嬢の安全を念じると、ボールが空中分解。キャディラック嬢は怪我もなく無事な様子。
そこへ、秋の球技大会へ向けて練習をしていた
ネーナ・トリニティ嬢とルイス・ハレヴィ嬢がやって来て、キャディラック嬢に謝罪す。
帰社し、ボールの空中分解現象について話すと、
ジャン・リュック・デュバル氏から、その現象は、私の「津弾眼(ヅダンガン)」覚醒だと指摘を受ける。私が見たものを空中分解させる能力らしい。
恐ろしい能力のため、社員達にはなるべく口外しないよう懇願。
無差別空中分解の危険があるため会社もしばらく休み、家族をはじめ他人との接触は避けるべきと判断。
私は、超人揃いなガンダム家の人間であるが、私だけは普通だと思っていただけに、極めて遺憾である。
オリヴァー・マイ・ガンダム
26 名前:技術屋は兄弟家へ還る 6 :2010/09/25(土) 19:20:11 ID:???
ロラン「謎が…解けましたね」
ウッソ「それより、マイ兄さんはこんなに失礼な人でしたか…?」
キラ「ですよねー。超人家族だとか」
ヒイロ「失礼というよりは正直というべきか。俺達が超人であることは、否定出来ん」
ロラン「あ、アムロ兄さん?どうしたんです?」
アムロ「マァァァイ!!」
アムロがキレ気味にマイの部屋の扉を開けた!!
マイ「!?…兄さん!?き、来てはダメですっ」
アムロ「お前、家族のことを何だと思っているんだぁぁあ!!ええ!?」
マイ「兄さん!?何故…!?」
アムロ「家族が超人揃いだとか自分だけがマトモだとか悩む前に、悩みがあるなら何で家族に相談しない!?」
マイ「ハッ…!!」
アムロ「…お前の、家族を巻き込みたくない理由は解る。しかし、何も解らず、出来ず、見ているしか出来ない家族も、辛いんだぞ?」
マイ「兄さん…」
ロラン「そうですよ。それに、マイ兄さんの言う通り、我が家は超人揃いです。解決出来るかもしれないじゃないですか?」
マイ「ロラン…」
アムロ「ガンダム家の絆は深い。どんな困難にも、立ち向かって行けるだけの力がある。だからもう、1人で抱え込むな」
マイ「…ありがとうございます」
ヒイロ「マイ兄さん、サングラスだ。気になるならこれをかけていればいい。…気休め程度にはなる」
マイ「ヒイロ、ありがとう。僕、改めて皆に話します。僕の行動で心配をかけてしまったようですし…謝罪も込めて」
27 名前:技術屋は兄弟家へ還る 7 :2010/09/25(土) 19:21:21 ID:???
マイは、家族に全てを話した。
シロー「そんな理由があったのか…」
ガロード「つか、何だ?その津弾眼って」
シン「種割れとも違うんだよな?そもそもマイ兄さん、コーディネーターじゃないし…」
シュウト「キャプテン、どう?」
キャプテン「そんなものは…存在しないと思われる。私のデータにはない」
カミーユ「デュバルさんに聞くしかないんじゃないか?津弾眼のこと」
ジュドー「あの人が、素直に教えてくれればいいけどね」
ピンポーン
ロラン「あ、お客様だ。はぁーい、今行きますよー!!」バタバタ
マリナ「こんばんは」
ギリ「…フン」
ロラン「マリナさんにギリさん!一体どうしたんです?」
ギリ「…これを届けに来ただけだ」つ
ロラン「わあ!栗ですね!…痛てて、トゲが」
マリナ「ギリ君がたくさん取ってきてくれたのよ」
ギリ「店で使うには量が多くてな。わざわざおすそ分けに来てやった」
ロラン「ありがとうございます」
ギリ「…そういえば、お前の家の技術屋…」
ロラン「マイ兄さんのことですか?」
ギリ「その同僚の女…名前を忘れたが、あの、高圧的な女だ」
ロラン「モニク・キャディラックさんですか…?」
ギリ「そう。その女だ。この間は危なかったが、怪我はなかったのかと思ってな」
ロラン「…それって…」
マイ「どういうことだい!?」
ギリ「うわっ!?技術屋!?い、いきなりサングラスで登場するなっ!」
マイ「この間って、ボール型ボールの空中分解のことだね?君も見ていたのかい?」
ギリ「空中分解?見ていたも何も、あのボールを破裂させたのは僕だが…」
マイ「え」
ロラン、マイ「ええええ!?」
28 名前:技術屋は兄弟家へ還る 8 :2010/09/25(土) 19:25:18 ID:???
兄弟家報告書
ギリ・ガデューカ・アスピス少年からの思わぬ報告により、全てが解決した。
事件当時、ギリ少年は栗拾いの帰りだったらしく、偶然にもキャディラック嬢の危険を察知。
咄嗟に、栗を投げつけ、ボール型ボールを破裂させたとされる。
私やキャディラック嬢はその事実を知らず、ボールが空中分解したものと誤解したのである。
なお、ネーナ嬢やルイス嬢がその事実を知っていたかは定かではない。
全ての誤解が解け、翌日、私は出社。社員に真実を公表す。
「津弾眼の覚醒」だと、事を大きくしたデュバル氏は、周囲から白い目で見られた。
しかし相変わらず「ジオニック社の陰謀(ry」などと騒いでいたことは、誠に遺憾である。
ギリ少年の機転のお陰で良くも悪くも色々あった。
しかし、キャディラック嬢に怪我がなかったこと、私が家族の存在を見直すことが出来たのは、私にとって良かったといえよう。
オリヴァー・マイ・ガンダム
最終更新:2014年11月26日 21:13