756オールアムロVSシャア軍団VS
ガンダム兄弟2020/06/15(月) 00:56:30.53ID:l7fA4kK80
???
セレーネ「……うっ、ここは?」
フロスト兄弟の裏切りにより、ガンダム兄弟家での戦闘に敗北したセレーネ。
次に目を覚ました時、彼女は見知らぬ部屋で椅子に縛り付けられていた。
シャギア「おや、ようやくお目覚めかねセレーネ・マクグリフ」
セレーネ「
変態兄弟……よくも騙してくれたわね!」
オルバ「僕らは元々敵役だよ。簡単に信用する方がどうかと思うけど」
セレーネ「
スターゲイザーはどこ!? 兄弟のみんなは無事なの?! ううん、それより……私はいったいどれくらい気を失っていたの!?」
オルバ「どれくらいって……そうだね、あれから8時間強ってとこかな兄さん」
シャギア「ああ。もうすぐ日付も変わるなオルバよ」
セレーネ「なんてこと……! 早く、早くあのことをみんなに知らせないと!!」
オルバ「おいおいどうしたんだい? そんな急に慌てだして」
シャギア「そんなに暴れても、縄が皮膚に喰い込んで痛いだけだろう」
セレーネ「うっさい! そっちこそわかってんの!? このままじゃ、アンタらだってこの町もろとも……!」
フロンタル「無論、彼らは全てわかって私に手を貸してくれているのだよ」
そう言って入ってきたのは、この事件の黒幕たるフル・フロンタルだった。
いつもの全裸とは違い、今日はきっちりと服を着こんでいる。
セレーネ「フル・フロンタル……!」
ゾルタン「まったく、起きた端からうるせえ女だな? アア?」
セレーネ「その声、そっちはウチを襲ってきたやつね。これがこの悪だくみのお仲間全員ってワケ?」
フロンタル「厳密にはアンジェロと、それからもう一人いるがね。今、主に動いているのは我々だと思ってもらって構わない」
セレーネ「そう、よかったわね。ならさっさと私を解放してもらえる? もう時間が無いの。早くみんなと合流しないと……」
ゾルタン「ハア!? 返すわけねーだろ! てめーは人質なんだからよ!」
フロンタル「そうだ。それにもうじき、とびきりのショウが始まるんだ。よかったら君も見ていくといい。特等席を用意しておいたからね」
セレーネ「ショウ? なにを言って……」
フロンタルがリモコンを操作すると、窓のシャッターが開いた。
そこに広がっていた光景に、セレーネは言葉を失う。
セレーネ「あれは……
デビルガンダム!!」
オルバ「うん。君たち兄弟とも因縁深い、あのデビルガンダムさ」
セレーネ「動かない……眠っているの?」
シャギア「そうだ。南区で目覚め、警察署を襲ったまではいいが、MAとの戦いで力尽きてね。今は休眠状態らしい」
フロンタル「だが目覚めの時は近い。奴はいま、最高の生体ユニットを手に入れたのだから」
セレーネ「!? ま、まさか! あんたたちが私をさらった理由って……!」
何かを察したのか、動揺するセレーネ。だがそれを後ろからゾルタンが抑えつける。
ゾルタン「ビビることはねえだろ? さあ、よーく見ろ。デビルガンダムが目覚めるぞ!」
ゆっくりと動きだすデビルガンダム。
まるで誰かを招き入れるように、空っぽのコクピットが静かに開いた――
757オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/06/15(月) 01:04:43.99ID:l7fA4kK80
日登町中央区:学校
ギャバン「どうでしたか。他の町と連絡はつきましたか?」
ハロ長官「ああ。また通信障害が酷くなってきたせいで、中々大変だったけどね」
リリ「それで、救援は望めそうですの?」
リリの問いかけに、ハロ長官は首を振った。
ハロ長官「これを見たまえ。人口衛星から送られてきた、現在の日登町の様子だ」
リリ「まあ、なんてひどい……!」
ギャバン「中央区を除く、全ての地域がデビルガンダム化している、だと……!?」
ハロ長官「そう、まさにデビル日登町といったところだね」
町全域を飲み込み、かつてないほどに巨大化したデビルガンダム。
成長は今も続いており、日登町はおろか、隣町にまで触手を伸ばしている。
その防衛で手いっぱいで、どこの町も日登町に救援をよこす余裕はない。
それがハロ長官の説明だった。
ギャバン「なんてことだ……」
リリ「仕方ありませんわ。私たちだけでなんとかするしかない、それがわかっただけでも得というものです」
ギャバン「アムロ・レイと
シャア・アズナブルの喧嘩からはじまり、MA、シド、
ELS、デビルガンダムの襲撃……まったく、今日はなんて日だ」
ハロ長官「嘆いていても仕方がない。まずはできることから始めよう。それで、住民の避難状況はどうなっているかな?」
グラハム「それについては、住民の90パーセントがこの学校に避難済みです」
ハロ長官「おお、グラハム警視正。君も無事だったか」
ギャバン「朝から姿が見えなかったが、いったいどこに行っていたんだ?」
グラハム「今日はいきつけの銭湯のサウナに閉じ込められたり、ロボットプロレスの解説をしたり、シドの襲撃から避難民を護衛したりと、色々です」
リリ「なんですの、その波乱万丈なハードスケジュールは……?」
グラハム「はっはっは、おかげでいい経験ができました。放っておいた部下たちには悪いことをしましたが」
ハロ長官「グラハム警視正、君の冒険譚にも興味はあるが、今は報告の続きを」
グラハム「失礼した。まだ避難が済んでいない住人たちも、ほぼ全員の居場所を特定しました。現在、警官隊が救助に向かっています」
ギャバン「今のところ、大きな人的被害が出ていないのが不幸中の幸いといったところですな」
リリ「なんだかんだいって、この町の方々は荒事には慣れていますからね」
グラハム「ですが、いくつか気になることもあります」
ハロ長官「気になること?」
グラハム「ええ、これは避難中に、デビルガンダムと遭遇した者たちの報告なのですが……」
グラハムの報告。それは今回のデビルガンダムの生態に関するものだった。
例えば破裂して毒液をまき散らしたり、鋭い棘を全身に生やしたり、
中には救助を求める住民に擬態し、近寄ってきたところを襲い掛かってきた例もあるという。
リリ「毒に棘に、おびき寄せての襲撃……まるで植物のようですわね」
ハロ長官「確かに、どれも今までのデビルガンダムでは例の無い生態だね」
ギャバン「デビルガンダムは、取り込んだ生体ユニットによって大きく進化を遂げるという特性があります。今回もそのためではないでしょうか」
リリ「かつての
レイン・ミカムラ、
シーマ・ガラハウ、コウサカ・チナとホシノ・フミナのようにですか」
ギャバン「ええ。いずれの時も、デビルガンダムは生体ユニットにより異なった特性を獲得しています」
リリ「なら、今回はいったい誰を取り込んだというのかしら……」
そう言って、リリ・ボルジャーノは、遥か西に見える巨大なデビルガンダムのシルエットを見つめた。
ギャバン「いずれにせよ、もうあまり時間はありません。今は魔法少女たちが張った結界によって学校は守られていますが」
グラハム「彼女たちの体力が持つのも、明日の朝まででしょう」
リリ「なんとかそれまでに反撃の目途をつけないといけませんわね」
ハロ長官「そのためにも、まずはシロー刑事をはじめとするガンダム兄弟たちの意見も聞きたいな。彼らはいま、どうしているんだい?」
758オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/06/15(月) 01:15:00.46ID:l7fA4kK80
その頃、ガンダム兄弟はデュランダルの協力者であるタリアや東方不敗らと会談していた。
内容は、この事件の黒幕たるフル・フロンタル、その目的についてであった。
シロー「“人類を一つ上の存在へ進化させ、世界から争いを永遠に無くす”!?」
タリア「ええ、それがわれわれの掴んだ、フル・フロンタルの作戦目標です」
フリット「…………」
東方不敗「どうした。何を黙っておる」
アルレット「と、言われてもねえ」
ジュドー「思ったよりもガチな目標で、俺たちも反応に困るっていうか」
キラ「ていうか何なの? イマドキ人類進化による争いの根絶って」
ウッソ「いかにも中二が考えたラスボスって感じで、もにょっとしますよね」
シュバルツ「信じがたいだろうが、事実だ。いくつかの確かな証拠もある」
シン「マジかよ……」
キラ「大丈夫なの? こんな場末のネタスレでそんな大仰な目標立てちゃって? これ絶対あとで収拾つかなくなるヤツじゃないの?」
ベルリ「うん、とりあえず今はそういうメタなツッコミやめとこうか。ホントになっちゃうから」
タリア「もっとも、そのための具体的な方法と言うか、この計画の最終段階については、こちらもまだ掴みかねている状態です」
カミーユ「でも、その鍵になるのが俺とジュドーの機体なんですよね?」
ジュドー「あ~、そういえばタッグマッチのあと、アムロ兄とクワトロさんがそんなこと言ってたな」
シュバルツ「そうだ。“ZがZZになる。それこそが進化の道である”我々が手に入れた資料にもそう書いてある」
ヨナ「ZがZZになる? どういうことだ?」
刹那「ZガンダムはZガンダムであり、ZZガンダムにはならない。フロンタルの言葉は間違っている」
シン「おお、珍しく刹那が当たり前のことを言ってる……!」
マイ「でもその通りだよ。もしかしたら、このZとZZって言葉には、何か別の意味があるのかもしれませんね」
リタ「シローはどう思う?」
シロー「……まだ憶測の域をでないことについて、ここでどうこう言っていても仕方ないと思う」
それからシローは兄弟を見回し、言葉を続ける。
シロー「むしろ今は、目の前にある危機にどう立ち向かうか。それについてみんなの意見を聞きたい。新たにわかったこともあるしな」
バナージ「フロスト兄弟が裏切ったこと。あいつらによってセレーネ姉さんが攫われたことですね」
ジュドー「つーか通信を聞いた時から怪しいと思ってたけど、やっぱり裏切ったなあの変態兄弟」
ガロード「…………」
ジュドー「あ、悪りガロード……」
ガロード「いや、気にすんなよジュドー。あいつらが裏切るなんてよくあることだしさ。ただ」
ジュドー「ただ?」
ガロード「なんていうか、今回はいつもと違うって言うか違和感があるっていうか」
ジュドー「なんだよ違和感って」
ガロード「それがうまく説明できないんだよ。あ~俺がニュータイプだったらもっと直観的に伝えられるんだろうけど」
そう言ってガロードは困ったように頭を掻く。
ガロード「まあ変態兄弟のことはいいよ。それより心配なのはセレーネ姉さんの方でしょ」
アセム「確かにそうだな」
ウッソ「何気に今まで、攫われるとかそういうヒロイン的なこととは無縁でしたからね、姉さんは」
フリット「うん。今回も何事もなかったみたいに笑って戻ってくるものだって、僕らも根拠もなく思ってたしね」
アル「セレーネ姉ちゃん……」
タリア「ごめんなさい、詳しい経緯を知らないのだけどなにがあったの?」
劉備「家が襲われたとき、セレーネは殿になって俺たちを逃がしてくれたんだ」
マイ「すまないアル、シュウト。僕があのとき、もっとちゃんと考えていれば……」
キャプテン「マイのせいではない。あの場では、ああするのが最善であったいうのが私の計算だ」
シュウト「マイ兄ちゃんは悪くない。僕もそう思う」
アセム「大丈夫だ! セレーネ姉さんは俺たちが必ず助け出すから!」
アル「うん……」
759オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/06/15(月) 01:43:28.33ID:l7fA4kK80
カミーユ「しかし、なんでフロンタルは姉さんをさらっていったんだろうな」
ジュドー「人質にした方が逆に面倒くさそうだけどね、姉さんの性格考えると」
ドモン「それなんだがシロー兄さん」
シロー「ン? どうしたドモン」
ドモン「ひょっとするとフロンタルは、セレーネ姉さんをデビルガンダム復活のための……」
その時、二人の少年がバタバタと急ぎ足で駆け込んでくる。
セカイ「アニキ! 大変だアニキ!!」
セイ「フル・フロンタルです! フル・フロンタルから通信がきました!」
ヨナ「なんだって!?」
マイ「すぐにこっちのモニターに出します!」
マイは急いで手元の機材を操作した。
すると、モニターに映し出されたのは、不敵な笑みを浮かべた、仮面の男の姿だった。
フロンタル『……やあ、夜分遅くに失礼するよガンダム兄弟の諸君』
シロー「フル・フロンタル!」
ドモン「貴様! よくも抜け抜けと俺たちの前に顔を出せたな!!」
リタ「ちょっとドモン落ち着いて! モニター壊れちゃうから!」
カミーユ「ドモン兄さんの気持ちはわかりますよ。俺だって、今すぐあのモニター叩き割ってやりたいと思ってますから」
バナージ「こうして直接通信を送ってくるなんて、いったいどういうつもりですかあなたは」
フロンタル『今日一日、とてもがんばった君たちをねぎらいにきた。それでは不服かね?』
シン「っふざけんなよお前!!」
刹那「いったい何時まで黒幕を気取っているつもりだ」
ベルリ「いっつも全裸のギャグキャラが、長編だからって大物ぶるのはやめなさいよ!」
フロンタル『やれやれ。すっかり嫌われてしまったな、私は』
アセム「やりたいことがあるなら直接出てこい! それで、俺たちと戦え!」
フロンタル『無論、IMD計画遂行のため、君たちとは近いうちに決着をつけるつもりだよ。だが』
フロンタルはわざと困った風を装い、顎を撫でた。
フロンタル『こう見えて、私も忙しい身でね。できればこちらへ来てもらいたいものだ。この、
ネオジオン社に』
シロー「ネオジオン社だと?」
キラ「キャプテン、通信の逆探知は?」
キャプテン「成功した。確かにフロンタルは今、ネオジオン社にいるとみて間違いない」
フロンタル『もし来てもらえるならば歓迎するよガンダム兄弟。ここにはセレーネ・マクグリフもいることだしな』
ヨナ「セレーネ姉さんだと!」
シロー「無事なのか! おい、無事なんだなセレーネ姉さんは!?」
760オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/06/15(月) 01:46:57.83ID:l7fA4kK80
フロンタル『勿論。お客様は丁重に扱わさせてもらっている。今は、デビルガンダムの完全復活を待っているはずだよ。特等席でね』
ドモン「特等席だと!? ということは貴様、やはりセレーネ姉さんをデビルガンダムの生体ユニットに!」
フロンタル『え? いや、違うが?』
ドモン「え?」
ゾルタン(フロンタルの背後)『あ~!! もういい加減大人しくしろこのアマ!』
セレーネ(フロンタルの背後)『うっさい! そっちこそ離しなさいよ
変な髪形!』
ギャーギャー
アルレット「なんか……普通に元気だったわねセレーネ」
ドモン「え~……」
フロンタル「どうやら君たちと私の間には、若干の誤解があったようだな」
ドモン「な、ならば誰だ! 一体だれがデビルガンダムの生体ユニットになっている!?」
フロンタル「それは勿論、君たちのよく知る人物だよ」
ヨナ「俺たちのよく知る人物……?」
フロンタル「私は、かつてウルベ・イシカワが残したメモを手に入れた。デビルガンダムの新たな可能性について書かれたメモだ」
ドモン「ウルベのメモだと?」
フロンタル「それを読み解き、私は新たな生体ユニット候補を見つけ出した。南区の山奥でね」
その時、急に映像のカメラが切り替わった。
映し出されているのは、デビル日登町の中心にあるデビルガンダム本体、そのコクピットだ。
フロンタル『メモにはこう書いてある。“生体ユニットにもっとも相応しいのは女。その結論は間違いだった”
“最適なのは、それは無条件に我が子を愛する母ではなく、厳しく試練を与える父のような存在”』
フロンタルがメモを読み上げる向こう側で、
ゆっくりとデビルガンダムのコクピットが開いていく。
そこにいたのは……
フロンタル『“生体ユニットに最も適しているのは……あらゆる方法でデビルガンダムを狩り、
生存を脅かし、時には調理して喰らう者……”
チナパパ
“そう、汝の名は……男なり!”』
チナパパ(メタル)inデビルガンダム「…………」
ガンダム兄弟「………お っ さ ん じ ゃ ね え か !!」
時刻はすでに深夜1時。
真っ暗な日登町の空に、ガンダム兄弟の総ツッコミが響き渡った……。
チナパパ
次回、おっさんを救出するため、ガンダム兄弟たちの決死の作戦がはじまる……!
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最終更新:2023年04月12日 10:15